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野菜の土作りの基本

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野菜作りは「作を肥やさず土を肥やせ」が基本です。単に肥料を混ぜただけでは良い土作りとはいえません。土作りの基本を覚えて立派な野菜を育てましょう。

野菜の土作りの基本


Contents Menu

  1. 土作りをする目的は?
  2. 野菜がよく育つ土壌環境とは?
  3. 良質な用土の条件とは?
  4. 土のPH調整(酸度調整)を調整する理由は?
  5. 野菜の土作りのコツまとめ

土作りをする目的は?

土作りは野菜栽培でもっとも重要な作業です。野菜が丈夫に育つ土作りができれば、収穫量が増えるだけでなく病害に強くすることができます。

野菜栽培に適した土壌環境を作ること

土作りの目的は野菜の生育に適した環境を作ることです。

自然界で作られる土壌は、土が柔らかく、保水性と通気性が高く、土壌pHが適正で、植物に必要な養分が供給されています。

自然に近い土壌環境を作ること

自然界では植物は役目を終えて枯れると土に返り、微生物によって分解され次世代の肥料となります。これは土壌微生物の活性が高い環境になっているからです。

この循環システムを人為的に作ることが土作りの目的です。

露地栽培やプランター栽培では人為的に手を加えなければ自然と同じ環境になることはありません。

つまり土作りとは、自然に近い土壌環境を人為的に作ってあげるということです。


野菜がよく育つ土壌環境とは?

プランター栽培でも露地栽培でも「土作り」次第で、成功するか失敗するかが決まるといっても過言ではありません。

野菜がよく育つ土作りの条件には、どのようなものがあるかを詳しく説明していきます。


柔らかい土壌

野菜は根を土中に広く深く張らすことが重要になります。粘質で極度に乾燥している土では、根がじゅうぶんに張ることができません。

腐葉土などの改良用土を混ぜて柔らかな土作りをしましょう。根が力強く張った野菜は、収穫量が増えて病害の発生も抑制することができます。

保水性と通気性のよい土壌

野菜がよく育つ土壌は、保水性と通気性の相反する性質を併せ持った環境です。

自然界では落葉や小石などが土に混ざることで、自然と保水性と通気性のよい土壌になっています。

栽培を繰り返す家庭菜園では、人為的に手を加えて保水性と通気性の良い土壌環境を作ってあげる必要があります。

適正な土壌pHを保った土壌

多くの野菜は、pH6~6.5の弱酸性土壌がもっとも生育が良くなります。しかし、雨の多い日本は用土が酸性化しやすい環境です。

苦土石灰や炭酸カルシウム・アルカリ性の土壌改良材などで人為的にpHの適正化することが大切です。

養分を供給した土壌

自然界では、落葉や生物の死骸などの有機物が微生物によって分解されて、新たな植物の養分となり命を繋いでいます。

連作を繰り返すプランター栽培や露地栽培では休耕期間が短いため、自然の循環サイクルが機能しない環境になっています。

新たな養分を作る期間がない環境下では、植物に必要な養分が絶対的に不足してしまいます。養分が不足すると植物は生育が悪くなったり病害に弱くなったりします。

人為的に養分を補うことで野菜を大きく育てることができます。供給する養分は、チッソ・リン酸・カリなどの肥料成分のほか、ホウ素などの微量要素の供給も重要です。

土壌微生物の住む土壌

肥沃な用土は土粒や水・空気だけでは成り立ちません。これら以外にもさまざまな有機物と有機物を分解する土壌微生物の存在が不可欠です。

土壌微生物の代表は、細菌(バクテリア)・菌糸菌(カビ)・放線菌(菌糸を伸ばす細菌)・小動物(ミミズ・ヤスデ・トビムシ・ダニ類・センチュウなど)です。

数多くの土壌微生物の役割の多くが未解明のままですが、種類と量を増やすことで、土壌中の有機物の分解速度が早まり、吸肥効果が高まることが分かっています。

野菜が元気に育つ土壌は、微生物などの生物が快適に生存できる環境になっています。


良質な用土の条件とは?

