マクワウリは春が植え付け適期です。日当たりと水はけの良い土壌に1か所に3~4粒深さ1cmで種をまいて、本葉が1枚出たら形の良い苗を1本残して間引きます。管理作業は、支柱立て・マルチング・水やり・追肥・土寄せなどです。約4か月で収穫できます。
マクワウリの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
Contents Menu
栽培難易度 ★★★☆☆
マクワウリの育て方はコツさえ掴めば簡単です。
マクワウリはウリ科の野菜で、原産地はアフリカと中近東という説が有力です。表皮が滑らかなノーネット種と呼ばれるメロンのことを「マクワウリ」と呼びます。
ノーネット種のマクワウリはメロンの元になった野菜で、プリンスメロンなどの交配の元になっています。ネット種よりも栽培が容易で育てやすいのが特徴です。
味は交配種のメロンよりさわやかな甘みで、冷やして食べてもそのまま食べても美味しい実野菜です。
マクワウリは日長や気温に影響を受けないため、ハウスなどで通年栽培も可能です。家庭菜園では、春まきして夏に収穫する栽培がおすすめです。
マクワウリは支柱を立ててネットを張って栽培ができるので、マンションのベランダでのプランター栽培が可能です。
管理に手間がかかるので中級者レベルの野菜ですが、家庭菜園でぜひチャレンジしてほしい野菜です。
科名 | ウリ科 |
別名 | カラウリ・味瓜・アジウリ・甜瓜・真桑瓜・甘露・甘瓜・甜瓜など |
草丈 | 150~180cm以上 |
連作障害 | あり(3~4年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH5.5~6.5 |
株間 | 60cm以上 |
畝幅 | 80~100cm |
畝高 | 15~20cm(平畝) |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 22~28℃ |
種まき時期 | 4月~5月 |
発芽日数 | 4日~7日 |
苗植え付け時期 | 5月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約4か月 |
マクワウリは種まきは4月~5月で、苗の植え付けは5月~6月です。収穫は種まきから3.5か月(7月下旬以降)です。
マクワウリはどの品種を選んでも簡単に育てられるので、甘みや大きさなど好みの品種選んでみましょう。マクワウリはどの品種を選んでも、栽培方法に大きな違いはありません。
苗を購入するときは、病害や連作に強い抵抗性の接ぎ木苗がおすすめです。
マクワウリの育てやすい品種は、「甘露マクワウリ」「黄金マクワウリ」「網干メロン」などがあります。
マクワウリはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはマクワウリの育て方を解説します。
マクワウリの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
マクワウリ栽培で使用するプランターの大きさは大型サイズを使用しましょう。
根を広く浅く張るので、1つのプランターで1株にすることで大きな実を収穫できます。
狭いスペースにたくさん植えると根が干渉して、生育不良や病害の発生原因になります。
マクワウリ栽培に使う用土は、市販の野菜の土「実野菜用」を利用すれば、袋から開けてすぐに植え付け出来るのでおすすめです。
自分で用土を配合するときは赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1を混ぜたものを使いましょう。
植え付けの2週間前までに石灰をまぜて酸度調整を行ってpH6.0~6.5にしておきます。植え付けの1週間前には用土10ℓあたり化成肥料を10~15g混ぜ合わせておきます。
畑(露地栽培)でマクワウリを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。
畑(菜園)でマクワウリを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。苦土石灰を1㎡あたり100gを施してよく耕しておきます。
