ミントは春から秋が栽培時期で収穫まで約2か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せなどです。
ミントの土作りをはじめ、種まきから収穫までに必要な栽培管理を画像を交えて野菜栽培士が詳しくレクチャーします。失敗なしで立派なミントを育てましょう!
ミント栽培の流れ
栽培難易度 ★★☆☆☆
ミントは病害に強く生育も旺盛で栽培難易度は低めです。日あたりの良い場所を好みますが反日蔭でも栽培は可能です。ミントの品種は多く、含まれる成分によって香りが違っています。
ミントはシソ科のハーブで原産地は地中海沿岸です。和名は「薄荷(はっか)」と言われ、別名で「セイヨウハッカ」とも呼ばれています。
ミント栽培の歴史は古く「世界最古の薬」とも言われ、ギリシア神話にも登場しています。ミントは料理の彩りや香りづけ・防腐・殺菌・香水・入浴剤など利用用途も豊富です。
ミントは品種ごとに香りや見た目が違っていて、さまざまな品種を混植栽培するのも楽しみの一つです。
ミントは日当たりが良く排水性のある土壌を好みますが、半日ほど日光が当たる場所でも栽培できます。
地下茎を伸ばしてどんどん増えるので、気が付くと畑中に拡がってしまうので鉢植え栽培がおすすめです。
温暖な気候を好みますが耐暑性と耐寒性があるため、真冬を除いて1年を通じて収穫を楽しむことができます。
秋に切り戻しをして冬越しさせれば、翌年の春以降に新芽が出てふたたび収穫を楽しむことができます。
科目 | シソ科 |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる排水性の良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
種まき時期 | 4月~6月 |
発芽日数 | 10日~15日 |
苗植え付け時期 | 4月~5月と9月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
ミントの栽培時期は春から秋にかけてです。種まきは4月~5月(苗の植え付けは4月~6月と9月~10月)で、収穫までは種をまいてから約2か月です。
ミントには香りや草姿が違うさまざまな品種があります。栽培方法や育てやすさに大きな違いはなく、どの品種を選んでも容易に育てることができます。
ミントの仲間は世界中に多く存在しています。日本でも明治時代から栽培されていて独自の品種改良が行われてきました。
メジャーな品種は「ペパーミント」で、清涼感が強い「クールミント」や甘みがあり清々しい香りの「スペアミント」で和名は「オランダハッカ」です。
その他にも、葉の周囲に白色の淵が入るカラフルな「パイナップルミント」、小さな丸葉が特徴の「コルシカミント」などがガーデニングで人気の品種です。
「グレープフルーツミント」「オーデコロンミント」「ケンタッキー・カーネル・ミント」「スイスリコラ・ミント」
ミントはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
ミントの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
ミント栽培で利用するプランターサイズは中型サイズ(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
ミント栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
ミントの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
ミント栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
ミントは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
ミントの種まき適期は春で4月~5月です。秋まき(9月~10月)もできますが、苗が小さいと冬越しが難しくなるので、慣れていない方は春まきが確実です。
ミントは15℃~25℃が発芽に適した温度です。
ミントは発芽適温内なら10日~15日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:ミントが発芽しない原因と対策)
ミントの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
ミントの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が2~3枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
ミントの株の間隔は30cm以上です。品種にもよりますが、草丈は最大で1m近くになります。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
ミントを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
ミントは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4~5枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
ミントの苗の植え付け適期は、春(4月~6月)と秋(9月~10月)です。
ミントは15℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
ミントの株を植える間隔は30cm以上です。品種にもよりますが、草丈は最大で1m近くになります。
ミントは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。間引きの時や根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしてやりましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
ミントの防寒対策にはトンネル掛けが有効です。
ミントは冬季(11月~2月頃)になると生育が緩慢になります。日中の気温が低い時期はトンネル掛けをして温度管理(10℃以上)をすれば収穫を続けることができます。
11月以降から3月上旬までは低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニールのトンネル掛けは霜対策と保温対策に有効な手段です。
ミントは花を咲かせると風味が落ちてしまうため、花が咲いたら早めに(できれば蕾のうちに)摘み取るのがポイントです。
花芽(蕾)ができると葉が固くなって風味が落ち、栄養が枝に回らなくなって新芽が出なくなってしまうからです。
開花前に摘み取って株の充実を図りましょう。収穫が終わる秋まで開花させないようにします。
ミントは草丈が高くなると茎葉が固くなって味が落ちてしまうため、一定の高さになったら切り戻しを行いましょう。
切り戻しとは伸びすぎた枝を刈り取ることです。
ミントは長く栽培していると株元が木化して草姿が乱れてきます。株が一定の高さを超えたら、収穫を兼ねて伸びすぎた枝(一番太い枝)を地表から7~8cmのあたりまで切り戻しします。
ミントは秋になったらすべての枝を地表近くまで切り戻すことで翌年の春に新芽がたくさん出るようになります。
ミントは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
ミントは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
ミントの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。ミントは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
ミントの追肥時期は苗を植え付けてから約2週間後からスタートさせます。その後は茎葉の状態を見ながら月に1回の頻度で与えましょう。
葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったとき(冬季以外)は肥料不足のサインです。
生育初期~後期までチッソ分の割合が多めの即効性の肥料を与えましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
ミントの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
ミントは種まきから約2か月、苗の植え付けから約1.5月で収穫適期を迎えます。葉の枚数が増えてきたら収穫適期です。
ミントの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が20cmを超えたときが収穫の目安です。
ミントティー用やハーブバス用にドライとして利用するときは、開花前の香りと風味がもっともよくなる時期に収穫しましょう。
葉の先端から10~15cmのあたりをハサミやナイフで切り取って収穫します。手で茎を折り取ってもかまいません。
ミントは新葉が出なくなる11月頃まで収穫を続けられます。
気温が10℃以下になると生育は緩慢になりますが、室内やトンネル栽培などの暖かな場所で栽培すれば低温期でも収穫を続けられます。
ミントを冷蔵するときは、濡れたキッチンペーパーで包んでビニール袋などで密閉しておきます。
ミントは冷凍保存もできます。適当な大きさに刻んでから密閉容器に入れて冷凍庫で保存しましょう。
ミントにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
ミント栽培でよく見かける病害は「モザイク病」「うどん粉病」などです。
ミントが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
ミントの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
ミントに発生しやすい害虫は、「ウリハムシモドキ」「アブラムシ類」「オンブバッタ」「ヨトウムシ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
ミントの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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