ナバナは秋から春が栽培時期で収穫まで3~6か月です。深さ5~10mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せなどです。
ナバナの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeの動画でもナバナの育て方を解説しています。テキストと合わせて見ると、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★★☆☆☆
ナバナは栽培期間は長いですが、栽培時期が低温期で害虫被害が少ないため難易度は低めです。水やりと追肥以外に大きな管理作業がなく、初心者でも育てやすい葉野菜です。
ナバナは主に結球しないアブラナ科野菜の蕾の総称で、コマツナやミズナ・ハクサイ・チンゲンサイなどもナバナの一種です。
漢字で書くと「菜花」で、ナノハナ(菜の花)やシンツミナ・カブレナとも呼ばれています。ナバナは通年市場に出回りますが、旬は春です。
蕾の部分は独特のほろ苦さと香りがあり、茎の部分は甘みが凝縮されています。お浸しや汁物の具・和え物・炒めものなどに利用できます。
耐寒性が高く冷涼な気候でよく育ちます。ナバナは冬の低温に当てるとトウ立ちして花芽をつける性質のため、一般的には秋以降に種をまいて早春に収穫します。
科目 | アブラナ科 |
別名 | ナノハナ(菜の花)・シンツミナ・カブレナ |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 10cm以上 |
発芽適温 | 18~22℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
種まき時期 | 9月~10月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 8月~11月 |
収穫時期 | 種まきから約6か月 |
ナバナの栽培時期は秋から春にかけてです。種まきは9月~10月(苗の植え付けは9月~10月)で、収穫までは種をまいてから約6か月です。(早生種は約3.5か月)
ナバナは結球しないアブラナ科で種類は豊富です。ナバナ以外にも品種はたくさんありますが、栽培方法や育てやすさには大きな違いはありません。
ナバナは全国各地に気候や風土に合わせて在来種が存在しています。
秋まき春採りの「中生種」と「晩生種」、秋まき冬採りの「早生種」と「極早生種」があります。
基本的にはどのアブラナ科の野菜でもナバナの収穫は可能ですが、ナバナ専用の品種や結球しないアブラナ科の品種が収量も多く育てやすいです。
「菜の花」「早春なばな」「春華」「花飾り」「春立ち」「花かんざし」「春の香り」
「京の春」「秋華」「寒咲花菜」
「花ぐるま」「花まつり」「京華」「冬華」
ナバナの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
ナバナ栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して3~4株程度の栽培が可能です。
ナバナ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
ナバナの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
ナバナ栽培で作る畝は、畝幅は60cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは5~10cmの平畝です。
ナバナは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
ナバナの種まき適期は8月~10月です。(早生種と極早生種は早めに)
ナバナは18℃~22℃が発芽に適した温度です。
ナバナは発芽適温内なら3日~5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。
ナバナの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
ナバナの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
ナバナの株の間隔は10~15cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
ナバナを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
ナバナは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4~5枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
ナバナの苗の植え付け適期は、8月~11月上旬です。(早生種と極早生種は早めに)
ナバナは15℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
ナバナの苗を植える間隔は10~15cmです。
ナバナは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
ナバナは種まきから苗がある程度の大きさになるまでは害虫被害に遭いやすいので不織布をべた掛けして対策しましょう。
ナバナは発芽直後から幼苗期の間に害虫の被害に遭いやすく、食害されると生育に遅れがでます。成長点を食べられると株が育たなくなることがあります。
発芽してトンネル掛けをするまでの間は不織布のべた掛けなどで害虫から苗を守ってやりましょう。
ナバナの害虫対策にはトンネル掛けが有効です。
ナバナは害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
ナバナは低温に当たることで花芽をつける性質をしています。害虫の心配がなくなる12月以降になったらトンネル掛けを外しておきましょう。
ナバナは一定の高さになったら主枝を摘心して、側枝をたくさん伸ばしましょう。
摘心とは枝の先端部分を切り取ることです。
本葉の数が15枚以上になったら、中央から伸びる主枝(一番太い枝)の先端部分から7~8cmのあたりを切って摘心します。
ナバナは主枝を摘心することで脇芽がたくさん出るようになります。
ナバナは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
ナバナは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
冬季(12月~2月上旬)は量は減らしますが、暖かな日中に水やりをしましょう。
ナバナの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。ナバナは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
ナバナは収穫までに2回ほど追肥を施しましょう。1回目は本葉が7~8枚になった頃で、2回目はトウが経ち始めた頃が追肥の時期です。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。トウ立ちが始まる時期も同様の肥料を与えましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
ナバナの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
ナバナは種まきから約6か月、苗の植え付けから約5か月で収穫適期を迎えます。
ナバナの収穫時期を見た目で判断するときは、開花がはじまる直前の蕾で緑色をしているときが収穫のタイミングです。
ハサミやナイフを使って蕾が付いた茎を20~25cmの長さで切り取って収穫しましょう。手で折り取ってもかまいません。
水が溜まらないように切り口を斜めにしておくと病害の予防になります。
料理に使えるのは開花するまでの蕾で、開花後は固くなり味も悪くなってしまいます。
新しい側枝が伸びなくなったときが収穫の終わりです。
ナバナは冷蔵保存と冷凍保存ができます。
ナバナは鮮度が落ちやすいので、収穫後すぐに塩ゆでして水気を切りラップに包みます。2~3日は保存できます。
冷凍するときも塩ゆでし水気は切らずにラップをして冷凍庫に入れます。小分けしておくと使うときに便利です。
ナバナにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
ナバナ栽培でよく見かける病害は「炭そ病」「白さび病」「萎黄病」「根こぶ病」「モザイク病」などです。
ナバナが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
ナバナの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
ナバナに発生しやすい害虫は、「ヨトウムシ」「ハムシ類」「コナガ」「アオムシ」「カブラハバチ」「メイガ類」などで多くの害虫が集まります。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
ナバナの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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