チョロギは春から秋が栽培時期で収穫まで約6か月です。指の第1関節の深さに種イモを植えて、水やりと追肥をしながら晩秋まで栽培します。収穫までの作業は支柱立て・土寄せなどです。
チョロギの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種球の植え付け適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・苗作り・種イモの植え方・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
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栽培難易度 ★★☆☆☆
チョロギは栽培期間は長いのですが病害に強く栽培難易度が低い育てやすい根野菜です。日照を好むので日当たりのよい場所で株間を確保して育てるのが失敗しないポイントです。
チョロギは中国原産のシソ科の根野菜です。イモという名がついていますがデンプンは含んでおらず、スタヒオーゼを豊富に含んでいます。
江戸時代には渡来していて栽培の歴史が長く、「ネジリイモ」「ネジイモ」「ヒネリイモ」など多くの和名がついています。
チョロギは地下に形成された塊茎で繁殖する植物なので、種から育てるのではなく、種イモ(地塊茎)や、地下茎から伸びる苗から栽培します。
7月頃には薄紫色をした小さな花を咲かせます。開花前になると草勢が強くなり茎葉が広がって茂りますが、摘芯や摘葉などは不要でそのまま放任で栽培します。
チョロギは日照を好むので日当たりの良い場所で育てましょう。追肥をしっかりと与えて株を充実させると、晩秋に立派な塊茎を収穫できます。
チョロギは梅酢に着けたものを黒豆に添えた正月料理が有名ですが、塩漬け・粕漬け・味噌漬けも人気です。
生のチョロギを使ったホクホクの炒めものや天ぷら、汁物の具、シチューの具などさまざまな料理に利用できます。
科名 | シソ科 |
別名 | ネジリイモ・ネジイモ・ヒネリイモ・長老喜・千代老木・草石蚕・長老木など |
草丈 | 50~60cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 40cm~50cm |
条間 | 60cm以上 |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
芽出し時期 | 3月~4月 |
植え付け時期 | 4月~5月 |
発芽日数 | 10日~15日 |
収穫時期 | 植え付けから約6か月 |
チョロギの栽培時期は春~秋にかけてです。芽出しは3月下旬~4月下旬(苗の植え付けは4月中旬~5月下旬)で、収穫までは植え付けから約6か月です。
チョロギは基本的に在来種の1品種のみですが、さまざまな商品名で販売されています。基本的にはどの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
チョロギは分化した品種は少なく、自生種を親株として繁殖させた種芋と苗が市場に出回っています。
種苗メーカーからは固定種名の「チョロギ(長老喜)」のほか、ネジリイモ・ネジイモ・ヒネリイモ・千代老木・草石蚕・長老木などの名前で種芋や苗が販売されています。
チョロギはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
チョロギの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
チョロギの芽出しや栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
チョロギ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
チョロギの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
チョロギ栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)70~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
チョロギは直植えとポット植えができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポット植えが確実です。
チョロギは適温内なら直植えでも発芽が揃いますが、発芽適温から大きく外れる時期はポットで種イモを芽出ししてから植え付けると失敗が少なくなります。
ポット植えでは苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗してから畑に移植しましょう。
チョロギの植え付け(芽出し)の時期は3月下旬~4月下旬です。
※種まき適期は栽培地の気候などによって前後します。
チョロギは15℃~20℃が発芽に適した温度です。
チョロギは発芽適温内なら10日~15日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(もっと詳しく:チョロギが発芽しない原因と対策)
チョロギの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
チョロギの間引きは本葉が2~3枚になった頃に行います。元気な苗を2本だけ残して残りは間引いてしまいましょう。
チョロギは2本立てで栽培します。
チョロギうぃ植える間隔は40cm~50cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
チョロギを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
チョロギは植え付けから収穫までに6か月以上かかるので、苗の植え付けが遅れると塊茎の肥大に影響がでるので植え付け適期を守りましょう。
チョロギは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が5~6枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
チョロギの苗の植え付け適期は、4月中旬~5月下旬です。
※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。
チョロギは15℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
チョロギの苗を植える間隔は40cm~50cmです。
チョロギは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
チョロギは草丈が高くなると分枝して倒伏状に成長するので支柱を立てて株を支えてやりましょう。
チョロギは成長すると草丈が50cm以上になりますが、茎が細く分枝して倒伏しやすくなります。
茎葉が地面に接すると風通しが悪くなったり、多湿環境になって病害が発生しやすくなったりするため支柱を立てておきます。
支柱の代わりに敷き藁をして、用土に直接触れないようにする方法でも大丈夫です。
チョロギは低温では発芽が遅れたり生育が緩慢になったりします。寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げておきましょう。
チョロギは気温が低いと発芽の遅れや発芽後の生育不良の原因になります。
チョロギの生育初期は土壌の乾燥に弱い一面があるため、マルチングをすることで乾燥対策になります。
チョロギ栽培では夏場以降の雑草取りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
チョロギは栽培段階に合わせて水やり方法と水やり量を変えます。用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
チョロギは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種イモから育てて発芽するまでの間は自然の雨だけで大丈夫ですが、プランター栽培では用土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。
苗から植え付けたときは、約1週間は水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
夏場以降は用土が乾燥しやすいので、水やりの回数を増やして水切れに注意しましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり2.0~2.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
チョロギの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。チョロギは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
チョロギの追肥時期は、苗を植え付けてから約1ヶ月後から、種イモを直植えした場合は最後の間引きが終わった頃からスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら1ヶ月に1回の頻度で与えましょう。葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まった茎塊を大きくするリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
チョロギの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
チョロギは苗の植え付けから約6か月で収穫適期を迎えます。収穫期の目安は11月以降で、試し掘りをしてみましょう。
チョロギの収穫時期を見た目で判断するときは、地上部の茎葉が枯れ始めたときが収穫のタイミングです。
チョロギは広範囲に渡って茎が伸びているので、スコップなどを使ってまわりから広く掘って収穫しましょう。
チョロギは霜が降りるまでに収穫を終えます。
収穫時期が遅れると、茎葉が腐って切れやすくなり、芋が地中に残りやすくなります。
株が完全に枯れ上がる前に収穫しましょう。
チョロギにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
チョロギが病害になって薬剤で治療をすることは簡単ですが、健康を考えると薬漬けの野菜はあまりおすすめできません。
なぜ病害が発生したのか?その原因を突き止めて対策しないと何度も同じ症状が出てしまいます。
病害は治療するだけで終わりにせず、再発しない環境を作ることも同時に考えましょう。
チョロギ栽培でよく見かける病害は「ウイルス病」「青枯れ病」「さび病」「褐斑病」などです。
チョロギの病害が出る主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
チョロギの病害を予防するためには、多湿を避ける(適正な水やり)、日当たりのよい場所で育てる(適正な日照量)、摘葉や適正な株間の確保(風通しを良くする)、用土を丁寧に耕す(通気性と水はけの良い土壌作り)を心掛けましょう。
病害の対策しても何度も同じ症状が出るときは、用土中に病害の原因となる細菌類やウイルス類、線虫など悪影響のある微生物が残存している可能性があります。
露地栽培では太陽熱消毒や水張り消毒などの土壌消毒をする、プランター栽培では容器を消毒してから新しい用土に入れ替えるなどの方法を試してみましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
チョロギに発生しやすい害虫は、「オンブバッタ」「ハダニ類」「メイガ類」「ヨトウムシ類」「アブラムシ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処を減らすことができます。
チョロギの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫を退治しても土中や物陰に潜んで残っています。害虫を残した状態でエサとなる野菜をすぐに植えると、永遠に害虫を絶滅させることはできません。
最低でも1年以上は害虫のエサとなる同じ科の野菜を植えないようにしましょう。害虫のエサをなくして完全に駆除することが大切です。
エサがなければ害虫は生きていくことができません。
害虫の住処や産卵場所となる雑草や野草をなくすことも有効な害虫対策になります。できれば自分の畝だけでなく、栽培地周辺の雑草も減らしておきましょう
実は害虫には好きな野菜と苦手な野菜があります。
チョロギに集まる害虫が嫌いな野菜を一緒に植えておくと害虫を退避させることができ、益虫(害虫を捕食する有益な虫)が集まる野菜を植えておくと害虫を駆除してくれます。
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