茎レタスの育て方
茎レタスは春と秋が栽培時期で収穫まで約3か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せ・トンネル掛けなどです。
失敗なしで茎レタスを栽培しましょう！
茎レタスの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
Contents Menu
- 茎レタスの栽培難易度と育て方のコツ
- 茎レタスの栽培時期
- 育てやすい品種
- 栽培前に準備しておくこと
- 露地栽培の土作りと畝作り
- 茎レタスの種まき
- 間引き
- 苗の植え付け
- 茎レタスの栽培管理（土寄せ・トンネル掛け・水やり ・追肥 ）
- 茎レタスの収穫
- 病害対策
- 害虫対策
茎レタスの栽培難易度と育て方のコツ
栽培難易度 ★★★☆☆
茎レタスは栽培期間が長いので栽培難易度は普通です。葉は固くなるので収穫までは摘み取らないようにしましょう。乾燥と多湿を繰り返すと茎割れするので水やりがポイントです。
茎レタスは日本では中国野菜として紹介されましたが、世界中でさまざまな品種が栽培されています。レタスの中では唯一、茎を食用にする品種です。
シャキシャキとした歯触りで香りにクセがなく色々な加熱料理があり、中国料理には欠かせない食材です。ちなみに「山クラゲ」は茎レタスを乾燥・加工したものです。
茎レタスは茎だけでなく葉も食用にできますが、茎が未成熟なうちに葉を切り取ると茎が固くなってしまうため、摘み取り収穫はせずに最後まで葉をつけたまま栽培を続けましょう。
茎レタスは暑さに弱く、日長で（日が長くなると）とう立ちする性質をしているので、7月～8月を避けて栽培をするのがポイントです。
茎を太くするためにたくさんの養分を必要とします。そのため、株間が狭いと1つ1つの株に養分が行き渡らなくなるので、株間をしっかりと確保して育てましょう。
茎レタスの栽培データ
| 科名 | キク科 |
| 別名 | ケルン・山クラゲ・アスパラガスレタス・ステムレタス・セルタスなど。 |
| 草丈 | 30～50cm |
| 連作障害 | あり（2～3年） |
| 適した場所 | 日当たりと風通しが良く冷涼な場所 |
| 日当たり | 🌞 or 🌤 |
| 土壌酸度 | pH6.0～6.5 |
| 株間 | 30cm以上 |
| 条間 | 40～50cm |
| 発芽適温 | 15～20℃ |
| 生育適温 | 15～20℃ |
| 種まき時期 | 3月～4月・8月～9月 |
| 発芽日数 | 3日 |
| 苗植え付け時期 | 4月～6月・9月～10月 |
| 収穫時期 | 種まきから約3か月 |
茎レタスの栽培時期
茎レタスの栽培時期は春から夏前と秋です。種まきは春まきは3月～4月上旬（苗の植え付けは3月～4月中旬）と、秋まきは8月～9月上旬（苗の植え付けは8月～9月）で、収穫までは種をまいてから約3か月です。
茎レタス栽培カレンダー
春まき
秋まき
茎レタスの育てやすい品種
茎レタスの品種は中国を中心に西洋の品種など多くあります。どの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに大きな違いはありません。
茎レタスは中国が主産地で茎の長さや太さが異なるさまざまな品種が栽培されています。
主な品種には、「尖葉白」「ケルン」「ヤマクラゲ（山くらげ）」「アスパラガスレタス」「ステムレタス」「セルタス」などがあります。
茎レタスの栽培方法
茎レタスはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
栽培前に準備しておくこと
茎レタスの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
プランターの選び方
茎レタス栽培で利用するプランターサイズは中型（60cm）以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1～2株程度の栽培が可能です。
栽培に使う用土の種類
茎レタス栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土（7）：腐葉土（2）：バーミキュライト（1）を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10～20gと化成肥料を用土10Lあたり10～20gを入れてよく耕しておきます。
プランターへの用土の入れ方
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。（根鉢を置いてから残りの用土を足します。）
露地栽培の土作りと畝作り
土作りのやり方
茎レタスの露地栽培の土作りは種まき（苗の植え付け）の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき（苗の植え付け）の1週間前になったら、堆肥（2㎏/㎡）と化成肥料（100g/㎡）を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
畝作りのやり方
茎レタス栽培で作る畝は、畝幅は50cm（1条）、70～80cm（2条）で畝の高さは10～15cmの平畝です。
茎レタスの種まき
茎レタスは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
茎レタスを種から育てる
茎レタスの種ををまく前に、一昼夜水に浸しておくと発芽が揃いやすくなります。発芽適温から大きく外れる時期は、ポットに種をまいて苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗する方法がおすすめです。適温内なら直まきでも発芽が揃います。
種まき時期
茎レタスの種まき適期は、春まき（3月～4月中旬）と秋まき（8月～9月中旬）です。
発芽適温
茎レタスは15℃～20℃が発芽に適した温度です。
茎レタスの発芽日数
茎レタスは発芽適温内なら3日～5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。
茎レタスの直まきのやり方（手順）
間引き菜を収穫するときは筋まきがおすすめです。
- 用土を平らにならします
- 水をたっぷりとかけて用土を湿らせます
- 棒を押し当ててまき溝をつけます。
- 1cm間隔で種をまきます
- 用土を約5mm被せます
- 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます
- 種が流れ出ないように水やりをします
茎レタスのポットまきのやり方（手順）
- 3号のポリポットに種まき用の培養土を入れます。
- 水をたっぷりとかけます。
- 1か所あたり3～4粒の種をまきます。
- 用土を約5mm被せます。
- 指先で軽く押さえて用土と種を密着させます。
- 種が流れ出ないように水やりをします。
種まきのコツとヒント
- 点まきでは1か所あたり4～5粒の種をまきましょう。
- 覆土は適切な量を被せましょう。
- 発芽までは風通しを良くして反日蔭で乾燥させないように管理しましょう。
- 発芽するまでは水切れに注意しましょう
茎レタスの間引き
茎レタスの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
茎レタスの間引きのタイミング
茎レタスの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が出そろった頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が2～3枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
茎レタスの最終の株間
茎レタスの株の間隔は30cm以上です。
苗の間引き方
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
茎レタスの植え付け
茎レタスを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
茎レタスの良い苗の選び方
茎レタスは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4～6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
苗の植え付け時期
茎レタスの苗の植え付け適期は、春植え（4月～5月中旬）と秋植え（8月～10月上旬）です。
茎レタスの生育適温
茎レタスは15℃～20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
苗を植える間隔（株間）
茎レタスの苗を植える間隔は30cm以上です。
茎レタスの苗の植え方（手順）
- 根鉢より一回り大きな植穴を開けておきます。
- 根鉢を壊さないように丁寧に苗を取り出します。
- 穴の中に苗を入れます。
- 子葉が埋まらない程度に用土を入れます。
- 株元を軽く押さえて根と用土を密着させておきます。
- 水をたっぷりと与えます。
茎レタスの栽培管理
茎レタスの土寄せ
茎レタスは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
土寄せのタイミング
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
土寄せのやり方
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
茎レタスのトンネル掛け
茎レタスの防寒対策と害虫対策にはトンネル掛けが有効です。
茎レタスは害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
10月以降は低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けに変更して霜対策と保温対策をしましょう。
茎レタスの水やり
茎レタスは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後（苗の植え付け後）から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
茎レタスの水やりの頻度
茎レタスは乾燥と多湿の繰り返しを嫌います。用土の表面が乾いたら水やりをしましょう。用土の中がカラカラに乾く前に与えましょう。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをするのがポイントです。
1回あたりの水やり量
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5～2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
水やりのコツとヒント
- 苗が小さいうちの水やりは苗が倒れないように丁寧に与えるのがポイントです。
- ハス口の細かいものを使うか、ジョウロから出る水を手に受けて株と株の間に優しく水やりしましょう。
- 初期段階で苗が倒れたり抜けたりすると、株の成長が遅れる原因になります。
- 水の与えすぎは株を軟弱にして病害の要因になります。適量を心掛けましょう。
茎レタスの追肥
茎レタスの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。茎レタスは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
茎レタスの追肥のタイミング
茎レタスの追肥時期は苗を植え付けて2～3週間経った頃からで、種から育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら1ヶ月に1回の頻度で与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
与える肥料の種類
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まった根と果実を大きくするリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。
1回あたりに与える量
プランターの場合
1株あたり10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
露地栽培の場合
1㎡あたり40～60g（2握り）を与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
追肥のコツとヒント
- 追肥のあとに水やりをすると、肥料が効果的に土にしみこんで吸肥の効率がよくなります。
- 肥料の与えすぎは株が軟弱に育ってしまいます。適量を心掛けましょう。
茎レタスの収穫
茎レタスの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
茎レタスの収穫時期（タイミング）
茎レタスは種まきから約3か月、苗の植え付けから約2.5月で収穫適期を迎えます。
収穫に適した大きさ（見た目）
茎レタスの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が30cm以上で、茎の直径が3～5cmになったたときが収穫のタイミングです。
茎レタスの収穫方法
茎の地際付近をナイフや包丁を入れて切り取って収穫します。収穫後は茎の部分の葉を手でかき取りましょう。
葉は少し苦みがありますが、捨てずに料理に利用することができます。
茎レタスはいつ頃まで収穫できるの？
茎レタスは春まきは日長でとう立ちするまで、秋まきは霜が降りるまでが収穫期間です。
茎レタスの病害対策
茎レタスにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
茎レタスに発生しやすい病害の種類
茎レタス栽培でよく見かける病害は「菌核病」「べと病」「軟腐病」「斑点細菌病」「腐敗病」などです。
病害の予防
茎レタスが病害に掛かる主な原因は、高温、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている（または水やりが多い）などです。
茎レタスの病害の発生を予防するためには、高温多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
茎レタスの害虫対策
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
茎レタス栽培で見かける害虫の種類
茎レタスに発生しやすい害虫は、「ヨトウムシ」「タバコガ類」「アブラムシ類」「センチュウ類」などです。
害虫の予防と対策
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣（落ち葉や枯葉）はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
茎レタスの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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