コリアンダーは春から秋が栽培時期で収穫まで2か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せ・摘花などです。
コリアンダーの土作りをはじめ、種まきから収穫までに必要な栽培管理を画像を交えて野菜栽培士が詳しくレクチャーします。失敗なしで立派なコリアンダーを育てましょう!
コリアンダー栽培の流れ
栽培難易度 ★★☆☆☆
コリアンダーは発芽は難しいものの栽培は容易で難易度は低めです。1年草で半耐寒性のハーブですが、暖地なら冬越しさせることもできます。
コリアンダーは地中海東部原産のセリ科のハーブで、古代エジプトから栽培されていて、日本へは中国を経由して10世紀頃には伝来しています。
日光を好むため、日当たりが良く排水性の高い場所でよく育ちます。コリアンダーは一年草で、春まきした苗は秋以降は枯れてしまいますが、温暖な地域では秋まきして越冬させることができます。
直根性のハーブで直まきして間引きながら栽培する方法が一般的ですが、ポットまきもできますが、そのときは根鉢を壊さないように植え替えしましょう。
パクチーの魅力はその独特の香りです。葉や茎だけでなく種子や根も利用でき、中東やアジア・中南米のエスニック料理にはかかせないハーブです。
茎葉はフレッシュ(生食)としてサラダやスープ(タイ料理のトムヤンクンスープなど)に使えて、種子はドライに(乾燥)して煮込み料理やカレー粉の材料として利用できます。
コリアンダーとパクチーは同じハーブです。「パクチー」とはタイでの呼び名で、和名は「コエンドロ」です。
広く世界中で栽培されていてさまざまな呼び名が付いて親しまれています。
ちなみに、中国では「シャンツァイ」、ベトナムでは「ザウムイ」、ポルトガルでは「コエントロ」と呼ばれています。
科名 | セリ科 |
別名 | シャンツァイ・パクチー・チャイニーズパセリ・カメムシソウ・ザウムイ・コエントロ・コエンドロ |
草丈 | 20cm~50cm |
連作障害 | あり(1年) |
適した場所 | 日がよく当たる排水性の良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 春と秋 |
発芽日数 | 10日~15日 |
苗植え付け時期 | 春と秋 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
コリアンダーの栽培時期は春から秋にかけてです。春まきは3月~5月上旬(苗の植え付けは4月~5月)で、秋まきは9月~10月上旬(苗の植え付けは9月~10月)です。収穫までは種をまいてから約2か月です。
コリアンダーの品種は利用する部位によって選ぶのがポイントです。どの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに大きな違いはありません。
コリアンダーには呼び名がいくつかあり、メジャーな品種名は「コリアンダー」と「パクチー」です。両者は同じ品種で栽培方法も同じです。
茎葉を利用する時は晩抽性品種(とう立ちが遅い品種)を選ぶと長く収穫を楽しむことができます。
「香菜(コウサイ)」「サント」「ジャンター」「ロングスタンディング」「晩抽性コリアンダー」など。
コリアンダーはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
コリアンダーの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
コリアンダー栽培で利用するプランターサイズは小型サイズ(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、小型サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
コリアンダー栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(6):腐葉土(2.5):バーミキュライト(1.5)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
コリアンダーの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
コリアンダー栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
コリアンダーは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、直根性で移植を嫌うため直まきがおすすめです。
コリアンダーの種まき適期は、春まき(3月~5月中旬)と秋まき(9月~10月中旬)です。
コリアンダーは15℃~25℃が発芽に適した温度です。
コリアンダーは発芽適温内なら10日~15日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:コリアンダーが発芽しない原因と対策)
コリアンダーの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
コリアンダーの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が出始めた頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が2~3枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
コリアンダーの株の間隔は30cm以上です。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
コリアンダーを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
コリアンダーは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4~5枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
コリアンダーの苗の植え付け適期は、春(3月~5月)と秋(8月~10月)です。
コリアンダーは15℃~20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
コリアンダーの苗を植える間隔は30cm以上です。
コリアンダーは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
コリアンダーの防寒対策にはトンネル掛けが有効です。
コリアンダーは10℃以下の低温に弱いので、冬越しさせるときは寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。春先の日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通しましょう。
11月以降から3月上旬までは低温で株が枯れたり生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けに変更して霜対策と保温対策をしましょう。
コリアンダーは花を咲かせると風味が落ちてしまうため、花が咲いたら早めに(できれば蕾のうちに)摘み取るのがポイントです。
花芽(蕾)ができると葉が固くなって風味が落ち、栄養が枝に回らなくなって新芽が出なくなってしまうからです。
開花前に摘み取って株の充実を図りましょう。種を利用しないときは、収穫が終わる秋まで開花させないようにします。
コリアンダーは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
コリアンダーはやや湿り気味の土壌を好みます。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
コリアンダーの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。コリアンダーは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
コリアンダーの追肥時期は苗を植え付けてから約1ヶ月後からスタートさせます。その後は茎葉の状態を見ながら月に1回の頻度で与えましょう。
葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったとき(冬季以外)は肥料不足のサインです。
生育初期~後期までチッソ分の割合が多めの即効性の肥料を与えましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
コリアンダーの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
コリアンダーは種まきから約2か月、苗の植え付けから約1.5月で収穫適期を迎えます。
コリアンダーの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が20cmを超えたら収穫のタイミングです。
種子の収穫適期は実が黄褐色に色付き始めた頃です。
コリアンダーは摘み取り収穫と株採り収穫ができます。
摘み取り収穫は外葉を根本付近でハサミやナイフで切り取って収穫しましょう。(手で折り取ってもかまいません)
中間地以北の秋まきでは苗の冬越しができないため、株ごと抜き取って収穫します。
コリアンダーは一年草のため、株の勢いがなくなって新芽が伸びなくなったら収穫は終わりです。春まきしたときは10月下旬頃までが収穫期間になります。
温暖地で秋まきした苗は、冬越しさせると翌年の春まで収穫できます。株が枯れたら抜き取って収穫を終わらせましょう。
収穫後のコリアンダーは乾燥に弱いので、湿らせたキッチンペーパーで包み保存袋(ナイロン袋など)に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
種子を利用するときは、紙袋に入れて風通しのよい場所でしっかりと乾燥させます。乾燥材と一緒に瓶などに入れて常温で保存しておきましょう。
コリアンダーにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
コリアンダー栽培でよく見かける病害は「うどん粉病」「根腐れ病」「モザイク病」などです。
コリアンダーが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
コリアンダーの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
コリアンダーに発生しやすい害虫は、「オンブバッタ」「ハダニ類」「キアゲハ」「アブラムシ類」「ヨトウムシ類」「メイガ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
コリアンダーの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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