植え付けの1週間前になったら、1㎡あたり堆肥を5kg、化成肥料を100g、油粕100gを、畝の全面に施して深さ30cmまでしっかりと耕しておきます。
マクワウリ栽培におすすめの畝は平畝です。畝幅は80~100cm、畝の高さは15~20cmに仕上げておきます。地温を上げるためにマルチングをしておきましょう。
マクワウリは直まきとポットまきが可能です。直まきは、気温が十分に上がってから。
マクワウリは種をまく前の日に、水を張ったトレーに種を浸けておくと発芽が揃いやすくなります。
マクワウリは種まきから約25日を過ぎると植え付けができる大きさに生長します。
苗を植え付ける日から30~40日前になるよう計算して種まき時期を決定しましょう。
マクワウリの種まき時期は4月~5月です。直まきでは、日中の気温が20℃を超えるようになる頃が適期です。
マクワウリは品種の違いや種をまく時期の気温にも左右されますが、種をまいてから4日~7日ほどで発芽します。(もっと詳しく:マクワウリが発芽しない原因と対策)
種の発芽を成功させるポイントは温度管理です。直まきは日中の気温が最低でも25℃以上になってから種をまきましょう。
低温期に種まくときは、ビニルハウスや室内などで、25℃~30℃を維持してポットまきから育てましょう。
畑に直まきするときは、株間を80~100cm確保して、1ヶ所に3~5粒種をまいて厚さ約1cm覆土します。
瓶の底などを用土に押し付けて型をつけると、種を埋める深さを統一して発芽を揃えることができます。
その後、乾燥や土のはね返りを防ぐために敷き藁やマルチングをして発芽するまでは水切れに注意しましょう。
マクワウリ栽培に慣れていない方や寒冷地など気温が低い地域でマクワウリの種たねをまくときは、ポリポットやセルトレイに種をまく方法が発芽がうまく揃います。
ポットやセルトレイで育てることの最大のメリットは温度と水の管理がしやすいことです。
植え付けができる大きさ(本葉が5~6枚)になるまでは、保温しながらポットで育てましょう。
マクワウリの間引きは、苗の成長を見ながら、タイミングよく生育の良い苗を残しながら行います。
マクワウリは本葉が伸び始める時期に間引きを行います。1か所にまいた種がすべて発芽して、本葉が出揃ったタイミングで間引きをします。
虫食いがなく緑が濃く徒長していない苗を1本残して、あとの苗は抜き取りましょう。
マクワウリを種から育てるのが難しいときは園芸店などで売られている苗から育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
マクワウリは本葉の数が5~6枚が植え付けに適した苗の大きさです。本葉の数が少ないときに植え付けると、光合成の量が少なく根の活着に時間が掛かります。
植え付けに適さない温度下では、苗の生長が遅くなったり病害にかかって枯死したりすることがあります。抵抗性のある接ぎ木苗が病害に強くておすすめです。
子葉と初期葉の間の茎が太くしっかりしたもので節間が詰まった緑の濃いものが良い苗です。
マクワウリの苗の植え付けは、4月下旬から6月上旬頃まで。マクワウリは気温が22℃~28℃がもっとも生育が活発になる温度です。
露地栽培では株間を80~100cm以上確保しましょう。マクワウリは根を浅く広く張るため、株間が狭いと根が込み合って水分と養分を奪い合ってしまいます。
マクワウリの苗を植え付け方ですが、畑に根鉢より一回り広めの穴を掘っておきます。穴の深さは根鉢を置いた時に根鉢の肩が少し高くなるくらいです。
マクワウリの根は非常にデリケート、植え付け時の植え傷みは生育が悪くなります。ポリポットから出す時に根鉢を壊さないように丁寧に抜き取りましょう。
先に掘っておいた穴に根鉢を入れ、株元に土を寄せます。(接ぎ木苗の場合は継いだ部分が土に埋まらないように注意。)
最後に株元まわりの寄せた土を軽く手で押さえて根と土を密着させておきます。
・マクワウリは苗を植え付けたら、根付くまで間はたっぷりと水やりをしましょう。新葉が出始めたときが根付いたサインです。
・植える場所を十分に水で湿らせておくか、ポットを水に浸してから植えると根の活着がよくなります。
・マクワウリをプランター栽培では狭い場所にたくさん植えても収穫量が減るだけです。1つのプランターにつき1つの苗にしましょう。
