コールラビは春から秋が栽培時期で収穫まで約3か月です。深さ5~10mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は摘葉・トンネル掛け・水やり・追肥・土寄せなどです。
コールラビの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★★☆☆
コールラビは生育初期に害虫の被害に遭いやすく対策は必須ですが、苗が大きくなってからは比較的育てやすいので栽培の難易度は普通です。
コールラビはキャベツの仲間で地中海原産の野菜です。冷涼な気候を好みますが、高温にも適応します。
ちなみに「コール」はドイツ語でキャベツ、「ラビ」はカブのことです。日本では馴染みが少ないですが、西洋では人気の野菜です。
コールラビは「カブ甘藍」とも呼ばれ、カブのように肥大した茎の部分を食用にします。薄くスライスしてサラダやスープに使ったり、軽く炒めてバターソテーにしたり、料理の用途は豊富です。
栽培時期が害虫の多い時期と重なるため寒冷紗のトンネル掛けなど害虫対策は必須です。
科目 | アブラナ科 |
連作障害 | あり(1~2年) |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 15~30℃ |
生育適温 | 18~22℃ |
種まき時期 | 3月~4月・7月~8月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 4~5月・8月~9月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
コールラビの栽培時期は春から秋にかけてです。春まきは2月~5月(苗の植え付けは3月~6月)、秋まきは7月~9月(苗の植え付けは8月~10月)で、収穫までは種をまいてから約3か月です。
コールラビの品種は大きく分けると「緑色種」と「赤紫種」に分かれます。どちらの品種も栽培方法や育てやすさに大きな違いはありません。
コールラビは茎葉が緑色をした「緑色種」と赤紫の「赤紫種」があります。
栽培方法には違いがなく栽培難易度も同じです。二つの品種をまぜて植えると畑がとてもカラフルになりますし、料理に使うときも2色あると色映えがします。
色の違いは表皮だけなので、肉茎を切った中の色はどちらもきれいなクリーム色をしています。もちろん、味や食味にも違いはありません。
「グランドデューク」「サンバード」「マツコEX」「あさみどり」「フラン」「セーヌ」「ノリコ」「たまちゃん」など。
「パープルバード」「アスルスター」「コラビレッド」「わかむらさき」「フランレッド」など。
コールラビはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
コールラビの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
コールラビ栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
コールラビ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
コールラビの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
コールラビ栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
コールラビは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
コールラビの種まき適期は、春まき(2月~6月)と秋まき(7月~9月)です。
コールラビは18℃~22℃が発芽に適した温度です。
コールラビは発芽適温内なら3日~5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:コールラビが発芽しない原因と対策)
コールラビの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
コールラビの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
コールラビの株の間隔は40~50cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
コールラビを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
コールラビは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4~6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
コールラビの苗の植え付け適期は、春植え(3月~7月)と秋植え(7月~10月)です。
コールラビは15℃~30℃が生育がもっとも良くなる温度です。
コールラビの苗を植える間隔は40~50cmです。
コールラビは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
タイミングは株元の胚軸が見え始めた頃です。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
コールラビの害虫対策にはトンネル掛けが有効です。
コールラビは害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
2月から3月下旬までは低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けにして霜対策と保温対策をしてやりましょう。
コールラビは冷涼な気候を好む野菜ですが、温度が15℃以下になると生育が緩慢になるため、寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げてやりましょう。
コールラビは気温の低い時期や寒冷地では株の生育が悪くなります。黒色のマルチングをすることで保温対策ができます。
コールラビ栽培では夏場以降の雑草取りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
コールラビは球を大きくするために摘葉を行って、球の成長を促してやりましょう。タイミングよく正しい摘葉を行うことがポイントです。
摘葉とは不要な茎葉を切り取ることです。無駄な茎葉を摘葉することで球を大きくすることができます。
コールラビは本葉が10枚以上になって球の肥大が始まったら、下葉を根元から茎を2~3cm残して摘葉し太陽光が球に当たるようにしておきましょう。
球の上に伸びる本葉5~6枚は必ず残すようにして下さい。
コールラビは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
コールラビは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
コールラビの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。コールラビは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
コールラビの追肥は収穫までに1~2回施しましょう。1回目は植え付けから2週間後、それ以降は茎葉の生育が悪いときのみ球の肥大が始まるまでに追肥を施します。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。球の肥大が始まるまでに株を大きく育てましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
コールラビの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
コールラビは種まきから約3か月、苗の植え付けから約2か月で収穫適期を迎えます。
コールラビの収穫時期を見た目で判断するときは、球の直径が5~8cmになる頃が収穫のタイミングです。
上部の茎葉を手で掴んで株ごと一気に引き抜きましょう。先に上部の葉をハサミやナイフで切り落としてから球を引き抜いてもかまいません。
収穫時期を逃すと肉質が固くなったり、球割れを起こしたりするので球の大きさは8cm以下で収穫しましょう。
欲張って球を大きくし過ぎると、繊維が筋っぽくなって味も悪くなってしまいます。
コールラビにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
コールラビ栽培でよく見かける病害は「べと病」「軟腐病」などです。
コールラビが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
コールラビの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
コールラビに発生しやすい害虫は、「アオムシ」「カブラハバチ」「コナガ」「ヨトウムシ」「アブラムシ」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
コールラビの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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