チコリは春が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。主な作業は植え替え・遮光・水やり・追肥などです。収穫まで約5か月です。
チコリの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
チコリ栽培の流れ
栽培難易度 ★★★★☆
チコリは収穫までが長く軟化栽培で育てるため難易度は高めです。春まきは抽苔しやすいので、夏に種をまいて秋から軟白栽培をスタートさせましょう。
チコリはヨーロッパ原産のキク科の葉野菜でフランスやベルギーで多く生産されています。萌芽する若葉を軟白化させて利用するチコリを「ウィットリーフ」と呼びます。
植物分類上ではチコリと呼ばれていますが、料理界ではフランス語で「アンディーブ」と呼ばれています。同じく軟白栽培するエンダイブとは近縁ですが、実はまったく別の品種です。
軟白された若葉には独特の香りとわずかな苦みがあり、生食で歯触りのよいサラダなどが楽しめます。
初夏に種をまいて秋まで育てた株を一度掘り上げて、茎葉を切った根株を暗い場所に植え替えしてから軟白化させます。
栽培スペースに余裕がある場合やプランター栽培の場合は、植え替えせずにそのまま軟白栽培をすることもできます。
収穫までのお世話と労力はかかりますが、無事に収穫できたときの喜びはひとしおです。
チコリはその利用方法や品種によって呼び名が違っています。
野生種に近く肥大した根をカフェインなしの珈琲として利用するのが「マルデブルグ」で、軟白栽培したチコリを「ウィットリーフ」といいます。
また、結球種のチコリには「レッドチコリ(トレビス)」、タンポポのような見た目の非結球種には「イタリアン・ダンデライオン」など、チコリには品種改良されてたくさんの種類があります。
科名 | キク科 |
別名 | ウィットリーフ・ポルシェ・トーテム・ロエロフなど |
草丈 | 15~20cm |
連作障害 | あり(~年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤or ☁ |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 20cm以上 |
条間 | 20cm以上 |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 6月~7月 |
発芽日数 | 4日~5日 |
苗植え付け時期 | 7月~8月 |
収穫時期 | 種まきから約5か月 |
チコリの栽培時期は夏から秋にかけてです。種まきは6月中旬~7月下旬(苗の植え付けは7月中旬~8月下旬)です。種まきから約4か月後に株を移植して、収穫までは移植から約1ヶ月です。
チコリには栽培地の風土や気候に合った品種が多くあります。基本的にはどの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
チコリは軟白栽培向けの「ウィットリーフ」という品種です。パッケージの画像やイラストを見て、結球種と間違わないように選びましょう。
ウィットリーフのメジャーな品種には「ポルシェ」「トーテム」「ロエロフ」などがあります。
チコリはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
チコリの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
チコリ栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して2~3株程度の栽培が可能です。
チコリ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
チコリの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
チコリ栽培で作る畝は、畝幅は40cm(1条)70~80cm(2~3条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
チコリは直まきとポットまきができますが、種まき時期が発芽適温外の夏になるため、ポットまきをして温度管理しながら育苗する方が発芽は確実です。
チコリの種まき適期は、6月中旬~7月下旬です。
※種まき適期は栽培地の気候などによって前後します。
チコリは15℃~20℃が発芽に適した温度です。
チコリは発芽適温内なら4日~5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:チコリが発芽しない原因と対策)
チコリの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
チコリの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。
2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
チコリの株の間隔は20cm以上です。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
チコリを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
チコリは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~7枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
チコリの苗の植え付け適期は、7月中旬~8月下旬です。
※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。
チコリは15℃~20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
チコリの苗を植える間隔は20cm以上です。
チコリは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
チコリは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
チコリの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。チコリは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
チコリの追肥時期は、苗を植え付けてから約2週間後から、種から育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら2週間に1回の頻度で与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
生育初期から収穫までチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
チコリの軟白栽培の方法は2種類あり、株を掘り上げて植え替える方法と、植え替えないでそのまま育てる方法です。
軟白栽培は20℃前後の温度管理が必要です。暖かいハウスの中や敷き藁とシートを被せるなどして、温度管理をしながら栽培しましょう。
チコリの株を抜き取って植え替えするやり方は菜園スペースに余裕がない場合に行います。チコリの株が充実したら株を掘り上げて、根株の植え替えの準備をしましょう。
チコリは10月中旬~下旬頃に株を掘り上げます。
霜に当たると株が傷んでしまうので、霜が降りる前に株を掘り上げるのがポイントです。
地面から5cmほど株を残してナイフや包丁で茎葉を切り取りましょう。
葉をすべて切り取ったら、株から少し離れた位置にスコップを入れて根を傷付けない掘り出すのがポイントです。
少し葉は苦みが強いので食べることはできません。
掘り出したチコリの根株を別の場所に植え替えて、若葉を軟白栽培しましょう。
菜園のスペースに余裕がある場合やプランター栽培の場合は、株を掘り上げずにそのまま若葉を軟白化させることもできます。
チコリの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
チコリは種まきから約5か月で収穫適期を迎えます。
株を植え替えて軟白栽培を開始してから、約20~25日で適期になります。(20℃前後で保温をした場合)
チコリの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が10~15cmになる頃が収穫のタイミングです。
シートともみ殻を取り除いて、葉を傷めないように株元をしっかりと手で持って根ごと抜き取って収穫しましょう。
チコリにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
チコリ栽培でよく見かける病害は「炭そ病」「モザイク病」「べと病」「葉枯れ病」「萎凋病」などです。
チコリが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
チコリの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
チコリに発生しやすい害虫は、「ヨトウムシ」「アブラムシ類」「ハモグリバエ」「アザミウマ」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
チコリの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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