トレビスは春と秋が栽培時期で収穫まで約3か月です。深さ約5mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せなどです。
トレビスのの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★★☆☆
トレビスは栽培期間が長いので栽培の難易度は普通です。冷涼な気候を好み、春まきと夏まきの年2回の栽培ができます。春まきは抽苔しやすいので秋まきがおすすめです。
トレビスはヨーロッパ原産のキク科の葉野菜で、欧米ではフランス料理やベルギー料理に使われるメジャーな野菜です。
見た目はレッドキャベツに似ていますがレタスの仲間で、葉は柔らかく、歯切れのよい食感で、トレビス特有の大人のほろ苦さが人気です。主にレタスなど生食に利用されます。
日本では結球タイプのレッドチコリを「トレビス」と呼ぶのが一般的ですが、欧米では葉が巻かないコスレタスタイプのものをトレビスと呼んでいます。
植物分類上ではトレビスと呼ばれていますが、料理界ではフランス語で「アンディーブ」と呼びます。エンダイブとは近縁ですが、別の品種になります。
栽培は春まきと夏まきができますが、春まきは抽苔しやすいので成功しやすいのは夏まきです。
トレビスは発芽に光が必要な好光性種子ですが、冷涼な気候を好むため、高温を避けた涼しい場所で発芽させるのが栽培成功のポイントです。
種まきさえ成功すれば、その後はスクスクと成長するので、発芽後の栽培は難しくありません。
科名 | キク科 |
別名 | レッドチコリ・チコリ |
草丈 | 20~30cm |
連作障害 | あり(2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
条間 | 30cm |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 2月~4月・8月~9月 |
発芽日数 | 4日~5日 |
苗植え付け時期 | 3月~4月・9月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
トレビスの栽培時期は春と秋で、収穫までは種をまいてから約3か月です。
春まきの種まき時期は2月中旬~4月下旬(苗の植え付けは3月上旬~5月下旬)です。
秋まきの種まき時期は、7月下旬~9月中旬(苗の植え付けは8月上旬~10月上旬)です。
トレビスには栽培地の風土や気候に合った品種が多くあります。基本的にはどの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
トレビスは結球タイプと半結球のコスレタスタイプがあります。人気なのは、生食でも美味しく、味に癖が少なく、茎葉が柔らかい品種です。
メジャーな品種は、「ジュリエッタ」「ベネチオ」「トレビノ」「トレビス・スター」「フィエロ」「アルト」「インフェルノ」などです。
半結球のコスレタスタイプのトレビスには、「プレコーチェ」、緑色系のトレビスには、「ライトグリーンボウル」、耐暑性が高い早生種には「レッドストーン」などがあります。
トレビスはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
トレビスの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
トレビス栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して2~3株程度の栽培が可能です。
トレビス栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
トレビスの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
トレビス栽培で作る畝は、畝幅は40cm(1条)70~80cm(2~3条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
トレビスは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
トレビスの種まき適期は、春まき(2月~4月)と夏まき(7月~9月)です。
※種まき適期は栽培地の気候などによって前後します。
トレビスは15℃~20℃が発芽に適した温度です。7℃以下や25℃以上ではうまく発芽しません。
トレビスは発芽適温内なら4日~5日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。
トレビスの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
トレビスの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。
2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
トレビスの株の間隔は30cm以上です。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
トレビスを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
トレビスは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~7枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
トレビスの苗の植え付け適期は、春植え(3月~5月)と夏植え(8月~10月)です。
※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。
トレビスは15℃~20℃が生育がもっとも良くなる温度です。
トレビスの苗を植える間隔は30cm以上です。
トレビスは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
トレビスの害虫対策と保温対策にはトンネル掛けが有効です。
トレビスは害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高くなる時期はトンネルの裾をめくって風を通して涼しくしてやりましょう。
2月から3月上旬までは低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、透明のビニール掛けで霜対策と保温対策をしましょう。
とくに春まきでは、とう立ちする高温期までに収穫を終える必要があるため、生育初期に株を大きく育てる必要があります。
温度が7℃以下になると生育が緩慢になるため、寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げてやりましょう。
トレビスは地温が低すぎると株の生育が悪くなるので、保温対策にマルチングが有効です。
また、トレビスは土壌の乾燥に弱い一面があるため、黒色のマルチングをすることで保温対策と乾燥対策ができます。
トレビスは栽培期間が長く雑草取りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
トレビスは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
トレビスは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
トレビスの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。トレビスは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
トレビスの追肥時期は、苗を植え付けてから約2週間後から、種から育てている場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら2週間に1回の頻度で与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
生育初期から収穫までチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
トレビスの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
トレビスは種まきから約3か月、苗の植え付けから約2.5月で収穫適期を迎えます。
トレビスの収穫時期を見た目で判断するときは、結球タイプは手で押さえると球が締まっていて色合いがきれいになった頃、コスレタスタイプは草丈が20cmを超えたときが収穫のタイミングです。
株の根元付近をナイフや包丁で切って収穫します。
トレビスにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
トレビス栽培でよく見かける病害は「炭そ病」「モザイク病」「べと病」「葉枯れ病」「萎凋病」などです。
トレビスが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
トレビスの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
トレビスに発生しやすい害虫は、「ヨトウムシ」「アブラムシ類」「ハモグリバエ」「アザミウマ」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
トレビスの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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