気温が低い時期や寒冷地域でマクワウリを育てるときは、地温が低いと苗が上手く育たないことがあります。
苗を植え付けたあとに、シルバーマルチなどで地温を上げると初期の生育が良くなります。シルバーマルチの代わりに敷き藁でもかまいません。
黒色のマルチは太陽熱を吸収してして苗が葉焼けするので注意しましょう。
苗の保温にはホットキャップを被せる方法もおすすめです。露地栽培ではトンネル掛けでもかまいません。
暑い日が続く時期になったらビニールは捲っておいて、風の強い日や雨の強い日のみビニールを閉めるようにして温度管理をします。
プランターでマクワウリを栽培する時は、植え付け後の早い段階で支柱を立てましょう。支柱を立てないと茎が折れたり、弦が地を這って育ったりします。
露地栽培では直立式のネット支柱、またはトンネル式の支柱が適しています。果実が重くなるので倒れないようにしっかりとした支柱を立てることを心がけます。
苗を植え付けた後に子づるが伸びて来たら支柱やネットに先端を誘引してやりましょう。一度誘引させると後は上に勝手に巻きついて伸びていきます。
マクワウリは本葉が5~6枚になった頃に、子づるの成長を促すために摘心を行いましょう。
親弦の本葉を数えて7枚目のすぐ下で親弦の先端を指でつまんで摘みとりましょう。
マクワウリの花や実は子づるや孫づるに多くつくため、生育のよい子づるを、プランター栽培では2本、露地栽培では3~4本だけ残してそれを伸ばして育てます。
マクワウリは孫づるに咲く雌花に着果させると実なりがよくなるため、子づるは葉が15~16枚になった頃に孫づるの生育を促すためにすべて先端を摘みとりましょう。子づるの先端を摘心すると孫づるの発生を促すことが出来ます。
孫づるは着果を確認したら葉を2~3枚ほど残して先端を摘心します。甘味を出すために孫づるに付ける果実を1つだけに調整するのがおすすめです。
着果後は出てくる全てのわき芽を忘必ず摘み取るようにしましょう。わき芽を伸ばしてしまうと葉や弦に水分と栄養が取られてしまって実が小さくなってしまいます。
雄花の開花状況・温度・天気などの条件が悪いとマクワウリは着果しません。確実に着果させるためには人工受粉は欠かせない作業です。
特に一番花が結実しないと株が栄養過多になって弦ボケの原因になるので確実に受粉させましょう。
雌花の花弁(花びら)の下部は受粉前から膨らんでいますが、雄花の下部は膨らんでいません。見ればすぐに分かります。
マンションのベランダで育てている時は、虫の飛来がないので自然に受粉することはありません。確実に結実させるためにも必ず人工受粉を行いましょう。
受粉は花粉の寿命が短いため、晴れの日の朝9時までに済ませるのが人工受粉のコツです。
雄花の花弁(花びら)を切り取り花粉を雌花の柱頭にこすりつけて受粉させましょう。確実に受粉させるため人工受粉は別の株の雄花と雌花で行いますが、株数が少ない時は同じ株でも構いません。
受粉後は日付を書いたラベルを雌花の近くに吊るしておくと収穫までの日数管理が楽になります。
マクワウリは太陽光の当たり方で色の濃い部分と薄い部分が出来るので、玉直しを行うことで果実の色付きがバランス良くなります。
プランターの場合は収穫の7日~10日前に鉢を反対側に回してまんべんなく太陽光を果実に当てるようにします。果実がソフトボール大になったら紐などで果実を支柱から吊り下げて実が下がらないにしっかりと固定しておきましょう。
露地栽培の場合は、果実がソフトボールほどの大きさになったら、色が薄い部分を反対に向けて太陽に当ててやりましょう。果実が膨らみ始めたら、果実の下にナイロンなどを敷いてやると傷や害虫から守ることが出来ます。
マクワウリは、地力のある畑であれば1株にたくさん実らせても問題ありませんが、プランター栽培や連作している畑などの土壌が弱い場合は甘味の少ない果実に育つことが多いので摘果を行いましょう。
果実は子弦1本に対して最大で3個程度は実らせるのが理想的。
実はマクワウリは個数を適量にするほど品質(味)が良くなるので、1本の子弦につき最大1個まで、1株に付き3個までにすると美味しい甘みのある果実を収穫できます。
摘果は最初から1つにするのではなく、1本の子弦に余裕をもって多めに着果させ、1週間ほどたって玉子ぐらいの大きさになったら目的の個数まで摘果して下さい。
摘果する果実は丸いものよりやや縦長の方が大きくて形の良い実になります。
マクワウリは育てる土壌の状態に合わせて個数調整することが美味しい実を育てるコツです。
マクワウリは植え付け後にたっぷりと水与えてやり、その後は根が活着するまでの約7日間は水やりを続けましょう。
根が活着した後は用土が乾いた時に水やりを行うようにします。収穫の10日ほど前になったら果実の糖度を増すために水やりを控えて乾燥気味で育てましょう。
高温期の水やりは午前中の涼しいときに行います。気温が上がる時間帯だと太陽光で葉や根が焼けて株が痛む原因になってしまいます。
マクワウリは肥料の吸収が生育初期から着果までの間が急激に多くなり果実の成熟期以降は減少します。追肥のタイミングを逃さないことが上手く育てるポイントになります。
マクワウリの追肥のタイミングですが、プランター栽培は着果を確認した時と果実が肥大し始めた頃です。露地栽培の場合は苗を植え付けてから約1ヶ月後から追肥を開始しましょう。
プランター栽培では化成肥料10gを株元にまいて周辺の土と混ぜ合わせておきます。
露地栽培では畝の肩の部分に化成肥料を30g/1㎡1回を施して表面の用土と混ぜ合わせておきましょう。
有機肥料はチッ素含有の多いナタネかすや魚かすを与えましょう。鶏糞や牛糞などの堆肥は分解されるまでに時間がかかってしまって、追肥が必要な時期に間に合わない原因になります。
おすすめは有機肥料と化成肥料との併用です。有機肥料を与えたからと言って糖度が増すということはありません。
・マクワウリの追肥は「植え付け初期から着果までが勝負。果実肥大期までは良く吸収させて、それ以降は抑える」と覚えておきましょう。
・過肥になると草勢が強くなり過ぎて果実の栄養が不足し品質面でマイナスになります。
・連作している畑では元肥のみでも育ちます。追肥は生育の状態を見ながら必要なときのみ行いましょう。
マクワウリは収穫適期の直前に一気に糖度が上がります。収穫適期を間違わないように日数管理をしっかりと行うのが美味しい果実を収穫するコツ。
マクワウリは品種にもよりますが、着果を確認してから約40~50日で収穫適期を迎えます。
収穫時期の判断は日付による管理が確実。着果した日付を忘れずにメモしておくようにします。果実に着果日を記入したラベルやタグを付けるのも良いでしょう。
マクワウリを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送るからです。
収穫する際は果実から伸びた弦をハサミやナイフで切って収穫しましょう。
マクワウリは収穫してから常温で1週間ほど置いておく(追熟する)と果肉が柔らかくなって糖度が増します。果肉が柔らかくなってから収穫した実は、追熟しても糖度は変わりません。
収穫適期を見た目で判断する方法は、果実の果梗部(果実を支えて枝と繋がっている部分)から発生している葉の緑色が薄くなる、着果した果梗部から出している巻弦が枯れている、果実の頂部にリング(離層)が出てくる、この3つが判断材料です。
ただし、確実な方法ではないのであくまで目安として下さい。日付管理を忘れて見た目で収穫適期を判断するときは、必ず試し取りをしましょう。
マクワウリは高温多湿の気候が続くと、うどんこ病・つる枯病・つる割病・黒点根腐病・べと病・モザイク病に掛かりやすくなります。
石灰による酸度矯正を行ったり抵抗性台木苗を利用するとある程度の予防が出来ます。
また、畑の排水を良くして不要な子弦と孫弦を摘心することで、風通しと採光が良くなって病害の発生を未然に防ぐことが出来ます。
マクワウリ栽培でよく見かける害虫は、ウリハムシ・ワタアブラムシ・アザミウマ類・ハダニ類・タバココナジラミです。
害虫を防ぐ対策としてシルバーマルチの利用が有効です。また、周囲の雑草を取り除き害虫の飛来を予防し、苗の植え付け時に防除剤の散布が効果的。
害虫は早めに発見して除去できれば被害は最小限に抑えることが出来ます。葉や茎の状態を毎日観察して、害虫の食害跡を発見したら数が増える前に処分するようにしましょう。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetablesBeginnersGuide!
YouTubeの動画でも野菜の育て方や野菜作りのコツなどを分かりやすくご紹介しています。チャンネル登録おすすめです。