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ほうれん草の育て方

ほうれん草は春と秋が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所を選んで、1か所あたり2~3粒深さ1cmで種をまきます。発芽後は苗を1本だけ残して間引きます。主な作業は水やり・追肥・土寄せなどです。約2か月で収穫できます。

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ほうれん草の育て方


失敗なしでほうれん草を上手に栽培しましょう!

ほうれん草の育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。

種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。

Contents Menu

  1. ほうれん草の栽培難易度と育て方のコツ
  2. 栽培時期
  3. 育てやすい品種
  4. 栽培前の準備プランター栽培用土土作り畝作り
  5. 種まき
  6. 栽培管理間引き土寄せ温度管理水やり追肥
  7. 収穫
  8. 病害対策
  9. 害虫対策
  10. ほうれん草育て方まとめ

動画で解説!「ほうれん草の育て方」

YouTubeでもほうれん草の上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。

ほうれん草の栽培難易度と育て方のコツ

栽培難易度 ★★☆☆☆

ほうれん草は栽培期間が短く病害にもある程度強いので、植木鉢やプランターでも育てやすい葉野菜です。


ほうれん草の原産地は中央アジアで冷涼な気候を好み寒さに強い野菜です。日当たりのよい暖かな場所なら、12月頃まで栽培できるほど耐寒性のある野菜です。

ほうれん草はどの品種でも比較的丈夫に育ちますが。季節に合った品種を選ぶことが成功のポイントになります。

種まきから収穫までは、春まき品種は約1.5か月、秋まき品種で約2か月です。ほうれん草は短期間で収穫まで辿りつくので初心者にもおすすめです。

ほうれん草の種は一度にすべてまかずに時期をずらしながらまくと、少量ずつ収穫ができて長く収穫を楽しめます。


ほうれん草の栽培データ

科名 アカザ科
別名 法蓮草・赤根草・菠薐草・鳳蓮草など
草丈 20~30cm
連作障害 あり(1~2年)
適した場所 日がよく当たる風通しの良い場所
日当たり 🌞 or 🌤
土壌酸度 pH6.0~6.5
株間 5~10cm以上
畝幅 60~80cm
畝高 10~15cm(平畝)
発芽適温 15~20℃
生育適温 15~20℃
種まき時期 2月~5月・9月~11月
発芽日数 3日~5日
苗植え付け時期 種から
収穫時期 種まきから約2か月

ホウレンソウには寄せ植えできる野菜(コンパニオンプランツ)があります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(もっと詳しく:ホウレンソウと相性の良いコンパニオンプランツは?



栽培時期

ほうれん草の栽培時期は春から冬にかけてで、春まき2月~5月、秋まきは9~11月です。収穫までは種をまいてから約2か月です。

中間地以西では真夏と真冬を除いて通年栽培ができますが、秋以降は、長雨や台風の影響によって病害が発生しやすいので注意しましょう。

栽培カレンダー

春まき

ほうれん草の栽培カレンダー(春まき)


秋まき

ほうれん草の栽培カレンダー(秋まき)



育てやすい品種

ほうれん草には、根元が赤く切れ込みが深い淡い葉色をした剣葉の東洋種と地上部が淡色で葉色の濃い丸葉の西洋種があります。東洋種は葉が薄くて柔らかくあくも少ない品種です。

ほうれん草のおすすめの品種は?


夏まき夏どりは最も抽苔しやすく立ち枯れ病など土壌病害も発生しやすいので、初心者は夏まきは避けて、春まきか秋まきが簡単でおすすめです。

夏まきから育てる時は耐暑性のある品種を使うと失敗が少なくなります。

ほうれん草は発芽率が悪いので、発芽率の向上処理されているもの(プライマー種子)などを選ぶと失敗が少なくなります。

「パンドラ」は夏からは早春まき用の品種で、寒さに強く厳寒期でも安心して栽培することができます。

年間を通して育てやすく収量性に優れている「マグワイヤ」、耐暑性・耐寒性ともに優れた品種です。

春まき専用品種は「プリウスセブン」や「晩抽赤茎ミンスター法蓮草」、秋まき専用品種は「ディンプル」アクの少ない品種でサラダや生食に向いています。

最近は見かけなくなりましたが、日本で昔から栽培されてきた東洋種の「日本」。

純粋な東洋種で葉柄が長く葉の切れ込みが深いのが特徴。食味も良く耐寒性が強い秋~冬まきに適した品種です。


ほうれん草の栽培方法

ほうれん草はプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。ほうれん草栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。

