葉ネギの育て方を野菜栽培士がレクチャーします。葉ネギのプランター栽培と露地栽培のコツやポイントは?
種まきから苗の植え付け・水やり・追肥・収穫まで、葉ネギ栽培の管理方法を画像を交えて分かりやすく解説します。
失敗なしで立派な葉ネギを家庭菜園で育てましょう。
栽培難易度★★☆☆☆
葉葱(ハネギ)はユリ科の冬野菜。葉身部を食用にするネギで葉ネギと呼ばれています。
葉ネギとネギは同じユリ科の野菜ですが、実は違う品種。葉ネギは青い葉の部分を食べるのに対して、ネギは軟白させた白色の部分を食べます。お蕎麦やうどんに使うのが葉ネギ、お鍋に使うのがネギ(白ネギ)。
葉ネギは高温と低温には強い一方、多湿には若干弱い面がありますが、追肥も元肥のみで十分に育てられます。また、病害虫に強いので初心者向けの簡単野菜です。
葉ネギ特有の香りと独特の食感が好まれ、関西を中心に利用されています。葉ネギは暑さと寒さに強く、時期に合わせて品種を選べば1年を通じて栽培が可能。
細い小ネギや太いネギなど品種も多いため、利用する目的に合わせて品種を選びましょう。
葉ネギは独特の香りと健胃・殺菌の効果があるため料理に欠かせない便利な野菜。葉ネギ特有の匂いは硫化アリルと呼ばれる成分で、消化促進や抗菌作用があります。
葉ネギに含まれる栄養はビタミンB・ビタミンCをはじめ、カルシウム、リンなどを多く含み、発汗作用・解熱作用もある健康野菜。
種まき時期は春に植える野菜です。苗の植え付け時期は、4月~9月まで。種まきから収穫までは約2か月半かかります。
葉ネギは種からでも苗からでも簡単に育てられます。品種を選べば1年を通して栽培が可能でどの品種を選んでも比較的よく育ちます。
葉ネギの代表的な品種には「九条ネギ」育てやすいのは「冬扇」「夏扇」「小夏」「小春」、味が良いとされる「雷帝下仁田」などがあります。
楽天市場で人気の葉ネギの種一覧はこちら(クリック)
amazonの葉ネギの種一覧はこちら(クリック)
葉ネギはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。葉ネギ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
葉ネギの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
葉ネギ栽培で使うプランターサイズは、小株(3~4株)のときは小型(20cm~40cm)を利用して、それ以上の株数を育てるときは標準タイプ(60cm~65cm)を利用しましょう。
葉ネギは根を浅く張るので、プランターの深さは10~15cmもあれば十分です。
葉ネギ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると簡単です。
自分で配合したものを作るときは、赤玉土6.5:腐葉土2.5:バーミキュライト1、これに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせた物を使いましょう。
プランターで育てる時は、用土の水はけをよくするために鉢底石を敷き詰め、ウォータースペースを確保するために用土は7~8分目まで入れましょう。
軟白部分を増やす時は用土をプランターの淵から6~7分目までにしておきます。
露地栽培で葉ネギを育てる時は、種をまく2週間前に石灰100g/㎡を施してよく耕して、1週間前に堆肥2㎏/㎡・化成肥料(15:15:15)100g/㎡を施して土作りを済ませておくようにします。
葉ネギ栽培に適した畝は高さ10cm幅60cmの平畝です。根が張りやすいようにしっかりと耕しておきましょう。
葉ネギの種まき時期・発芽温度・種のまき方・種まき後の管理など種から育てる方法を詳しく解説します。
ネギは直まきでもポットまきでも育てることができますが、直まきよりもポットまきの方が簡単です。
育てる株数が少ない時や慣れていないうちは、園芸店などで販売されているポット苗からスタートすれば、無駄なく簡単に育てることができます。
葉ネギの種まき時期ですが、ポットまきは3月下旬~4月で、直まきは6月以降になります。
ネギの種は環境が整っていれば7日~10日で発芽します。苗が植え付けできる大きさまで育つまでは2か月ほどかかります。(もっと詳しく:ネギが発芽しない原因と対策)
条間(列の間隔)は10~15cm取り、最終的な株間は5~10cmです。
葉ネギは植えつける用土の表面を均した後、1cm間隔で種を筋まきします。長い棒などを押し当てて植穴を掘ると深さを均一にできます。
種をまいた後は種が隠れるよう覆土しましょう。
発芽するまでの間(種まきから7日~10日)は用土を乾燥させないようにこまめに水やりを行います。
葉ネギの間引きは直まきして植え替えせずに育てるときのみ行います。ポットまきや苗床からの植え替え栽培する際の間引きは不要です。
