メキャベツは春と秋が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に3~4粒の種を深さ1cmでまいて、本葉が触れ合うタイミングで間引きます。主な作業は支柱立て・下葉かき・水やり・追肥・土寄せなどです。約2か月で収穫できます。
メキャベツの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeでもメキャベツの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★★★☆☆
メキャベツはアブラナ科の野菜でヒメカンラン・子持ちカンランとも呼ばれる、脇芽が鈴なりに茎の周りに結球するキャベツの変種です。
メキャベツは小さなキャベツの様な形をした芽球が、主茎の周囲にたくさん実る、可愛らしくて不思議な見た目をしています。
キャベツとは同じ科ですが、別種なので成長してもキャベツになることはありません。
16世紀頃のベルギーで野生種のキャベツから品種改良され、今のメキャベツが誕生したと言う説が有力です。日本へは明治時代にはすでに渡来していましたが、一般の家庭に普及し始めたのは昭和に入ってからです。
メキャベツは、春まき(4~6月)と夏まき(7月~9月)の年に2回の栽培が楽しめます。
ただし、春植えのメキャベツは害虫被害や病害の心配があるので、夏まきや秋植えが簡単でおすすめです。
プランターはもちろんですが、少数株なら大きめの植木鉢でも十分に育てられます。日当たりの良い場所であれば、お庭やべランダなど狭いスペースでの栽培もできます。
メキャベツには、タンパク質の他、ビタミンAやビタミンC、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。ほのかに苦みがありますが、キャベツよりも芳醇な甘みと香りです。
品種や栽培地の環境にもよりますが、春まき(4~6月)と夏まき(7月~9月)の年に2回の栽培が楽しめます。
科名 | アブラナ科 |
別名 | 芽キャベツ・子持甘藍・姫甘藍など |
草丈 | 50~60cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 40cm以上 |
畝幅 | 60~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 2月~4月・7月~9月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 3月~5月・8月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
メキャベツはさまざまな品種と混植ができます。スペースを有効活用しましょう。(メキャベツと相性の良い野菜(コンパニオンプランツ)は?)
メキャベツは春と秋が栽培時期です。春まきは3月~4月で夏まきは7月~8月です。収穫は種まきから3~4か月、苗の植え付けから約2.5~3か月です。
メキャベツは「ファミリーセブン」や「早生子持」・「子持甘藍」などの品種が栽培期間も短く(早生種)育てやすくて人気です。
春まきは早生種が収穫まで早く育てやすいおすすめです。
メキャベツはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはメキャベツの育て方を解説します。
メキャベツの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
メキャベツを育てるときのプランターサイズは大型(60cm~)または、大鉢タイプ(深底)がおすすめです。
メキャベツの株間は30cm~40cmなので、栽培する株数を考慮してサイズを決定しましょう。
メキャベツ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。葉野菜用で肥料入りの用土がおすすめです。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせた物を用意しましょう。
栽培容器に入れる用土の量は上部の縁から5~10cmほど低め(目安は全体の7割程度)にして、ウォータースペースを確保しておきます。
容器の縁いっぱいまで用土を入れると、降雨や水やりで用土があふれて床や排水口が汚れる原因になり、まし土するときに新しい用土を足すスペースもなくなります。
露地栽培では、植え付けの2週間前に1㎡あたり苦土石灰100gを施して耕しておきます。
根が張りやすいように、20~30cmほどの深さまでしっかりと耕しましょう。
