家庭菜園では寒冷地や気温が低い時期などに、トンネル栽培やべた掛け栽培を行います。どちらも野菜を上手に育てるために重要な作業です。トンネル掛けとべた掛けそれぞれの目的と作り方について解説します。
トンネル栽培とはトンネル状にフィルムや寒冷紗で被覆して、野菜の防寒・防霜・保温・害虫防除を行うことです。
冬は地域によっては霜が降りたり北風の影響で低温にさらされたりして野菜の生育が悪くなります。トンネル栽培をすることで低温などの影響から野菜を守ることが目的です。
トンネル栽培は掛ける資材を変えることにより、保温・遮光・防虫・防鳥などの対策も可能です。トンネル栽培をうまく使えば無農薬で野菜を育てることができます。
トンネル栽培で使う資材の種類には、「普通フィルム」「防虫ネット」「寒冷紗」「不織布」「遮光ネット」などがあり、それぞれ使う用途が違っています。それぞれの特徴を理解して、上手に使い分けましょう。
普通フィルムでのトンネル栽培のメリットは何といっても保温効果。真冬でも日中トンネル内の温度がかなり高くなります。
ただし通気性がないので、春以降や気温が高い日は換気が必要。保温効果は薄れますが、穴あきフィルムを使えば換気の手間が省けます。
害虫防除以外にも保温性と防風効果もあり通気性も良いのが防虫ネットの特徴。
ネットの網目が小さいものを選ぶと、コナジラミなどの小さな害虫も防ぐことができます。
遮光ネットは名前の通り日光を遮ることを目的としたものです。
遮光率は50~90%以上までと幅広い範囲があり、育てる野菜と季節によって使い分けましょう。防虫や防風効果も併せ持ちます。
通気性と吸水性・遮光性があり、保温・凍害・霜害も防ぐ万能な資材です。トンネル掛けでは一般的によく利用されています。(寒冷紗の使い方)
①トンネル用の支柱を畝の周りに50~60㎝間隔になるように立て、資材(フィルムや寒冷紗)を覆い被せる。
両端に斜めの支柱を加えると強度が増します。
②トンネルの両端を括ってとめます。
風が強い地域の場合は端部に杭などを打って杭に端部を括りつけると良いでしょう。
③風や強い雨で資材が持ち上がらないように被せた資材の上からトンネル支柱を斜めに差し込む。
風の強い地域は資材の周囲を土などで埋めて補強しましょう。
トンネル栽培と似ている「べた掛け栽培」というものがありますが、こちらはトンネル状にしないで、野菜に直接被覆して防寒・防風・害虫などを防ぐ方法です。
べた掛けには地表面を直接被覆する方法と空間を少しだけ確保する方法がありますが、トンネル栽培よりも薄い資材を用いるのが特徴です。種蒔き時や幼苗期に抜群の効果を発揮してくれます。
それでは「トンネル栽培」と「べた掛け栽培」について、更に詳しく説明していきます。
べた掛けは野菜に直接被せて育てます。トンネル栽培と同様に「防寒」「防風」「防虫」「防鳥」が主な目的。
べた掛けに使う資材は「寒冷紗」と「不織布」がありますが、苗の圧迫が少ない「不織布」の方が一般的にはべた掛けにはよく使われています。
不織布には大きく2種類あって、軽くて目が詰まっている「長繊維不織布」は保温と防虫効果に優れています。も1つは目が不規則ですが耐用年数が長い「割繊維不織布」で保温と遮光を目的にして使われます。
ホウレンソウやコマツナなどの軟弱野菜でべた掛けをすると、発芽の促進・保温効果による生育増進・害虫の防除が期待できます。豆類の鳥害防止にもべた掛けは有効な手段です。
次のページでは、種まきと苗作り(育苗)のコツとポイントについて詳しく解説します。
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