葉ネギは本葉が2~3枚になる頃に2cm間隔に間引きします。葉ネギの間引きはこの1回のみです。
あとはこのまま収穫適期まで育てましょう。
葉ネギの苗の植え付ける時期や苗の植え付け方について詳しく解説します。
葉ネギは「ポット苗」と「苗」の2種類があります。
ポット苗は名前の通りポットから根鉢ごと取り出してそのまま畑に植えるだけなので簡単です。
ポット苗以外にも園芸店などでは何本もの苗が束になったものも販売されています。こちらは苗が根付くまで多少の時間が掛かりますが、たくさん収穫したい方にはおすすめです。
5月頃になると園芸店では葉ネギのポット苗が出回ります。
「ポット苗」と「苗束」の植え付け方法について詳しく解説します。
ポット苗の植え方ですが、まず最初にポットから取り出した苗を土をつけたまま2~3本ずつに分けます。
苗を用土に差し込むようにして、5cm間隔で植え付けていきましょう。植え付け後はたっぷりと水やりをします。
分けた苗は太さと大きさを揃えておくと、同じ場所に植えた苗の植え付け後の生育が揃いやすくなり、収穫時期も同じになります。
通常の苗を植えるときは、深さ10cm幅10cmの溝を掘り、5~10cm間隔に3~4本束にして植えつけていきます。苗を溝に立てかけるように置いて、最後に用土を被せて表面を軽く抑えて根を密着させましょう。
苗を植え付けた後は根付くまでたっぷりと水やりを行いましょう。
葉ネギの水やりは、種をまいてから発芽するまでの間は土の中にしみこむほど毎日水を与えましょう。
葉ネギを苗から植え付けた時は、根付くまでの間は用土の表面が乾かないように水をたっぷりと与えます。
通常の水やりの頻度は用土の表面が乾いた時に一度にたっぷりと与えましょう。葉ネギは水のやりすぎはいけませんが、乾燥しすぎもいけません。適度間隔で適量の水やりを行うことが上手に育てるポイントです。
葉ネギは基本元肥のみで育てます。
ただしプランター栽培の時や根元を残して必要な分だけ刈り取って収穫する時は、種まき後から1~1.5か月毎に1回、化成肥料約30g/㎡を与えましょう。プランターで育てる場合は水やりを兼ねて薄めた液肥を2週間に一度与えても構いません。
葉ネギは大きくなってからの追肥が多すぎると病害が発生しやすくなるので、元肥で育て追肥は生育が悪いと感じた時や刈り取り収穫する時のみ与えるようにします。
葉ネギの収穫時期(収穫のタイミング)と収穫の方法について詳しく解説します。
葉ネギは草丈が30cm以上になる頃が収穫適期になります。
葉ネギは株ごと抜き取って収穫します。収穫後は根を切って保存しましょう。
根元の部分を3~4cm残して刈り取って収穫すれば、新芽が伸びて再び収穫を楽しむこともできます。
株元を残して再度育てる場合は刈り取った後に追肥を行うのを忘れないようにしましょう。
・葉ネギは収穫適期を逃すとトウ立ちして品質が一気に落ちてしまいます。また花芽が出た時はすぐに摘み取ってしまうようにしましょう。
・葉ネギは日持ちが悪いので収穫後は風味と食味がどんどん落ちてしまいます。必要な分だけ切り取って収穫すれば長く楽しむことができます。
・品種にもよりますが、株間を5~10cm確保して収穫の1か月前から土寄せしながら栽培すると、長ネギのように軟白部分の多少長い葉ネギを収穫することができます。
葉ネギは長ネギに比べて育て方が簡単で栽培時に注意するのは、多湿と連作くらいです。葉ネギはベランダ菜園向きの野菜です。
葉ネギの根は比較的浅いところに張りますが、用土の水はけが悪いと芽が出始めるまでに種が腐ってしまうことがあります。水やりは多めでも構いませんが、水はけの良い土で育てるのがコツです。
葉ネギを秋から冬にかけて栽培する時は害虫被害には遭いにくいのですが、春先の気温が上がる時期から育てる場合は、ネダニ、アザミウマ、アブラムシ、ネギハモグリバエなどが発生することがあります。
害虫は見つけ次第補殺するか駆除剤を使って対策を行いましょう。ただし大きな被害に繋がる害虫はいないので、気にしない方はそのまま育てても問題はありません。(参考:野菜の害虫対策)
葉ネギに発生しやすい病害は、軟腐病のほか、かび病、白色疫病にかかります。
病害の原因は多湿と多肥が主な原因。土壌環境を整えて早めに病害の治療をすれば大きな被害になることはありません。
葉ネギは土寄せはしませんが間引き後に苗が倒れるようであれば軽く土寄せしてやりましょう。
葉ネギの品種にもよりますが、収穫の1か月前から土寄せすると軟白部の多い長ネギとして収穫することもできます。ただし、収穫の直前に土寄せを施しても軟白部分は長くはならないので注意しましょう。(参考:野菜の病害対策)
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetablesBeginnersGuide!