害虫はどこからともなく飛来して大切に育てた野菜の幼苗や収穫前の大事な茎葉や果実を食い荒らします。家庭菜園で良く発生する害虫の種類と対策について詳しく説明します。
家庭菜園で困るのは野菜が害虫の被害に遭うことではないでしょうか。大切に育てた野菜が一晩で虫に食べられてしまったらやり切れません。
このページでは害虫の被害を受ない菜園の作り方や害虫が発生したときの駆除方法をご紹介しています。
YouTubeで害虫対策をより詳しく解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
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家庭菜園で困る問題が害虫の発生ではないでしょうか。大事な野菜から害虫被害から守るための対策は必須です。
害虫対策と聞くと「駆除」や「排除」と考える方が多いのですが、害虫が発生する原因を解決しない限り、減っては増えてを繰り返すだけの「いたちごっこ」です。
害虫の発生を抑えるには、早期に発見して駆除する以外にも、発生原因を取り除くことも同じくらい重要です。
どこからともなく飛来する害虫をどのように対策すればよいのでしょうか。
害虫は駆除することも大切ですが、害虫を発生させないという考え方の方が実は大切なことなのです。つまり一番の害虫対策は「害虫の発生を防ぐ環境」を作ることです。
害虫対策と聞くと寒冷紗などのネットを掛けて害虫の飛来を防止するという方法が有名ですが、その他にも害虫駆除に有効な対策があるのでいくつかご紹介します。
日当たりの悪い場所で野菜を育てると野菜の光合成が阻害されてしまい生育不良の大きな原因になります。
野菜の生育が悪くなると害虫への抵抗力が弱くなり害虫集まりやすい状態になります。
風通しの悪い場所も害虫の住処となりますので、密植しないように間引きを適当に行うことが害虫対策になります。
高温多湿な場所は害虫の絶好の住処となります。
特にナメクジ系の害虫が多湿を好んで集まり、それを餌とする鳥や小動物もやってきます。
水はけが悪くならないように排水の良い土壌を心がけましょう。
野菜には病害や害虫に強い改良品種があります。
種や苗を選ぶときには出来るだけ抵抗性のある品種を選ぶようにすることで害虫の対策になります。
害虫は野菜だけに発生するわけではありません。
栽培地周辺に生えている雑草や間引きした苗を積んだ場所などには害虫が発生して繁殖場所になります。
雑草は早いうちに除草して、枯れた葉や間引きした株は放置しないようにすることが害虫の発生を防ぎ手段になりま。
野菜の収穫時や葉や枝の摘心の際に雑に扱って傷を付けると、そこから病原菌が侵入して野菜が病害にかかって、野菜の抵抗力が落ちて草勢が弱くなってしまいます。
抵抗力が下がり草勢が弱まった野菜は害虫の被害に遭いやすくなります。
大きく育てようと肥料を与えすぎると株が軟弱に育ち、場合によっては株を痛めてしまいます。
軟弱になると害虫被害が拡大する原因にもなります。また、肥料不足だと害虫への抵抗力が低下する原因となります。
適切な肥料配分をすることが害虫対策に繋がります。
多くの野菜には連作障害(同じ場所で同種の野菜を育てること)があります。
同じ場所に続けて野菜を植えると、土中の養分に偏りが出て生育が悪くなり抵抗力の弱い株になります。
連作が出来る野菜以外は同じ場所で連作をしないことで害虫の対策になります。
どれだけ害虫対策を行っても周辺に発生要因の多い畑があるとそこから害虫が飛来します。
害虫の被害を防ぐ手段として、不織布や寒冷紗と言ったネット状の物で畝や野菜の上にトンネルを作ることで他の畑から飛来する害虫を防除することが可能です。
家庭菜園では用土を使いまわすことが良くありますが、長い間同じ用土を利用していると目に見えない小さなセンチュウなどの害虫が発生します。
