ジャガイモが発芽しない原因と対策を野菜栽培士が分かりやすく解説します。ジャガイモの発芽率を上げるには?ジャガイモの芽が出ない時の対処法は?
ジャガイモの発芽率を上げるには?ジャガイモの芽が出ない時の対処法は?
種イモを植える時期が間違っている
ジャガイモの種まきは春と秋で、気温が15~20℃の範囲が発芽に適した温度です。
種イモを植える時期の気温が適正でも発芽してから収穫までの気温が低すぎたり高すぎると発芽しないことがあります。ジャガイモの生育適温は15~24℃です。
用土が極度に湿っている
夏秋まきのジャガイモが発芽しない原因は土中で腐っていることが多いです。ジャガイモは覆土を厚くするため、水やりが多すぎると過湿気味になります。
気温が高い時期(夏秋まき)の過多の水やりは厳禁です。高温多湿の状態が続くと種イモが腐ってしまいます。
ジャガイモは種イモに含まれる水分と養分でも発芽しますので、過度の水やりは不要です。
休眠期間が終わっていない
ジャガイモは採取してから発芽するまでに休眠期間が必要です。男爵やメークインなど休眠期間が長い品種は発芽するまでに時間が掛かるため、収穫してすぐに植えると発芽せず、秋まきには向きません。
春に植えて夏前に収穫したジャガイモは、品種に問題はなくてもすぐに植えることは避けた方が賢明です。
種イモの植え方が間違っている
種イモが腐ると発芽しなくなります。種イモを切って植えるときは、切り口を下に向けて植えましょう。
下向きにする理由は植え付け後に雨が降ったときに腐敗しにくいからです。
品種が間違っている
ジャガイモには春まきに向く品種と夏秋まきに向く品種があります。栽培時期に合った品種を選ぶようにしましょう。
土壌酸度が適正でない
ジャガイモに適した土壌酸度になっていますか。
ジャガイモは強酸性の土壌(pH5.0未満)を好み、アルカリ性の土壌を極端に嫌う野菜です。
写真のようなペーハーメーターを使ってペーハー値を測定して適正な土壌酸度を確保しましょう。
土壌酸度はpH値で、5.0~6.0の範囲になるように調整しておきます。
温度(気温)が適正でない
ジャガイモは発芽できる温度(15~20℃)でないとうまく発芽しません。発芽適温内になるよう温度管理をしっかりと行いましょう。
春まきの場合は保温して温度を上げる工夫、夏まきでは温度を下げる工夫が必要です。
気温が低い時期はマルチングやトンネル掛けで保温を行う、気温が高い時期は日よけをしたり、風通しをよくしたりして土壌の温度を下げる工夫をしましょう。
ジャガイモの種は発芽率が低め。要点をまとめると、「水の量」「温度の管理」「日照量の管理」です。
適正内の気温になるよう日当たりを調整して適度な水分量を確保することが上手に発芽させるポイントです。
ジャガイモの植え付けは夏秋植えなら8月下旬~9月中旬です。(地域によって多少のズレがあります。)
ジャガイモは30℃を超えると生育が完全に止まってしまいます。夏秋植えの場合は植え付けた後、地温の上昇を抑えるために黒色のマルチや敷き藁を被せてやりましょう。
プランターで育てる場合は新聞紙などでも代用できます。発芽するまでは涼しい場所に鉢を移動させるのも効果的です。
ジャガイモの早掘りを目的とするときや寒冷地など気温が低い場所で栽培するときは、マルチ栽培がおすすめです。
保温にはなるべく透明のマルチを利用しましょう。黒色のマルチは太陽光を遮るため保温効果が低くなります。
フィルム切りの手間を省くために後からマルチを切って種イモを押し込む方法がありますが、この方法では萌芽が少し遅れます。
マルチが芽で盛り上がったらフィルムを切って芽を出してやりましょう。
夏秋まきの気温が高い時期は種イモを切って植えますが、切り方を間違えると発芽率が下がるので注意しましょう。
ジャガイモの導管はストロンから縦に伸びていくため、イモを横向きに切ってしまうと萌芽(発芽)しにくくなります。
種イモは芋の頂部にある親芋と繋がっていたストロン(人間でいうところのへその緒)を切り落とし、そこを頂点にして芽数が均等になるように縦に半分に切って植え付けましょう。
ジャガイモは植え付けの1週間ほど前から日光を当てておくと発芽と芽の緑化が促されます。これを浴光催芽といいます。
直射日光でなくてもコンテナや紙袋に入れて屋外に2~3週間ほど置いておくと発芽率がよくなり芽が出るようになります。
春植えのジャガイモは日光に当たると皮が緑色に変化する性質があります。緑化したジャガイモはソラニンという有害物質が含まれているためです。
食用としては向きませんが、種イモとして使う場合は問題はありません。
ジャガイモは切り口が湿ったままだと腐敗して発芽不良の原因となります。
すぐに植え付ける時はケイ酸白土や草木灰を付けて乾燥させ、すぐに植え付けないときは2~3日ほど反日蔭でしっかり乾燥させるようにしましょう。
乾燥させることで切り口にカルス(傷口を塞ぐために増殖する組織)が形成されます。