ウコンは春から秋が栽培時期で収穫まで約7か月です。ポットで芽出しをしてから畑に移植して育てましょう。収穫までの作業は、マルチング・水やり・追肥・土寄せなどです。
ウコンの土作りをはじめ、種まきから収穫までに必要な栽培管理を画像を交えて野菜栽培士が詳しくレクチャーします。失敗なしで立派なウコンを育てましょう!
ウコン栽培の流れ
栽培難易度 ★★★☆☆
ウコンは植え付けから収穫までが長いので栽培難易度は普通です。亜熱帯地方原産で耐寒性がないため、気温が十分に上がってから植え付けるのがポイントです。
ウコンは熱帯全域に自生地があるショウガ科の根野菜です。日本では四国南部と九州南部にわずかに自生しています。
別名で「ターメリック」といい、カレーの色付けに使われたり、日本ではたくあん漬けの着色に使われたりしています。すり潰した粉は漢方薬や健康増進剤として珍重されています。
ウコンは有機質が多い水はけの良い土壌でよく育ち、高温を好みますが、乾燥には弱い一面があります。夏場は敷き藁をして乾燥に注意しながら栽培しましょう。
夏から秋にかけて、葉の間から観賞用にもなる美しい花が咲きます。(春ウコンは春に咲きます。)地下の茎部が肥大して、ショウガに似た根茎を収穫します。
ウコンは根を広く張るため株間をしっかりと確保しましょう。
ウコンには春ウコンと秋ウコンがありますが、両者の違いは開花時期です。春に花が咲くのが「春ウコン」、秋に花が咲くのが「秋ウコン」です。
科名 | ショウガ科 |
別名 | ターメリック・ゼドアリア・ロンガなど |
草丈 | 90~150cm |
連作障害 | あり(2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 70cm以上 |
条間 | 50~70cm |
発芽適温 | 20~30℃ |
積算温度 | 約800℃(発芽まで) |
生育適温 | 25~30℃ |
芽出し時期 | 3月~4月 |
発芽日数 | 約30日 |
苗植え付け時期 | 4月~5月 |
収穫時期 | 種まきから約7か月 |
ウコンの栽培時期は春~秋にかけてです。芽出しは3月中旬~4月(苗の植え付けは4月中旬~5月)で、収穫までは植え付けから約7か月です。
ウコンの品種には「春ウコン」「秋ウコン」「紫ウコン」がありますが、どの品種を選んでも栽培方法に大きな違いはありません。初心者でも育てやすいのは秋ウコンです。
春に花が咲くので「春ウコン」といいます。刺激性の強い辛みと苦みも強く、マグネシウム、食物繊維、鉄などを多く含む品種です。果肉部分は黄色でカレー粉やたくあん漬けに利用されています。
夏から秋にかけ白い花が咲くので「秋ウコン」といいます。やや辛みがあり苦みが少なめで、クルクミンの含有量が春ウコンに比べ約10倍も含まれる品種です。果肉部分はオレンジ色をしていて漢方薬や健康増進剤に利用されています。
「紫ウコン」はガジュツとも呼ばれ、ハッカのような清涼感があり苦みが強い品種です。色は白みがかった紫色です。他のウコンよりもクルクミンの含有量が少ないですが、胃腸に優しく女性に人気があります。
春ウコンと秋ウコンは品種名こそ違っていますが、栽培方法(植え付け時期や収穫時期)などに違いはありません。秋ウコンは他の品種に比べて育てやすいとされています。
ウコンはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
ウコンの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
ウコン栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1株程度の栽培が可能です。
ウコン栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(6):バーミキュライト(2.5):砂(1.5)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10gと化成肥料を用土10Lあたり20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
ウコンの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(1㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
ウコン栽培で作る畝は、畝幅は50cm(1条)70~80cm(2条)で畝の高さは10~15cmの平畝です。
ウコンは発芽に時間がかかるので芽出しまきがおすすめです。直まきでも発芽しますが、発芽適温外に種球を植えるときは温度管理してポットで育苗する方がより確実です。
ウコンの芽出し適期は、3月中旬~4月です。
ウコンは20℃~30℃が発芽に適した温度です。
ウコンは発芽適温内なら30日~40日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。
もっと詳しく:ウコンが発芽しない原因と対策
ウコンを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
ウコンは、茎が太く葉の緑が濃く大きいもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が1~2枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
ウコンの苗の植え付け適期は、4月~5月です。耐寒性がないため、気温が十分に上がってから植え付けましょう。
ウコンは25℃~30℃が生育がもっとも良くなる温度です。
ウコンの苗を植える間隔は50cm以上です。根が広がるので株間は広めにするのがポイントです。
ウコンは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
ウコンは高温を好む野菜です。温度が10℃以下になると生育が緩慢になるため、寒冷地での栽培や春先の気温が低い時期はマルチングをして地温を上げてやりましょう。
ウコンは気温が低いと発芽率や株の生育が悪くなるため、マルチングをして地温を上げることで保温対策になります。
芽出しをせずに畑に直まきするときは発芽が遅れます。マルチングでの保温対策はかなりおすすめです。
またウコン栽培では夏場以降の雑草取りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
ウコンの夏場以降の乾燥対策には敷き藁がかなり有効です。梅雨明けをめどに乾燥対策をしっかりと行いましょう。
ウコンはやや多湿を好み乾燥に弱いので、夏場以降の乾燥防止に敷き藁がおすすめです。
梅雨が空けて気温が上がる前に、マルチングを外し敷き藁に替えて乾燥防止に務めましょう。
ウコンは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
ウコンは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
夏以降は用土が乾燥しないようにこまめに水やりをするのがポイントです。(多湿気味でも大丈夫です。)
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり2~2.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
ウコンの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。ウコンは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
ウコンの追肥は、苗を植え付けてから2週間後から、直まきした場合は発芽して1ヶ月経った頃が追肥のスタート時期です。
その後は茎葉の状態を見ながら2週間に1回の頻度で与えましょう。
春から夏にかけて葉が黄色くなったときや新葉が出なくなったときは肥料不足のサインです。
生育初期から夏頃まではチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まったら根を大きくするリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。
ウコンは根を広げて成長します。畝の間に肥料をまいて用土をほぐして畝の肩を中心に寄せておきます。
ウコンの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
ウコンは苗の植え付けから約7か月で収穫適期を迎えます。
ウコンの収穫時期を見た目で判断するときは、10月~11月になって、地上部の茎葉が黄色く枯れてきたときが収穫のタイミングです。
ウコンは霜が降りると根が傷んでしまうので、その前に収穫しましょう。
地上部の茎葉を鎌で刈り取ってから、株から約30cmほど離れた位置にスコップを入れて全体を掘り起こすように根を収穫します。
根から出る黄色い色素はとても落ちにくいので、ビニールの手袋などを着けて作業しましょう。
掘り出した根は3~4日ほど陰干ししてから付着した泥をきれいに洗い落とします。その後にもう一度1~2日陰干しします。
表面が乾燥したら1~2mmほどの厚さにスライスして、新聞紙の上に広げて完全に乾燥するまで放置します。乾燥の目安は指で折れるくらいです。
完全に乾燥したら、ミキサーなどで粉末にして1mm目のふるいにかけたものを利用します。
ウコンにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
ウコン栽培でよく見かける病害は「根茎腐敗病」「モザイク病」「いもち病」「白星病」「紋枯れ病」などです。
ウコンは病害の少ない野菜ですが、苗が小さいうちに病害にかかると苗の生育に影響がでます。
ウコンが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、土壌が極度に乾燥している(または水やりが少ない)などです。
ウコンの病害の発生を予防するためには、土壌の乾燥を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、水もちの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
ウコンに発生しやすい害虫は、「メイガ類」「ヨトウムシ」「センチュウ類」「アブラムシ類」などです。
ウコンは苗が大きくなってからは害虫の被害が少ない野菜ですが、苗が小さいうちは害虫の被害が出やすいので注意しましょう。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
ウコンの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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