ミツバは春から秋が植え付け時期で半日陰でもよく育ちます。水はけの良い用土に3~4粒の種を深さ約5mmでまいて間引きながら株を大きく育てましょう。主な作業は水やり・追肥・土寄せなどです。収穫まで約1.5か月です。
ミツバの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★☆☆☆☆
ミツバは半日陰で湿度の高い場所でよく育つので、マンションのベランダなど日当たりの悪い場所でもスクスク育ちます。
ミツバ(三つ葉)はセリ科の野菜で原産地は日本、旬は春から初夏ですが、通年の栽培ができる葉野菜です。
水耕栽培もできるほど生育が強い野菜で家庭菜園にぴったりです。暑さに強い反面、乾燥には弱く、夏場は乾燥が長期間続くと生育が極端に悪くなります。
実はミツバ(青ミツバ)は、ホウレン草に劣らないほどビタミン類が含まれる栄養満点の野菜。ミツバに含まれる栄養価は、ビタミンA・B群・C、ミネラルは鉄・カルシウムが豊富に含まれています。
独特の香味があり、どちらかと言えばお吸い物や蒸し物などに添えるだけの料理を思い浮かべますが、アクが少なく淡白な味のため、卵とじ・お浸し・和え物・酢の物・天婦羅など実は料理の種類が豊富な野菜です。
科名 | セリ科 |
別名 | 三つ葉・ミツバゼリ・三葉・ヤマミツバなど |
草丈 | 25~35cm |
連作障害 | あり(3~4年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤or ☁ |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 5~10cm以上 |
畝幅 | 30~60cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 18~22℃ |
生育適温 | 15~22℃ |
種まき時期 | 3月~5月・8月~9月 |
発芽日数 | 7日~10日 |
苗植え付け時期 | 4月~6月・9月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約1.5か月 |
ミツバ(三つ葉)は春から秋が栽培時期です。種まき時期は春まき(3月~6月)と、夏秋まき(8月~10月)で、収穫は種まきから約1.5か月です。
ミツバには特に品種名はなく各メーカーによって商品名がついていて、多くは「ミツバ」という名称で販売されています。
大きく分けて関東系と関西系の2つ。関東系の「白茎ミツバ」「柳川1号」「大利根1号」、関西系の「白茎ミツバ」「大阪白軸」が人気です。
栽培方法は、軟化床で発芽させて収穫する切ミツバ、根株を掘り起こさず土寄せして軟化させる根ミツバ、深植えして自己軟白させて20cm以上で収穫する青ミツバなどがあります。
関東では根株を育てて軟化させる軟化三つ葉、関西では軟化せず短期で育てる青三つ葉が主流です。ミツバはどの品種を選んでも比較的簡単に育てられます。
ミツバはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはミツバの育て方を解説します。
ミツバの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ミツバ(三つ葉)を栽培するときのプランターサイズは小型タイプ(45cm)以上のものを利用しましょう。
少ない株数を育てる時は10号以上の植木鉢でも育てることも可能です。ミツバは日当たりを調整するので、移動ができるプランターや鉢での栽培がおすすめです。
ミツバ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。葉野菜用で肥料入りの用土がおすすめです。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、これに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~20gを混ぜ合わせた物を使いましょう。
プランターに入れる用土の量は、ウォータースペースを残して、鉢の8分目程度にしておきます。
プランターも露地栽培もミツバの種をまく約2週間前には土づくりを完了させておきましょう。
露地栽培でミツバを育てる時は、種をまく2週間前に苦土石灰70g/㎡、1週間前に堆肥5㎏/㎡・化成肥料70g/㎡を施してよく耕しておきます。
ミツバは1条植えで畝幅30cm以上、2条植えで畝幅60cm以上、高さは10~15cmの畝を作りましょう。
ミツバは有機質を多く含んだ保水性と排水性の良い土壌を好み、酸性土壌に弱いので、石灰を混ぜて土壌を土壌を中和してから栽培しましょう。
ミツバの種から育てる時に気を付けるポイントや種をまく深さや種のまき方をご紹介します。
ミツバは直まきとポットまきができますが、気温が低い時期や寒冷地で種から育てるときはポットまきがおすすめです。
ポリポットやセルトレーに種をまき保温しながら発芽させて、植え付けに適した大きさになるまで育ててから移殖する方法が簡単で確実です。