用土を定期的に太陽光に当ててやることで土壌中の害虫を駆除することが出来ます。
用土の上に透明のビニルシートを被せて1か月程置くと地中10cmまでの害虫を駆除できます。
害虫を駆除する時に使用した道具類は使った後には必ず消毒しておくようにしましょう。
駆除に使った道具を他の野菜の栽培作業に使用するとそこに付着した害虫の卵などが移動してしまう原因となります。害虫には目に見えない小さな害虫もいるので油断は禁物です。
家庭菜園ではさまざまな昆虫を見かけます。昆虫は益虫と害虫がいて、害虫は野菜にとって悪影響を与えますが、益虫は野菜にとって有益に働く昆虫です。
家庭菜園では害虫は駆除しますが、益虫は野菜にとって必要な存在なので駆除せずに残すことが害虫対策になります。
益虫は害虫を補食してくれたり、益虫の数が増えることで害虫が住みにくくなったりするからです。
益虫は葉の裏に潜んでいたり茎や葉の中にいることもあるので駆除剤を使うときは益虫に影響の少ないものを選ぶようにしましょう。
ここでは家庭菜園でよく見かける害虫を紹介してあります。害虫と益虫を正しく見分けて駆除しましょう。
アオムシ・アブラムシ・ウリハムシ・オオタバコガ・オンブバッタ・カブラハバチ・カメムシ・キアゲハ・コナガ・コガネムシ・コナジラミ・テントウムシダマシ・ナメクジ・ハモグリバエ・メイガ類・ヨトウムシ
YouTubeで害虫対策をより詳しく解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
駆除難易度 ★
カブ・カリフラワー・キャベツ・コマツナ・ダイコン・ハクサイなど。
モンシロチョウ・スジグロチョウの幼虫で緑色をしたイモムシ。少数でも甚大な影響を受ける害虫です。葉の裏に産み付けられた卵を磨り潰してしまいましょう。春と秋に多発します。
葉の裏の卵や幼虫を処分する。防虫ネットや寒冷紗で防除する。キク科やセリ科のコンパニオンプランツと寄せ植えすると退避効果。
駆除難易度 ★
オクラ・ソラマメ・葉ネギ・ショウガ・ダイコン・ラッカセイなど。
葉や茎に寄生して汁を吸う害虫です。新芽が寄生されると萎縮したり縮れたりします。多発すると株全体が枯れることも。不治の病「ウイルス病」を媒介するので予防が必須です。
発生したら株の下に紙などを敷いて筆などで払い落としましょう。多発したら薬剤も検討する。成虫には銀色のマルチが有効です。
駆除難易度 ★
キュウリ・マクワウリ・シロウリ・アブラナ科の野菜(初春)・カボチャなど
体長7㎜ほどの黄色い虫でウリ系と初春のアブラナ科の野菜によく寄生します。葉と根を食い荒らします。葉の表面に円弧型の浅い食害跡ができて葉が抜け落ちます。
成虫を見つけたら捕まえて処分する。防虫シートやキャップ・寒冷紗で防除する。銀色のマルチが成虫の退避に有効です。
駆除難易度 ★
ゴボウ・ホウレンソウ・サツマイモなど。
大量発生しない限りは、収穫に影響するほどの甚大な被害が出ることは殆どありません。ただし、幼苗期に葉を食害されると後の株の成長に影響が出るので注意しましょう。
動きが鈍くなる気温が低い時間帯を狙って捕まえて処分する。幼苗期はキャップや寒冷紗で防除する。
駆除難易度 ★
ピーマン・シシトウ・パプリカ・スティックセニョール(茎ブロッコリー)・レタス類など。
幼虫は葉だけでなく果実も食害します。ナス科を好むタバコガと他の野菜も食害するオオタバコガがいます。果実を食害されると軟腐病の病原菌に感染することも。
葉や茎・果実の食害跡周辺をよく観察して幼虫を見つけたら処分する。整枝した枝や葉はすみかになるので畑の外で処分する。
駆除難易度★
ミズナ・メキャベツ・ブロッコリー・キャベツ・ハクサイなど
葉を食害するイモムシで実はハエの幼虫です。成熟期になると最大で体長が20㎜ほどまで成長して被害が大きくなります。春先と秋に多発する傾向があります。
