セロリの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。種まきや植え付け適期・収穫適期ほか、土作り・種まき・苗作り・わき芽取りと下葉かき・追肥と水やり・病害虫対策まで、収穫までの栽培管理を丁寧に解説しています。
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セロリは露地栽培はもちろん、プランターや植木鉢でも育てられるので家庭菜園におすすめの葉野菜です。種まきから収穫まで150日以上かかるので、難易度は少し高めで中級者向けです。
栽培難易度 ★★★☆☆
セロリはセリ科の葉野菜で、原産地は地中海沿岸です。
16世紀にイタリアで栽培が始まり、 日本では16世紀後半の朝鮮出兵の際に 加藤清正によって持ち帰られたと記録が残っていますが、 全国に普及したのは昭和10年以降です。
日本ではフランスなまりのセルリーという呼び名が一般的です。 和名はオランダミツバと呼ばれていて、清正人参という別名も付いています。
原産地では水辺のやや湿気の多い土壌で生育していたため、 水分量が多い土壌を好み、野菜の中では多肥性で、 土作り次第で収量が大きく変わります。
栽培時期は春まきが5月~7月で、夏まきが6月~8月です。 種まきから収穫までは4か月以上かかります。
セロリに多く含まれる栄養素は、ビタミンB群・鉄分・食物繊維で、 葉の部分にはカロチン(ビタミンA)が茎の2倍も含まれています。
セロリの香り成分は「アピイン」や「セネリン」ですが、 これらの成分はストレス緩和や気持ちを穏やかにする効果があると言われています。
科名 | セリ科 |
別名 | セルリー・オランダミツバ・清正ニンジン・セレリーなど |
草丈 | 35~40cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
畝幅 | 60~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 5月~6月・9月~10月 |
発芽日数 | 7日~14日 |
苗植え付け時期 | 5月~7月・9月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約4.5か月 |
セロリ春(5月~7月)と夏(6月~8月)が栽培時期です。収穫までは種まきから約4.5か月です。
セロリは比較的どの品種でもよく育ちますが、独特の香りが苦手な方はクセが少ないコーネル種を選ぶと良いでしょう。
セロリの人気の種類には「コーネル619」「トップセラー」「スープセロリ」などがあります。プランターで栽培する時はミニ種のセロリ「ミニホワイト」が人気です。
種は冷暗所に保管しておくと、約2~3年は保存しておくことが可能です。
セロリはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはセロリの育て方を解説します。
セロリの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
セロリをベランダ栽培するときのプランターサイズは標準タイプ(60㎝程度)で深型のものを用意しましょう。小株なら3株、大株なら2株は育てる事ができます。
大株1個なら深型の植木鉢などでも栽培する事も可能です。
セロリ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1に石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~20gを混ぜ合わせた物を用意しましょう。
セロリをプランターで栽培する時の用土の量は、ウォータースペース(鉢の縁から3~5㎝程度)を残して入れましょう。
畑(露地栽培)でセロリを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。
植え付け(種まき)の1週間前に堆肥(2kg/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
セロリは酸性土壌を極端に嫌う野菜です。セロリ栽培に適した土壌酸度(pH値)は6.0~6.5です。
苦土石灰を入れて酸度調整をしておきましょう。pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g(60cmのプランターで約50g)が目安です。
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまいます。種まき(植え付け)の2週間前には土作りと酸度調整を終わらせておきましょう。
セロリ栽培に適した畝は平畝です。畝の幅は60~80cmで畝の高さが10~15cmの平畝を作りましょう。
セロリの種まきは、温度や水の管理が難しいので直まきよりもポットまきがおすすめです。
セロリは直まきとポットまき(セルトレイまたはポリポット)ができます。
セロリの種まき時期は春まきは5月~7月(寒冷地)と夏まきが6月~8月です。
セロリの発芽に適した温度は15~20℃で、20℃前後がもっとも発芽が良くなります。
発芽適温の範囲内なら、7~14日で発芽が始まります。気温が低かったり高かったりすると発芽までの日数は前後します。(もっと詳しく:セロリの種が発芽しない原因と対策)
セロリ栽培に慣れていない方や寒冷地など気温が低い地域でセロリの種たねをまくときは、ポリポットやセルトレイに種をまく方が発芽がうまく揃います。
ポットやセルトレイで育てることの最大のメリットは温度と水の管理がしやすいことです。
1か所あたり種を深さ5㎜以下で5~7粒ほど点まきします。発芽率が悪いので種は多めにまきます。
そのまま本葉が5~7枚になるまでポットで育てましょう。
種を深さ5㎜以下で1cm間隔に筋まきします。長い棒などを押し当てて穴の深さを均一にすると発芽が上手く揃います。
・セロリは光好性種子で発芽には光が必要です。覆土は細かな用土を薄くかけるのがうまく発芽させるポイントです。
・セロリの種は乾燥に弱いので、本葉が3~4枚になるまでは水を切らさないようにする事が上手く育てるポイントです。
発芽するまでの間、濡らした不織布や新聞紙を被せておくと乾燥を防ぐことができます。発芽を確認したら早めに取り除きましょう。
・種をまいた後は風通しの良い明るい日陰で乾燥させないように管理します。
・種まき後は用土の表面が乾かないように水やりをこまめ行いましょう。
セロリの間引きのタイミングと間引き方を解説します。
セロリを直まきした時は成長に合わせて間引き作業を行って葉が込み合わないようにしましょう。1回目の間引きのタイミングは葉と葉が触れ合ったときです。
2回目以降は苗の成長に合わせて1回目と同様に葉と葉が触れ合うタイミングで定期的に間引きます。最終の間引きは本葉が3~4枚になった頃です。
ポットまきでは発芽が揃ったときが1回目の間引きのタイミング。1か所あたり3~4本に間引きましょう。
隣り合う株を傷めないように丁寧に抜き取ります。根が絡まっているときは根元からハサミで切り取ってもかまいません。双葉のバランスが良く緑の濃い元気の良い苗を残しましょう。
間引いた苗は間引き菜として食べることができます。
株間が狭いと株が小さく育ってしまうので、隣同士の株の葉が触れ合うようになったらその都度間引きを行うのが苗を大きくするポイントです。
セロリを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗から育ててみましょう。
セロリの苗は、植え付ける前にポットごと水に浸してから植え付けると根付きがよくなります。本葉が5~7枚の葉艶の良い苗を選んで、株間20~30㎝で植え付けましょう。
セロリは春と秋に苗の植え付けができますが、栽培しやすいのは春まきです。ゴールデンウィークから梅雨に入る前が、苗の植え付けにおすすめの時期です。
セロリがもっとも生育が良くなるのは15~20℃です。収穫途中で夏を迎えるので、反日蔭に置いたり日よけをしたりして育てましょう。
セロリは直根性(根が下に真っ直ぐ伸びる)野菜なので、植え付けるときに根鉢の底を壊さないことがポイント。根鉢を壊れて根が傷つくと株の成長が悪くなってしまいます。
プランターに入れる用土の量は根鉢の高さより少し低い位置までにしておきます。
根鉢を壊さないようにポットから苗を取り出して、用土の上に苗を置きましょう。
植え穴を掘る植え方もありますが、根鉢の底に隙間ができると根付くのに時間がかかります。
苗を置いたら周辺に用土を足して、根鉢の上の面が少し出るくらいに浅植えにします。セロリは深植えにならないように植え付けるのがポイントです。
苗を深植えしすぎると、苗の根元付近が腐って枯れてしまう原因になるからです。
ポットを水に浸してから植えた場合は、苗を植え付けてから2日ほどは水やりを控えましょう。こうすることで水を求めて根を地中に深く張る力がつきます。
セロリは株元を大きくするために、わき芽や傷んだ下葉をかき取りましょう。
セロリは苗を植え付けてから1ヶ月ほど経つと生育が盛んになり、株元からはわき芽が次々と生えてくるようになります。
脇芽や不要な下葉(黄色い葉や枯れた葉)は早めに摘み取ってしまいます。脇芽取りは収穫前までこまめに行いましょう。
わき芽や不要な下葉を残すと、養分と水分が株全体に回らなくなり、株が軟弱になってしまいます。
脇芽取りや下葉かきを行ったあとは、傷口から軟腐病の侵入を防ぐため水やりは避けるようにして下さい。
もちろん掻き取った葉は食べられます。スープやシチューなどの具として美味しく食べることができます。
家庭菜園で育てたセロリとスーパーで売られているセロリとでは茎の色が全然違っています。
実は店頭で売られているセロリは軟白栽培という育て方をしています。名前の通り店頭に並んでいるセロリの茎は白色で柔らかいのが特徴です。
家庭菜園でもセロリを軟白栽培したい時は、芯葉が立ち始めたら茎の部分を厚紙などの丈夫な紙でくるんで育てると同じように育てられます。
セロリは高温多湿が苦手なので、適度な水量になるようタイミングよく水やりを行いましょう。
セロリの水やりの頻度ですが、種をまいてから本葉が3~4枚になるまで、用土は乾きすぎず多湿すぎないように行いましょう。
苗を植え付けてから根付くまでの約1週間は、1日に数回水やりを行います。頻度は用土の表面が乾いたらこまめに与える感じです。用土の乾き過ぎは生育不良の原因になるので注意しましょう。
苗が根付いてからの水やりは、株を地面に拡がるように育て根の張りをよくするため、間隔を長くします。
芯葉が伸び始める頃になったら、太い茎になるよう徐々に間隔を短くしていき、収穫の3週間前になったら毎日水やりを行います。
セロリは肥料切れを起こすと株が大きく育ちません。プランター栽培では追肥が特に重要になってきますので追肥は忘れずに施しましょう。
セロリの株を大きく育てるために、苗を植え付けてから収穫までの間は、月に2回の追肥を施してやりましょう。
種からの場合は種まきから1か月半後、苗からの場合は植え付けから3週間経った頃が1回目の追肥のタイミングです。
与える量は1株あたりプランターで10g、露地栽培で20~30gを株間にばらまいて軽く土に混ぜ合わせるようにして与えましょう。
プランター栽培の時は水やりを兼ねて、7日に1回の頻度で液肥を与えるのも効果的です。
セロリの収穫方法は、外葉から株ごと収穫する方法と食べる分だけ外葉を掻き取って収穫する方法があります。
セロリは種まきから約4.5か月、苗を植え付けてから約2.5か月で10月以降が収穫適期です。
株が30~40㎝に育った時がもっとも美味しい収穫時期です。
株ごと収穫する時は葉柄を株ごと束ねて掴んでナイフで切って収穫しましょう。鮮度を保つために株元の余分な根をその場で綺麗に切り取っておきましょう。
外葉を掻き取って収穫する方法ですが、ベランダ菜園で小数株を育てている時は必要な分量だけ摘み取って利用できるのでとても便利です。
掻き取り収穫は外葉から掻き取るようにすれば長期間の収穫が楽しめます。掻き取った後に液肥を忘れずに与えてやると冬の間もセロリの収穫が楽しめます。
セロリが掛かりやすい病害は、苗立枯病・萎黄病・黄化病・軟腐病・葉枯れ病・腐敗病など。
セロリは栽培期間が長いため、病害にかかるリスクも高めです。対策を怠ると苗が全滅することもあります。定期的な予防をしっかりと行うことが大切です。
病害が発生しやすい条件は、高温多湿が続く・低温多湿が続く・連作をしているなど。
ベランダ栽培では初夏までは日当たりの良い場所を選びますが、夏場以降は反日蔭の場所で冷涼な場所で育てるようにすると病害の発生を軽減できます。
セロリ栽培でよく見かける害虫は、キアゲハの幼虫・クロモンキノメイガ・トマトハモグリバエ・ハモグリバエ・ヨトウムシ類など。
セロリは害虫の被害に遭いやすいので注意しましょう。中でもキアゲハの幼虫が発生すると、数日で苗が全滅することがあります。
「葉に穴があいていないか」「食いちぎられた跡がないか」を観察して早期発見を心掛けて発見したら必ず処分しましょう。
害虫の飛来を防ぐために防虫ネット掛け(トンネル栽培)を行う事も有効な手段です。
害虫被害が多い場所で栽培する時や、予め被害を防ぎたい時は早めに対策を行っておくようにしましょう。