キンサイの育て方
キンサイ（チャイニーズセロリ）は春から秋が栽培時期で収穫まで約2.5か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せなどです。
失敗なしでキンサイを栽培しましょう！
キンサイの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
Contents Menu
- キンサイの難易度と栽培のポイント
- キンサイの栽培時期
- 育てやすい品種
- 栽培前に準備しておくこと
- 露地栽培の土作りと畝作り
- キンサイの種まき
- 間引き
- 苗の植え付け
- キンサイの栽培管理（土寄せ・トンネル掛け・水やり ・追肥 ）
- キンサイの収穫
- 病害対策
- 害虫対策
キンサイの栽培難易度と育て方のコツ
栽培難易度 ★★★☆☆
キンサイは発芽は難しいので栽培難易度は普通です。やや湿度が高い土壌と冷涼な気候を好むため真夏の高温が苦手です。
キンサイはセリ科の見た目がセルリーやミツバのような葉野菜です。英名は「チャイニーズセロリ」といい、中国では健康野菜として利用されています。
キンサイは中国でセルリーを改良した品種で、セルリーよりも栽培が容易で、発芽させるのは難しいものの、発芽以降は比較的簡単に育てられます。
生育適温が15℃前後と高温にはかなり弱いのですが、ある程度の低温には耐えることができるため、寒冷地での秋まきも可能です。
キンサイは「スープセロリ」とも呼ばれますが、その名の通りスープの浮き実として使われるほか、炒めものや和え物としても利用できます。
キンサイの栽培データ
| 科名 | セリ科 |
| 別名 | チャイニーズセロリ・広東セロリ・クンチャイ・スープセロリ・中国セロリ・芹菜・キンツァイなど。 |
| 草丈 | 20～50cm |
| 連作障害 | あり（2～3年） |
| 適した場所 | やや湿度が高い土壌で冷涼な場所 |
| 日当たり | 🌞 or 🌤 |
| 土壌酸度 | pH6.0～6.5 |
| 株間 | 30cm |
| 条間 | 30cm |
| 発芽適温 | 15～20℃ |
| 生育適温 | 13～15℃ |
| 種まき時期 | 5月～6月と8月～9月 |
| 発芽日数 | 7日～14日 |
| 苗植え付け時期 | 6～7月と9～10月 |
| 収穫時期 | 種まきから約2.5か月 |
キンサイの栽培時期
キンサイの栽培時期は春と秋です。春まきは5月下旬～6月中旬（苗の植え付けは6月）で、秋まきは9月（苗の植え付けは9月～10月）、収穫までは種をまいてから約2.5か月です。
キンサイ栽培カレンダー
春まき
秋まき
キンサイの育てやすい品種
キンサイは定番の「キンサイ」のほか、多くの商品名で種が出回っています。どの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
キンサイはセルリーの改良品種です。
チャイニーズセロリ・広東セロリ・クンチャイ・スープセロリ・中国セロリ・芹菜・キンツァイなどの商品名で販売されています。
キンサイの栽培方法
キンサイはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
栽培前に準備しておくこと
キンサイの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
プランターの選び方
キンサイ栽培で利用するプランターサイズは小型（45cm）以上のものを利用しましょう。1株植えなら7号サイズ以上の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、小型サイズのプランター1つに対して1～2株程度の栽培が可能です。
栽培に使う用土の種類
キンサイ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土（7）：腐葉土（2）：バーミキュライト（1）を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10～20gと化成肥料を用土10Lあたり10～20gを入れてよく耕しておきます。
プランターへの用土の入れ方
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。（根鉢を置いてから残りの用土を足します。）
露地栽培の土作りと畝作り
土作りのやり方
キンサイの露地栽培の土作りは種まき（苗の植え付け）の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき（苗の植え付け）の1週間前になったら、堆肥（2㎏/㎡）と化成肥料（100g/㎡）を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
畝作りのやり方
キンサイ栽培で作る畝は、畝幅は50cm（1条）～80cm（2条）で畝の高さは10～15cmの平畝です。
キンサイの種まき
キンサイは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
キンサイを種から育てる
キンサイの種をまく前に、一昼夜水に浸しておくと発芽が揃いやすくなります。発芽適温から大きく外れる時期は、ポットに種をまいて苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗する方法がおすすめです。適温内なら直まきでも発芽は揃います。
種まき時期
キンサイの種まき適期は、春まき（5月下旬～6月）と秋まき（8月中旬～10月上旬）です。
発芽適温
キンサイは15℃～20℃が発芽に適した温度です。
キンサイの発芽日数
キンサイは発芽適温内なら7日～14日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。
キンサイの直まきのやり方（手順）
- 用土を平らにならします
- 水をたっぷりとかけて用土を湿らせます
- 瓶の底などを押し当ててまき溝をつけます。
- 1か所あたり4～5粒の種をまきます
- 用土を約5mm被せます
- 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます
- 種が流れ出ないように水やりをします
キンサイのポットまきのやり方（手順）
- 3号のポリポットに種まき用の培養土を入れます。
- 水をたっぷりとかけます。
- 1か所あたり3～4粒の種をまきます。
- 用土を約5mm被せます。
- 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます。
- 種が流れ出ないように水やりをします。
種まきのコツとヒント
- 覆土は適切な量を被せましょう。
- 発芽までは風通しを良くして反日蔭で乾燥させないように管理しましょう。
- 発芽するまでは水切れに注意しましょう
キンサイの間引き
キンサイの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
キンサイの間引きのタイミング
キンサイの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1～2枚になった頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が3～4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
キンサイの最終の株間
キンサイの株の間隔は30cm以上です。
