野菜栽培士がホウレンソウの種取り(自家採種)の方法を丁寧にレクチャーします。自家採種のコツや失敗しないポイント、収穫と採種を両方楽しむ方法を画像を交えて分かりやすく解説してあります。
ホウレンソウは秋以降(9月~3月)に種をまいて育てた方が花芽をつけやすくなります。
この理由は、ホウレンソウが長日植物といって、花芽分化(花を咲かせる準備を始めること)に一定時間の日照が必要な性質をしているためです。
ホウレンソウは種採りができる大きさまで株が生長するには、約2か月ほどかかります。4月に花芽をつけさせたいなら、遅くとも2月末までに種まきを終わらせておく計算になります。
ホウレンソウの開花時期は4月以降です。(品種によって多少前後します。)
日が長くなると抽苔(トウ立ち)がはじまり、その先端部分に花芽をつけます。
ホウレンソウは、西洋種で13~16時間以上、東洋種で12~13時間以上の日長で抽苔が始まります。つまり、夜間より日中の方が日が長くなる、4月~6月に花芽ができるように種をまく必要があります。
ホウレンソウは「雌雄異株」といって、雄花と雌花が1つの株ではなく別々の株に咲きます。雄花が咲く株を雄株と呼び、雌花が咲く株を雌株と呼びます。
そのため、種採り用の株は1本ではなく複数株残しておく必要があります。
開花は雄株から始まり、続いて雌株が開花します。授粉に成功した雌花はぐんぐん肥大して株も大きくなっていきます。
ホウレンソウの花粉は「風媒花」といって風によって遠くまで飛ぶ形状をしています。人工授粉の必要はなく自然の風などで自然に授粉します。
・花粉は風で運ばれるため、品種が混ざらないように同一畑で異品種を栽培しないようにしましょう。
・雄花の寿命は雌花より短く、開花が始まって10日ほど経つと枯れ始めます。枯れた雄花は早めに抜き取っておきましょう。
開花から採採りまでの日数は40~50日ほどかかります。株全体が茶色く枯れ始めたら種採りが可能です。
株元から刈り取って、雨の当たらない軒下などに吊るし乾燥させてから種を取り出します。
株が完全に枯れてから刈り取ると種が畑にこぼれ落ちてしまいます。株が黄化し始めたタイミングで刈り取るようにすると、種がこぼれ落ちにくくなります。
ホウレンソウの種は数個の種が固まった「種子塊」を形成しています。
この種子魂を手で丁寧にほぐして種を1粒ずつに分けます。
品種によっては「針種」と言って種が尖っているものがあります。種子魂から種を取り出す際は、穴の開きにくいゴム製の手袋などをはめて作業を行うようにしましょう。
取り出した種は数日間ボールなどに入れて陰干ししておきます。種の乾燥が足りないと、保存中に腐ったりカビが生える原因になるので注意しましょう。
取り出した種は密閉容器などに乾燥材と一緒に入れて冷蔵庫で保存しておきます。長く保存するコツは低温乾燥を保つことです。
ホウレンソウの種は野菜の中でも長命で、保存状態が良ければ2~3年経っても普通に発芽してくれます。
ただし年数が経つにつれて、発芽率が下がり発芽不良の種も増えるので、心配な方は1年以内に種をまくようにしましょう。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetableBeginnersGuide
YouTubeでも野菜の育て方や野菜作りのコツなどを分かりやすくご紹介しています。チャンネル登録おすすめです。