ジャガイモの栽培時期と土作り・苗作り・種イモの植え方・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、野菜栽培士が詳しく解説します
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YouTubeでもジャガイモの育て方を詳しく解説しています。テキストとセットで見るとより理解が深まるのでおすすめです。
ジャガイモはナス科の野菜です。原産地は南米アンデス地方で、冷涼な気候で日当たりの良い環境を好みます。
子供と一緒に収穫を楽しめるとあって、家庭菜園でおすすめの根野菜です。失敗が少ない、初心者でも育てやすい、品種も豊富ということも人気の理由です。
ジャガイモは春植えと温暖な地域では秋植えができます。秋植えは8月下旬~9月上旬に種イモを植えておくと11月~12月頃には収穫できます。
ジャガイモに含まれる栄養素は、・ビタミンC・ビタミンB1・ビタミンB2・食物繊維・鉄・カリウムなど。必須アミノ酸も豊富に含みます。
ジャガイモのビタミンCは熱に非常に強く壊れにくいのも特徴です。美容と健康に良い栄養素満点の健康野菜です。
土を掘ってワイワイとイモを掘る楽しさを皆で味わえるのがジャガイモ栽培の魅力。ベランダ菜園でも簡単に育つので、ジャガイモ栽培をぜひチャレンジしてみましょう。
科名 | ナス科 |
別名 | 馬鈴薯・二度芋・三度芋・カブタイモ・ジャガタライモ・サントク・カブタイモ・土豆・洋芋・薯仔など |
草丈 | 50~60cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH5.0~6.0 |
株間 | 20cm以上 |
畝幅 | 60~100cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
植え付け時期 | 2月~3月・8月~9月 |
発芽日数 | 1ヶ月~1ヶ月半 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
ジャガイモには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(参考:ジャガイモと相性の良いコンパニオンプランツ)
ジャガイモは春と夏が植え付け時期で、春植えは2月~3月、夏植えは8月~9月です。収穫は苗の植え付けから約3か月です。
ジャガイモの人気の品種には「キタアカリ」「トヨシロ」「ニシユタカ」「ホッカイコガネ」「セトユタカ」「ワセシロ」などがあります。
スーパーのジャガイモでも育てられますが、ウイルス病に感染していることがあるので、検査済みの種イモを購入することをおすすめします。
ジャガイモの品種は男爵イモとメークインがが全体の半分を占めていて、新品種も育成されていますが知名度の高いこの2品種の流通量を超えるものは出ていません。
カラフルなジャガイモもあり、皮の赤い「ベニアカリ」「アイノアカ」、肉色が濃い黄色の「アンデス赤」「ジャガキッズレッド」、肉食の赤い「インカレッド」、紫色の「インカパープル」「ジャガキッズパープル」が有名です。
ジャガイモには春植えと秋植えに向く品種があります。春植えは「男爵芋」「メークイン」、秋植えは「デジマ」「普賢丸」「アンデス赤」が代表的な品種です。
ジャガイモの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ジャガイモ栽培のプランターサイズは大型で深型のものを利用しましょう。幅広の60cmサイズなら2株ほど栽培できます。
プランターの代わりに深型の植木鉢や土のう袋(用土の袋)などでも栽培ができます。
市販の根野菜専用の培養土なら、袋から開けてすぐに種イモを植え付けできるので便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~30gを混ぜ合わせて使いましょう。
ジャガイモは新しいイモは種イモの上に付くため「まし土」行います。用土の量を鉢の6割程度にしておきましょう。
また、用土を入れ過ぎると、雨や水やりの際に用土が流れ出て周辺が汚れる原因になります。
ジャガイモの露地栽培では、植え付けの2週間前までに土作り(酸度調整と耕うん作業)を終わらせましょう。ジャガイモの適した土壌酸度の適正値はpH5.0~6.0です。
植え付けの1週間前になったら、1㎡あたり、堆肥1.5kg・化成肥料150gを全面施肥して、畝幅60cm以上、高さが10~15cmの平畝を作っておきます。
もっと詳しく:ジャガイモの植え付け前に準備すること
種イモの植え付けは日中の気温が15℃を超えてから。種イモは地表面から10cmの深さに植えましょう。株と株の間隔は約20cmです。
ジャガイモの植え付け時期は、春植えは2月下旬~3月下旬まで、夏秋植えは8月下旬~9月上旬までです。
春に植えるときは桜の咲く頃にジャガイモが萌芽するように計算して植え付けましょう。(桜の開花の30日前が目安)
植え付けが遅れてイモが肥大する時期の気温が高いと、株が枯れて収穫まで辿り着けなくなります。
ジャガイモの発芽に適した温度は15~25℃です。温度が高すぎたり低すぎたりすると発芽が遅れる原因になります。(もっと詳しく:ジャガイモが発芽しない原因と対策)
環境にもよりますが、発芽するまでに植え付けから1~1.5ヶ月ほどかかります。
60g以下の種イモはそのまま植え付け、大型の種イモは35g前後に切り分けて植えると育ちが良くなります。
ジャガイモは切り口が湿ったまま植え付けると腐敗の原因となります。切り口に草木灰を付けて乾燥させておきましょう。2~3日ほど反日蔭で切り口を乾燥させても大丈夫です。(もっと詳しく:ジャガイモの植え付け前に準備すること)
ジャガイモは種イモの植え方が悪いと根が干渉し生育が悪くなり、掘り出すときに絡まった根が切れて地中に残ってしまいます。正しく植え付けて多収穫を目指しましょう。
ジャガイモは日当たりの良い場所を好むので葉が込み合わない幅になるように苗と苗の距離を確保しましょう。
プランターで栽培するときは2株、植木鉢では1株が目安です。露地栽培でのジャガイモの株間は靴1足分(20~30cm)が目安です。
種イモは地表面から10cmほどの深さに、芋の切り口は下に向けて種イモを置いていきます。下向きにする理由は植え付け後に雨が降ったときに腐敗しにくいからです。
ジャガイモの種イモを植えたあとは、種イモと種イモの間に元肥を施します。(土作りのときに施肥していたら不要です。)
即効性の堆肥または化成肥料を約30g(一握り)が目安です。
ジャガイモは収穫までの期間が短いので、効果の早い肥料を元肥に使うことが収穫量を増やすポイントになります。
ジャガイモは他の野菜と混植が可能です。限られたスペースを有効に使って栽培を楽しみましょう。(もっと詳しく:ジャガイモと相性の良いコンパニオンプランツ)
大きなジャガイモを収穫するには芽かき(脇芽取り)が必須です。種イモを植え付けから約30日経って草丈が10cm程度に成長した頃が芽かきのタイミングです。
ジャガイモは種イモから芽がたくさん出ると収穫できるイモの数は増えますが、どうしても型が小さくなってしまいます。
大きなイモをたくさん収穫するためには、芽かき作業や脇芽取りをタイミングよく行うことがポイントです。
ジャガイモは種イモを植え付けてから約30日ほどすると草丈が10cm程度に成長しますが、その頃が芽かきのタイミングになります。(春植えは4月中旬~下旬、秋植えは9月中旬~下旬が目安)
品種や収穫時期で本数は変わりますが、早掘り栽培では芽は1本、通常は元気の良い芽を2~3本残して他の芽は全てかき取ってしまいましょう。
ジャガイモの苗は、間引く茎以外の根元を手で押さえるようにすると上手に引き抜くことができます。ハサミなどを使って芽の根元を切ってもかまいません。
ジャガイモの芽かきをする際に誤って種イモが抜けてしまうことがあります。抜けてしまった場合でもすぐに植え直せば大丈夫です。
茎の数を増やすとイモはたくさん付きますが、一つ一つの実が小さくなってしまいます。茎の数は2~3本に芽かきするのことが大きなジャガイモを収穫するコツとなります。
まし土とは株の根元の用土を足すことです。まし土をしっかりと行うことが、質のいい大きなジャガイモを収穫する最大のポイントです。
ジャガイモは種イモの上に新イモがつくため、まし土を行うことで新しいイモが大きくなるスペースを確保することになります。
ジャガイモのまし土は追肥を行うタイミングで行います。最終のまし土は蕾が着き始める時期です。
まし土のやり方ですが、周辺の用土(プランター栽培では新しい用土)を株の根元に10cmほど盛って、手のひらで上から軽く押さえておきます。
種イモが着き始めたらまし土は多めに行うようにしましょう。株もとに土寄せして高畝にする事で、水はけと通気性が良くなりイモの腐敗と病害の予防につながります。