苗の間引き方
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
キンサイの植え付け
キンサイを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
キンサイの良い苗の選び方
キンサイは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が6～7枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
苗の植え付け時期
キンサイの苗の植え付け適期は、春植え（6月～7月）と秋植え（9月～11月）です。
キンサイの生育適温
キンサイは13℃～15℃が生育がもっとも良くなる温度です。高温が苦手なので植え付けが遅れないようにしましょう。
苗を植える間隔（株間）
キンサイの苗を植える間隔は30cm以上です。
キンサイの苗の植え方（手順）
- 根鉢より一回り大きな植穴を開けておきます。
- 根鉢を壊さないように丁寧に苗を取り出します。
- 穴の中に苗を入れます。
- 子葉が埋まらない程度に用土を入れます。
- 株元を軽く押さえて根と用土を密着させておきます。
- 水をたっぷりと与えます。
キンサイの栽培管理
キンサイの土寄せ
キンサイは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
土寄せのタイミング
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
土寄せのやり方
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
キンサイのトンネル掛け
キンサイの害虫対策にはトンネル掛けが有効です。
キンサイは害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
10月以降は低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けに変更して霜対策と保温対策をしましょう。
キンサイの水やり
キンサイは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後（苗の植え付け後）から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
キンサイの水やりの頻度
キンサイはやや多湿を好み極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
1回あたりの水やり量
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5～2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
水やりのコツとヒント
- 苗が小さいうちの水やりは苗が倒れないように丁寧に与えるのがポイントです。
- ハス口の細かいものを使うか、ジョウロから出る水を手に受けて株と株の間に優しく水やりしましょう。
- 初期段階で苗が倒れたり抜けたりすると、株の成長が遅れる原因になります。
- 水の与えすぎは株を軟弱にして病害の要因になります。適量を心掛けましょう。
キンサイの追肥
キンサイの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。キンサイは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
キンサイの追肥のタイミング
キンサイの追肥時期は、苗を植え付けてから約2週間後から、直まきで育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら2週間に1回の頻度で与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
春まきで刈り取り収穫（株を残して収穫）するときは、収穫後に追肥を施しておくと株が再生して2回採りができます。
与える肥料の種類
生育初期から収穫までチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てましょう。
1回あたりに与える量
プランターの場合
1株あたり5～10g（茶さじで2杯程度）を与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
露地栽培の場合
1㎡あたり約20gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
追肥のコツとヒント
- 追肥のあとに水やりをすると、肥料が効果的に土にしみこんで吸肥の効率がよくなります。
- 肥料の与えすぎは株が軟弱に育ってしまいます。適量を心掛けましょう。
キンサイの収穫
キンサイの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
キンサイの収穫時期（タイミング）
キンサイは種まきから約2.5か月、苗の植え付けから約2か月で収穫適期を迎えます。
収穫に適した大きさ（見た目）
キンサイの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が20cm以上で、株の直径が30cmを超えたら収穫のタイミングです。
キンサイの収穫方法
キンサイは摘み取り収穫と株採り収穫ができます。
摘み取り収穫では、利用する分だけ外側の葉を摘み取ります。（新芽は内側から生えます。）
株採り収穫では、株元を地ぎわから3～5cmほど残してハサミなどで切り取ります。
キンサイはいつ頃まで収穫できるの？
キンサイは一年草で冬になると株が枯れてしまいます。
暑さに弱く春まきでは9月上旬頃には株の勢いが弱くなりますが、根元から刈り取って追肥を施しておくと新芽が伸びて2回採りを楽しめます。
春まきも秋まきも11月頃が収穫の終わりです。新芽が出なくなったら、最後は株ごと抜き取って収穫を終わらせましょう。
キンサイの病害対策
キンサイにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
キンサイに発生しやすい病害の種類
キンサイ栽培でよく見かける病害は「苗立ち枯れ病」「葉枯れ病」「軟腐病」「黄化病」「萎黄病」などです。
病害の予防
キンサイが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている（または水やりが多い）などです。
キンサイの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
キンサイの害虫対策
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
キンサイ栽培で見かける害虫の種類
キンサイに発生しやすい害虫は、「キアゲハ」「メイガ類」「ヨトウムシ」「ハモグリバエ」などです。
害虫の予防と対策
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣（落ち葉や枯葉）はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
キンサイの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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