ホウレンソウ栽培で収穫までたどり着くには育て方のコツを知ることが成功への第一歩。初心者にも分かるように植え方から収穫までホウレンソウの育て方を丁寧にレクチャー。ホウレンソウの作り方はプランターでも露地でも簡単!家庭菜園で立派なホウレンソウを育てましょう!
Contents Menu
・ホウレンソウ栽培カレンダー
・ホウレンソウ栽培成功のポイント
・おすすめの品種
・ホウレンソウを種から育てる(種のまき方)
・ホウレンソウが発芽しない
・ホウレンソウの間引き
・ホウレンソウの水やり
・ホウレンソウの追肥
・ホウレンソウの収穫
・種取り(採種)
・ホウレンソウ育て方まとめ
・ホウレンソウの病害対策
・ホウレンソウの害虫対策
ホウレンソウ栽培
難易度 ★★☆☆☆
属性:ヒユ科ホウレンソウ属
ホウレンソウの原産地は中央アジアで冷涼な気候を好み寒さに強い野菜です。
ホウレンソウの作り方はコツさえ分かれば簡単!日当たりの良い暖かいベランダで品種を選べば12月末まで種まき(植え付け)が可能です。
多少日当たりの悪いベランダのプランターでもぐんぐん育つので、ホウレンソウは初心者も育てやすい人気の葉野菜です。
ホウレンソウには、根元が赤く切れ込みが深い淡い葉色をした剣葉の東洋種と地上部が淡色で葉色の濃い丸葉の西洋種があります。東洋種は葉が薄くてあくが少なく人気の品種。
収穫までは1か月から2か月程。ホウレンソウは短期間で収穫できる野菜なので、ぐんぐん育ってとっても楽しいですよ。
ホウレンソウの収穫時期が重なってしまわないように、種の植え付け時期をずらしておけば、少量ずつ収穫が出来るうえ長い期間、収穫を楽しめます。
ホウレンソウにはビタミンAの他、ビタミンB群・カルシウム・葉酸、特に鉄分を多く含むため、貧血気味の方にもおすすめ。
くせのある西洋種はバター炒め、葉の柔らかい東洋種はサラダやお浸しなどに。
ホウレンソウにはビタミンAの他、ビタミンB群・カルシウム・葉酸、特に鉄分を多く含むため、貧血気味の方にもおすすめ。くせのある西洋種はバター炒め、葉の柔らかい東洋種はサラダやお浸しなどに。
ホウレンソウは春植え(2月植え・3月植え・4月植え)、秋植え(9月植え・10月植え・11月植え)が可能です。収穫は種まきから1.5~2か月です。
中間地以西では厳寒期を除いて1年中栽培が可能ですが、秋まき秋冬栽培は、秋の長雨や台風の影響、それによる病害の発生が起きやすいので注意しましょう。
夏まき夏どりでは最も抽苔しやすく立ち枯れ病など土壌病害も発生しやすい作型です。初心者は夏まきは避け春まきか秋まきがおすすめ。
夏まきで育てる時は耐暑性のある品種を使うと失敗が少なくなります。
ホウレンソウを育てるときのプランターサイズは小型サイズ(45㎝~)または、中型タイプ(60㎝~)で育てましょう。
ホウレンソウは数センチ間隔で植え付けて間引きながら育てられるので、植木鉢などでも育てることも十分可能です。
ホウレンソウの栽培に適した用土ですが、プランター栽培の場合は市販の培養土を利用すると簡単です。
自分で作る時は赤玉土6.5:腐葉土2.5:バーミキュライト1を混ぜ合わせた物を使います。
それに石灰を用土10ℓ当たり10g~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせましょう。
ホウレンソウは酸性土壌に弱いため、pH6.0~6.8に調整しておきます。
植え付ける2週間前までに土作りを済ませておき、植え付けの1週間前には元肥を施しておくようにしましょう。
元肥に鶏糞や堆肥などの有機肥料使う場合、種まきの直前に撒くとタネバエの発生を助長してしまいます。有機肥料を使う場合は、遅くても2週間以上前に施肥する様にしましょう。
露地栽培でホウレンソウを育てる時は、種を蒔く2週間前に石灰100g/㎡を施してよく耕して、1週間前に堆肥2㎏/㎡・化成肥料(15:15:15)100g/㎡を施して土作りを済ませておくようにします。
ホウレンソウ栽培に適した畝は高さ10㎝幅60㎝の平畝です。根が張りやすいようにしっかりと耕しておきましょう。
プランターに入れる土の量は上部の縁から3~5㎝ほど低めです。
ウォータースペースを残して培養土を入れておくようにしましょう。
ベランダ菜園では土の量が多すぎると水やりの際に用土があふれて床や排水口を汚してしまうことがあります。
