ケールは春と秋が栽培時期で収穫まで約3か月です。深さ5~10mmで種をまき、発芽後は本葉が触れ合うタイミングで間引きをします。収穫までの作業は水やり・追肥・土寄せ・トンネル掛けなどです。
ケールの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
栽培難易度 ★★☆☆☆
ケールは日当たりの良いベランダや庭先なら、プランターや植木鉢でも簡単に栽培できるほど育てやすい野菜です。栽培期間が長いので栽培難易度は普通です。
ケールは結球しないキャベツの仲間で青汁の原料にも使われているビタミンやミネラルを豊富に含む健康野菜です。
冷涼な気候を好み、耐寒性はありますが耐暑性がないため春まきは6月までに収穫を終えるように種まきをしましょう。
ケールは「株どり収穫」もできますが、秋以降は必要な枚数だけ葉を摘み取る「摘み取り収穫」も楽しめます。
ケールの葉は、厚みがあって少し固めなのでサラダには不向きですが、煮物や炒めもの、汁物などにおすすめです。
科目 | アブラナ科 |
連作障害 | あり(2~3年) |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 40cm以上 |
発芽適温 | 18~22℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
種まき時期 | 3月~4月・7~8月 |
発芽日数 | 種まきから3か月 |
苗植え付け時期 | 3月~4月・8~9月 |
収穫時期 | 種まきから約3日~5日 |
ケールは春から秋が栽培時期です。種まき適期は春まきは3月~4月、夏まきは7月~8月です。収穫は種まきから約3か月、苗の植え付けからは約2.5か月です。
ケールはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはケールの育て方を解説します。
ケールの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ケールを育てるときのプランターサイズは大型(60cm以上)で深底タイプがおすすめです。大型サイズのプランターなら2株植えることができます。
ケールは1株植えなら10号サイズ以上の植木鉢でも育てることが可能です。
ケール栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。葉野菜用で肥料入りの用土がおすすめです。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせた物を用意しましょう。
プランターに入れる土の量は上部の縁から5~10cmほど低めで、目安は全体の7割ほどです。ウォータースペースを残して培養土を入れておくようにしましょう。
ベランダ菜園では土の量が多すぎると管理が大変になってしまいます。
水やりの際に用土があふれて床や排水口を汚したり、まし土の際に新しい用土を入れるスペースがなくなったりします。
ケールを露地で栽培する時は植え付けの2週間前に1㎡あたり苦土石灰を100g、1週間前に、堆肥1kg/㎡・化成肥料(15:15:15)100g/㎡を施しておきます。
水はけの良い畝を作るのがポイントで、根が張りやすいようにしっかりと耕しておきましょう。
ケール栽培では幅70~80cm(1条)、畝の高さは10~15cmの平畝です。
ケールの品種は大きく分けると、葉がパセリのように縮んだ「サイベリアンタイプ(カーリータイプ)」と縮みの少ない「コラードタイプ」があります。
ケールの品種はどちらのタイプを選んでも栽培方法や栽培難易度に大きな違いはありません。
葉がパセリのように縮んだ「サイベリアンタイプ」は観賞価値もあり、結球しにくく初心者の方でも作りやすくておすすめです。
「食べる健康ケール」「カーリーケール」「カリーノケール・ミスタ」「ロシアンケール」「カーリーレッド」「カーリーグリーン」など。
「青汁用ケール」「ジューシーグリーン」「ポルトガルケール」「スウィートグリーン」「カーボロネロ」など。
ケールは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
ケールの種ををまく前に、一昼夜水に浸しておくと発芽が揃いやすくなります。
発芽適温から大きく外れる時期は、ポットに種をまいて苗が植え付けに適した大きさになるまで育苗する方法がおすすめです。適温内なら直まきでも発芽が揃います。
ケールの種まきは春と秋です。直まきでは日中の気温が10℃以上になってから種をまきましょう。
ケールの発芽適温は18℃~22℃です。最低は7℃、最高は30℃くらいまでなら発芽します。
ケールは種をまいてから約3日~5日で発芽します。気温が低すぎたり高すぎたりすると、発芽が遅れたり発芽しなかったりします。(もっと詳しく:ケールが発芽しない原因と対策)
発芽までは十分な水やりを行って乾燥させないように注意しましょう。
ケールは暑さに弱いので、夏まきでは温度を高くし過ぎないことが上手く発芽させるコツです。(参考:ケールの種が発芽しない原因と対策)
ケールの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
ケールの間引きの時期(タイミング)子葉が伸びて開き始めたときです。元気の良い苗を2本残して、他の苗はすべて引き抜きます。
2回目の間引きのタイミングは本葉が4枚になった頃に行います。生育の良い苗を1本だけ残しましょう。
ケールの株の間隔は40~50cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
ケール栽培に慣れていない方や種から育てるのが難しいと感じる方は苗から育ててみましょう。苗から植え付けると収穫まで簡単に辿り着けます。
ケールの苗は8月~9月頃にホームセンターや通販などで販売されます。緑色の濃い茎のしっかりした子葉の残っている苗を選ぶようにしましょう。
葉や茎が傷んでいないもので病害や害虫の被害に遭っていない苗を選ぶこともポイントです。
ケールは種をまいてから植え付けに適した大きさになるまで約30日ほどかかります。本葉が5~6枚になった頃が植え付け適期です。
ケールの苗の植え付け適期は、春(3月~4月)と夏(7月~8月)です。
ケールがもっともよく育つ温度は15℃~25℃です。7℃を下回るとき、25℃を超えると生育が悪くなります。
苗を植え付ける間隔は、早生種(収穫までが短い品種)は30~40cm、中晩生種(収穫までが長い品種)は40~45cm間隔で植えましょう。
ケールは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
ケールの害虫対策にはトンネル掛けが有効です。
ケールは害虫の被害に遭いやすいので寒冷紗のトンネル掛けがおすすめです。日中の気温が高い時期はトンネルの裾をめくって風を通して温度管理をしましょう。
2月以降から4月上旬までは低温で株の生育が悪くなり、また霜が降りると霜枯れの原因になるため、霜対策と保温対策にトンネル掛けがおすすめです。
ケールは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
ケールの水やりの頻度ですが、種をまいて発芽するまでの間と苗を植え付けた後は根付くまでの間はこまめに水やりを行いましょう。
苗が根付いてからの水やりは用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
ケールの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。ケールは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
1回目の追肥は本葉が約6~8枚程度になった頃で苗の植え付けからだと約3週間ほど経った頃になります。
追肥に使う肥料の種類は即効性(効きが早い)のもので、チッソ比率の高いものがおすすめです。成分が分からないときは園芸店などで葉もの野菜用の肥料を使うと簡単です。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
ケールの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。収穫適期を逃すと葉が固くなって苦みが強くなってしまいます。
ケールは種まきからだと約3.5か月、苗を植え付けてからだと約3か月ほどで収穫適期になります。
ケールは葉の長さが40㎝を超える頃が収穫に適した大きさです。葉は大きくなり過ぎると固くなって味や品質が落ちてしまいます。
株採り収穫は株元を手で掴んで一気に引き抜きます。摘み取り収穫は大きい葉を1枚ずつ手で摘み取って収穫しましょう。
ケールは低温に当たって春になるととう立ちするため、それまでは収穫を続けられます。
とう立ちすると葉が固くなって苦みも強くなってしまうので、1月下旬頃には株ごと抜きって収穫を終わらせましょう。
ケールにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
ケール栽培でよく見かける病害は「べと病」「菌核病」「根こぶ病」「苗立ち枯れ病」などです。
病害に掛かる要因は、畑の排水性が悪い時や株元の葉が込み合っている時、日当たりが悪い時です。
病害の発生を防ぐために、適正な株間の確保を行って、日当たりの良い耕土が深く水はけの良い土壌を心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
ケールによく発生する害虫は「アオムシ」のほか、「コナガ」「アブラムシ類」「ヨトウムシ」「カブラハバチ」など。
植え付けた直後の幼苗のアオムシやコナガによる食害跡は収穫量に影響が出るので注意して下さい。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
ケールの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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