ショウガは春から晩秋が栽培時期です。切り分けた種ショウガを深さ5cmで植え付け、乾燥防止にマルチ(敷き藁)を被せておきます。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せなどです。
ショウガの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種ショウガの植え付け適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・苗作り・種ショウガの植え方・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
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栽培難易度 ★★★☆☆
反日蔭でも育つ丈夫な野菜で、栽培期間は長めですが、成長に段階によって様々な食べ方を楽しめるお得な根野菜です。
ショウガはショウガ科の野菜です。原産地はインドやマレーシアとされていますが、実は自生地ははっきりしていません。
日本へは古くから伝わっていて古事記にも波士加実(ショウガの古称)が登場しています。
春に種ショウガを植えると夏は葉ショウガ、秋以降は根ショウガを楽しめます。
ショウガは高温・多日照・多湿を好む根野菜で、ベランダ菜園や露地栽培の空きスペースでも十分に栽培できる人気の野菜です。
直射日光を嫌うのでキュウリやトウモロコシなど、草丈の高い野菜の陰に植えるとよく育ちます。
ショウガに含まれる栄養素はビタミンA・ビタミンB・ビタミンCの他、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラル類が豊富です。
辛み成分のジンロゲンは血行を促進し発汗を促す効果があり代謝を高めてくれます。
その他にもショウガオールや香りの元のジンギレベン・シトロネラールなど消毒作用と解毒作用があり、生ものなどに添えられることが多いのはこのためです。
ショウガは収穫早期なら生食、収穫後期には香味に使える便利な万能野菜です。
ショウガは冷奴や刺身の薬味としての他、煮魚の香味・ショウガ焼きなど料理のレパートリーはとても豊富です。葉ショウガとして収穫すれば生で食べることもできます。
ショウガの作り方はコツさえ分かれば簡単なので、ぜひショウガ栽培にチャレンジしてみましょう。
科名 | ショウガ科 |
別名 | はじかみ・ジンジャー・生薑(しょうきょう)・乾薑(かんきょう)など |
草丈 | 90~150cm |
連作障害 | あり(2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 25~30℃ |
積算温度 | 約600℃(発芽まで) |
生育適温 | 20~30℃ |
芽出し時期 | 4月~5月 |
発芽日数 | 30~40日 |
苗植え付け時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約6か月 |
ショウガは春(3月~5月)が栽培時期です。収穫時期は葉ショウガの収穫は7月中旬~8月下旬、根ショウガの収穫は10月上旬~11月上旬 です。
ショウガは大きく分けると「小ショウガ」「中ショウガ」「大ショウガ」があります。小ショウガは辛みが強く大ショウガは辛みが弱いのが特徴、中ショウガはその中間の辛さです。
大ショウガは収穫までの期間が長く1株当たり800~1,000g収量があり、中ショウガは大ショウガよりも生育が早く1株で500~600g、小ショウガは更に生育が早いのですが1株で300~400gしか収量がありません。
どの種類を栽培するかは利用目的に合わせて選びましょう。葉ショウガや筆ショウガを収穫したい時は小ショウガや中ショウガを利用します。
種ショウガの苗を選ぶ時は、黄色が鮮やかで色つやが良く生き生きとして病害に掛かっていないものを選ぶようにしましょう。
4月下旬頃になると、ショウガの種いわゆる「種ショウガ」が販売されはじめます。
ショウガはどの品種を選んでも上手に育てられるので、目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
根茎の小さい小ショウガはハジカミショウガとして、大根ショウガは根ショウガとして利用されています。
代表的な品種は生食が美味しい「三州」、辛みが強い「金時」、葉ショウガ用の「谷中」などです。
ショウガを育てるときの土作りや畝作りなど栽培前の準備について詳しくご紹介します。
ショウガを栽培する時のプランターサイズは標準サイズ(60㎝)のものを利用しましょう。
標準サイズのプランターでも3株ほどは植えることができます。また、単株でショウガを育てる時は、10号以上の植木鉢でも十分に育てられます。
ショウガ栽培に使う用土は市販の培養土を使うとすぐに植え付けできるので便利です。
土壌の適応性は高いのですが、有機物の入った保水性の高い土壌でよく育ちます。
自分で用土を作る時は、赤玉土6:砂2:バーミキュライト3、これに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり20gを混ぜ合わせたものを用意しましょう。
プランターや植木鉢で育てる時に用土をプランターの淵一杯まで入れてしまうと、株が大きくなってからのまし土ができません。
また乾燥防止の敷き藁を敷くスペースもなくなってしまいます。用土は6~7分目までにしておきましょう。
ショウガを露地(畑)に植えるときの土作りと畝作りについてレクチャーします。
露地栽培でショウガを育てる時は、植え付けの2週間前に苦土石灰100g/㎡を畑にまいて耕しておきます。
植え付けの1週間前までに堆肥3㎏/㎡・化成肥料100g/㎡を全面散布して良く耕しておきましょう。
ショウガは多湿を好むため畝は幅60㎝で高さ5~10㎝と低めの平畝が適しています。高畝だと用土が乾燥しやすくなってしまうためです。
種ショウガの植え付け方植え方のコツやポイントをレクチャーします。
ショウガの発芽に適した温度は25~30℃です。ショウガは高温を好むため気温が十分に上がってから植えましょう。発芽には17度以上が必要になります。
気温が低すぎる(15℃以下)と、ショウガは発芽しません。日中の気温が20℃を超える頃になるまで畑に植え付けないことがポイントです。
ショウガは条件にもよりますが、種ショウガを植えてから芽が出るまでは約1.5~2か月ほどかかります。
ショウガを植え付けるときは芽を3つほどつけて1つの種ショウガを50g程度の大きさに切り分けておきます。
切り分けた種ショウガは日光に2日ほど当ててから植えつけると発芽しやすくなります。
ショウガを植え付ける間隔(株間)ですが、小ショウガは狭め(20㎝が目安)で、大ショウガは広め(25~30㎝が目安)とします。
露地栽培では深さ5~10㎝ほどの植え溝を掘り、芽を上向きにして土に差し込むようにして植えつけましょう。
プランター栽培では、用土を鉢全体の6分目くらいまで入れて、種ショウガを20㎝間隔に並べて上から培養土を5~10㎝被せてやります。
ショウガは深植えしないことが発芽率を上げるポイントです。
植えつけ後は用土の表面を乾かさないようにしっかりと水やりをしましょう。
ショウガは育苗期間が1.5~2か月と長いので、発芽済みの種ショウガから育てると手軽でおすすめです。
ショウガのまし土のやり方とまし土の時期(タイミング)をレクチャーします。
ショウガはまし土が重要です。まし土が足りないと根茎が太らず小さなショウガしか収穫できません。
草丈が30㎝を超え始めたら、まし土(土寄せ)をこまめに行いましょう。
またショウガの茎は大変折れやすいので、強風で地際で折れてしまうことが良くあります。そこから腐敗菌が二次的に侵入して生育不良の原因にも。
茎折れを防ぐために防風ネットを張るなどしましょう。
ショウガは乾燥を嫌うため、株元に敷き藁やもみ殻を敷いて乾燥防止対策をしましょう。
シルバーマルチでも代用できますが、ショウガは土寄せを頻繁に行うので後の手間を考えるとあまりおすすめできません。
ベランダ菜園でショウガを育てている時などは敷き藁が用意できないので、「ピートモス」をまし土代わりに使うと乾燥防止のマルチングと兼ねることができます。種ショウガを植えたあとに被せて発芽までの乾燥を防ぎましょう。
また、ショウガは茎が弱いため風によって地際から茎が折れてしまうことが良くあります。マンションの高層階や風の強い場所で育てる時は、防風ネットを張るなどの風対策もしてやりましょう。
ショウガは熱帯アジア原産の湿潤な気候を好む野菜で、用土がカラカラに乾燥する前に水を与えることがポイントです。 多湿と乾燥を繰り返して用土の湿度変化が激しくなると根が大きくなりません。
ショウガは熱帯アジア原産の湿潤な気候を好む野菜なので、用土が乾燥する前にたっぷりと水を与えるようにするのがポイントです。
ショウガの水やりの頻度ですが、発芽するまでは用土の表面を乾かさないようにしっかりと水やりをしましょう。
発芽してからも朝と夕方の2回、露地栽培では2~3日に1回を目安として与えます。