栽培前の準備

ほうれん草栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。

ほうれん草栽培に適したプランターサイズ


プランターの選び方

ほうれん草栽培で使うプランターサイズは、小型サイズ(45cm以上)または、中型タイプ(60cm以上)が向いています。

ほうれん草は密植ができるので、植木鉢など限られたスペースで育てることが十分に可能です。

ほうれん草は他の野菜と混植することができます。大きめの容器を使うといろいろな野菜と混ぜながら楽しく栽培できます。(参考:ほうれん草のコンパニオンプランツは?

栽培用土の種類

ほうれん草の栽培に適した用土ですが、プランター栽培の場合は市販の培養土を利用すると簡単です。

ほうれん草の土作り


自分で作る時は赤玉土6.5:腐葉土2.5:バーミキュライト1を混ぜ合わせた物を使います。

それに石灰を用土10ℓ当たり10g~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせましょう。

プランターに入れる土の量は?


プランターに入れる土の量は上部の縁から3~5cmほど低めです。ウォータースペースを残して培養土を入れます。

プランターに土を入れすぎると、まし土ができなくなり、水やりの際に用土があふれてベランダの床や排水口を汚してしまうことがあるからです。


露地栽培の土作りと畝作り

畑(露地栽培)でほうれん草を育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。

土作りのやり方

ほうれん草は種まきの2週間前になったら苦土石灰100g/㎡を施してよく耕しておき、1週間前になったら堆肥2㎏/㎡と化成肥料(15:15:15)100g/㎡を施して土作りをしておきましょう。

ほうれん草の土作りと畝作り


土壌酸度

ほうれん草は酸性土壌に弱いため、pH6.0~6.8に調整しておきます。

畝作りのやり方

ほうれん草栽培に適した畝は高さ10cm幅60cmの平畝です。根が張りやすいようにしっかりと耕しておきましょう。

土作りのコツとヒント

植え付ける2週間前までに土作りを済ませておき、植え付けの1週間前には元肥を施しておくようにしましょう。

元肥に鶏糞や堆肥などの有機肥料使う場合、種まきの直前にまくとタネバエの発生を助長してしまいます。

有機肥料を使う場合は、遅くても2週間以上前に施肥する様にしましょう。


種まき

ほうれん草は春と秋の年2回の種まきができます。1か所あたり2~3粒の種を深さ1cmにまき、発芽までこまめに水やりをしましょう。発芽適温内なら3~5日で発芽がはじまります。

ほうれん草種の撒き方


ほうれん草の種まき時期・発芽温度・種のまき方・種まき後の管理など種から育てる方法を詳しく解説します。

ほうれん草を種から育てる

ほうれん草は畑に直まきします。条間は10cm以上確保するのが理想ですが、60cmのプランターの場合なら2条(2列)まきもできます。

ほうれん草は種をまく前に水に一晩(半日)浸けると発芽が揃いやすくなります。

種まき時期

ほうれん草は真夏と真冬を除いて1年を通して種まきが可能です。

発芽適温

ほうれん草の発芽適温は15~20℃です。

25℃を超えると発芽率が一気に下がります。発芽できる限界温度は最低で4℃、最高で35℃です。

発芽日数

ほうれん草は種をまいてから通常なら3日~5日で発芽が始まります。

気温によって発芽日数は前後しますが、長期間発芽しないときは種をまき直しましょう。(参考:ほうれん草の種が発芽しない原因と対策

生育適温

ほうれん草は高温に弱い野菜で、生育に適した温度は15℃~20℃です。


種のまき方

  1. 長い棒などで浅め(5~10mm)のまき溝を付けます。
  2. 1cm間隔で種をまきます。
  3. 土を被せて軽く押さえて種と用土を密着させます。
  4. たっぷりと水やりします。


種まきのコツとヒント

  • 溝の深さを一定にすると発芽時期が揃いやすくなります。
  • 用土を強く抑えると通気性が悪くなって発芽しにくくなります。
  • 発芽するまではプランターの底から流れ出るくらいたっぷりと水やりしましょう。


