ニガウリは春が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い土壌に1か所あたり3粒ほど深さ1cmで種をまいて、本葉が2~3枚の頃に元気な苗を1本に間引きます。管理作業は、支柱立て・水やり・追肥・土寄せなどです。収穫までは約3.5か月です。
ニガウリの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
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YouTubeでもニガウリの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★☆☆☆☆
ニガウリは沖縄の郷土料理の食材としても有名なウリ科の野菜です。原産地はアジアの熱帯地方で暑さに強く育てやすい菜園野菜です。
乾燥に強く病害虫もほとんど発生しないため、手間いらずで簡単に育てられる家庭菜園初心者に超おすすめの野菜。別名「ツルレイシ」「ゴーヤー」とも呼ばれています。
夏の暑さ対策として「ニガウリのグリーンカーテン」はとても人気があり、ネットを張り日よけとしての栽培もおすすめ。
ニガウリにはカロチン(ビタミンA)・ビタミンC・カリウムなどの栄養素が豊富に含まれています。ニガウリは炒め物にしたりサラダにしたりと様々なお料理に使えて便利な夏野菜。
ニガウリはとにかく夏の暑さには強いのが特徴です。多くの野菜は夏の高温に弱いのですが、このニガウリは暑くなるほど、株がどんどん伸びて葉は生い茂り成長が活発になります。
病害や害虫に強く、初心者でも失敗が少ない人気の野菜です。
科名 | ウリ科 |
別名 | ゴーヤー・ゴーヤ・苦瓜・ツルレイシ・カッタイカヅラ・キンレイシ・にがごいなど |
草丈 | 2~2.5m以上 |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 60cm以上 |
畝幅 | 60~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
種まき時期 | 3月~5月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約3.5か月 |
ニガウリは春に植える野菜です。ニガウリの種まきは3月~5月、苗の植え付けは4月~5月が適期です。収穫期間は種まきから約3か月(7月~10月頃まで)
ニガウリの育てやすい品種は、「さつま大長れいし」「白れいし」「あばしゴーヤ」「島さんご」などです。
ニガウリはどの品種を選んでも基本的にはよく育ちます。
育てる株数が少ないときやニガウリの栽培が初めての方は園芸店などで苗から購入して育てるのも良いでしょう。
ニガウリはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。ニガウリ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
ニガウリの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ニガウリは根を広く張る為、栽培に適したプランターサイズは大型サイズ(60㎝以上)で深底タイプ(深さ30㎝以上)を利用します。
ニガウリの株間は40㎝以上なので、大型サイズのプランターでも1株だけにしましょう。
小さなプランターだと根が広く張れず、株の生育や収穫量に影響が出ることがあります。
ニガウリ栽培に使う用土は市販の野菜の土(実野菜用)を利用すると袋を開けてすぐに植え付けができるのでおすすめです。
自分で用土を配合して準備するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1を混ぜ合わせたものを使いましょう。
それに石灰を用土10ℓ当たり10gと、元肥として化成肥料を用土10ℓ当たり10~30g混ぜ合わせておきます。
プランターに用土を入れるときは、鉢の淵から2~3㎝ほど低い位置までにして、ウォータースペースを確保しておきましょう。
これは水やりのときに用土がこぼれて汚れないようにするためです。
ニガウリの露地栽培の土作りは、種まき(苗の植え付け)の2週間前までに酸度調整を終わらせましょう。
ニガウリに適した酸度はpH6.0~6.5です。植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので注意が必要です。