プランター栽培では鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり2.0~2.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
ショウガは乾燥に極端に弱いので、土の表面が乾かないように気をつけるのがポイントです。
特に梅雨があけた夏以降の乾燥は禁物です。水切れにならないように細心の注意を払いましょう。
ショウガは栽培期間が長く追肥を上手に与えることが多収穫のポイントです。追肥の時期や与える量をレクチャーします。
追肥のタイミングは発芽して草丈が15㎝になった頃と草丈が30~40㎝になった頃に与えます。それ以降は月に1回与えるようにしましょう。
ショウガの追肥は茎葉の生長には欠かせない「カリ分」の比率が高い肥料を与えましょう。
ショウガの1回あたりの追肥の量ですが、露地栽培の場合は株元に化成肥料を30gほど追肥して土寄せします。
プランターでショウガを育てている場合は、株周辺の土に化成肥料を5gほど蒔いて、軽く混ぜて株元に土寄せしましょう。
水やりを兼ねて週に1回薄めた液肥を与えると生育が旺盛になります。
ショウガは生育状況で何回か収穫を楽しめる野菜です。収穫時期(タイミング)や収穫の仕方をレクチャーします。
ショウガの収穫は栽培中に春・夏・秋の3度楽しめます。筆ショウガは6~7月頃、葉ショウガは7~8月頃、根ショウガは10~11月頃です。
収穫を存分に楽しみたいなら、筆ショウガから収穫しましょう。収穫してすぐの新鮮な筆ショウガと葉ショウガは生でも食べることができます。
筆ショウガはショウガを若どりしたもので、刺身のつまに利用したり、天ぷらなどにしても美味しく食べられます。矢ショウガとも呼ばれ根の近くをかじって新鮮な香りを楽しみましょう。
茎葉が生い茂って塊茎が肥大し始めた頃が収穫適期です。葉が3~5枚ほど開いたら新芽をかき取って収穫します。
新芽の出る量が少なくなったら収穫をやめ、根ショウガ用に茎葉を残しておきます。茎葉が少ないと根ショウガが小さくなってしまいます。
筆ショウガの次は葉ショウガが楽しめます。葉ショウガとは7月~8月に新芽の株元につく新しい細いショウガのこと。
株元が赤くなって葉が7~8枚になり根が肥大し始めた頃が葉ショウガの収穫適期です。
葉ショウガは株ごと引き抜くか根ショウガとして育てる場合は必要な新芽だけを種ショウガが接する部分からハサミなどで切って収穫しましょう。
根ショウガの収穫時期は、10月中旬頃です。9月下旬から10月下旬になると地上部の茎葉が黄化してきます。そのときが収穫適期のサインです。
株元から20㎝ほど離れた位置にスコップを入れ根の下から株ごと掘りあげて収穫しましょう。
新ショウガは初霜が降りる前までに収穫した方が美味しく食べられますが、次の霜が降りる前後までは収穫を続けても大丈夫です。
植え付けに使った古い種ショウガは「ヒネショウガ」と呼ばれ、すりおろし用のショウガとして利用できます。
ショウガに発生する害虫は「メイガ類」「アブラムシ類」「センチュウ類」「ヨトウムシ」などです。
株が大きくなってからは被害は深刻にはなりませんが、幼苗期に被害に遭うと苗が全滅することもあるので注意が必要です。
また、害虫の中にはアブラムシのようなウイルスを媒介するものや病原菌を媒介するセンチュウなどもいるので、害虫を発見した場合は早急に駆除・対策をしましょう。
ショウガに発生する病害は「根茎腐敗病」「モザイク病」「いもち病」「白星病」などです。
特に葉が黄化して悪臭を放つ根茎腐敗病に掛かると致命的です。万が一病害が発生した時は発病株と周辺の土を畑の外に持ち出して処分しましょう。
病害を防ぐためには連作を避ける。病原菌のついた種から発病することが多いので、種ショウガは無病の畑で採取したものを使うようにする。あと、土壌が必要以上に多湿にならないように心がけましょう。
ショウガを育てるコツは上手に発芽させられるかどうかに掛かっています。植え付け適期を守り確実に発芽させましょう。
ショウガは15℃が生育の限界温度なので十分に気温が上がってから種ショウガを植えつけましょう。10℃を下回ると地上部は枯死してしまいます。
芽が出たあとの生育は旺盛なので土寄せを欠かさなければ、初心者でも収穫まで無事にたどり着けるはずです。
ショウガは多湿を好むので水やりをしっかりと行うことが大切ですが、水がたまるほど与えると生育が悪くなります。
一度に大量に与えるよりはこまめに適量を与えるようにしましょう。
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