バジルは春から秋が栽培時期で収穫まで2か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は間引きをしながら株を大きく育てましょう。主な管理作業は水やり・追肥・土寄せ・花芽摘み・切り戻しなどです。
バジルの土作りをはじめ、種まきから収穫までに必要な栽培管理を画像を交えて野菜栽培士が詳しくレクチャーします。失敗なしで立派なバジルを育てましょう!
バジル栽培の流れ
栽培難易度 ★★☆☆☆
バジルは発芽が容易で生育も旺盛な育てやすいハーブです。難易度は低めで初心者向けです。春先に種をまいたら晩秋まで長期間の収穫を楽しむことができます。
バジルはイタリア料理によく利用されるシソ科のハーブで特有の香りがします。別名で「バジリコ」「ガーデンバジル」、和名では「メボウキ」と言います。
バジルはイタリアのイメージが強いのですが、原産地はインドや東南アジアです。暑さに強く、日当たりが良く水はけの良い土壌でよく育ちます。
春まきと秋まきができますが、収穫期間が長い春まきがおすすめです。春まきは摘み取り収穫し、秋まきは温暖な地域以外では株採り収穫します。
料理には生の葉を使うことが多いのですが、種子は「バジルシード」というスパイスとして利用されています。栄養価が高く保温効果や体力回復のハーブとしても有名です。
科名 | シソ科 |
別名 | メボウキ・バジリコ・ガーデンバジル |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる排水性の良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 20cm以上 |
発芽適温 | 18~28℃ |
生育適温 | 18~25℃ |
種まき時期 | 4月~6月 |
発芽日数 | 3日~7日 |
苗植え付け時期 | 5月~7月 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
バジルの栽培時期は、です。種まきは4月~6月(苗の植え付けは5月~7月)で、収穫までは種をまいてから約2か月です。
バジルの品種は定番のスイートバジルのほか、さまざまな色や香りに分かれ品種は豊富です。どの品種を選んでも育て方や育てやすさに違いはありません。
バジルは各地の気候に適応した品種が多く出回っていて、栽培地の気候条件に合う品種を選ぶことが大切です。イタリアの品種を日本で栽培しても本来の風味はうまく出せません。
市販の種子の多くは輸入種子のため発芽率は下がる場合がありますが、国内で自家採種された品種を選ぶと発芽率が上がります。
「スイートバジル」「ジェノババジル」「マンモスバジル」など
「ピッコロバジル」「ブッシュバジル」など
「ダークオパールバジル」「ルビンバジル」など
「レモンバジル」など
バジルはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
バジルの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
バジル栽培で利用するプランターサイズは小型(45cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ以上の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、小サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
バジル栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
バジルの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
バジル栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
バジルは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
バジルの種まき適期は、4月~6月です。
バジルは18℃~28℃が発芽に適した温度です。バジルは高温性のため、直まきするときは夜間の気温が10℃以上になってからです。
バジルは発芽適温内なら3日~5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:バジルが発芽しない原因と対策)
バジルの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
バジルの間引きは合計で2回行います。
1回目の間引きは本葉が出始めた頃で3本立てにします。2回目の間引きは本葉2~3枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
筋まきでは葉が触れ合ったときがタイミングです。
バジルの株の間隔は30cm以上です。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
バジルを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
バジルは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4~5枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
バジルの苗の植え付け適期は、春(4月~7月)と秋(9月~10月)です。
バジルは18℃~28℃が生育がもっとも良くなる温度です。日中の平均気温が15℃以下では生育が緩慢になります。
バジルの苗を植える間隔は30cm以上です。
バジルは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
間引きの直後に苗が倒れないように土寄せしておきます。
また水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたときにも土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
バジルは草丈が高くなると開花が始まって茎葉が固くなり風味が落ちてしまいます。一定の高さになったら摘芯を行いましょう。
摘芯とは枝の先端部分を切り取ることです。
バジルは主枝(中央の太く伸びる枝)の先端部分を摘芯することで根元から脇芽がたくさん出るようになります。
バジルは摘芯した枝を挿し木(挿し芽)するだけで簡単に株を増やすことができます。
3~4節ついた固めの枝を用土に挿しておき、反日蔭になる場所に鉢を置いておきます。
2週間ほど水やりを続けて、新芽が出始めたら畑に定植できます。
バジルは花を咲かせると風味が落ちてしまうため、花が咲いたら早めに(できれば蕾のうちに)摘み取るのがポイントです。
花芽(蕾)ができると栄養が新しい茎葉に回らなくなってしまうため、開花前に摘み取って株の充実を図りましょう。
バジルは時期に関係なく一定の枝(節)の長さになると開花する性質をしています。収穫が終わる秋まで開花させないようにしましょう。
側枝は長さが20cmを超えたら、根元部分から約10cmのあたりを切って摘芯します。
バジルは先端の葉だけを摘み取って収穫していると、株のバランスが悪くなって葉も小さくなってしまいます。
初夏(7月下旬~8月上旬)に、根元から10cmほど残して株全体を切り戻しておくと、秋前にはふたたび柔らかい茎葉を収穫することができるようになります。
バジルは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
バジルは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
バジルの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。バジルは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
バジルの追肥は茎葉の色の濃さや生育の状態を見ながら与えましょう。目安は苗の植え付けから2週間経った頃から追肥を始め、あとは2~3週間に1回のタイミングです。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まったらチッソとリン酸とカリが同じ割合の肥料に切り替えます。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
バジルの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
バジルは種まきから約2か月、苗の植え付けから約1.5か月で収穫適期を迎えます。
バジルの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が20cmを超えたら収穫のタイミングです。
必要に応じて摘芯をした茎葉を料理に利用します。
株元から10cmほど残してハサミやナイフで切り取って収穫しましょう。葉だけを手で摘み取って収穫してもかまいません。
バジルは開花させずに育てると晩秋(気温が10℃以下)まで収穫を続けることができます。
バジルは他のハーブと異なり、7℃~15℃をキープすると新鮮さを長く保つことができます。密閉容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。冷凍保存はできません。
水を入れたコップに挿しておいても日持ちします。(水は毎日取り換えましょう。)
バジルにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
バジル栽培でよく見かける病害は「うどん粉病」「根腐れ病」「モザイク病」などです。
バジルは病害に強いハーブですが、栽培する環境によっては稀に病害が発生することがあります。
バジルが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
バジルの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
バジルに発生しやすい害虫は、「アブラムシ類」「オンブバッタ」「ヨトウムシ」「ハダニ」「メイガ類」「ウリハムシモドキ」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
バジルの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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