パセリは春から秋が栽培時期で収穫まで2か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せなどです。
パセリの土作りをはじめ、種まきから収穫までに必要な栽培管理を画像を交えて野菜栽培士が詳しくレクチャーします。失敗なしで立派なパセリを育てましょう!
パセリ栽培の流れ
栽培難易度 ★★☆☆☆
パセリは日当たりと水はけがよい場所なら手間もかからず容易に育てられる難易度の低いハーブです。冷涼な気候を好みますが夏越しも可能です。
パセリはセリ科のハーブで原産地はヨーロッパ中南部(地中海沿岸)とアフリカ北部です。
二年草または短命の多年草で、ガーデンハーブとして人気で2000年以上前から栽培されています。
日本には17世紀頃に伝来して全国各地で栽培されています。和名は「オランダゼリ」「オランダミツバ」です。
種まきから発芽までの難易度は高いですが、発芽してからの栽培は容易です。パセリは直根性で栽培期間が長いため、用土を深く耕して、排水性・保水性・通気性をよくしておきましょう。
冬になると生育は衰えてしまいますが地下根は生きていて、翌年の春にはふたたび芽を出して収穫することができます。
科目 | セリ科 |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 春と秋 |
発芽日数 | 10日~15日 |
苗植え付け時期 | 春と秋 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
パセリの栽培時期は春から秋にかけてです。種まきは春まきは3月~4月(苗の植え付けは4月~6月)と秋まきは9月~11月(苗の植え付けは10月~11月)で、収穫までは種をまいてから約2か月です。
パセリは葉が縮れる「カール系」と葉が平たい「プレーン系」に分かれています。各品種は香りや見た目は違っていても育てやすさや栽培方法に大きな違いはありません。
パセリの葉の縮みがあるカール系の品種は、「パラマウント」「モスカール」「トリプルカールド」などです。
冬季の生育がよい品種は「中里」、春夏に生育がよい「瀬戸パラマウント」などがあります。
パセリはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
パセリの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
パセリ栽培で利用するプランターサイズは小型(45cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ前後の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、小サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
パセリ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
パセリの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
パセリ栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
パセリは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
パセリの種まき適期は春まきは3月~4月で、秋まきは9月~11月です。
パセリは15℃~20℃が発芽に適した温度です。
パセリは発芽適温内なら10日~15日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:パセリが発芽しない原因と対策)
パセリの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
パセリの間引きは合計で2回行います。パセリの間引きは丁寧に行うのがポイントです。葉が縮み反転している株を残して生育の良すぎる苗は間引きます。
1回目の間引きは本葉が2~3枚になった頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が4~5枚になった頃に1本立てにしましょう。
パセリの株の間隔は30cm以上です。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
パセリを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
パセリは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
パセリは移植が苦手なので、根鉢を壊さないように丁寧に植え付けましょう。
パセリの苗の植え付け適期は、春植えは4月~6月で秋植えは10月~11月です。
パセリは15℃~20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
パセリの苗を植える間隔は30cm以上です。
パセリは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
パセリの防寒対策にはトンネル掛けが有効です。
パセリは冬季(11月~2月頃)になると生育が緩慢になります。日中の気温が低い時期はトンネル掛けをして温度管理(10℃以上)をすれば収穫を続けることができます。
11月以降から3月上旬までは低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニールのトンネル掛けは霜対策と保温対策に有効な手段です。
パセリは乾燥と高温を嫌い、直根性のため雑草を放置すると勢いが負けてしまいます。乾燥対策や面倒な雑草対策には藁やもみ殻などでのマルチングがおすすめです。
パセリは雑草に負けると株の生育が悪くなります。
また、パセリは土壌の乾燥と高温に弱い一面があるため、マルチングをすることで乾燥対策になり、6月以降の地温を下げる効果も期待できます。
パセリ栽培では雑草取りが必須作業になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
パセリは冬冬季に低温に当たると花芽分化(トウ立ち)する性質があります。
花が咲くと株が枯れたり、株の充実が遅れたりする原因になってしまいます。
トウ立ちが始まったら早めに先端部分を摘み取って摘芯(摘花)しましょう。
パセリは長期間栽培が続きます。側枝の促進や病害虫の発生を予防するために、株元の傷んだ茎葉をこまめに摘み取り(摘葉)しましょう
摘葉とは不要な茎葉や傷んだ(萎れや枯れた)茎葉を切り取ることです。パセリ栽培では茎葉のお手入れがポイントです。
生育が衰える高温期(7~8月)や低温期(11月~2月)は茎葉が枯れたり萎れたりしやすい時期です。生育期間中は株元の生育の悪い葉や黄色に変色した葉・病害の葉などは除去しましょう。
収穫が始まったら株元から次々と側枝(脇芽)が伸びてきます。脇芽が出始めたら株元の古い葉を切り取って日当たりを良くしてやりましょう。
株元に十分な太陽光が当たっていないと脇芽の成長が悪くなってしまいます。
パセリは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
パセリは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
発芽するまでの期間と苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
パセリの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。パセリは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
パセリは苗を植え付けて2週間後(種まきから1か月後)を目安に追肥をスタートさせます。
収穫が始まる栽培中期から後期にかけては肥料切れにならないように月に1回を目安に与えましょう。
葉色が薄くなったり新葉が出なくなったりしたときは肥料不足のサインです。
生育初期~後期までチッソ分の割合が多めの即効性の肥料を与えましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
パセリの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
パセリは種まきから約3か月、苗の植え付けから約2か月で収穫適期を迎えます。
パセリの収穫時期を見た目で判断するときは、葉の数が15枚以上になったときが収穫のタイミングです。脇芽の葉は細くて柔らかいので、濃い緑色をした葉から収穫しましょう。
パセリは株ごと抜き取る「株採り」と、必要な量だけ外側の葉から摘む「摘み取り収穫」ができます。
摘み取り収穫するときは、葉柄(茎の部分)をハサミやナイフで切り取るか、手で折り取って収穫しましょう。
収穫量は10日に1~2枚が目安です。常に10枚以上の葉が残っている状態にすれば、株を弱らせることなく長期間の収穫を楽しむことができます。
パセリは新葉が出なくなる11月頃まで収穫を続けられます。
パセリは年越しさせれば翌年以降でも収穫はできますが、次第に葉の縮れが少なくなり痩せてしまいます。
同じ場所で長く育てるよりも、勢いが衰えたら新しい苗を植える方が品質の良い葉を収穫できます。
気温が10℃以下になると生育は緩慢になりますが、室内やトンネル栽培などの暖かな場所で栽培すれば低温期でも収穫を続けられます。
パセリにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
パセリ栽培でよく見かける病害は「うどん粉病」「疫病」「炭そ病」「立ち枯れ病」「軟腐病」などです。
パセリが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
パセリの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
パセリに発生しやすい害虫は、「キアゲハ」「ダンゴムシ」「センチュウ類」「ヨトウムシ類」「アブラムシ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
パセリの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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