ニラは春と秋が栽培時期で収穫まで約1~2年です。浅めに種をまき、植えかえまでに2~3回ほど間引きます。翌年の春に草丈20cm以上になったら植えかえします。収穫までの作業は水やり・追肥などです。
ニラの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★☆☆☆
ニラは収穫までの期間は長いですが、病害に強く管理の手間も少ないので栽培難易度は低めです。
ニラはユリ科の野菜で東アジア一帯が原産地です。奈良時代にはすでに利用されていたと古事記に記されているほど日本人にとって身近な野菜です。
ニラは宿根性(多年草)で、数年に渡って収穫することが可能です。冷涼な気候でよく育ちますが、高温と低温どちらにも強く、反日蔭でも育つほど強靭な野菜です。
冬季になると地上部は枯れてしまいますが、地下茎が越冬して翌年の春にはふたたび芽を出します。
収穫量が減ってきたら株分けして植えかえると何度も繰り返し収穫できるお得な野菜です。
科目 | ユリ科 |
連作障害 | あり(1~2年) |
土壌酸度 | pH6.0~7.0 |
株間 | 15cm以上 |
発芽適温 | 18~22℃ |
生育適温 | 15~25℃ |
種まき時期 | 3月~4月・9月~10月 |
発芽日数 | 種まきから7日~14日 |
苗植え付け時期 | 3月~6月 |
収穫時期 | 種まきから6か月以上 |
ニラの栽培時期は春と秋です。種まきは3月~4月上旬と9月~10月上旬で、苗の植え付けは3月~6月です。収穫は種まきから約6か月~1年半です。
ニラの品種は大きく分けると花径を利用する品種と茎葉を利用する品種があります。どちらも栽培方法や育てやすさに違いはありません。
ニラの一般的な品種は茎葉の部分を食用にする「葉ニラ」で、「大葉タイプ」と「小葉タイプ」があります。小葉ニラは市場にほとんど流通することはなく主流は大葉ニラです。
ニラは花径を食用にする「花ニラ」用の品種もあり、「テンダーポール」が有名です。
「大葉ニラ」「スーパーワイド」「広巾ニラ」「大連広巾」「パワフルグリーンベルト」「ワンダーグリーンベルト」「グリーンロード」「たいりょう」など。
「テンダーポール」「マルイチポール」など。
ニラはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
ニラの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
ニラ栽培で利用するプランターサイズは小型(45cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら8号サイズ以上の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、小型サイズのプランター1つに対して2~3株程度の栽培が可能です。
ニラ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
ニラの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(1㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
ニラ栽培で作る畝は、畝幅は45cm(2条まき)~で畝の高さは10~15cmの平畝です。
ニラは直まきも出来ますが、ポットまきして植え付けに適した大きさまで育苗するやり方が一般的です。発芽は難しくありませんが、温度と水分をしっかり管理しましょう。
ニラの種まき適期は、春まきは3月で、秋まきは9月~10月上旬です。
ニラは18℃~22℃が発芽に適した温度です。
ニラは発芽適温内なら7日~14日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:ニラが発芽しない原因と対策)
ニラの間引きは2~3回行います。間引きの時期が早すぎると、苗が途中でダメになったときに代えがなくなるのでタイミングよく間引きましょう。
ニラの間引きは植えかえまでに2回ほど行います。1回目の間引きは苗が5cmほどになった頃で元気な苗を残して5mm間隔に間引きます。2回目の間引きは苗が10cmになった頃で約1cm間隔に間引きましょう。
育苗中のニラの株の間隔は5~10cmです。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
ニラを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
ニラは苗から植えると収穫までに時間がかかるので園芸店などで購入した苗から育てると楽です。苗が15~20cmのものが植え付けに適した大きさです。
ニラの植え付け適期は、秋まき苗は3月~4月上旬で、春まきの苗は5月中旬~7月です。
ニラは15℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
ニラの苗を植える間隔は15~20cmです。
植えかえ後のニラは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
ニラは7月~8月にかけて花芽がつきます。花芽がつくと茎葉が固くなって味が落ちてしまうため、株を疲れさせないために花芽摘みを行いましょう。
花芽摘み(花茎摘み)とは中央から伸びる花がつく太い茎の根元部分を切り取ることです。
夏場が近づいて中央から伸びる主枝(一番太い枝)を、蕾がつく前に根元付近からハサミで切り取って摘心しましょう。
ニラは花芽を摘み取ることで株の消耗を防ぐことができます。
ニラは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
ニラは極度の乾燥を嫌いますが多湿もいけません。用土の表面が白くなりだしたときが水やりのタイミングです。
種まき後の約2週間と苗を植えてから約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
ニラの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。ニラは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
育苗中は追肥は不要で元肥を中心に育てます。
苗を植えかえしてから約1か月経った頃に1回目の追肥を始め、その後は月に2~3回のタイミングで追肥を施していきましょう。
収穫が始まってからは、収穫後のタイミングで追肥を施してやりましょう。ニラは秋までに3~4回の収穫ができるので、そのたびに中耕して追肥を施しておきます。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。開花が始まった根と果実を大きくするリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
ニラの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
ニラは種まきから約12か月、苗の植え付けから約8か月で収穫適期を迎えます。
春に植え付けるとその年の秋には収穫ができますが、1年目は収穫せず株を大きく育てると翌年以降の収量が増えます。
植え付け年に収穫する場合は1回のみにしておきましょう。
ニラの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が20cmを超えたときが収穫のタイミングです。
ニラは2通りの収穫方法があります。1つは株元を3cmほど残して一気に刈り取る収穫方法と、もう一つは葉が分岐している点(成長点)を残して葉を1枚ずつ摘み取る収穫方法です。
成長点を残すと茎葉の再生が早いので、春先や晩秋の生育が緩慢になる時期におすすめの収穫方法です。
ニラは秋まで3~4回ほど収穫ができます。冬になるにつれ茎葉の再生力が落ちるので、10月頃に収穫をストップしましょう。
ニラは3~4年は収穫を続けられますが、葉が小さくなったり、葉の枚数が少なくなったりしたときはその株の収穫は終わりです。株分けして別の場所に植えかえましょう。
ニラにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
ニラ栽培でよく見かける病害は「萎縮病」「乾腐病」「さび病」「葉枯れ病」「菌核病」「白絹病」などです。
ニラが病害に掛かる主な原因は、日当たりが悪い、株元の葉が込み合って風通しが悪い、畑の排水性が悪く多湿になっている(または水やりが多い)などです。
ニラの病害の発生を予防するためには、多湿を避ける、日当たりのよい場所で育てる、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
ニラに発生しやすい害虫は、「アザミウマ」「アブラムシ類」「ネギコガ」「ネダニ」「タネバエ」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
ニラの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。
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