春まきは4月以降、秋まきは9月以降です。
ミツバの発芽適温は18℃~22℃前後。気温が20℃前後の時期に種をまきましょう。
ミツバは種をまいてから発芽するまでに、7日~10日ほどかかります。端をまいたときの気温によって日数は前後します。(参考:ミツバの種が発芽しない原因と対策)
ミツバは間引き菜を収穫しながら育てるときは筋まきします。2列でまく時は条間(筋と筋の間隔)は15~20cm以上確保しましょう。
支柱などを用土に押し当てて深さ5mm程度のまき溝を作り、そこに種を1cm間隔でまいていきます。
間引き菜を収穫しないときやポットまきでは点まきします。
瓶の底などを用土に押し当てて5㎜ほどのまき溝を作り、1か所あたりに種を5~7粒まいて表面に細かな用土を被せておきましょう。
ミツバの種は好光性種子なので厚まきにならないように薄く土を被せるのが発芽率を上げるコツ。土を指でつまんでそっとかけてやるか、篩(ふるい)などを使って薄く覆土しましょう。
間引きの際に、残したい株と間引く株の根が絡まって一緒に抜けてしまうことがあるので、種はあまり密にまきすぎないように注意しましょう。
種が発芽するまでの間は水やりをこまめに行いましょう。ジョーロのハス口を上向きにして、水の勢いで種が表に出てしまわないよう、やさしく水やりを行うのがポイントです。
芽が出るまでの間は水を切らさないことが種を上手に発芽させるコツです。
ミツバの間引きの時期(タイミング)と間引き方をご紹介します。間引き方で見た目や食感が大きく変わります。
ミツバの1回目の間引きは発芽が揃った頃に行います。双葉が開いた頃が1回目の間引きのタイミング。
1回目の間引きでは形の悪いものを間引いて3cm間隔にします。ポットまきでは3~4本に間引きます。
ミツバの2回目の間引きは本葉が4~5枚なる頃で、草丈が8~10cmほどに成長した頃です。この頃に株間が5~7cmになるように間引きしましょう。
ポットまきでは本葉が2~3枚のときに1本立てにします。
苗を間引くときは手で抜き取りましょう。間引きが遅れ根が絡まり、隣の苗が一緒に抜けそうなときは根元をハサミで切ってもかまいません。
葉の形が左右対象でないもの、葉が傷んでいるもの、生育が悪いもの、色の薄いものを中心に苗を間引きましょう。
間引いた苗は「間引き菜」として利用できます。
ミツバは密植気味に育てると葉柄が柔らかくなって美味しくなります。逆に株間を広くすると開帳気味で葉数が多くなり歯ごたえのある茎葉に生長します。
サラダなど生食に利用するなら密植気味に育て、なべ物や汁物など熱を加える料理に使うときは株間を広くするといった具合に間引き方を工夫してみましょう。
ミツバはシーズンになると園芸店などで苗が販売されます。少ない株数を育てるときは、苗から育てると無駄がありません。
プランターや鉢などのベランダ菜園で育てる株数が少ない時は、種よりも園芸店などで苗から購入して育てると簡単で経済的です。
寒冷地や気温が低い春まきでは、ビニールのトンネル掛けやホットキャップを被せて保温して苗を育てると生育がよくなります。地温を上げるマルチングも有効です。
春植えは4月~6月、秋植えは9月~11月上旬まで。
三つ葉の生育適温は15℃~22℃です。
ミツバの苗を植え付ける間隔は、密植栽培は5~10cm、通常は15~20cm間隔で植えていきます。
ミツバの苗をプランターに植え付けるときは、根鉢の高さより少し低めに用土を入れます。根鉢を壊さないようポットから取り出して用土の上におきます。
その後に周囲に用土を入れて株元を手で軽く押えて根と用土を密着させてやりましょう。
露地に苗を植え付けるときは、ポットの半分の深さで一回り大きめの植え穴をあけておき、根鉢を壊さないように穴の中にそっと入れます。
その後周辺の土を株元に寄せて、上から手のひらで押さえて根と用土を密着させてやりましょう。
植え穴を掘って苗を植える方法もありますが、根の下の部分に土が回っていないと、リーフレタスの生育が悪くなることがあります。
植え付けてから苗が根付くまでの約1週間は、用土の表面が乾かないようにこまめに水やりを行いましょう。
植え付け直後の苗は茎が細くて折れやすく、用土に触れると傷んだり病害になったりします。
網目の細かいハス口のジョウロなどを使って、苗が倒れないようにやさしく水やりをするのがポイントです。
苗の生育が盛んになって草丈が高くなると株が倒れやすくなります。株元に土を寄せて倒伏防止をしておきましょう。
また苗の根元が露出して太陽光が根に直接当たると、株の生育を弱める原因になります。
ミツバは2回目の間引きを行う頃までは茎葉が細くて弱いため風や雨などで簡単に倒れてしまいます。定期的にに周辺の土を寄せて株寄せしましょう。
ミツバの土寄せの仕方ですが、株もとから少し離れた場所の用土を軽くほぐして、株の根元に土を寄せます。
ミツバは乾燥を嫌います。特に気温が上がる夏場以降は、用土の表面が乾かないように水やりをしましょう。
ミツバの水やりの頻度と与える量ですが、種をまいて発芽するまでの間は用土の表面が乾かない頻度で水やりをしましょう。
