マクワウリの上手な育て方は?マクワウリの栽培方法を画像を交えて種まきから収穫まで野菜栽培士が解説します。種まきや苗の植え付けから収穫まで。マクワウリの水やり・追肥・病害対策・害虫対策など、プランターや露地栽培で失敗なしでマクワウリを育てましょう。
マクワウリの育て方Menu
・マクワウリ栽培カレンダー
・マクワウリ育て方のコツは?
・マクワウリの種まき
・マクワウリの苗の植え付け方は?
・支柱の立て方は?
・水やりの方法は?
・追肥のやり方は?
・摘心と摘葉のやり方は?
・人工授粉のやり方は?
・マクワウリの収穫時期は?
・マクワウリの病害虫対策
マクワウリ栽培
難易度:★★★☆☆
マクワウリの育て方は簡単です。マクワウリの原産地はアフリカと中近東という説が有力でウリ科の野菜です。表皮が滑らかなノーネット種と呼ばれるメロンの仲間のことを「マクワウリ」と呼びます。
ノーネット種のマクワウリはメロンの変種でプリンスメロンの交配の元になっているウリ。ネット種よりも栽培が簡単で育てやすいのが特徴です。
ネット種よりも栽培が簡単で育てやすいのが特徴で、さわやかな甘みで冷やしてそのまま食べると美味しい。
マクワウリは花が咲く野菜でありながら日長や気温に影響を受けないため、ハウスなどで通年栽培が可能ですが、一般的には春植えの夏収穫が作りやすい作型と言えるでしょう。
意外に思うかも知れませんが、マクワウリの根が浅く張り支柱栽培やネット栽培が出来ることから、大型の鉢やプランターを使ってベランダ栽培が可能です。
マクワウリは病害虫に弱く栽培管理が少し難しい中級者向けの野菜ですが、ホームセンターで売られている「接ぎ木苗」から育てれば初心者でも収穫までたどり着けます。
家庭菜園に慣れて来たらぜにチャレンジして欲しい野菜の一つ。
マクワウリの種まき4月以降、苗は春植え(5月植え・6月植え)が可能です。収穫は種まきから3.5か月(7月以降)です。
マクワウリ栽培で使用するプランターのサイズは大型タイプを使用しましょう。大型の植木鉢でも栽培が可能です。
1株につき1つの鉢で育てることが大きな実を収穫できるポイント。
狭いスペースに複数株植えると根が干渉して生育不良や病害の発生原因になります。
植え付ける畑は植え付けの2週間前には土作りを済ませておきましょう。
マクワウリを育てる時は市販の野菜の土を利用すると手間が掛からず簡単ですが、自分で用土を作る時は
赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1
それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~30gを混ぜ合わせたものを使いましょう。
露地栽培では、それぞれ1㎡あたり、苦土石灰を150g、堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)を100gを植え付けの2週間前に施しておきます。
苗を植え付ける1週間前に、幅100cm、高さ10cmの畝を作っておき、地温を上げるためにマルチングを掛けておきましょう。
プランターで育てる時の用土の量ですが、プランターの淵から鉢の8分目程度(淵から2~3㎝)ウォータースペースを残して用土を入れます。
鉢底には鉢底石などを入れて排水性を良くしておきましょう。
種を植える前日に水を張ったトレーに浸けておくと綺麗に発芽が揃います。
種は9㎝のポットに3粒ほど蒔き指で押し込みます。種を植えた後は水をたっぷりと与えてやりましょう。
約2週間ほどで発芽しますので、本葉が見え始めたら1株ずつに分けて植え直します。
マクワウリの発芽適温は25℃以上で低温だと発芽しません。種を植えた後は発芽適温を保てる場所(室内など)に置いて育てましょう。
種を蒔いてから約25日を超えると植え付け適期に達します。種まき(播種)は苗の植え付けから逆算して30~40日前を目安にして育苗を開始しましょう。
マクワウリは種から育てるのが難しい野菜です。
マクワウリ栽培が初めての方や少ない株数を育てる方は、ホームセンターで売られている苗から育てるのがおすすめ。
マクワウリは比較的丈夫に育つので、甘みや大きさなど育てる環境に合わせて選んでみましょう。苗は病害や連作に強い接ぎ木苗が人気。
おすすめの品種は「甘露マクワウリ」「黄金マクワウリ」「網干メロン」など。マクワウリはどの品種を選んでも上手く育ちます。
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マクワウリの育苗は難しいので、マクワウリ栽培が初めての方や少ない株数を育てる方はホームセンターなどで売られている苗から育てる事をおススメします。
マクワウリの良い苗は、本葉が4~5枚で葉の茎が緑色の濃い太いものを選ぶようにします。また、害虫などの食害がないかも合わせて確認しておきましょう。
連作する方や初心者の方は病害に掛かりにくく丈夫な接ぎ木苗がおすすめです。
マクワウリの植え付けに適した気温は18℃以上で、苗が本葉が4~5枚になった頃が植え付け適期です。
マクワウリは高温性の野菜なので、苗の植え付けは天候の良い日の気温と地温が十分に上がった時間帯に行います。
マクワウリの苗の植え方ですが、根鉢より少し大きめの植え穴をあけて子葉が埋まらない程度に浅植えにします。露地栽培は70㎝以上、プランターでは40㎝以上の株間を空けて植え付けましょう。
マクワウリの根は非常にデリケート、植え付け時に植え傷みが起こると生育が悪くなります。ポリポットから出す時に根鉢を壊さないように丁寧に抜き取るようにしましょう。
中間地や寒冷地など気温が十分でない地域で露地栽培する時は、地温を上げないと苗が上手く育たないことがあります。
露地栽培の場合は植え付け後にシルバーマルチなどで地温を上げると初期生育が良くなります。シルバーマルチの代わりに敷き藁を利用しても構いません。
黒色のマルチシートは太陽熱を吸収してしまって幼苗が葉焼けしてしまうので、シルバー色のシートを選ぶようにしましょう。
苗を植え付けた後は害虫の防除と生育を良くするためにホットキャップを被せてやります。
畑で育てる時はビニルトンネルでも構いませんが、気温が高い日は裾を捲り換気をして温度の管理を忘れずに行いましょう。
暑い日が続く時期になったらビニールは捲っておいて、風の強い日や雨の強い日のみビニールを閉めるようにして温度管理をします。
マクワウリは植え付け後にたっぷりと水与えてやり、その後は根が活着するまでの約7日間は灌水を続けましょう。
根が活着した後は用土が乾いた時に水やりを行うようにします。収穫の10日ほど前になったら果実の糖度を増すために水やりを控えて乾燥気味で育てましょう。
高温期の水やりは午前中の涼しいときに行います。気温が上がる時間帯だと太陽光で葉や根が焼けて株が痛む原因になってしまいます。
マクワウリは肥料の吸収が生育初期から着果までの間が急激に多くなり果実の成熟期以降は減少していきます。追肥のタイミングを逃さないことが上手く育てるポイントになります。
マクワウリの追肥ですが、プランター栽培は着果を確認した時と果実が肥大し始めた頃で、化成肥料10gを株元に撒いて周辺の土と混ぜ合わせておきます。
有機肥料を与える場合はチッ素含有の多いナタネかすや魚かすを与えるようにしましょう。鶏糞や牛糞などの堆肥は分解されるまでに時間がかかってしまい追肥適期を逃してしまうことがあるからです。
単独での使用は控え化成肥料との併用がおすすめ。有機肥料を与えるからと言って糖度が増すということはありません。
畑栽培の場合は植え付けから約30日後に畝の肩の部分に化成肥料を30g/1㎡1回だけ施してやりましょう。
過肥になると草勢が強くなり過ぎて果実の栄養が不足し品質面でマイナスになります。株の生育が良い場合は元肥のみで育てましょう。追肥は生育の状態を見て必要な時に行います。
マクワウリの追肥のコツは「初期から着果までが勝負。果実肥大期までは良く吸収させて、それ以降は抑える」と覚えておきましょう。
プランターでマクワウリを栽培する時は、植え付け後の早い段階にあんどん型の支柱を立てましょう。支柱を立てないと弦が地を這って育ってしまいます。
露地栽培では直立式のネット支柱、またはトンネル式の支柱が適しています。果実が重くなるので倒れないようにしっかりとした支柱を立てることを心がけます。
苗を植え付けた後に子づるが伸びて来たら支柱やネットに先端を誘引してやりましょう。一度誘引させると後は上に勝手に巻きついて伸びていきます。
マクワウリは本葉が5~6枚になった頃に、子づるの成長を促すために摘心を行います。
親弦の本葉を数えて7枚目のすぐ下で親弦の先端を指でつまんで摘みとりましょう。
マクワウリの花や実は子づるや孫づるに多くつくため、生育のよい子づるを、プランター栽培では2本、露地栽培では3~4本だけ残してそれを伸ばして育てます。
マクワウリは孫づるに咲く雌花に着果させると実なりがよくなるため、子づるは葉が15~16枚になった頃に孫づるの生育を促すためにすべて先端を摘みとりましょう。子づるの先端を摘心すると孫づるの発生を促すことが出来ます。
孫づるは着果を確認したら葉を2~3枚ほど残して先端を摘心します。甘味を出すために孫づるに付ける果実を1つだけに調整するのがおすすめです。
