カボチャの栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、収穫までの作業を野菜栽培士が分かりやすく解説します。
Contents Menu
YouTubeで解説「カボチャの育て方」。動画とテキストをセットで使うと、より理解が深まります。チャンネル登録おすすめです。
カボチャは病害に強く連作も可能で初心者向けの野菜です。栽培の手間がかからず、長期保存も可能なことから家庭菜園でも人気です。
カボチャは苗からはもちろん、種からでも簡単に育てる事ができます。春になるとホームセンターや園芸店ですぐに植え付けできる大きさの苗が販売されているので誰でも手軽に入手できます。
カボチャは栄養が高く、カロチン(ビタミンA)をはじめ、ビタミンB群・ビタミンC、食物繊維、カリウムなどが豊富に含まれます。
科名 | ウリ科 |
別名 | ナンキン・南瓜 |
草丈 | 1.8~2m以上 |
連作障害 | あり(1年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 100cm以上 |
畝幅 | 70~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 25~28℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
種まき時期 | 3月~4月 |
発芽日数 | 4日~7日 |
苗植え付け時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
カボチャ春が栽培時期です。カボチャの種まき時期は3月中旬~4月で、苗の植え付け時期は4月上旬~6月です。
収穫まで種まきから約3.5か月ほどで、収穫適期は6月中旬~9月下旬頃になります。
カボチャの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
カボチャ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。葉野菜用で肥料入りの用土がおすすめです。
カボチャの栽培用土を自分で配合する場合は、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1を混ぜたものを使いましょう。
土を混ぜたら酸度調整も忘れずに。カボチャに適したpHは6.0~6.5の間です。用土には化成肥料を用土10ℓ当たり10gを混ぜ合わせます。(堆肥でもOK)
植え付けの2週間前には酸度調整を済ませて、1週間前には元肥を入れておきましょう。(土作りをしてすぐに植えると根を炒めてしまうことがあります。)
プランターに用土を入れるときは、ウォータースペース(水が溜まるスペース)を作るため、鉢の8分目程度(淵から2~3㎝)にします。
水やりのときに水や泥があふれるのを予防することができます。
畑(露地栽培)でカボチャを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。
畑に植え付ける場合は、種植えの約2週間前に、石灰を150g/㎡・堆肥を3kg/㎡・化成肥料を(15:15:15)150g/㎡を畑に施して土作りを済ませておきます。
カボチャ栽培に適した土壌酸度(pH値)は、6.0~6.5です。
苦土石灰をを入れて酸度調整をしておきましょう。pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g(60cmのプランターで約50g)が目安です。
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので、最低でも約2週間前には酸度調整を完了させておきましょう。
カボチャに適した畝は、幅100~120cm、高さ10~15cmの平畝です。根が広がるので広い範囲をしっかりと耕しておきましょう。
カボチャは種からでも簡単に育てられます。気温が高くなったら直まき。気温が低い時期はポットで苗を育てて移植する方法がおすすめ。
カボチャの種まきで注意するのは温度の管理です。
発芽には20℃以上の温度が必要ですが、3月はまだまだ気温が低いので日当たりのよい風の当たらない場所や、ビニルハウスなどで保温しながら発芽させましょう。
カボチャの種をまく時期は、直まきは4月中旬以降の日中の気温が20℃を超えるようになってから。ポットまきは3月中旬以降です。
カボチャの発芽適温は22~25℃です。カボチャの種を直まきするときは温度管理が難しいため、時期外れにまいてもうまく発芽しません。発芽には20℃以上あるのが理想です。
発芽適温(25℃~28℃)を満たしていれば、通常なら3~5日で発芽します。気温が25℃前後で約4日、20℃前後で約5日、15℃前後で約6日が発芽日数の目安です。
種のまき方ですが、種のへそ(尖った方)を下向きにして1か所あたり2~3粒まき、10~15mmほど土を被せます。