ホウレンソウはどの品種を選んでも上手く育てられますが、植え付けの時期に合った品種を選ぶようにしましょう。
発芽率を向上処理されているもの(プライマー種子)など、発芽率の高い種子を選ぶことがポイント。
例えば「パンドラ」は夏からは早春まき用の品種で、寒さに強く厳寒期でも安心して栽培することが出来ます。
年間を通して育てやすく収量性に優れている「マグワイヤ」、耐暑性・耐寒性ともに優れた品種。
春まき専用品種は「プリウスセブン」や「晩抽赤茎ミンスター法蓮草」、秋まき専用品種は「ディンプル」アクの少ない品種でサラダや生食に向いています。
最近は見かけなくなりましたが、日本で昔から栽培されてきた東洋種の「日本」。純粋な東洋種で葉柄が長く葉の切れ込みが深いのが特徴。食味も良く耐寒性が強い秋~冬まきに適した品種です。
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ホウレンソウは畑に直播きする野菜。条間は10㎝以上確保しないといけませんが、60cmのプランターの場合なら2条撒きも出来ます。
長い棒などで浅めに撒き溝を付けて、そこに1センチ間隔で種を蒔いていきましょう。その後の生育を揃えるために溝の深さを同じにするのがコツです。
マルチ栽培をする場合は、秋まきでは透明ポリマルチに1穴あたり6~8粒ほど蒔いて覆土してやります。
ホウレンソウの発芽適温は15~20℃。25℃を超えると発芽率が下がり、最低発芽温度は4℃、最高温度は35℃とされています。
発芽適温外に種まきすると発芽率が低下して日数もかかってしまいます。発芽日数が長くなると病害や障害が発生しやすくなるので注意しましょう。
ホウレンソウは株間が狭くても十分育ちますが、密植しすぎると葉色が淡く葉肉が薄く株張りも悪くなってしまいます。
他の野菜ほど株間を広くとる必要はありませんが、5㎝程度を確保しましょう。
株を大きく育てたい時は収穫まで2回ほど間引きを行って株間を取ります。間引いた苗ももちろん食べることが出来ます。
ホウレンソウは種まきが終わったしたら、少し多め(5㎜程度)に覆土して、手のひらで軽く押さえておきます。
種を植え付け後はプランターの底から流れ出るくらいたっぷりと水やりしましょう。
種まき後は3日~1週間ほどで発芽が始まります。
発芽してすぐのホウレンソウは茎がとても細くて弱いので、強い雨に直接当たると折れてしまうことがあるので注意しましょう。
ある程度(本葉3~4枚)に育つまでは、雨に当たりにくい場所で育てるのがコツです。
春植えのホウレンソウを育てる時は高温には注意が必要です。(生育適温は16℃~20℃)
高温期に育てる時は、遮光性のあるネットを掛けて光と熱を調整してやります。
低温地域で秋冬植えをする場合は、低温対策を行います。マルチを掛けたり、ホットキャップなどで温度調整してやりましょう。
園芸店やホームセンターで売られているホウレンソウの種は薬剤処理をしているものも多く発芽は良好です。
ホウレンソウの種子には果皮を取り除いたネーキッドやプライミングといった種の周りに発芽を良くする薬剤処理されたものがあります。
これらの種はそのまま種を蒔いても上手に発芽してくれるので初心者の方はこれらの種がおすすめ。
薬剤処理をしていない種は、種をまく前に水に一晩(半日)浸けると発芽が良くなります。
手間は掛かりますが、吸水させた後に水気をよく切りビニール袋に入れて室温程度の日陰で1~2日放置しておくと催芽させることが出来ます。
秋まきの場合は催芽処理(あらかじめ発芽させておく処理)は必要ありません。
ホウレンソウは収穫までに少なくとも2回は間引きを行います。株間をしっかりと確保することが多収穫に繋がります。
1回目は本葉が2~3枚になった頃に株間が3㎝程度になるように間引き、2回目の間引きは草丈が5~7㎝になった頃に株間を5~6㎝まで広げます。間引きのあとは追肥を行いましょう。
ちなみに間引いた苗は間引き菜として、サラダや汁物の具などに利用できます。
ホウレンソウが大きく育たない原因のひとつに間引きが足りないことがあります。株を大きくしたいときは株間を十分に確保して日当たりと風通しを良くしましょう。
間引きを行う時のタイミングですが、本葉が4~6枚になった頃(草丈が8㎝を超えた頃))に行います。株を大きく育てるために、7~10㎝を目安に間引きしましょう。
