茎ブロッコリーは春と夏が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に種を深さ1cmでまいて、本葉が3~4枚の頃に苗を1本に間引きます。主な作業は支柱立て・摘芯・水やり・追肥などです。約2か月で収穫できます。
茎ブロッコリーの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★★☆☆
スティックセニョールとも呼ばれている、茎が長く伸びた先につく小さな花蕾をたくさん収穫できる野菜です。栽培期間は長めですが、プランターでも簡単に栽培できます。
茎ブロッコリーは中国原産のアブラナ科の野菜で「カイラン」と「ブロッコリー」を掛け合わせて誕生した新しい品種です。
別名で「スティックセニョール」や「スティックブロッコリー」などと呼ばれています。
スティック状に伸びた花蕾だけでなく、茎まで食べることができます。ブロッコリーと同じ様にさっと茹でてサラダに使ったり、炒めもの、茹で野菜などに利用したりレシピも豊富です。
春と夏に種まきが可能で、収穫までは種まき後から60~90日。1株から15~20本前後の小さな花蕾を収穫できます。
茎ブロッコリーは耐暑性があり、蕾の黄化が遅いので、通常のブロッコリーよりも保存性が高いのが特徴です。
食感は柔らかみがあって味はほのかに甘く、ビタミンCをはじめ、β-カロテン、カルシウムなどの栄養素が含まれています。
病害の予防や健康維持に良いと言われているファイトケミカルのひとつ「スルフォラファン」も豊富。最近注目度が上がっている野菜です。
科名 | アブラナ科 |
別名 | スティックセニョール・スティックブロッコリーなど |
草丈 | 60~70cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 40~50cm以上 |
畝幅 | 60~100cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~30℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 2月~4月・7月~9月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 2月~4月・8月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
茎ブロッコリーは春と秋が栽培時期です。種まき時期は、春まきが2月~4月、夏まきが7月~9月、収穫までは約2か月です。
春まきと秋まきは収穫までが早い早生種がおすすめで、夏まきは耐暑性の高い品種を選びましょう。
茎ブロッコリーには「グリーンボイス」「茎ブロッコリー」などがたくさんの品種があります。
種まきと育苗は難易度は高くないので、種からでも比較的育てやすいですが、園芸店ではある程度の大きさまで育った苗売っているので、初心者の方は市販の苗から育てると簡単に収穫まで辿り着けます。
ちなみに茎ブロッコリーは1株から500~600g程度(15~20本)の花蕾が収穫できます
茎ブロッコリーはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからは茎ブロッコリーの育て方を解説します。
茎ブロッコリーの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
茎ブロッコリーはプランターや植木鉢でも栽培することができます。
茎ブロッコリーを栽培するときのプランターサイズは、大型タイプ(60cm以上)で深型のものがおすすめです。
大型で深型の植木鉢でも栽培できますが、1つのプランターに1株のみで育てましょう。
茎ブロッコリー栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。葉野菜用で肥料入りの用土がおすすめです。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~20gを混ぜ合わせた物を用意しましょう。
プランターに入れる用土の量は、ウォータースペースを残して、鉢の8分目程度(淵から3~4cm低め)にしておきます。
茎ブロッコリーは種まき(苗の植え付け)の約2週間前には土づくりを完了させておきましょう。
露地栽培では、植え付けの2週間前までにpH(酸度)調整を終わらせておきます。
畑に植え付ける場合は、種植えの約2週間前に、石灰を150g/㎡・堆肥を3kg/㎡・化成肥料を(15:15:15)150g/㎡を畑に施して土作りを済ませておきます。
茎ブロッコリー栽培に適した土壌酸度(pH値)は、6.0~6.5です。
苦土石灰をを入れて酸度調整をしておきましょう。pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g(60cmのプランターで約50g)が目安です。
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので、最低でも約2週間前には酸度調整を完了させておきましょう。
茎ブロッコリーに適した畝は、幅60~70cm、高さ5~10cmの平畝です。根を張りやすいようにしっかりと耕しておきましょう。
茎ブロッコリーは、直まきとポットまきが可能です。適温から大きく外れる時期は、ポットでの育苗がおすすめです。
茎ブロッコリーは発芽しやすいので種からでも育てやすい野菜です。低温期は保温し、高温期はなるべく温度の低い場所で発芽させるのがコツです。
茎ブロッコリーの生育適温は18~22℃です。発芽後は最低は10℃、最高で25℃を超えないように管理しましょう。
茎ブロッコリーの種まき適期は春は2月~4月、夏以降は7月~9月です。
発芽適温は15~30℃です。
種まき時期が低温期と高温期にあたるので、保温したり温度を下げたりすると発芽が揃いやすくなります。(参考:茎ブロッコリーが発芽しない原因と対策 )
種まきから3~5日で発芽が始まります。気温が大きく外れていると日数は前後します。
種まき後は用土の表面が乾いたらこまめに水やりをしましょう。
発芽後の水やりは少なめに。1日に1~2回(朝と昼過ぎ)で十分です。ポットの底から水が少し染み出る程度とし、夜間は乾燥気味の状態で育てるのがポイントです。
夏秋まきでは日差しが強いため、遮光率50%程度の資材で遮光して育てると生育が安定します。
間引きはタイミングよく行いましょう。幼苗期は病害などに弱く、枯れたり萎れたりすることがあるので、苗をぎりぎりまで残しておくのがポイントです。
本葉が1~2枚になったら、緑が濃く元気な苗(双葉が残っていて葉が左右対称のもの)を数本残して他の苗はすべて間引きましょう。
最終の間引きは3~4枚になった頃です。元気な苗を1本だけ残して他の苗をすべて引き抜きます。
発芽して約2週間ほど経ったら葉が黄化防止と節間が詰まった太くてがっちりした元気な苗に育てるために数回の追肥を行います。
追肥は即効性のある液肥がおすすめです。水やりを兼ねて1週間に1度のタイミングで与えましょう。
種まきが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗から育ててみましょう。収穫まで簡単に辿り着けます。
苗を植える前にポットを水に浸しておくと根の張りがよくなります。株間40~50cmで植え付けましょう。
茎ブロッコリーの苗を植え付ける時期は、春は3月~4月で秋は9月~10月です。(地域によって前後します。)
茎ブロッコリーは葉が大きく広がって成長するので、プランター栽培では30cm以上、露地栽培では40cm以上間隔を取って苗を植え付けましょう。
植え付けは、低温時期は日が昇り始める頃、高温時期は午後の気温が下がり始める時間帯に行いましょう。高温期は日中に植えると萎れの原因になります。
気温の低い時はマルチングやトンネル掛けで温度を上げておくと植え付け後の苗の生育が良くなります。
鉢に入れる用土の量ですが、こぼれ防止や土寄せをするために、淵より少し低くしておきましょう。
根鉢を壊さないように丁寧にポットから苗を取り出して、用土の上に苗を置き、株元を手で軽く押さえておきます。
穴を掘って植えてもかまいませんが、根鉢の周囲に隙間ができると根付くのに時間がかかるので、上から用土をしっかりと押さえて起きましょう。
ポットを水に浸した場合は、苗を植え付けてから2日ほどは水やりを控えましょう。こうすることで水を求めて根を地中に深く張る力がつきます。
株間が狭く葉が込み合うと病害の発生を助長するので、日当たりの悪い場所で育てる時は特に注意しましょう。
植え付け後は仮支柱を立てて、風などで苗がぐらつかないように防風対策をしておきましょう。
茎と支柱を紐などで結ぶ時は、きつく縛ると紐が茎に食い込み成長が阻害されてしまうので、指1本分入る程度にゆるく結ぶのがポイントです。
草丈が高くなると株が倒れやすくなります。支柱と合わせて株元に土を寄せておきましょう。
また根元が露出して強い太陽光が当たると、株の生育を弱める原因になります。
間引きや追肥のタイミングで株周辺の用土の表面を軽く耕して株元に土を寄せておきましょう。プランターの場合は水やりで用土が減りやすいので、定期的に用土を足します。
茎ブロッコリー主枝を摘心すると出来る花蕾の数を大きく増やすことができます。
主枝の先端にできる一番花蕾の摘心は、頂花蕾(主枝の頂点にできる花蕾)が2~3cmの大きさになる頃がタイミングです。
茎ブロッコリーの食べる部分は側枝の先になる花蕾の部分です。主枝の頂花蕾を摘み取ると側枝が次々と生えるようになります。
側枝を増やすために主枝の先にできる花蕾を先端から5cm位の位置で切り取ってしまいましょう。
花蕾を切り取るときは切り口を斜めにして水がたまらないようにします。
花蕾の切り取りは晴れの日の午前中に行いましょう。この理由は、切り口を太陽光に当てて乾燥させることで、病害の発生を防ぐことができるからです。
水やりの回数が多く多湿環境が続くと病害が発生する原因になります。1回の水やりで多めに与えておくのがコツです。
茎ブロッコリーの水やりの頻度と与える量ですが、種まきから発芽までの期間と、植え付け後に苗が根付くまでは、用土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。
その後株の成長が盛んになったら、用土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと与えましょう。毎日与える必要はありません。
朝の水やりは、気温が上がり始める前と気温が下がり始めた頃に与えます。日中の気温が高いときに与えると、太陽光で根を傷めたり、水滴がレンズ代わりになって茎葉を傷めてしまいます。
プランター栽培の場合は、鉢底から水が染み出るまで与えましょう。露地栽培では1株につき1回あたり約1.0~1.5Lが目安です。
茎ブロッコリーは多湿を嫌う野菜なので、水の与えすぎには注意しましょう。
雨の日や曇りの日は水やりは不要です。
ただし、マンションのベランダや雨が当たらない場所で栽培していて雨が何日も続くときは、用土の表面が乾いてたらいつもより量を少なめに水やりをしましょう。
茎ブロッコリーは多肥性なので、タイミングよく追肥を行うと多収穫に繋がります。
苗を植えて2週間ほど経ったら追肥をスタートさせます。
株元から少し離れた場所に、化成肥料を1株あたり10~15g程度パラパラとまき、用土と軽く混ぜ合わせて株元に寄せておきます。
用土を深くまで掘ると、根を傷めるので注意しましょう。
収穫期間が長いので、収穫後に化成肥料を10gほど先ほど同じ要領で与えておきます。
肥料不足になると、花蕾が順調に育たなくなっていまいます。肥料切れにならないようにしましょう。
種まきから2.5~3か月ほど経つと、側枝の先に小さな花蕾が次々と実ります。大きくなったものから順次摘み取って収穫しましょう。
茎ブロッコリーは種まきから70~80日、苗を植えてから50日~60日で収穫適期を迎えます。
側枝が20cm以上になり花蕾が10円玉大になった時が収穫のタイミングです。つぼみが開く前の固く締まったものが食べごろの花蕾です。
ハサミやナイフを使って、茎を20cmほど残して、切り落として収穫します。
切り口に水がたまると腐って病害の発生につながります。切り口を太陽の方角を向けて斜めに切り落としましょう。
晴天の日の午前中が切り口が乾きやすくおすすめです。
茎ブロッコリーに発生しやすい病害は、べと病・苗立ち枯れ病・軟腐病・黒腐病・根こぶ病などです。
病害が発生するのは保水性が悪い・排水性が悪い・酸性土壌になっていることが主な原因です。
害虫の食害跡からの感染も多いので、早期の害虫駆除を心掛けて下さい。
茎ブロッコリーに良く発生する害虫はアオムシ(モンシロチョウの幼虫)・ヨトウムシ・コナガなど。
特にアオムシとヨトウムシは被害が拡大しやすい(下手すると全滅)ので、見つけ次第すぐに駆除しましょう。
モンシロチョウが飛んでいるのを確認したら、数日後に葉の裏側などを観察すると卵が見つかります。卵の時に一気にすり潰してしまえば駆除は比較的容易です。
気温が高い時期は害虫の被害に遭いやすいため、防虫ネットのトンネル掛けなどで対策しましょう。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetableBeginnersguide