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野菜の肥料(元肥・追肥)の基本

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野菜の肥料の与え方は?野菜に与える肥料の適切な種類と適切な量など肥料の基本を覚えましょう。肥料を与える時に気を付けるポイントや追肥のタイミングなどをレクチャーします。


有機肥料と無機質肥料の違いと使い分け



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肥料の種類と与え方

野菜の肥料の種類と肥料を与える目的

野菜に肥料を与えることを「施肥」と言い、植え付け前に与える肥料を「元肥(もとごえ)」、栽培途中で肥料を与えることを追肥と言います。

堆肥の種類には「有機系肥料(堆肥)」と「無機系肥料(化成肥料)」があり、それぞれを上手く組み合わせて使うのがより効果的です。

有機系肥料は堆肥(鶏ふん・バーク堆肥・剪定チップ堆肥)がその代表で、土壌中の微生物に分解されてから無機化して吸収される緩効性の肥料です。

有機肥料の特徴とメリット


有機肥料(堆肥)は土壌の改良と微生物の働きを活発にする働きがありますが、低温期は微生物の働きが弱くなり施肥効果が悪くなるという特徴があります。

無機質肥料(化成肥料)は、窒素肥料・リン酸質肥料・カリ質肥料が単体に分かれている「単肥」と、窒素・リン酸・カリのうち2種類以上が入った複合肥料があります。

無機質肥料は有機肥料に比べて即効性があって便利ですが、化成肥料だけを長期間与え続けると、用土が固くなって野菜に悪影響が出るので注意しましょう。

肥料に含まれる栄養素の役割と効果

肥料に含まれる栄養素は「窒素(N)」「リン酸(P)」「カリ(K)」で、これらは三大栄養素と言われています。多くの野菜はこれらの成分をよく吸収するため土壌中で不足しやすくなります。

肥料の成分と役割


「窒素」は葉肥と言われていて葉の成長を促進、リン酸は実肥と言われ果実の成長を促進、カリは根肥と言われ根の成長を促進する成分です。

園芸店には「8・8・8」「15・15・15」などと表記された肥料が販売されていますが、この数字は「窒素・リン酸・カリ」の成分量の割合を示しているものです。(容量㎏)×(割合)=(含有量)になります。

例)10㎏の表記が「15・15・15」の肥料の場合は...10㎏×0.15=1,500g。つまり1袋にそれぞれの成分が1,500gずつ入っているということになります。



野菜栽培で失敗しない肥料の与え方

肥料(追肥)で多い失敗は与えすぎによる野菜の軟弱化現象です。

野菜の肥料のやりすぎは人間でいうところの「肥満・高血圧・糖尿病」を誘発しているのと同じ状態です。

肥料のやりすぎによる障害を防ぐ


野菜を早く大きくして収穫量を増やそうと、過多に肥料を与えることが「病害の原因」になることを覚えておきましょう。

肥料を与えすぎないためには、「自然の状態に戻す」という意識で与えることが大切です。

家庭菜園で育てる野菜は、収穫後には抜き取るのが普通ですが、自然界では育った植物の残渣(枯れた茎葉や根)はその場所で腐敗していくのが本来の姿です。

肥料を与えすぎるとどうなるの?


収穫後の野菜を抜き取るということは有機物を減らすということになるので、与えるのではなく減った分だけ足す(補う)という考えをすることが大切なのです。

「肥料は隠せ」と言われるように根から少し離れた場所に与えるのがコツです。野菜は根を大きく広く張らせることが収穫量を増やすコツですが、肥料を多く与えて大きくしようと思っている方は意外と多いのではないでしょうか。

肥料の正しい与え方


根を土中にしっかり張り巡らすためにはあえてエサ(肥料)を隠すことで、根が肥料を求めて力強く伸びてくれるのです。

肥料をあえて隠すことは野菜栽培の知恵の一つ。肥料は与えるのではなく野菜自身の力で探し求めるようにして与えましょう。

肥料の与え方は、全面散布を避け溝を掘ってそこに肥料を隠すように与えるようにします。追肥は根元に与えると雨で浸透して根を傷める原因になるので注意しましょう。

肥料は株元から離れた場所に与えるか、出来れば元肥のみで収穫まで育てるのが理想です。


有機系肥料の目的と正しい使い方

家庭菜園の魅力は安全で美味しい有機農法が出来ることです。化成肥料の利用を少なくして有機野菜を育てたいと思っている方は多いでしょう。

化成肥料は即効性があり効果が高いので大変便利ですが、家庭菜園に慣れてきたら少しずつ有機野菜にもチャレンジしてみましょう。

有機系肥料の種類と特徴


ところでこの有機栽培、実は有機系の肥料は例え良質なものであっても、やりすぎが野菜にとって毒になることを知っておく必要があります。

有機肥料を与えすぎると土中の窒素分が増えすぎてしまいます。特に葉野菜などは窒素分を吸収しすぎるのでガンの発生を誘発する「硝酸態窒素」が蓄積されるので注意しましょう。

また、良質な有機物とは発酵過程を経たものを指します。単に腐敗しただけの有機物は、病害虫の住処になるだけで肥料としての役割を果たすことはありません。

有機系肥料の種類は?


1.植物質系の有機肥料

植物から作られる有機肥料で、主なものには「油粕」「米ぬか」「草木灰」「腐葉土」などがあります。

油粕は窒素成分が主体で「大豆」と「菜種」かすがあり、菜種の方がリン酸成分を多く含みます。

植物質系の有機肥料の種類と成分


腐葉土は広葉樹の落ち葉を発酵させたもので、土に養分を与えて土を柔らかくしてくれます。

米ぬかはリン酸が主体でカルシウムやマグネシウムを含み堆肥やぼかし肥に混ぜて使い、草木灰はカリとカルシウムを多く含み即効性の肥料として利用します。

2.動物質系の有機肥料

動物から作られる肥料で、主な種類には「魚粉」「骨粉」「堆肥」があります。最もよく使われる堆肥とは動物のフンを発酵させたものです。

動物質系の有機肥料の種類と成分


魚粉は窒素とリン酸をアミノ酸として吸収します。堆肥や草木灰に混ぜて使います。骨粉は動物の骨を細かく砕いたもので、リン酸を多く含みます。

堆肥は土を団粒構造にして微生物を増やしフカフカの用土に変えてくれます。鶏ふんはリン酸を多く含み酸性傾向の土壌での使用が有効で、他の有機物にはない優れた特徴をもっています。

3.その他の有機肥料

その他の有機肥料には「乾燥生ゴミ」「生ゴミの発酵液」があります。家庭でも簡単に作れるのでチャレンジしてみましょう。

自分で作れる有機肥料(生ゴミ)


乾燥生ごみは家庭用の乾燥式生ゴミ処理機を使って作ります。元肥として利用しますが堆肥や肥料と混ぜて使うとより効果的です。

生ごみの発酵液は家庭用の生ゴミ発生容器から取り出したもので、有機肥料成分と生きている微生物を多く含みます。


無機質肥料(化成肥料)の種類と特徴

無機質肥料は主に追肥として利用するもので、即効性があり窒素リン酸カリがバランスよく含まれるので初心者には使いやすい肥料です。

ただし、施肥し続けると畑の土が固くなってしまい植物の根が育ちにくくなってしまうので、元肥には有機系のものを使って追肥に無機質肥料を使うようにしましょう。

1.野菜専用肥料

野菜専用肥料の使い方


複合肥料で葉野菜・実野菜・根野菜それぞれに必要な栄養素をバランスよく配合してあるのでとても便利です。

元肥としても利用できるものがあるので有機肥料の使い分けが出来ないうちはこちらを利用するのも良いでしょう。

2.過リン酸石灰

過リン酸石灰の効果と使い方


水溶性のリン酸カルシウムを主成分としている即効性の高い化成肥料です。

リン酸はキュウリやナスビなど実野菜の実なりを良くする栄養素です。

3.硫安

硫安の効果と使い方


硫安の成分は硫酸アンモニウムと言います。窒素肥料として使い即効性があるのが特徴。

硫安は元肥と追肥に併用することが出来ます。

3.苦土石灰

苦土石灰の効果と使い方


苦土石灰の主成分はマグネシウムとカルシウム。苦土はマグネシウムで石灰はカルシウムのことです。

苦土石灰は肥料としてではなく土壌の酸度を中和する目的で使用します。



野菜の肥料使い方まとめ

元肥には有機肥料、追肥には化成肥料を使うのが基本です。追肥は育ちが悪い時に使って、元肥だけで育てるのが理想です。

野菜の肥料の施し方・使い方まとめ


元肥は根の下に隠すようにすると、野菜が持っている本来の力で肥料を探し当てようと根を広く深く伸ばしてくれます。

根を広く深く伸ばし株を大きく育てることが収穫量を増やすために大事なポイントになります。根に直接あたる場所に肥料を与えて軟弱な株にならないようにしましょう。

追肥は野菜の生育状況を見て与えるのがコツ。プランター栽培で野菜を育てていると水やりの時に肥料が少しずつ減ってしまいます。

プランターをはじめ連作をする畑など軟弱な土壌で育てる時は生育が悪くなるのでしっかり追肥を行いましょう。ただし、過剰施肥にならないようにすることが大事です。

肥料の主成分は「窒素」「リン酸」「カリ」。葉の部分を育てる肥料は「窒素」、実を育てる肥料は「リン酸」、根を育てる肥料は「カリ」

野菜の成長段階に合わせて、必要な時に必要な成分を適量与えるように心掛けましょう。


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