植え付けの1週間前になったら、堆肥2kg/㎡・化成肥料(15:15:15)50g/㎡を施して畝を立てておきます。
畝は平畝で、畝幅は60~80cm、畝高は10~15cmです。メキャベツは多湿に弱いので、畝周りは排水経路を確保して水はけを良くしておくのがポイントです。
メキャベツは、畑に直接種をまく「直まき」とポリポットに種をまいて植え付けに適した大きさまで育てる「ポットまき」の2通りの種まきができます。
2月は低温期で8月は高温期なので、種を発芽させるには過酷な環境です。
この時期の直まきは、発芽適温外で種が発芽しにくく、水分や温度の管理も難しいのでポットまきがおすすめです。
この時期は直まきは発芽させることや発芽後の水や温度の管理をしっかりと行うことが種まきを成功させるポイントです。
メキャベツの種まき適期は春まきが2月~4月、夏まきが7月~9月です。
発芽適温は15℃~25℃で、最低は7℃、最高は30℃が発芽の限界温度です。
春に直まきするときは、日中の気温が15℃以上になってから種をまきましょう。夏の直まきでは遮光するなどして温度を下げておくと発芽が揃いやすくなります。
メキャベツは種をまいてから約3日~5日で発芽します。気温が低すぎたり高すぎたりすると、発芽が遅れたり発芽しなかったりします。
メキャベツをポットまきするときは、3号サイズのポリポットに培養土を8分目程度入れて、1か所あたり3~4粒の種を指の第1関節の半分の深さにまきます。
直まきするときは、間隔を40~50cmあけて1か所あたりに種を5~7粒まきます。覆土(種をまく深さ)は5~10mmが目安です。
種をまいた後はたっぷりと水やりをします。
発芽までは十分な水やりを行って乾燥させないように注意しましょう。
メキャベツは暑さに弱いので、とくに夏まきでは風通しの良い反日蔭にすることが上手に発芽させるポイントです。(参考:メキャベツの種が発芽しない原因と対策)
ポットまきの1回目の間引きの時期は、子葉(双葉)が伸びて開き始めたタイミングです。
2回目の間引きの時期は、本葉が3~4枚になった頃に行います。緑が濃く生育の良い苗を2本だけ残して、他の苗はすべて引き抜きましょう。
種まきから植え付けに適した大きさになるまでに30日ほどかかります。
直まきしたときの間引きは1本立てするまでに2~3回ほど行います。
1回目は子葉が出そろったときで、2回目以降は隣り合う株の葉と葉が触れ合うようになったときです。
間引きが遅れれると隣り合う株どうしの根が絡まって炒めてしまいます。タイミングよく間引きをしましょう。
ポットまきで育苗の後半は、水やりを兼ねて週に1~2回薄めた液肥を与えると苗の生育が良くなります。
子葉が残っている茎が太いがっちりとした苗に育てましょう。
メキャベツ栽培に慣れていない方や種から育てるのが難しいと感じる方は苗から育ててみましょう。苗から植え付けると収穫まで簡単に辿り着けます。
苗を植え付ける間隔は、早生種(収穫までが短い品種)は30~40cm、中・晩生種(収穫までが長い品種)は40~50cmが目安です。
メキャベツは春から夏と夏から秋の年に2回が栽培時期ですが、夏まきが害虫被害が少なくおすすめです。
ポット苗は、3月~4月と8月~9月にホームセンターや通販などで販売されています。
メキャベツの生育適温は15~25℃です。
もっともよく育つ温度範囲は18℃~22℃で、7℃以下や、25℃以上になると苗の生育が悪くなります。
植え付けに適した苗は本葉が5~6枚のものです。茎が太くて節間が狭く詰まっていて、茎葉の緑が濃く、がっちりとした子葉が2枚とも残っているものが良い苗です。
生育が悪い(遅い)もの、茎葉が傷んでいるもの、病害にかかっているもの、害虫の被害に遭っているものは避けましょう。
夏まきのメキャベツは株の生育が盛んになる時期と台風が上陸する時期と重なります。
株の生育が進んで草丈が高くなると、強風や豪雨の影響を受けて株が倒れることがあるので、株の倒壊を防ぐために株元に用土を寄せて倒伏防止をしておきましょう。
また、苗の根元が露出して太陽光が根に直接当たると、株の生育を弱める原因になります。
間引きや追肥のタイミングで株周辺の用土の表面を軽く耕して株元に土を寄せておきましょう。プランターの場合は水やりで用土が減りやすいので、定期的に用土を足します。
苗を植え付けた後から根付くまでの間は、茎が細く弱いので風や雨などによって折れることがあります。仮の支柱を立てておきましょう。
春まきでは苗がしっかりと根付いたら支柱は撤去しても大丈夫です。
ただし、夏まきでは株の成長が活発になる頃はちょうど台風の季節です。
仮支柱を外し、約1mの太めの本支柱を立てて、紐などで誘引して倒伏対策をしておきましょう。