種を埋める深さは種の大きさの2~3倍が目安です。カボチャは嫌光性種子といって太陽光が強いと発芽しにくい種ですが、深くまきすぎても発芽不良の原因になります。
気温が低い時期は、トンネル掛けやプラスチック製のドームキャップなどを被せて保温しておくと発芽が早まります。
カボチャは種をまいてから約1ヶ月ほどで、本葉3枚までに株が成長します。
・気温が低すぎたり高すぎたりすると、種が発芽せずに死んでしまうことがあります。
・水やりを開始してから1週間以上たっても芽が出ないときは種をまき直しましょう。
・種まき後から発芽するまでの間は、土の表面が乾いたらこまめに水やりをしましょう。
(もっと詳しく:カボチャが発芽しない原因と対策)
カボチャは本葉が出たら、元気の良い苗を1本残して他の株をすべて間引きましょう。そのまま本葉の数が3~4枚になるまでポットで育てます。
発芽した苗が寒さに当たると枯れてしまうことがあるので注意しましょう。
カボチャを種から育てるのが難しいと感じる方は、ホームセンターや園芸店で販売している苗から植え付けるのと失敗が少なくおすすめです。
カボチャは4月下旬以降が苗の植え付け適期です。6月上旬頃までなら苗を植え付けても収穫までに間に合います。
日中の気温が20℃を超えるようになったら。カボチャの生育適温は20℃~30℃です。
カボチャの苗の植え付け方ですが、苗を植える場所に根鉢より一回り大きな穴を開けて、根鉢を壊さないように丁寧に植え付けます。
表面の根が少し見える程度(根鉢の表面と用土が同じ高さ)になるように根鉢を置き、植え付け後に株元に周辺の土を寄せて軽く手のひらで押さえておきます。
遅霜が発生する地域は霜の発生がなくなってから畑に植え付けるのがポイントです。霜に当たると苗が枯れてしまうので注意しましょう。
カボチャは日あたりがよく地温が高い場所で、かつ排水のよい環境で育てることが成功のポイントです。
春先で気温が低い時期に定植する(苗を植え付ける)ときは、約1週間前に黒色のマルチや敷き藁をかけて、地温を上げておくと苗の生育がよくなります。
カボチャは「地這え」という地面を這わせて栽培する他に、支柱を立てて上へと伸ばす方法があります。
カボチャの支柱を立てる時期は、苗を植え付けた直後からつるが伸び始めた直後です。
ミニカボチャや限られたスペースで栽培するときは支柱栽培がおすすめです。支柱を立てたあとネットを張り、つるを紐などで縛ってネットに誘引してやりましょう。
カボチャは地這え栽培と支柱栽培のどちらでも収穫量に大きな違いはありません。地這え栽培は場所をとるので、十分なスペースがないときは支柱栽培がおすすめです。
カボチャは果実が重くなるので、支柱は合掌式の支柱(上部をV字で繋ぐ支柱)や、あんどん型の支柱を立てましょう。
カボチャは放任でもそれなりに実はなりますが、「整枝」という茎(つる)を整理する作業を行うと、果実のつく数が増えて球のサイズも大きくなります。
整枝を行う時期は、親づるが伸びたとき、子づるが伸びたとき、孫づるが伸びたときです。
整枝の方法は品種によって異なります。大きくは3パターンです。
1つ目は「親づる(中心のつる)だけを伸ばす方法」、2つ目は「親づるを摘心して子づるを数本伸ばす方法」、3つ目は「親づるも子づるも放任で伸ばす方法」です。
西洋系のカボチャは親つるに実がよくなる品種が多く、日本カボチャは親づるより子づるに実がよくなります。
実がなるつるが親づるなのか、子づるなのか、孫づるなのかでどの整枝のやり方をするのかを決定しましょう。
親づるに実がなる品種は親づる以外の子つるは本葉を2~3枚残してその先ですべて摘み取ってしまいましょう。
は、親つるの株元から伸びる2~3本だけ残して実を着けさせます。親づるは5~7節目(本葉5~7枚目)あたりで摘み取り、後から伸びる子づるはすべて摘み取りましょう。
孫づるは本葉を2~3枚残して先端を摘み取ります。
は親づるを5~7節目(本葉5~7枚目)あたりで摘み取り、子つるを2~3本だけ残して孫づるは伸ばして実をつけさせます。あとから親づるから伸びる子づるはすべて摘み取りましょう。
地這え(支柱を立てずに)でカボチャを育てるときは、蔓が伸びる先に敷き藁やマルチシートなどを敷いておくと雑草が生えるのを予防できます。
カボチャは気温が低かったり昆虫などの飛来が少ない場所ではうまく授粉しないことがあります。
一番花を確実に授粉させて1番果をつけることが、後の収量を増やすポイントです。
カボチャは自然に授粉するようになるまでは人工授粉を行ってやるといいでしょう。
カボチャは同じ株同士ではなく別の株の雄花と雌花で受粉させると授粉はうまくいきます。
カボチャには雄花と雌花があります。雌花は花弁(花びら)の下部がぷっくりと膨らんでいますが、雄花の下部は膨らんでいません。
ただし、1株しか育てていないときは同じ株同士の授粉でも問題ありません。
開花日の朝9時頃までが花粉の量が最も多い時間帯です。風などで花粉が飛んでしまったあとでは、うまく結実しないことがあります。
受粉日を記入したラベルなどを果実に吊るしておくと、収穫までの日数管理 がしやすくなるのでおすすめです。
玉直しと言うのは果実が大きくなる途中で、カボチャの色や形を整えるために行う作業のことです。
カボチャの実が黄色く変色したり、色むらが出来るのは日光の当たり方に問題があります。
味や風味にはあまり影響はありませんが、気になる方は玉直しを行いましょう。
カボチャの果実が握りこぶしほどの大きくなったら、花弁が付いていた方を下に向け果実の下にプラスチックのトレーなどを敷いておくだけです。
収穫の1週間~10日前になったら果実のひっくり返して反対側にも日光が当たるようにしてやりましょう。
カボチャのプランター栽培では、プランターごと回して果実全体にバランスよく日光が当たるようにしてやります。
カボチャは生長に合わせて水やりの量を変えましょう。正しく水やりを行うと健康な苗に育ち、立派な果実を実らせることができます。
カボチャの水やりの方法ですが、種まき後から発芽までの間と、苗を植え付けてから根づくまでの間は、水切れを起こさないようにこまめに水やりをしましょう。
苗が根付いてからは、用土の表面が乾いたタイミングで水やりをすればOKです。毎日与える必要はありません。(水分の与えすぎは病害の発生を助長してしまいます。)
水やりのベストな時間帯ですが、夏場の水やりは朝は気温が上がる前、夕方は夜間を避けて気温が下がり始める時間帯に行います。
とくに高温期(夏場)は、気温が上がり始める時間帯やその日の最高気温になる時間帯に水やりをすると、太陽光で葉や根が焼けてしまって株を痛める原因になってしまいます。
カボチャの追肥のポイントは1番果が着果してすぐに追肥を施さないことです。追肥の時期は果実が大きくなり始めたときです。
カボチャは、1番果の着果後に果実が子供の握りこぶし大程度の大きさになった頃に1回目の追肥を与えましょう。
2回目以降は2~3番果の着果後に与え、その後は2~3週間に1回のタイミングで与えます。
カボチャの追肥はカリ成分を多めに化成肥料20g~30g(一握り)ほどを、株元から離れた位置に施して表面の土と混ぜ合わせておきます。
露地栽培では畝の肩にまいて土と混ぜ合わせてから寄せておきます。
チッソ分の多い肥料だと茎葉ばかりが茂って(つるぼけして)実が大きくなりません。
追肥の量と回数の調整方法ですが、葉の色が濃いときや茂りすぎているときは追肥をストップします。
カボチャの追肥は株の生育状態を見ながらタイミングよく与えましょう。
カボチャは1株から5~6個の果実を収穫できます。収穫してすぐに食べるより追熟させた方が糖度が増して甘くなります。
収穫まで日数の目安ですが、西洋カボチャは開花してから40日~50日、日本カボチャが約35日~40日が目安となります。
カボチャは受粉した日から日数を計算して収穫するのが簡単な管理方法です。
カボチャは「果こう」と呼ばれるつると実を繋いでいる「へた」の部分が白くひび割れてコルク状になったら収穫適期です。
果実の表面がつるっとして滑らかなものは未成熟で、皮の表面に深い溝があり、艶がなくなったものが熟している状態です。
収穫する時はハサミで果こう(へた)を切り取って収穫しましょう。熟したカボチャのへたは固いので、切るときに怪我をしないように注意しましょう。
カボチャを収穫したあとは、風がよく通る日の当たらない場所に置いて1週間ほど切り口を乾燥させます。
カボチャは収穫したあと、1~2か月ほど置いて追熟すると糖度が増して甘みが強くなります。常温でも3か月以上は保存ができます。
カボチャは強く丈夫な野菜ですが、多湿環境が続くとうどんこ病や疫病が発生します。
カボチャは多湿には弱いので、排水対策をしっかりと行うことが病害の発生を予防できます。
露地栽培では排水経路を確保して、プランター栽培では鉢底石を敷き詰めるなどして土壌の排水性を高めましょう。
とくに地這え栽培では多湿環境になりがちです。つるの生長にあわせて敷き藁を増やすことで、接地面の多湿環境を改善できます。
カボチャの病害を予防するには、茎や葉が繁りすぎて風通しが悪くならないようにすること。周囲の雑草を取り除き風通しを良くすることも、病害発生の予防になります。
カボチャに発生しやすい害虫はウリハムシ(ウリバエ)です。葉を食い荒らす害虫です。
ウリハムシをはじめ、カボチャの害虫の防除には、こまめな雑草取りが有効です。
害虫対策は早期発見が大切です。虫食いによる食い跡がないかなど葉の状態をよく観察して、害虫の発生を確認したら早めに駆除しておきます。
害虫が大量に発生してしまった時は被害が拡大しないように薬剤の使用も検討しましょう。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetablesBeginnersGuide!
YouTubeの動画でも野菜の育て方や野菜作りのコツなどを分かりやすくご紹介しています。チャンネル登録おすすめです。