着果後は出てくる全てのわき芽を忘必ず摘み取るようにしましょう。わき芽を伸ばしてしまうと葉や弦に水分と栄養が取られてしまって実が小さくなってしまいます。
雄花の開花状況・温度・天気などの条件が悪いとマクワウリは着果しません。確実に着果させるためには人工受粉は欠かせない作業です。
特に一番花が結実しないと株が栄養過多になって弦ボケの原因になるので確実に受粉させましょう。
雌花の花弁(花びら)の下部は受粉前から膨らんでいますが、雄花の下部は膨らんでいません。見ればすぐに分かります。
マンションのベランダで育てている時は、虫の飛来がないので自然に受粉することはありません。確実に結実させるためにも必ず人工受粉を行いましょう。
受粉は花粉の寿命が短いため、晴れの日の朝9時までに済ませるのが人工受粉のコツです。
雄花の花弁(花びら)を切り取り花粉を雌花の柱頭にこすりつけて受粉させましょう。確実に受粉させるため人工受粉は別の株の雄花と雌花で行いますが、株数が少ない時は同じ株でも構いません。
受粉後は日付を書いたラベルを雌花の近くに吊るしておくと収穫までの日数管理が楽になります。
マクワウリは太陽光の当たり方で色の濃い部分と薄い部分が出来るので、玉直しを行うことで果実の色付きがバランス良くなります。
プランターの場合は収穫の7日~10日前に鉢を反対側に回してまんべんなく太陽光を果実に当てるようにします。果実がソフトボール大になったら紐などで果実を支柱から吊り下げて実が下がらないにしっかりと固定しておきましょう。
露地栽培の場合は、果実がソフトボールほどの大きさになったら、色が薄い部分を反対に向けて太陽に当ててやりましょう。果実が膨らみ始めたら、果実の下にナイロンなどを敷いてやると傷や害虫から守ることが出来ます。
地力のある畑であれば1株に沢山実らせても問題ありませんが、プランター栽培や連作している畑などの土壌が弱い場合は甘味の少ない果実に育つことが多いので摘果を行います。
果実は子弦1本に対して最大で3個程度は実らせるのが理想的。
実はマクワウリは個数を適量にするほど品質(味)が良くなるので、1本の子弦につき最大1個まで、1株に付き3個までにすると美味しい甘みのある果実を収穫できます。
摘果は最初から1つにするのではなく、1本の子弦に余裕をもって多めに着果させ、1週間ほどたって玉子ぐらいの大きさになったら目的の個数まで摘果して下さい。
摘果する果実は丸いものよりやや縦長の方が大きくて形の良い実になるので覚えておきましょう。
マクワウリは育てる土壌の状態に合わせて個数調整することが美味しい実を育てるコツです。
マクワウリの収穫時期は品種にもよりますが、着果を確認してから約40~50日が収穫適期となります。収穫する際は果実から伸びた弦をハサミやナイフで切って収穫しましょう。
収穫時期の判断は日付による管理が確実。着果した日付を忘れずにメモしておくようにします。果実に着果日を記入したラベルやタグを付けるのも良いでしょう。
確実ではありませんが、見た目で収穫適期を判断することも出来ます。
果実の果梗部(果実を支えて枝と繋がっている部分)から発生している葉の緑色が薄くなる、着果した果梗部から出している巻弦が枯れている、果実の頂部にリング(離層)が出来ている、この3つのサインが収穫時期の判断材料です。
ただし、確実な方法ではないのであくまで目安として下さい。日付管理が出来ずに見た目で収穫する時は必ず試し取りをしましょう。
マクワウリは収穫適期の直前に一気に糖度が上がります。収穫適期を間違わないように日数管理をしっかりと行うのが美味しい果実を収穫するコツ。
適期に収穫したマクワウリは1週間程度置いておくと果肉が柔らかくなりさらに糖度が増します。逆に果肉が柔らかくなってから収穫した時は早めに食べなくてはいけません。
マクワウリは高温多湿の気候が続くと、うどんこ病・つる枯病・つる割病・黒点根腐病・べと病・モザイク病に掛かりやすくなります。
石灰による酸度矯正を行ったり抵抗性台木苗を利用するとある程度の予防が出来ます。
また、畑の排水を良くして不要な子弦と孫弦を摘心することで、風通しと採光が良くなって病害の発生を未然に防ぐことが出来ます。
マクワウリに発生しやすい害虫は、ウリハムシ・ワタアブラムシ・アザミウマ類・ハダニ類・タバココナジラミです。
害虫を防ぐ対策としてシルバーマルチの利用が有効です。また、周囲の雑草を取り除き害虫の飛来を予防し、苗の植え付け時に防除剤の散布が効果的。
害虫は早めに発見して除去できれば被害は最小限に抑えることが出来ます。葉や茎の状態を毎日観察して、害虫の食害跡を発見したら数が増える前に処分するようにしましょう。