アピオスは春から秋が栽培時期で収穫まで約5か月です。芽出しをした後に深さ約5cmで種イモを植えます。収穫までは摘花をしながら栽培を続けます。主な作業は摘花・支柱立て・水やり・追肥などです。
アピオスの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種イモの植え付け適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種イモの植え方・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
アピオス栽培の流れ
栽培難易度 ★★☆☆☆
アピオスは病害の被害も少なく丈夫で育てやすく栽培難易度は低めです。つる性で夏以降に草丈が一気に伸びるので、支柱を立てネットを張って誘引しながら育てましょう。
アピオスはマメ科ホドイモ属のつる性の植物で、地中にできるイモを食用にする根野菜です。北アメリカ原産の野菜で、古くはインディアンが薬用イモとして食用にしていました。
日本へは明治中期頃に渡来していて、味はクセがなくジャガイモとサツマイモを合わせた感じで栗のような食感がします。
本来は多年草ですが日本では一年草として栽培します。成長すると草丈が最大2m以上にもなるため、支柱にネットをはって空中栽培しましょう。
8月になるときれいな花が咲きますが、株が弱ってしまうため摘花を行ってイモを大きく太らせるのがポイントです。
正式名はアピオスといい、「アメリカホド」や「ポテトビーンズ」とも呼ばれます。日本の在来種はアピオスが野生化した「ほど芋」です。
科名 | マメ科 |
別名 | アメリカホド・ポテトビーン・グランドナッツ・ホド・ほど芋など。 |
草丈 | 2~4cm |
連作障害 | あり(3~4年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 50cm以上 |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 20~25℃ |
芽出し時期 | 4月 |
発芽日数 | 30日~50日 |
苗植え付け時期 | 5月 |
収穫時期 | 種まきから約5か月 |
アピオスの栽培時期は春~秋にかけてです。芽出しは4月から、種イモの植え付けは5月で、収穫までは種イモを植えてから約5か月です。
アピオスの商品名は多くありますが品種は1つです。どれを選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません
アピオスは「アメリカホド」「ポテトビーン」「グランドナッツ」「ホド」「ほど芋」などの商品名で、種イモや苗が販売されています。
アピオスはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
アピオスの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
アピオス栽培で利用するプランターサイズは大型(75cm)以上の深型ものを利用しましょう。
品種にもよりますが、大型サイズのプランター1つに対して1株の栽培が可能です。
アピオス栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
アピオスの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
アピオス栽培で作る畝は、畝幅は70cm~80cm(1条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
アピオスは発芽までが長いので芽出しをしてから植え付けする方法がおすすめです。温度が15℃以下では発芽が悪くなるため、保温しながら芽出しをしましょう。
アピオスは直まき時の気温が低いと発芽に日数がかかります。
寒冷地や低温期は、温度管理ができる場所で種イモを発芽させてから畑に植え付けましょう。
※ポリポットでの芽出しのやり方は、アピオスのポットまきを参照ください。
アピオスは直まきとポットまき(苗作り)ができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
アピオスの種イモの植え付け適期は、ポットまきは4月~5月で直まきは5月です。
アピオスは15℃~25℃が発芽に適した温度です。
アピオスは発芽適温内なら30日~40日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(もっと詳しく:アピオスが発芽しない原因と対策)
アピオスを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
アピオスは、つるに勢いがあって葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が2~3枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
アピオスの苗の植え付け適期は、5月~6月上旬です。
アピオスは20℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
アピオスの苗を植える間隔は50cm以上です。
アピオスは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
アピオスはつる性で草丈が2m以上になるので支柱を立てて空中栽培しましょう。
アピオスの支柱立ては生育がよくなる5月下旬から6月上旬にに行います。支柱立が遅れると伸びたつる同士が絡まってしまうので注意しましょう。
アピオスは草丈が2m以上になるので高さ2mほどの支柱を立ててネットを張ってつるを広げて誘引しながら栽培します。
ネットを張らずに支柱につるをらせん状に巻きながら栽培する方法もあります。その際は途中で3か所ほど紐などで固定します。
アピオスは高温を好む野菜です。温度が10℃以下になると生育が緩慢になるため、寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げてやりましょう。
アピオスは気温が低いと株の生育が悪くなります。マルチングをすることで保温対策と乾燥対策ができます。
アピオス栽培では夏場以降の雑草取りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
アピオスは花芽ができると根が小さくなって味が落ちてしまうため、花芽(蕾)ができたら早めに摘花を行いましょう。
摘花とは花芽摘みとも言い、蕾を切り取ることで根に栄養を回す作業のことです。
アピオスは7月下旬から8月上旬にかけて開花が始まります。蕾のうちに摘花してしまいましょう。
アピオスは摘花することで根が大きくなります。
アピオスは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
アピオスは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり2~2.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
アピオスの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。アピオスは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
アピオスの追肥は、苗を植え付けてから約1ヶ月後から開始します。
その後は茎葉の状態を見ながら1ヶ月に1回の頻度で与えましょう。葉が黄色くなったときや新しいつるに勢いがなくなった(下向きに伸びる)ときは肥料不足のサインです。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まったら根と果実を大きくするリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
アピオスの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
アピオスは苗の植え付けから約5か月で収穫適期を迎えます。収穫時期は10月です。
アピオスの収穫時期を見た目で判断するときは、地上部の茎や葉が枯れてきたとき(黄変したとき)が収穫のタイミングです。
株元から30cmの範囲の浅い位置にイモは埋まっています。
株元から40~50cmほど離れた場所にスコップを入れて株ごと掘り起こすように収穫しましょう。
アピオスは多年草ですが日本では一年草として扱います。
晩秋には枯れてしまうので、霜が降りる前には収穫を終わらせましょう。
アピオスにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
アピオス栽培でよく見かける病害は「うどん粉病」「炭そ病」「カビ病」「灰星病」などです。
アピオスは病害に強い野菜ですが、病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
アピオスの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
アピオスに発生しやすい害虫は、「クロウリハムシ」「マメドクガ」「アブラムシ類」「カメムシ類」などです。
アピオスは害虫の被害が少ない野菜ですが、春先と秋口に害虫が発生しやすくなります。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
アピオスの苗が小さい時期の支柱立てや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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