1週間前になったら元肥を入れて畝を作っておきます。元肥は全面施肥で、堆肥を3kg、化成肥料(15:15:15)を100gを施しておきます。
畝は用土をよく耕してから作りましょう。畝は平畝で、畝幅は70~80cm、畝の高さは10~15cmです。
ニガウリは、畑に直接種をまく「直まき」とポリポットに種をまく「ポットまき」があります。ニガウリの種は一昼夜、水に浸けておくと発芽が揃いやすくなります。
水を入れた種コップに入れると良い種は下に沈むので、沈んだ種を選んで植え付けましょう。この方法で発芽しない種を見極めることができます。
ニガウリの種まき適期は3月下旬から5月下旬です。低温では発芽しないため日中の気温が20℃を超えてから。
ニガウリの発芽適温は25~30℃です。発芽適温が高いので、4月上旬以降の種まきがおすすめ。気温が20℃を超えてから種まきをすると発芽が揃います。
栽培環境にもよりますが、種まき後3~5日で発芽します。発芽適温から大きく外れていると日数は前後します。(もっと詳しく:ニガウリが発芽しない原因と対策)
気温が低いときはポットまきして保温しながら育苗し、気温が十分に高く(20℃以上に)なったら直まきをします。
ニガウリは日中の気温が20℃を超えるようになったら直まきできます。種は株間を50~60㎝確保して、1か所あたり3~4粒、点まきします。
瓶の底を押し当てて深さを一定にして種をまくと発芽が揃いやすくなります。種をまく深さは1cm前後、種の大きさの2~3倍が目安です。
気温が低いときは、ポットに種をまいて苗が植え付けに適した大きさ(本葉が3から4枚)になるまで育てましょう。
ニガウリの種をポットまきをするときは、ポリポットに種を2~3粒ほど点まきします。ポットに入れる用土は少なめにしておき、種を置いたあとに1cmほど用土を被せましょう。
・ニガウリの種まきのポイントは、種の尖った方(突起がある面)を下に向けて埋めることです。
・種をまいてから発芽するまでの間は、用土が乾かないようにこまめに水やりを行うのが上手く発芽させるポイントです。
・種まきときの気温が低いときは、トンネル掛けやホットキャップなどで保温すると生育がよくなります。
ニガウリの種は数年間は保存ができます。種は冷暗所(温度と湿度が安定した場所)に保管しておけば、翌年以降も利用することができます。
発芽して本葉が2~3枚になったら1本立てにします。
生育の悪い苗、茎葉が傷んでいる苗病害虫の被害にあっている苗を間引きましょう。
本葉が3~4枚になるまでポットで育てます。
種から植えると株数が多くなるので、少ない株数で良いという方やニガウリ栽培が初めてという方は苗から購入して育てると良いでしょう。
ニガウリの苗は、本葉が3~4枚程度で葉や茎の緑色が濃く節間の詰まった茎の太い苗が丈夫で良い苗です。
苗から植えるときのポイントは気温が十分に上がってから植え付けることです。気温が低いと根付きが悪く生長も遅くなります。
ニガウリの植え付け適期は4月下旬から6月上旬まで、本葉が3~4枚になった頃で、つるが伸びていない段階で植え付けましょう。
ニガウリは根を広く張るため株と株の間隔をしっかりと確保しましょう。プランター栽培では1つのプランターに1株まで、露地栽培では最低でも60cm以上間隔を空けます。
ニガウリは苗を根付きやすくするために、ポットを半分ほど水に浸けて吸水させ、水を切っておきましょう。
ニガウリは苗が小さいうちに支柱を立ててネットを張っておきましょう。
ニガウリは1つの苗に1本の支柱を立てます。
主茎(中央の太い茎)が伸びてきたら、紐でゆるく結んで支柱に誘引しておきましょう。
支柱につるが絡み始めたら、株を挟むように両側に支柱を立ててネットを張ります。
親づるから伸びる子づると子づるから伸びる孫づるをネットに誘引していきます。
子づると孫づるは最初のつるをネットに絡ませておけば、あとは勝手に絡んでいきます。
子づるはV字に広げて伸ばすと管理がしやすく、限られたスペースを有効に利用できます。
ニガウリは基本的に放置でも育てられますが、より多くの果実をつけさせるために親づるの摘心を行いましょう。
ニガウリは親づるに雌花があまり咲かず、子づると孫づるに雌花が多く咲いて果実がつきます。
親づるの本葉が6~7枚になった頃に、先端を手で摘み取ってしまいましょう。
親づるを摘み取ることで子づるが伸びるようになります。子づると子づるから伸びる孫づるは放任で育ててもかまいません。