また、ジャガイモはまし土が少ないまま育てると、イモが太陽の光を浴びて緑色に変色してしまいます。
変色すると品質劣化の原因になるので注意しましょう。
ジャガイモは生長に合わせて水やりの量を変えましょう。発芽までの水やりは不要で、自然の雨だけでも十分に生長します。プランター栽培では用土の表面が乾いたときに与えましょう。
ジャガイモの水やりは、種イモを植え付け直後は行いますが、それ以降の発芽するまでは不要です。
発芽が始まっても、露地栽培の時は自然に降る雨だけでも十分に苗は生長します。
プランター栽培では用土の表面が乾いたときに与えましょう。毎日与える必要はありません。(もっと詳しく:ジャガイモの正しい水やり方法)
ジャガイモの追肥時期は植え付けから約30日経った頃です。芽かきと同時期に施しましょう。窒素分の多い肥料を与えすぎると疫病を助長するので注意しましょう。
ジャガイモは生育状態を見て、収穫までに2回ほど追肥を行います。
1回目の追肥は、植え付けから約30日経った頃で、芽かきと同時期に施しましょう。
ジャガイモは発芽してから20日ほどすると土の中で実が肥大し始めるので、追肥のタイミングを逃さないようにします。
ジャガイモの2回目の追肥の時期は、苗に蕾(つぼみ)が付いた頃に行います。
プランター栽培では1株当たりに対して化成肥料10gを株周辺に撒いて用土と混ぜ合わせましょう。
露地栽培では株に沿って1㎡あたり20~30gの化成肥料をばらまくように与えます。
2回目の追肥の量は1回目と同程度(化成肥料10g)で同じやり方で与えましょう。
追肥のコツとポイントは、肥料と種イモが直接触れ合わないようにすることです。
窒素分の多い肥料を与えて過繁茂になると疫病を助長します。窒素肥料は適量の範囲内で控えめにするのがポイント。
疫病にかかりやすい男爵やメークインを避けて品種選定をするのも良いでしょう。
ジャガイモの収穫時期(タイミング)は種イモを植え付けてから約3か月経った頃です。掘り出すときにイモを傷めないように丁寧にスコップで掘り出しましょう。
ジャガイモの収穫適期は植え付けから約3か月です。収穫が遅れると、イモが腐ったり表面が傷んだりするので、適期を逃さないようにしましょう。
ジャガイモは気温が高くなってくると茎葉が自然と枯れてしまいます。開花が終わって葉や茎が黄ばみだしたらいよいよ収穫のタイミングです。
ジャガイモは種イモより上の地表から20cmまでの浅い位置に新イモがが付きます。
プランターや狭い畑では、掘り出すときにイモを傷めないように丁寧にスコップで掘り出しましょう。
株から少し離れた所からスコップを挿して下から持ち上げるようにしたあと、丁寧に手でイモを探して収穫します。
ジャガイモは なるべく畑が乾燥している時を見計らって収穫しましょう。雨の日の収穫は避け、晴天が2~3日続いた後に収穫することがポイントです。
雨のあとの過湿状態や雨の日に収穫すると皮の表面が肥大して収穫後のイモが腐りやすくなるからです。
掘りあげた後のジャガイモは呼吸をしています。
収穫後は掘り出した場所で数時間ほど日光に当ててから通気性の良いコンテナなどに入れ、日の当たらない風通しのよい場所で2~3日ほど呼吸熱を取りましょう。
冷蔵庫で保存する時は密閉された袋に入れてはいけません。ジャガイモは収穫後も呼吸を行っているため通気性の良い袋で保管することで貯蔵性が良くなります。
面積の大きな畑ではイモを地表に掘り出せる「ポテトディガー」という作業機械も便利です。この機械は小型トラクターや耕うん機に装着でき手彫りに比べて傷がつきにくく効率的に収穫作業が行える機械です。
ジャガイモ栽培でよく見かける病害は、「モザイク病」と収穫時期に「粉状そうか病」などです。
生育初期は疫病(発生しやすいのは梅雨時期)にかかりやすい時期です。初期は葉の一部が褐変し、いずれは株全体の茎葉に広がっていきます。
最終段階はイモに感染して異臭を放つようになり最後は腐敗します。早期に薬剤などを使って回復に努めましょう。
病害の発生を防ぐためには「連作をしない(2~3年以上)」「土壌の排水と通気を良くする」「ペーハー調整を行う」などのこれらの点に注意して栽培しましょう。
ジャガイモに発生する害虫は「アブラムシ」「テントウムシダマシ」「ヨトウムシ」などです。
害虫の中には病原菌を媒介するものもいますので、これらを発見した場合は早急に駆除するか駆除剤をまくなど対策しましょう。
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