モロヘイヤは春~初秋が栽培時期で収穫まで2.5か月です。浅め(約5mm)に種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せ・摘心などです。
モロヘイヤの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
モロヘイヤ栽培の流れ
栽培難易度 ★☆☆☆☆
モロヘイヤは高温多湿を好み日本の気候に合うため、難易度が低く初心者向けの葉野菜です。病害虫に強く、夏場に少なくなる貴重な葉もの野菜の1つです。
モロヘイヤは中近東からアジア一帯の熱帯地方で広く栽培されている高温性の野菜です。やわらかい茎葉を収穫するポイントは、摘心して側枝をたくさん伸ばすことです。
語源が「王家の野菜」というだけあって、野菜の中でもトップクラスの栄養価があります。和名は「シマツナソ」「タイワンツナツ」です。
15℃以下では生育が緩慢になるため、しっかりと気温が上がってから栽培をスタートさせましょう。収穫期間が約4か月もあるので、慌てて種まきしなくても大丈夫です。
科目 | シナノキ科 |
連作障害 | あり(1年) |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
種まき時期 | 4月~6月 |
発芽日数 | 種まきから5日~7日 |
苗植え付け時期 | 4月~7月 |
収穫時期 | 種まきから約2.5か月 |
モロヘイヤの栽培時期は春から秋です。種まきは4月~6月(苗の植え付けは4月~7月)で、収穫までは種をまいてから約2.5か月です。
モロヘイヤの品種は1種類のみです。
モロヘイヤは種苗メーカーからさまざまな商品名がついていますが、品種は1種類しかありません。シマツナソやタイワンツナツは和名でモロヘイヤのことです。
どの商品を選んでも、栽培方法や栽培難易度に大きな差はありません。
モロヘイヤはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
モロヘイヤの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
モロヘイヤ栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して2株程度の栽培が可能です。
モロヘイヤ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
モロヘイヤの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
モロヘイヤ栽培で作る畝は、畝幅は40cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
モロヘイヤは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
モロヘイヤの種まき適期は、春(4月~7月)です。
モロヘイヤは20℃~25℃が発芽に適した温度です。
モロヘイヤは発芽適温内なら5日~7日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:モロヘイヤが発芽しない原因と対策)
モロヘイヤの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
モロヘイヤの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは双葉が出た頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が4~5枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
モロヘイヤの株の間隔は30~40cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
モロヘイヤを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
モロヘイヤは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
モロヘイヤの苗の植え付け適期は、4月中旬~7月上旬です。
モロヘイヤは20℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
モロヘイヤの苗を植える間隔は30~40cmです。
モロヘイヤは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
モロヘイヤは草丈が高くなると茎葉が固くなって味が落ちてしまうため、一定の高さになったら摘心を行いましょう。
摘心とは枝の先端部分を切り取ることです。
株の高さが40cmを超えたら、中央から伸びる主枝(一番太い枝)の先端部分から7~8cmのあたりを切って摘心します。
モロヘイヤは主枝を摘心することで脇芽がたくさん出るようになります。
モロヘイヤは高温を好む野菜です。温度が15℃以下では生育が緩慢になるため、寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げてやりましょう。
4月上旬~5月上旬頃まではまだまだ気温の低い日も多く株の生育が悪くなります。
またモロヘイヤは乾燥に弱い一面があるため、黒色のマルチングをすることで保温対策と同時に乾燥対策にもなります。
モロヘイヤは株が幅広に育つため、夏場以降の草刈りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
モロヘイヤは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
モロヘイヤは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。水不足になると葉が固くなって品質が落ちます。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
モロヘイヤの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。モロヘイヤは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
モロヘイヤは多肥性の野菜で肥料不足にならないようにしましょう。植え付けから3週間を過ぎたら追肥を開始し、その後は2~3週間に1回のタイミングで与えます。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。
1株あたり約5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。マルチをしているときはシートをめくって株元にまきます。
モロヘイヤの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
モロヘイヤは種まきから約2.5か月、苗の植え付けから約2か月で収穫適期を迎えます。
モロヘイヤの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が40cmを超えたら収穫のタイミングです。
葉先から15~20cmぐらいをハサミやナイフを使って切り取ります。
切り取った跡から脇芽が次々と伸びてくるので晩夏まで収穫が続けられます。
モロヘイヤは開花が始まるまで収穫できます。
開花後も収穫は続けられますが、葉が固くなって品質は落ちてしまいます。開花後は手で摘み採れる程度の柔らかい葉を中心に収穫します。
開花後にできる種子には毒性があるので食べないように注意しましょう。
モロヘイヤにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
モロヘイヤは病害に強く発生することは稀ですが、発生しやすいのは「葉ぶくれ病」です。
水切れを起こさないように用土の表面が乾くタイミングで水を与えて極度の乾燥を防ぐことが予防になります。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
モロヘイヤに発生する害虫は「オンブバッタ」「チャノホコリダニ」「ヨトウムシ」「アブラムシ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
モロヘイヤの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetablesBeginnersGuide!
YouTubeの動画でも野菜の育て方や野菜作りのコツなどを分かりやすくご紹介しています。チャンネル登録おすすめです。