低温期だと地面に張り付くように葉をひろげるため15㎝は必要です。
その他、ホウレンソウが育たない原因には「酸性土壌になっている」「気温が高い」「水やりが少ない」「元肥と追肥の量が少ない」などがあります。
ホウレンソウは乾燥を嫌いますので、発芽後も乾かし過ぎは禁物です。晴天の日は必ず水やりをしてあげましょう。
プランターでホウレンソウを栽培するときは週に1度水やりを兼ねて液肥を与えると生育が良くなります。
ただし、水やりは天気の良い日の午前中に1回だけ行い、日が陰る頃から夜間は葉が乾いている状態にしておくことがポイントです。
梅雨や秋雨時期など雨が続く時は水やりを控えましょう。多湿環境下では病害が多発するためです。
ホウレンソウは生育の状態を見ながらチッソ成分の多い固形肥料または液体肥料を与えましょう。
追肥のタイミングは間引きを行ったあと。化成肥料10g程度を条間に撒いて、周辺の土と軽く混ぜ合わせ株もとに寄せてやりましょう。
露地栽培でホウレンソウを育てている場合は1㎡あたり20~30gの化成肥料を列の間に施してやります。
草丈が10㎝以上に育った後の追肥は、水やりを兼ねて10日に1回、液体肥料を施してやると生育が良くなり収穫も多くなります。
ホウレンソウは植え付けてから春まきは30日~40日、秋まきは35日~50日ほどで収穫のタイミングを迎えます。
収穫のタイミングは草丈が20~25㎝に育った頃で、大きく育った株から順番に株ごと抜き取って収穫します。
土の質が良ければ35㎝前後まで育てても柔らかい葉を食べられます。ホウレンソウは葉がとても折れやすいので、株元の土を押さえて株全体を持つように引き抜くようにすると良いでしょう。株元にハサミを入れて切り取ってもかまいません。
ホウレンソウは霜や寒さに当たると葉をたんぽぽのように地面に広げる性質があり、栄養と甘みが増し葉も肉厚になります。
ホウレンソウは春になるとトウ立ちして開花します。ホウレンソウは雄株と雌株がある雌雄異株なのでトウ立ちさせる株は複数残しましょう。
ホウレンソウは長日植物なので、花芽分化は西洋種で13~16時間以上、東洋種で12から13時間以上の日長で抽苔が始まります。
株が枯れたら採種開始。種が出来たら乾燥させてから種を取り出しましょう。ホウレンソウの種はイガイガしているのでゴム製の手袋などをはめて作業を行うようにします。
ホウレンソウは高温にとても弱いので、初心者は秋植えからチャレンジしてみましょう。
気温が高くなるとトウ立ちしやすい上、葉が黄色く変色して枯れてしまいます。育てやすいオーライ、エスパー、次郎丸、アトラスなどがおススメです。
ホウレンソウは連作が出来ない野菜なので、最低でも1年間は同じ場所に植え付けしないように注意しましょう。
ホウレンソウによく発生する病害にはべと病(葉の表面に淡い黄色の斑点が発生する病害)があります。
他にも、苗立ち枯れ病(地際部が菌に侵される病害)やモザイク病(葉が縮んだり萎れたりする病害)があります。
初心者が病害にかからないよう上手に育てるコツは病気になりにくい抵抗性品種を選ぶこと。
ホウレンソウは乾燥を嫌いますが、多湿環境になりすぎないように注意しましょう。
畝を高くする、プランターの底に鉢底石を入れるなど、排水を良くする対策で多湿環境を改善することが出来ます。(参考:野菜の病害対策)
ホウレンソウを栽培する時に発生しやすい害虫は、アブラムシ類、ヨトウムシ、ヤガ、メイガです。
害虫を見つけたらすぐに取り除くようにして害虫被害を最小限に抑えましょう。
アブラムシはモザイク病などのウイルス病の感染源となります。間引きを適宜行い風通しを良くすることでも予防できますが、気温の高い時期は寒冷紗をかけるなどして有翅アブラムシの飛来を防ぎましょう。
とにかく害虫は防除が大切です。数が増える前に駆除を徹底することが被害を最小限に食い止める最大のポイントです。
害虫は春まきが発生しやすいので初心者は秋まきからチャレンジするのも良いでしょう。(参考:野菜の害虫対策)
ホウレンソウのコンパニオンプランツは葉ネギです。ホウレンソウの種をまいた周辺に植えると効果的。ホウレンソウにつく害虫は葉ネギを嫌うからです。
また葉ネギはホウレンソウの萎凋病を予防し硝酸を減らす効果も期待できます。