支柱を立てる代わりに周辺の土を根元に寄せておく方法も有効です。
メキャベツは下葉が込み合ってきたら、結球までに下葉かき(摘葉)を行いましょう。
メキャベツは下葉が込み合ってきたら、結球までに下葉かき(摘葉)を行います。下葉かきとは株元のわき芽が伸びる部分の葉を摘みとる作業のことです。
下葉かきをすることで日当たりと風通しを良くなり、球の肥大する環境や空間を確保することができます。
わき芽が伸び始めたら、頂部の葉を10枚ほど残してその他の葉は全て切り落としましょう。
苗が小さい段階で一度に大量の下葉を切り取ると、株や芽球の成長が悪くなってしまいます。
結球は下の方から始まるので結球の成長に合わせて下から順に古い葉を切り取っていきましょう。
葉かきの際に注意することは、葉を茎の根元ギリギリで切り取らないようにすることです。
芽球を傷めたり芽球が取れたりするので、葉柄を少し残して葉を切るのがポイントです。
葉かきと同様にメキャベツ栽培で欠かせないのが「下芽かき」という不良葉を摘み取る作業です。
根元近くの形の悪い結球(脇芽)を摘み採ることを「下芽かき」と言います。
葉かきが始まる頃に株元から10節目位までにある形の悪い芽は早めに摘み取ってしまいましょう。
小さなときに形が悪い芽は、大きくなっても綺麗な形に戻ることはありません。
メキャベツは乾燥が苦手ですが多湿も苦手です。水やり量が多すぎると病害が発生しやすくなるので適量を心がけましょう。回数を少なくして1回のあたりの水量を増やすイメージです。
メキャベツの水やりの頻度ですが、種をまいて発芽するまでの間と苗を植え付けた後は根付くまでの間はこまめに水やりを行いましょう。
苗が根付いてからの水やりは用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。毎日与える必要はなく、露地栽培では週に1~2回、プランター栽培では週に2~3回が目安です。
メキャベツの水不足のサインは「葉の先が丸まる」「茎葉が垂れ下がる」などです。茎葉の状態を見ながら、適量を心掛けましょう。
高温期の水やりは、気温が上がり始める前の涼しい時間帯に行いましょう。
日中の気温の高い時間に与えると、太陽光で根を傷めたり、水滴がレンズ代わりになって茎葉を傷めてしまいます。
午後の水やりは気温が下がってからで15時までに終わらせます。この理由は、夜間に用土の表面が乾燥している状態にして病害の発生を予防するためです。
特に夜間の気温が低くなる初春や晩秋以降は、夕方から夜間にかけての水やりは控えましょう。
プランター栽培の場合は、鉢底から水が染み出るまでたっぷりと水やりをします。露地栽培では1株あたり約1.5~2Lが目安の水量です。
雨の日や曇りの日は多湿になりやすく病害の発生を助長するので無理に水やりはしなくてもかまいません。
ただし、マンションのベランダなどの雨が当たらない場所で栽培していて雨が続くときは、用土の表面が乾いてたら水やりをしましょう。
そのときは、いつもより量を少なめにしておきます。
追肥の量と与えるタイミングがキャベツの葉を美味しくするためのポイントになります。
1回目の追肥は本葉が約6~8枚程度になった頃で、苗の植え付けからだと3週間ほど経った頃です。(種まきからだと1.5か月ほど)
追肥に使う肥料の種類は即効性(効きが早い)のもので、チッソ分の割合が高いものがおすすめです。
成分や比率がよく分からないときは、普通肥料(15:15:15)や、園芸店などで販売している葉もの野菜用の肥料を使っても大丈夫です。
プランター栽培では化成肥料10gを縁に沿ってまき、表面の用土と軽く混ぜ合わせておきます。
露地栽培では畝の間に化成肥料を一握り(20~30g)まいて、周辺の用土と混ぜてから畝の肩に寄せておきましょう。
2回目の追肥は1回目の追肥から約1ヶ月経った頃に与えます。それ以降は茎葉の生長を見ながら3~4週間おきに施します。
与える肥料の量は1回目と同量で、葉にかからないよう株元周辺にパラパラとまいて用土と軽く混ぜ合わせて土寄せしておきましょう。
苗が小さな時は株元に与えますが、大きくなってからは株元から少し離れたところにまくのがポイント。この理由は、肥料は根の先端ほどよく吸収するからです。
肥料を用土と混ぜるときは、根を傷めないように注意して表面の用土と混ぜ合わせましょう。
メキャベツは肥料不足になると「外葉が赤くなる」「葉の緑が薄くなる」などのサインが出ます。
芽球がつくまでに株をいかに大きくすることが収穫量を増やす上でポイントになるので、初期の肥料不足に注意しましょう。
メキャベツの収穫方法と収穫時期収穫のタイミングや収穫の目安を知って美味しい頃合いを見極めましょう!