整枝とは不要な茎葉を摘み取ることです。つるが伸びて茎葉が込み合ってきたら整枝を行いましょう。
ニガウリは放任で育てますが、茎葉が込み合ってきたら摘葉を行います。ネットに絡まずに垂れ下がった子づるや孫づるは先端を切って整理していきましょう。
畝やプランターからはみ出して伸びたつるも整枝します。ところどころに空間があるくらいがベストな状態です。
整枝をすることで株の風通しが良くなり、果実に日がよく当たるようになります。
苦瓜は種をまいてから発芽するまでの間と苗を植え付けてから根付くまでの約1週間は、たっぷりと水やりをしましょう。
苗の生長が始まってからの水やりは、用土の表面が乾いたタイミングで行います。
ニガウリは乾燥に強く多湿に弱い野菜です。
実が着き始めるまでは1日に何回も水やりをする必要はなく、用土の表面が乾いたときのみ水やりをすればOKです。
果実がなり始めたら朝と夕方の涼しい時間帯が水やりのタイミングです。
日射が強いときや温度が高いときに水やりをすると、根や茎葉を傷めてしまうので注意しましょう。
ニガウリは最初の果実が膨らみ始めたときが1回目の追肥時期です。旺盛に育ち収穫期間も長いので、追肥は2週間に1回の頻度で定期的に施しましょう。
プランター栽培の場合は、果実が膨らみ始めたときが追肥のタイミングです。
露地栽培では地力があるので元肥を中心に育てますが、生育が悪いと感じたときは果実がつきはじめた頃に施します。
2回目以降の追肥は、1回目から2~3週間おきに施しましょう。
プランター栽培では化成肥料10gを縁に沿ってまき用土を足して隠しておきます。水やりを兼ねて1週間に1回、液肥を与えてもかまいません。
露地栽培では、畝の端に浅く溝を掘って、化成肥料を20~30gを均一にまいて土を被せておきます。
ニガウリは栽培期間が長いので、実がなりだしたら肥料切れを起こさないことがポイントです。
果実がなるまでの期間は無理に肥料を与える必要はなく、株の成長が遅いときにのみ施しましょう。
ニガウリの成長は早く開花してからあっという間に実が大きくなります。収穫適期を逃さないようにしましょう。
ニガウリは着花してから約15~20日経った頃の緑色をした完全に熟す前の果実を収穫する野菜です。
ニガウリは熟すと果皮が黄色くなって果実が裂けるので未熟なうちに収穫しましょう。収穫適期の大きさ(長さ)は品種によって変わります。
見た目で収穫適期を判断するには、果実の表面の凸凹が大きくなり、ツヤが出てきたときです。
ニガウリを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送るからです。
気温が上がってからではみずみずしさが失くなってしまいます。また気温が高くなってから収穫したものは傷みも早くなります。
ニガウリのつるはとても固いので、ハサミやナイフを使って柄を切り取って収穫しましょう。
収穫適期を過ぎた果実を残してしまうとみるみる株が弱まってしまいます。草勢が弱いままだと実なりが悪くなりいずれ枯れてしまうので注意しましょう。
ニガウリの草勢が弱まったときは、実を早取りして株を回復させれば大きな実を再び着けてくれます。
ニガウリは病害に強い野菜なのでさほど心配はいりませんが、青枯れ病・うどん粉病・苗立枯病・モザイク病の病害に掛かることがあります。
ニガウリが病害になる原因は、密植して植えすぎている、灌水量が多過ぎる、肥料が適切な量でない、枝葉が込み合って日光・通風不足なっている、土壌の排水が悪いなどです。
病害にならない畑作りに心掛けることはもちろんですが、万が一病害にかかったときは早急に対応することが大切です。(参考:病害の種類と対策)
ニガウリを栽培するときに発生しやすい害虫は、ウリノメイガ・オオタバコガ・タバココナジラミ・トマトハモグリバエ・ウリキンウワバ・ハダニ類・ハムシ・センチュウ類・ハンスモンヨトウなどです。
害虫の対策ですが、吸汁する害虫には定植ときに防除粒剤を施したり発生初期に薬剤を散布したりなどして駆除できます。
薬剤を使う事に抵抗がある方はシルバーマルチやシルバーテープなどを設置して飛来を防ぐのも有効です。
ニガウリは苗が小さい時期に害虫の被害に遭いやすいので、害虫の飛来防止にトンネル掛けが有効です。
ウリノメイガなどガの幼虫に食害を受けると、一晩で苗が全滅してしまうこともあります。
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