サトイモは4月~5月が植え付け適期です。日当たりと水持ちの良い場所に芽出しをしてから深さ10~15cmで種イモを植えます。主な作業はマルチング・水やり・追肥・土寄せなどです。収穫までは約6か月です。
サトイモの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種イモの植え付け適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・苗作り・種イモの植え方・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
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栽培難易度 ★★☆☆☆
サトイモは栽培期間はやや長いですが、栽培管理も少なく日当たりが良い場所なら植木鉢でも育てられるほど、難易度が低く育てやすい根野菜です。
サトイモは東南アジアが原産地で、英名は「taro」、和名は「里芋」です。本来は多年生作物ですが、日本では一年生作物です。
高温多湿を好み、用土の適応性も高く、根野菜栽培が初めての方にもおすすめです。乾燥に弱い一面があるので、高温期は水切れしないように栽培しましょう。
サトイモは収穫前の草丈は1m以上、株の大きさは70cm以上になるので、栽培空間にはある程度のスペースが必要です。
サトイモは種イモから小イモが増えていくことから、お正月の縁起のよい食べものとしても有名です。
イモ類の中でも低カロリーで繊維質が豊富で、美容と健康にもおすすめの野菜です。
科目 | サトイモ科 |
別名 | 小芋(コイモ)・タロイモ・タイモイエツイモ・蓮芋(ハスイモ)・畑芋(ハタイモ)・八つ頭(ヤツガシラ)など |
草丈 | 120~150cm |
連作障害 | あり(3~4年) |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 50cm以上 |
畝幅 | 100~150cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~28℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
植え付け時期 | 4月~5月 |
発芽日数 | 植え付けから約1か月 |
収穫時期 | 植え付けから約6か月 |
サトイモの栽培時期は春から秋です。種イモの植え付けは5月~6月で、収穫までは植え付けから約6か月です。
サトイモの品種は大きく分けると、「小イモを食用にする品種」と「親イモを主に食用にする品種」、「葉柄も食用になる品種」があります。どの品種も栽培方法や育てやすさに大きな違いはありません。
サトイモは親イモから増える小イモを食用にする「小イモ用」が一般的ですが、親イモを大きく育てて食用にする「親イモ用」の品種もあります。
一部の品種には、親イモも小イモも食用にできる「親子兼用」、さらに葉柄(茎葉の部分)を軟白栽培(芽イモ)にして食用にできる品種もあります。
品種による栽培方法の違いはありませんが、各地方の気候や土壌に合った品種を選ぶといいでしょう。
「セレベス」「石川早生」「赤芽」「善光寺」「大野芋」「小姫」「唐芋」「女早生」「蓮葉芋」「土垂」など。
「ヤツガシラ」「カライモ」など。
「蓮芋」「みがしき」など。
サトイモはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
サトイモの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
サトイモ栽培で利用するプランターサイズは、幅広で深型のものを利用しましょう。1株植えなら12号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、1つのプランターに対して1株の栽培が可能です。プランターは芽出しにも利用でき、この際のサイズはどれを選んでも大丈夫です。
サトイモ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。通気性が良く水持ちのよい用土を選びましょう。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(3.5):腐葉土(2):堆肥(2.5):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
サトイモはまし土することを想定して、淵から7分目まで用土を入れておきましょう。
サトイモの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
サトイモ栽培で作る畝は、畝幅は150cmで、畝の高さは10~15cmの平畝です。
サトイモは直植えとポット植えができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、ポットで種イモを発芽させて苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗してから畑に植え付ける方が確実です。
サトイモは芽が出ないまま種イモを土中に長期間置いておくと自然の雨などで腐ってしまいます。
そのため、事前に芽出しを行って、芽が出た種イモだけを植え付ける方が確実です。(もっと詳しく:サトイモが発芽しない原因と対策)
良い種イモの条件は、ふっくらと丸みがあって品種特有の形状をしているもの、重さが40~50gのもの、表面が腐っていないものです。
サトイモの苗作り(芽出し)は3月からで、畑に直接種イモを植えるときは4月頃が目安です。
サトイモは15℃~28℃が発芽に適した温度です。15℃以下(夜間は6℃以上)や30℃以上ではうまく発芽しません。
サトイモは発芽適温内なら約30日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:サトイモが発芽しない原因と対策)
サトイモを種イモから育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売っているポット苗から育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
サトイモは、茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。草丈が15cm以上になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
サトイモの苗の植え付け適期は4月~5月です。
サトイモは25℃~30℃が生育がもっとも良くなる温度です。
サトイモの苗を植える間隔は40~50cmです。
サトイモは種イモが地上に露出すると、イモが肥大せず小さなイモばかりになってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。追肥のタイミングと根元周りの用土が減ってきたと感じたときに土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育や種イモの肥大に影響するので確実に土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
サトイモは高温を好む野菜です。温度が15℃以下になると生育が緩慢になるため、寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げてやりましょう。
サトイモは気温が低いと株の生育が悪くなります。
また、サトイモは30℃を超えると生育が悪くなるため、夏以降はマルチングから敷き藁に変えてやりましょう。
サトイモ栽培では夏場以降の雑草取りが大変になります。マルチや敷き藁をすることで雑草対策にもなります。
サトイモは乾燥に弱い一面があるので、高温期の水切れに注意しましょう。苗の植え付けてからは、1週間に1回のタイミングでこまめに水やりをします。
サトイモは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾く前に水やりを行います。プランター栽培では朝(夏場は朝と夕方前の2回)、露地栽培では7日に1回が目安です。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり2~2.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
サトイモは元肥を中心に育てますが、株の成長を見ながら追肥の時期と量を調整します。サトイモは後半に肥料切れになりやすいのでタイミングよく追肥を与えましょう。
サトイモの追肥は収穫までに2回ほど施します。根が肥大する前に施して茎葉を大きく育てるのがポイントです。
1回目は5月下旬~6月中旬で、本葉が3~4枚になった頃で、2回目の追肥は6月下旬~7月の中旬頃が目安です。
追肥のタイミングで土寄せをしておきましょう。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。2回目以降は根を肥大させるため、リン酸の割合が多めの肥料に切り替えましょう。
化成肥料を1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
化成肥料を1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
サトイモの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
サトイモは10月以降(芽出しからは約7か月、苗の植え付けからは約6か月)で収穫適期を迎えます。
サトイモの収穫時期を見た目で判断するときは、地上部の葉が枯れ始めた(黄ばみ始めた)ときが収穫のタイミングです。
複数株を植えているときは試し採りをしてみましょう。
サトイモは霜が降りるまでに収穫を終わらせましょう。収穫が遅れると小イモが親イモのように固くなって食味も落ちてしまいます。
サトイモにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
サトイモ栽培でよく見かける病害は「乾腐病」「軟腐病」「疫病」「モザイク病」「汚斑病」などです。
サトイモが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、用土が極度の乾燥状態になっている(水やりが少ない)などです。
サトイモの病害の発生を予防するためには、病害に感染した種イモを使わないこと、日当たりのよい場所で育てること(高温期以外)、適正な株間の確保を行うこと、水もちの良い土壌を作ることなどを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
サトイモに発生しやすい害虫は、「セスジスズメ」「ネグサレセンチュウ」「コガネムシ類」「アブラムシ類」「ハスモンヨトウ」「ハダニ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
こまめな雑草取りは害虫を減らすために有効な手段です。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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