メキャベツは種をまいてから3~4か月、苗の植え付けからだと2.5~3か月で収穫適期になります。
芽球の直径が2~3cmになり、固く締まってしまってきたら収穫のタイミングです。
手でもぎ取るかハサミで芽球を根元から切り取って収穫しましょう。
メキャベツは下の球から順に締まって株の上に次々と(約60~70個)球が実ります。上手に育てると約2か月に渡って収穫を楽しむことができます。
収穫時期が遅れると芽球が破れて裂球してしまいます。収穫適期を逃さないようにしましょう。
メキャベツは下から順に芽球が収穫適期になり、上部に向かって次から次へと新しい芽球(脇芽)がついていきます。
頭頂部から数えて10枚の葉が残っている状態を維持しておくと、株を弱らせることなく、たくさんの芽球を収穫できます。
メキャベツに発生しやすい病害は「菌核病」「苗立枯病」「根こぶ病」「べと病」などです。日当たりと風通しを良くし、高温多湿を避けることが予防になります。
病害に掛かる要因は、畑の排水性が悪い時や株元の葉が込み合っている時、日当たりが悪い時です。
病害の発生を防ぐために、適正な株間の確保を行って、日当たりの良い耕土が深く水はけの良い土壌を心掛けましょう。
病害を早めに見つける、環境を見直して改善する、症状がひどくなる前に薬剤の利用を検討するなどして、他の株への蔓延を予防することが大切です。
メキャベツをはじめ多くのアブラナ科の植物には、モンシロチョウやコナガの幼虫などの「アオムシ類」が多発します。アオムシによる食害が酷くなると収穫量に影響が出るので、害虫対策は必須です。
種まき後や苗を植え付けた後に、不織布か寒冷紗でトンネル掛けをすることで成虫の飛来を予防でき、アオムシの被害を軽減することができます。
メキャベツによく発生する害虫は「アオムシ類」のほか、「アブラムシ」「ハンスモンヨトウ」などです。
特に幼苗期間の害虫対策は必須です。
寒冷紗を掛けても隙間から入り込むことがあります。トンネル掛けをしても安心せずに、害虫がいないかをよく観察しましょう。
害虫は大きくなる前や数が増える前に発見して駆除することで、野菜への被害を最小限に食い止めることができます。
メキャベツを上手に育てるコツは、生育初期に株をできる限り大きく育てること。茎の太さが4~5cm以上になるように育てると多収穫が望めます。
株を大きく育てるためには元肥をしっかりと与えておくのがポイント。半分くらい収穫を終えたところで定期的に追肥をすると長く収穫を楽しめます。
メキャベツは23℃を超えると芽球の生育が極端に悪くなってしまいます。とくに春(5月~6月)から育てる時は、気温が高くなる時期です。
寒冷紗のトンネル掛けなどをして、高温にならないよう暑さ対策をしましょう。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetableBeginnersguide
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