発芽直後の苗は茎が細くて弱いので、強い雨や強風で折れてしまうことがあるので注意しましょう。

本葉が3~4枚になるまでは、雨や風の当たらない日当たりのよい場所で育てるのがコツです。

発芽適温外に種まきすると発芽率が低下したり日数もかかったりします。発芽日数が長くなると病害や発芽障害が発生しやすくなるので種まき時期を守りましょう。


栽培管理

間引き

ほうれん草は株間が狭くても育ちますが、密植すると葉色が淡くなって葉肉も薄くなります。発芽したら収穫までに定期的に苗を間引きましょう。

ほうれん草植え付ける間隔


肉厚で甘みのある大きな茎葉を収穫したいときは株間を広めにして、サラダなど生食に使うときは茎葉が柔らかくなるように狭くして育てるのがおすすめ。

間引いた小さな苗は柔らかいので、間引き菜としてサラダや汁物の具などにすると美味しく食べることが出来ます。

ほうれん草の間引きタイミング(間引きの時期)は?


苗の間隔(株間)

株と株の間隔は最終的に5cm以上を確保しましょう。春から夏は狭め、秋以降は開帳する(葉を地面に広げる)性質があるので少し広め(10cm前後)にします。

間引きの時期

間引きをするタイミングは、となりあう株の葉と葉が触れ合うようになったときです。

間引きの時期は遅すぎても早すぎてもいけません。株間が狭いと養分と水分を奪い合ってしまいますが、深く根をはった強い株を見極めて残すことができるからです。

間引きのやり方

間引き時期の目安ですが、1回目の間引きは本葉が2~3枚になった頃で株間を3cm程度に間引きます。

2回目の間引きの時期は、草丈が5~7cmになった頃で、株間を5cm以上にしましょう。

土寄せ

水やりや自然の雨でほうれん草の根元の用土が流れ出て、根っこが地面から出てしまうことがあります。このようなときは株周りに用土を寄せておきましょう。

発芽直後の苗は茎や根が細く倒れやすいので、間引きのときに株元に土を寄せておきます。収穫までの間も定期的に土寄せを行いましょう。


トンネル掛け

気温が高い時期にほうれん草を栽培するときは、遮光性のある黒ネットのトンネル掛けをして、光量と温度を調整してやりましょう。

気温が低い時期(10月下旬以降)や寒冷地(関東より北)では低温対策を行うと生育がよくなります。保温は透明ビニルのトンネル掛けやホットキャップなどが有効です。

初秋など昼と夜の寒暖差がある時期は、日中は裾をめくって風通しをよくして高温になり過ぎないようにし、夜間は裾を閉じておきます。


水やり

ほうれん草の水やりは、苗の成長具合を見ながら与える量とタイミング(頻度)を調整します。収穫前の水切れを起こすと茎葉が固くなるので注意しましょう。

ほうれん草の水やりタイミングと与える水の量は?


水やりの頻度(タイミング)

ほうれん草は乾燥を嫌いますので、発芽後も乾かし過ぎは禁物です。晴天の日は必ず水やりをしてあげましょう。

プランターでほうれん草を栽培するときは週に1度水やりを兼ねて液肥を与えると生育が良くなります。

ただし、水やりは天気の良い日の午前中に1回だけ行い、日が陰る頃から夜間は葉が乾いている状態にしておくことがポイントです。

1回あたりに与える水の量

ほうれん草の1回の水やりで与える量ですが、プランター栽培では底から水が染み出るまでたっぷりと与えましょう。露地では1株あたり約1~1.5L与えます。

まいた種が流れたり小さな苗が倒されたりしないように、ジョウロの口を上に向けて丁寧に水やりをしましょう。

水やりは回数を減らして1回あたりの量を多めに与える方が効果的です。

水やりのコツとヒント

梅雨や秋雨時期など雨が続く時は水やりを控えましょう。多湿環境下では病害が多発するためです。


追肥

ほうれん草の追肥の時期は2回目の間引きが終わったタイミングです。肥料過多は株が軟弱に育ち、茎葉も固くなります。収穫までは茎葉の様子を見ながら適宜、追肥を行いましょう。

ほうれん草の追肥のタイミングと与える量は?


追肥の時期(タイミング)

ほうれん草の追肥時期は、2回目の間引きが終わった頃になります。追肥は必ず与える必要はなく、茎葉が黄色かったり苗の生長が遅いときのみとします。

1回あたりの追肥の量

プランター栽培では化成肥料を約10g株周辺にまいて、用土と軽く混ぜ合わせて株もとに寄せておきましょう。

露地栽培でほうれん草を育てている場合は1㎡あたり20~30gの化成肥料を列の間に施します。

水やりの頻度


追肥のコツとヒント

プランター栽培では地力が弱いため、水やりを兼ねて1週間に1回、液体肥料を施してやると、生育が良くなり大きな株を収穫できます。


収穫

ほうれん草は種まきから約2か月で収穫適期を迎えます。草丈が20センチを超えたら収穫できます。収穫のタイミングを逃さないように美味しい頃合いを見極めましょう。

ほうれん草の収穫時期と収穫のタイミングは?


収穫時期(タイミング)

ほうれん草は植え付けてから春まきは30日~45日、秋まきは35日~55日ほどで収穫のタイミングを迎えます。

見た目で収穫のタイミングを判断する

収穫適期の見極めは草丈が20~25cmになった頃です。ほうれん草は茎葉が大きくなるほど固くなって苦みも強くなります。

収穫方法

ほうれん草は葉がとても折れやすいので、株元の土を押さえて株全体を持って引き抜きましょう。株元にハサミを入れて切り取ってもかまいません。

ほうれん草は大きく育った株から順番に株ごと抜き取って収穫します。 

ほうれん草は霜や寒さに当たると葉をたんぽぽのように地面に広げる性質があり、栄養と甘みが増し葉も肉厚になります。春以降は種取りも楽しめます。(参考:ほうれん草の種取り

保存方法

ほうれん草はナイロン袋に入れて封をせずに冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。

さっと茹でてから水気を取り、サランラップなどに包んで冷凍庫で保存することもできます。

くせのある西洋種はバター炒めに、葉の柔らかい東洋種はサラダやお浸しなどに使うのがおすすめです。


病害対策

ほうれん草はべと病や苗立ち枯れ病・モザイク病などが主な病害です。水はけのよい土壌で高温多湿を避ける、耐病性の高い品種を選ぶことが病害の対策になります。

ほうれん草の病害対策


ほうれん草によく発生する病害

ほうれん草で見かける病害は、べと病(葉の表面に淡い黄色の斑点が発生する病害)・苗立ち枯れ病(地際部が菌に侵される病害)・モザイク病(葉が縮んだり萎れたりする病害)などです。

病害の対策と予防方法

ほうれん草は乾燥を嫌いますが、多湿環境になりすぎないように注意しましょう。耐病性品種を選ぶことも予防になります。

畝を高くしたりプランターの底に鉢底石を入れたりして、排水を良くする対策で多湿環境を改善することができます。


害虫対策

ほうれん草栽培でよく見かける害虫は、アブラムシ類、ヨトウムシ、ヤガ、メイガなどです。住処となる残渣(落ち葉や枯葉)を取り除き、見かけたら早めに駆除することが対策になります。

ほうれん草の害虫対策


害虫を見つけたらすぐに取り除くようにして害虫被害を最小限に抑えましょう。

アブラムシはモザイク病などのウイルス病の感染源となります。間引きを適宜行い風通しを良くすることでも予防できますが、気温の高い時期は寒冷紗をかけるなどして有翅アブラムシの飛来を防ぎましょう。

とにかく害虫は防除が大切です。数が増える前に駆除を徹底することが被害を最小限に食い止める最大のポイントです。

害虫は春まきが発生しやすいので初心者は秋まきからチャレンジするのも良いでしょう。


ほうれん草の育て方まとめ

ほうれん草は高温にとても弱いので、初心者は秋植えからチャレンジしてみましょう。

ほうれん草育て方まとめ


ほうれん草は日照時間が長くなる5月以降はトウ立ちして花が咲き、最後は葉が黄色く変色して枯れてしまいます。

春まきではとう立ちしにくい、オーライ、エスパー、次郎丸、アトラスなどがおすすめです。

ほうれん草は連作ができない野菜なので、最低でも1年間は同じ場所に植え付けしないように注意しましょう。

ほうれん草は栽培時期を守れば簡単に収穫まで辿り着けます。それでも栽培中にトラブルが起きたときはこちらのページもご参考下さい。(参考:ほうれん草が育たない原因と対策


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