セリフォンは春から秋が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に深さ5~10mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで苗を間引きます。主な作業はトンネル掛け・水やり・追肥・土寄せなどです。収穫まで約2か月です。
セリフォンの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★☆☆☆
セリフォンは耐寒性も耐暑性もあり乾燥にも強く難易度の低い育てやすい葉野菜です。害虫被害に遭いやすいのでトンネル掛けなどでしっかりと対策しましょう。
セリフォンはカラシナの仲間で中国華中地方原産の葉野菜です。別名を「中国カラシナ」といいます。
セリフォンは種まき時期が長いので、一度に種をまかずに2~3週間ごとに数回に分けるずらしまきがおすすめです。大株に育てずに株間を狭くして柔らかく若い株を収穫しましょう。
耐暑性と耐寒性があるため夏でも種まきができ、収穫も12月頃まで続けられます。
特有の辛味と風味はカラシナに似ていますが、茎葉が柔らかく毛茸(表面に生えている細かい産毛)がないので、炒め物や生食にも利用できます。
中国の「ザーサイ」はセリフォンの茎の根元を使った漬け物です。
科名 | アブラナ科 |
別名 | 中国カラシナ・中国芥子菜 |
草丈 | 25~50cm以上 |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 15~20cm |
条間 | 15~20cm |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 4月~10月 |
発芽日数 | 2日~3日 |
苗植え付け時期 | 5月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
セリフォンの栽培時期は春から冬にかけてです。種まきは4月~10月上旬(苗の植え付けは4月下旬~10月下旬)で、収穫までは種をまいてから約2か月です。
セリフォンや中国カラシナなどさまざまな商品名がありますが、どの種類を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
セリフォンは中国華中地方でカラシナを品種改良した固定種で、種苗店では「セリフォン」や「中国カラシナ(中国芥子菜)」という商品名で販売されています。
セリフォンはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
セリフォンの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
セリフォン栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ以上の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して2~3株程度の栽培が可能です。
セリフォン栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
セリフォンの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
セリフォン栽培で作る畝は、畝幅は40cm(1条)~70cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
セリフォンは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、害虫の被害が多い春先に種をまくときはポットまきで育苗する方が確実です。
セリフォンの種まき適期は、4月下旬~10月上旬です。種まき時期が早すぎて低温に当たるととう立ちしてしまいます。
セリフォンは15℃~25℃が発芽に適した温度です。
セリフォンは発芽適温内なら2日~3日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。
セリフォンの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
セリフォンの間引きは合計で2回行います。茎葉を柔らかくするために密植気味に間引くのがポイントです。
1回目の間引きは本葉が3~4枚なった頃で2本立てにします。
2回目の間引きは草丈が10cmを超えた頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
セリフォンの株の間隔は15~20cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
セリフォンを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
セリフォンは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
セリフォンの苗の植え付け適期は、4月下旬~10月下旬です。
セリフォンは15℃~20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
多少温度が外れていても耐寒性と耐暑性があるので比較的生育は良いです。
セリフォンの苗を植える間隔は15~20cmです。
セリフォンは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
セリフォンの害虫対策にはトンネル掛けが有効です。
セリフォンは真夏以外は害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
11月以降は低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けに変更して霜対策と保温対策をしましょう。
セリフォンは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
セリフォンは用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをします。
セリフォンは乾燥に強く極度の多湿を嫌います。雨の多い時期は水のやり過ぎに注意しましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
セリフォンの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。セリフォンは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
セリフォンの追肥時期は、苗を植え付けてから約2週間後から、種から育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら必要に応じて与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
肥料過多になると茎葉が固くなるので与えすぎに注意しましょう。多すぎるよりは少ない方が美味しい茎葉を収穫できます。
生育初期から収穫までチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
セリフォンの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
セリフォンは種まきから約2か月、苗の植え付けから約1.5月で収穫適期を迎えます。
セリフォンの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が25cmを超えたら収穫のタイミングです。
セリフォンは株採り収穫をします。地際付近の株元にハサミを入れて切り取りましょう。
セリフォンは12月頃まで収穫できます。一年生の植物で秋以降になると株の勢いが衰えて最後は枯れてしまいます。
セリフォンにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
セリフォン栽培でよく見かける病害は「炭そ病」「萎黄病」「白さび病」「モザイク病」「根こぶ病」などです。
セリフォンが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
セリフォンの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
セリフォンに発生しやすい害虫は、「アオムシ」「コナガ類」「メイガ類」「ヨトウムシ」「ハムシ類」「アブラムシ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
セリフォンの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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