水やりの量が少ないと発芽や生育にばらつきが出るので、こまめに与えるのがポイントです。
芽が出て本葉が出揃うまでの間と苗を植えて根付くまでの間は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
その後の水やりですが、晴れの日は朝と夕方にたっぷりと水やりを行います。
朝の水やりは、気温が上がり始める前と気温が下がり始めた頃に与えます。日中の気温が高いときに与えると、太陽光で根を傷めたり、水滴がレンズ代わりになって茎葉を傷めてしまいます。
プランター栽培の場合は、鉢底から水が染み出るまで水やりをします。露地栽培では1株あたり約1.5~2Lが目安です。
雨の日や曇りの日は多湿になりやすく病害の発生を助長するので水やりはしなくてもかまいません。
ただし、マンションのベランダなどの雨が当たらない場所での栽培で、雨が何日か続いて用土の表面が乾いてたら水やりをしましょう。そのときは、いつもより量を少なめにします。
ミツバの追肥の時期(タイミング)や1回あたりに与える量などを解説します。
ミツバの追肥は2回目の間引きが終わった頃から開始し、茎葉の色が薄かったり成長が悪かったりしたときは、2~3週間おきに施します。
ミツバは収穫までが短いので、即効性のある肥料を使いましょう。
プランターや植木鉢でミツバを栽培している場合は、水やりを兼ねて7~10日おきに液肥を与えても構いません。
1株あたり化成肥料約10gが目安です。
プランター栽培の場合はプランターの淵に沿ってパラパラとまいて表面の用土と軽く混ぜ合わせておきます。
露地栽培では株の周辺にまいて表面の用土と混ぜ合わせて根元に寄せておきましょう。
ミツバは株を残して茎葉だけ切り取って収穫すれば、長期栽培が楽しめます。
収穫後に化成肥料や液肥を施しておくと、切り取った株から新葉が伸びて再び収穫楽しむことができます。
ミツバは株ごと抜き取る「株採り収穫」と必要な分だけ切り取る「摘み採り収穫」が楽しめます。
ミツバは草丈が25~30cm程度になった頃が収穫適期です。
収穫までの期間は種まきから、春と秋は50~60日前後、冬場のビニルハウス栽培では70~80日かかります。
ミツバを収穫する時間帯は早朝か夕方のどちらか。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夜間は日中に作った糖分を使って根から窒素(エグ味や苦みになる成分)を吸収します。
早朝はみずみずしい代わりに甘みは少なめ、夕方は甘みが強い代わりに水分は少なめです。
秋まき以降で霜が降りる時期は朝採りは向きません。
ミツバは鮮度が落ちやすく傷みやすい野菜です。家庭菜園では摘み採り収穫がおすすめです。株元を2~3cmほどを残してハサミやナイフで外葉を切り取って収穫しましょう。
春に植えたミツバは夏前には収穫ができますが、株を残しておくと、秋口までに2~3回ほど収穫が楽しめます。収穫後に株間に化成肥料を与えておくのを忘れないようにしましょう。
ミツバは晩秋以降に霜にあたると上部の茎葉は枯れてしまいますが、根株は耐寒性が高いため寒冷地であっても翌春になると再び芽が出てきます。
収穫後の三つ葉は、濡れたペーパータオルや新聞紙などで包んでビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存すれば、3~4日は美味しく食べられます。
ミツバは根が付いていないと萎れるのが早いので、根を付けたままで収穫して保存すると長持ちします。
ミツバに発生する害虫は、キアゲハの幼虫・ナミハダニ・ニンジンアブラムシ・ヒメフタテンヨコバエなどです。
ダニ類やアブラムシ類は大きな被害にはなりませんが、注意したい害虫はキアゲハの幼虫です。
放っておくと一晩で葉っぱがなくなるほど食害します。成虫の飛来を確認したら、葉の裏や茎の間などに卵や幼虫がないかを観察して、見つけたらすぐに駆除しましょう。
ミツバが掛かりやすい病害は、株枯れ病・さび病・立ち枯れ病・根腐れ病・ベト病・モザイク病などです。
病害は連作や土壌の極度の乾燥や極度の加湿状態になると発生しやすく、ウイルスを媒介するアブラムシなどによっても発生します。
ミツバは病害が殆ど発生しない丈夫な野菜です。病害になるということは生育環境が悪いということ。
風通しの良い場所で保水力の高い土壌で育てることを意識しましょう。
ミツバは乾燥に弱いので水やりが上手に育てるポイントです。長期栽培をする時は追肥を忘れずに施しましょう。
ミツバは真冬を除いて1年中育てられますが、初心者は気温が上がり始める春(4月または5月)から育てると失敗がありません。
株を残せば翌年以降も収穫できますが、2年目以降の株は抽だいして夏に白色の小さな花を咲かせます。
長期栽培する時は、夏場は遮光をして通気の良い場所で育て、冬場は保温をしっかりと行いましょう。気温が25℃前後になるように温度管理すれば通年での栽培が可能です。
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