アスパラガスは春と秋が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に根株を植えて約2年間は収穫せずに苗を大きく育てます。主な作業は支柱立て・土寄せ・冬越し・水やり・追肥・などです。収穫までは約2年です。
アスパラガスの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★★☆☆
アスパラガスは栽培期間は長いですが、土壌適応性が高く病害にも強いので難易度は普通です。植え付けてから約10年ほどは収穫ができるので植え付け前の土作りをしっかりと行うのがポイントです
アスパラガスは南ヨーロッパからロシア南部が原産のユリ科の葉野菜です。名前の由来は穂先にアミノ酸の一種「アスパラギン酸」が多く含まれることから。
食用にしている部分は、春になって冬に地中に残った地下茎から芽生えた茎が地上に伸びたものです。野菜では珍しく、タンパク質を豊富に含んでいます。
茎についている三角形の形をしたものは「ハカマ」と呼ばれるアスパラガスの葉(鱗片葉)が退化したものです。普段見えている松の葉に似た針状の部分は疑葉です。
アスパラガスは多年生の宿根性植物で、10年ぐらいは同じ株で収穫を続けられます。
温暖で降雨の少ない海岸や川岸で自生する植物で多湿を嫌いますが、土壌が乾燥すると生育が悪くなります。夏場の高温期の水やりが上手に育てるポイントです。
科名 | ユリ科 |
別名 | オランダキジカクシ・オランダウド・マツバウドなど |
草丈 | 40~50cm |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~7.0 |
株間 | 100cm以上 |
畝幅 | 100cm以上 |
発芽適温 | 20~25℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
種まき時期 | 3月~4月 |
発芽日数 | 14日~21日 |
苗植え付け時期 | 4月~5月 |
収穫時期 | 種まきから約2年 |
アスパラガスの栽培時期は通年です。種まきは3月中旬~4月下旬(苗の植え付けは4月中旬~5月中旬)で、収穫までは種をまいてから約2年です。
アスパラガスは世界中に300品種以上存在していますが、食用となるのはうち14品種だけです。基本的にはどの品種を選んでも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
アスパラガスの原種は地中海沿岸から西欧・南ロシアで、約300品種あり、食用以外にも、薬用・観賞用などに利用されています。
食用となるのは14品種ありますが、広く食用と利用されている原種は1品種のみで、さまざまな地域で優秀な株を選別しながら品種改良されています。
アスパラガスには緑色の「グリーンアスパラガス」のほかに、白色の「ホワイトアスパラガス」がありますが、これは品種の違いではなく栽培方法の違いによるものです。
育てやすい品種は「ウェルカム」、寒冷地向きの「グリーンタワー」、世界で高い評価を得ている「ゼンヨウヨーデル」、アントシアニンが豊富な「紫アスパラガス」などです。
アスパラガスはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
アスパラガスの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
アスパラガスは酸性土には弱いですが、土壌適応性が高い野菜です。ただし植え付け後の土壌改良は困難なので、植え付け前の土作りがとても重要なポイントになります。
アスパラガス栽培で利用するプランターサイズは中型(60cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1株の栽培が可能です。
アスパラガス栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
アスパラガスの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(2㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
アスパラガス栽培で作る畝は、畝幅は100cm以上(1条)で、畝の高さは10~15cmの平畝です。アスパラガスは
アスパラガスは直まきとポットまきができます。適温内ならどちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽に日数がかかるので、ポットまきで温度管理しながら育苗する方が確実です。
アスパラガスの種まき適期は、3月中旬~4月下旬です。
※種まき適期は栽培地の気候などによって前後します。
アスパラガスは20℃~25℃が発芽に適した温度です。
アスパラガスの株の間隔は100cm以上です。
アスパラガスは根に養分を蓄積することで次々と萌芽するため、根をよく伸ばすことが大切です。
根は垂直に深さ1m、水平方向は幅1.5mに達するので、良質なアスパラガスを収穫するために、株間をしっかりと確保しましょう。
アスパラガスは発芽適温内なら10日~15日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(もっと詳しく:アスパラガスが発芽しない原因と対策)
アスパラガスの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
アスパラガスの間引きは合計で1~2回行います。1回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃で2本立てにします。
2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
アスパラガスを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からはじめると収穫まで簡単に辿り着けます。
アスパラガスは、茎がしっかりしていて葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が3~4枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
アスパラガスの苗の植え付け適期は、4月中旬~5月中旬です。
※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。
アスパラガスは秋植えもできますが、植え付けの時期が遅れて株が小さい状態では冬越しに失敗することが多くなるので、春植えからがおすすめです。
アスパラガスは20℃~30℃が生育がもっとも良くなる温度です。
アスパラガスの株の間隔は100cm以上です。
アスパラガスは根に養分を蓄積することで次々と萌芽するため、根をよく伸ばすことが大切です。
根は垂直に深さ1m、水平方向は幅1.5mに達するので、良質なアスパラガスを収穫するために、株間をしっかりと確保しましょう。
アスパラガスは種からだと発芽や生育に時間が掛かるので、市販の根株を利用するほうが手軽で確実です。根株からなら植え付けも春と秋が可能です。
新芽が1~2個ついたものが勢いがあって植え付け後の生育がよい根株です。
衰えた株ではなく、1~2年生の若い株から株分けした根株を購入するのが無難です。
アスパラガスの根株の植え付け適期は、2月~3月と10月~11月中旬です。厳寒期を避けて春の新芽が伸びる前に植え付けるのがポイントです。
※植え付け適期は栽培地の気候などによって前後します。
アスパラガスの根株が発芽しやすい温度は15℃~20℃です。
根株を植えてから2~3週間ほどで発芽します。発芽適温外だと日数は前後します。(もっと詳しく:アスパラガスが発芽しない原因と対策)
アスパラガスの株の間隔は100cm以上です。
アスパラガスは根に養分を蓄積することで次々と萌芽するため、根を深く広く伸ばすことが多収穫のポイントです。
根は垂直に深さ1m、水平方向は幅1.5mに達するので、良質なアスパラガスを収穫するために、株間をしっかりと確保しましょう。
アスパラガスは苗が細く倒れやすく、また根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい生育不良の原因にもなります。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
アスパラガスの草丈は最大で1mを超えます。茎が細く豪雨や強風などで根元から折れることもあるので、支柱を立ててしっかりと対策をしましょう。
アスパラガスの支柱立ての目的は、折れやすい茎葉を豪雨と強風から守ることです。
株の生育がよくなる6月上旬~6月下旬頃に支柱立ての目安時期です。台風が上陸するまでに支柱を必ず立てておきます。
アスパラガスは茎葉が拡がって伸びるうえ、根から何本も茎が伸びます。
支柱は株ごとに立てるのではなく、畝を囲うようにして立てましょう。
畝(栽培地)の四隅に長さ1mほどの支柱を立て、紐やロープを上段・中段・下段にぐるっと囲うように張っておきます。
アスパラガスは多年生の植物で一度植えると10年以上は栽培が続きます。晩秋になったら地上の株は枯れてしまいますが冬越しの準備をして翌年の収穫に備えましょう。
アスパラガスは晩秋になると地上部が枯れ始めます。そのまま放置すると翌年以降の収穫に影響がでるので冬越し対策をしておきます。
冬越しの準備は11月~12月下旬に行います。
アスパラガスの冬越しの方法ですが、晩秋に地上部が枯れ始めたタイミングで株元を地際付近で刈り取ります。
刈り取ったあとは株周辺の用土に肥料を混ぜて、株元が少し見える程度に覆土しておきましょう。
アスパラガスは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
アスパラガスは極度の乾燥を嫌い生育も衰えてしまいます。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後は、用土が乾燥しすぎないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
厳寒期でも地下茎は少しずつ成長をしていくので、冬場の水やりは回数を少なめにして暖かな日中に与えます。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
アスパラガスの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。アスパラガスは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
アスパラガスの追肥時期ですが、苗を植え付けてから約2週間後から、根株を植え付けて新芽が出始めたとき、種から育てている場合は最後の間引きが終わったときからスタートさせます。
その後は茎葉の状態を見ながら1ヶ月に1回の頻度で与えましょう。
3年目以降は新芽が出る前(2月~3月)に必ず追肥を施しておきましょう。この時期の追肥が遅れると、春先に出る萌芽が細くなってしまいます。
アスパラガスはチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てましょう。大きな株になれば多収穫が望めます。
冬越し前の肥料は新芽が伸びる春先まで追肥効果を継続させる必要があるため、堆肥や遅効性の化成肥料を与えましょう。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元周辺に土寄せしておきます。
アスパラガスの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
アスパラガスは植え付けから約2年で収穫適期を迎えます。
アスパラガスの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が20~30cmになった頃でそのときが収穫のタイミングです。
ハサミやナイフなどで茎の地際付近を切り取って収穫しましょう。
アスパラガスは6月頃まで収穫ができますが、あまり遅くまで収穫すると翌年以降の萌芽量が少なくなってしまいます。
収穫量が減ってきたら翌年に向けて収穫をストップします。太い芽を10~15本残して秋まで株を大きく育てましょう。
アスパラガスは株の年数によって収穫期間が変わり、収穫が始まって4年目以降の株がもっとも収量が多くなります。
収穫期間の目安は、1年目が5日~10日、2年目が15日~30日、3年目が30日~40日、4年目以降が50日~70日です。
アスパラガスにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
アスパラガス栽培でよく見かける病害は「立ち枯れ病」「斑点病」「茎枯れ病」「紫紋羽病」などです。
アスパラガスが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)、極度の乾燥などです。
アスパラガスの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
特に高温期の雨の多い年は「茎枯病」が発生しやすくなります。茎葉が込み合ってきたら、茎の数と下枝を整理して株元の風通しをよくすることも病害の予防になります。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
アスパラガスに発生しやすい害虫は、「ヨトウムシ類」「ハムシ類」「アザミウマ」「オオタバコガ」「ヨモギエダシャク」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
アスパラガスの苗が小さい時期の支柱立てや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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