野菜にとって良質な用土とは、自然界で作られる土壌と同じ状態を人為的に作ることです。

そのためには、土壌の改善や生育不良になるさまざまな要因を取り除くこと、微生物が住める豊かな環境を作ることが目的です。

柔らかい土で、保水性と通気性が高く、適正な土壌pHがであり、養分が供給されている用土を目指しましょう。



土のPH調整(酸度調整)を調整する理由は?

長年使用している用土は酸度が偏っていることが多いので、野菜を植え付ける前に酸度チェックを行って適正な酸度調整を行ってから野菜を植え付けしましょう。

用土の酸度(pH)を調整する方法


PH酸度チェックは市販のPH測定器やPH試験紙(測定液)で測定することができます。

上記の画像はペーハーメーター(ペーハーチェッカー)というアイテムで、土に挿すだけで簡単に測定できるのでおすすめです。

デジタルのものを購入すれば小数点以下の細かな数字も拾えるのでより正確です。


参考:ペーハーチェッカー
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PH(酸度)が偏っていると野菜はどうなる?

日本は雨が多く用土に含まれる石灰分が流れ出やすいため酸性に偏る傾向があります。用土が酸性になると野菜の養分吸収が悪くなり生育不良の原因につながります。

逆にアルカリ性に偏っていると、野菜が微量要素を吸収することが出来なくなって生育が悪くなってしまいます。


PH(酸度)が偏っていた時の対処方法

それぞれの野菜には適したPH値(酸度)があります。酸性に偏っている時は育てる野菜に合ったPHの値になるように苦土石灰を散布して調節しましょう。

アルカリ性に偏っている時は、コマツナやホウレンソウを植えて石灰分を吸収させる方法と、酸度未調整ピートモスを土壌にすき込んで調整する方法があります。

苦土石灰をを入れて酸度調整をしておきましょう。pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g(60cmのプランターで約50g)が目安です。

植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので、最低でも約2週間前には酸度調整を完了させておきましょう。


野菜の土作りのコツまとめ

家庭菜園では同じ場所で野菜を作り続けるため、土壌がどんどん痩せていきます。痩せた土壌は土粒・水・空気だけになり、野菜を育てることが難しくなってしまいます。

家庭菜園では、腐植(有機物)を増やして肥沃な土を作る作業がとても重要になります。野菜が良く育つ具体的な土作りの方法を覚えましょう。

家庭菜園の土作りの方法


団粒構造を目指す

団粒構造とは、土の粒子が結合した集合体のことで保水力・排水性・通気性に優れた土壌のことです。

団粒構造を作るには有機物(堆肥・腐葉土)と土壌微生物が大きく関わっています。

土中の土壌微生物が住みやすい環境を作って、有機物(堆肥・腐葉土)を分解させることで腐植を作ることができます。

土壌微生物が作り出した腐植と基本用土と混ざり合わせることで、はじめて団粒構造ができ上がります。

家庭菜園の土作りでは、野菜の肥料を入れるだけでなく、土中の微生物が快適に暮らせる環境を作るために「エサとなる堆肥を入れること」がポイントになります。

野菜栽培に適した土壌に改善する

野菜を育てる場所が粘土質で水はけが極端に悪い時は土壌改良(耕起)を行って土壌を改善しましょう。

土の表面しか耕していない土壌では、長年の雨と乾燥の繰り返しによって、下層の土の粒度が密になって排水性が悪くなっています。

このような状態の時はスコップで用土を細かくほぐしたり、表面の用土と下層の用土を入れ替えて(天地返し)、通気性と排水性を高めるための土壌改良を行いましょう。


次のページでは、市販の基本用土と改良用土の種類と野菜が良く育つ園芸用土の作り方を詳しく説明していきます。


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