やわらかい葉を好むため株を軟弱化させて徒長させないようにする。種まき直後に防虫ネットをトンネル掛けして産卵を予防する。
駆除難易度 ★
サツマイモ・ナス・ピーマン・枝豆・シシトウ・トウガラシなど。
葉や茎に寄生して吸汁する触ると特有の臭いを出す害虫です。別名クサガメやヘコキムシとも呼ばれています。マメ類につくものは鞘の汁液を吸って実入りを悪くします。
成虫を見つけたら処分する。次々と飛来するため完全な処分は難しい。冬場の越冬場所になるため畑周辺の雑草や落ち葉を片付ける。
駆除難易度 ★
ニンジン・ミツバ・セロリ・パセリなど。
セリ科の野菜に発生する害虫。数匹で甚大な被害が出ます。若齢幼虫は黒いので見つけるのは容易ですが終齢幼虫は葉の色と同色のため見落としやすいので注意しましょう。
成虫の飛来を見かけたら葉の裏を見て卵をつすり潰す。キャップや寒冷紗で防除する。銀色のマルチが有効。
駆除難易度 ★
カブ・チンゲンサイ・ハクサイ・アブラナ科の野菜など
体長は最大で10㎜ほどのイモムシ。近づくと白い糸を吐いてサッと逃げます。葉の裏から表皮を残して食害します。
葉の裏の卵や幼虫を見つけて処分する。防虫ネットや寒冷紗のトンネル掛けで成虫の飛来を防除する。
駆除難易度 ★
サツマイモ・イチゴ・枝豆・サトイモなど
成虫は6~8月に発生しますが、幼虫は土中で年中活動しています。成虫は葉を食害し大きな幼虫は根を食害します。
未熟な有機物の投入を避け植え付けの2週間以上前に完熟した堆肥を施肥する。見つけ次第処分する。
駆除難易度★
キュウリ・ニガウリ(ゴーヤー)・ミニトマト・トマト・ナスなど。
体長が約1㎜の白い虫で株を揺らすと白い粉が舞い散るように飛び立ちます。英語ではホワイトフライといいます。ナス科やウリ科につく仲間はウイルス病を感染させるので要注意です。
防虫ネットをトンネル掛けする。黄色に誘引される性質があるので黄色の粘着シートで捕獲できます。銀色のマルチも有効です。
駆除難易度 ★
ナス・ジャガイモなど
テントウムシに良く似ていますが野菜の葉を食い荒らす害虫。別名「ニジュウヤホシテントウ」。幼虫と成虫とも葉を食害します。気温の低い早朝に駆除しましょう。
成虫を見つけて捕まえて処分する。成虫は葉を揺らすと落ちるので下に容器などを置いて落としましょう。
駆除難易度★
ナメクジは風通しが悪く多湿の環境で良く発生します。プランターの裏などに身をひそめ野菜の葉を食害します。大きな被害にはなりませんが幼苗期は注意しましょう。
植木鉢やプランターの下に潜んでいるので捕殺する。未使用の鉢や周辺の石など隠れ場所をなくしエサとなる雑草や落ち葉を片付ける。
駆除難易度 ★
キュウリ・マクワウリ・タマネギ・サヤエンドウなど
葉肉内に産卵して孵化した幼虫が葉の中をトンネル状に食い進みます。食害跡は白い筋状が表の表面に現れます。白い線で絵を描いたように見えることからエカキムシとも呼ばれています。
食害跡を見つけたら白色の筋の先に幼虫が潜んでいるので指で押し潰しましょう。黄色に誘引されるので黄色の粘着シートで捕獲する。
駆除難易度 ★
トウモロコシ・キャベツなど
茎や葉莢の中に入り込み実の内部を食い荒らす害虫です。トウモロコシに寄生するアワノメイガは実の中に潜りこんで果実をかじるので食用にならなくなります。
成虫を見つけて捕まえて処分する。防虫ネットや寒冷紗のトンネル掛けで成虫の飛来を防除する。
駆除難易度 ★
シシトウ・ナス・セロリ・カリフラワー・ゴボウ・ニンニク・球レタスなど
ヨトウガの幼虫で終齢幼虫になると昼間は土中に潜み夜に葉や茎を食い荒らします。葉の食害跡は白く透けたようになります。卵や若齢幼虫のうちに駆除しましょう。
葉の裏に卵を見つけ次第すり潰しましょう。被害を受けやすい野菜の周りに背の高い野菜を植えると被害を軽減できます。
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