シソの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期のほか、土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫方法、病害虫対策などを画像を交えて解説します。
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栽培難易度 ★★☆☆☆
大葉とも呼ばれるシソは、発芽は少し難しいですが発芽後は育てやすく難易度は低めです。栽培方法も容易で初心者向けの葉野菜です。
シソは中国南東部やヒマラヤ原産の野菜で、湿り気のある土壌を好み、やや日陰でも育つ丈夫な野菜です。草丈が1mほどになる一年草で、茎葉や種子に芳香があります。
シソは大葉とも呼ばれ、日本のハーブの代表です。シソは漢字で「紫蘇」と書きますが、「ものを蘇らせる」という意味があります。
発芽までの種子は乾燥に弱く深まきすると発芽率が悪くなりますが、一定まで苗が育ったら、病害に強く、ほとんど手間も掛からないため栽培は難しくありません。
シソは葉のほかに花芽や花穂も料理に利用することができて、それぞれ「葉ジソ」「芽ジソ」「穂ジソ」として味わうことができます。
シソ特有の香りは「ぺリルアルデド」という成分で防腐作用があります。刺身のつまや生ものとの相性は抜群です。天ぷらや肉まきやベーコンまき、サラダなど料理の用途も豊富です。
科目 | シソ科 |
連作障害 | 出にくい |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
発芽適温 | 20~25℃ |
生育適温 | 20~25℃ |
種まき時期 | 4月~5月 |
発芽日数 | 5日~7日 |
苗植え付け時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
シソの栽培時期は春から秋にかけてです。種まきは4月~5月(苗の植え付けは4月~6月)で、収穫までは種をまいてから約3か月です。
シソの品種は「青ジソ」と「赤ジソ」があり、さらにチリメンシソに分かれます。どの品種を選んでも育てやすさや栽培方法に大きな違いはありません。
青ジソは葉の表裏は鮮緑色で切れ込みが浅いのが特徴です。花は白色で系統によって香りに違いがあって無香のものもあります。
赤ジソは葉の表裏が濃赤紫色で切り込みが浅く、花も紅紫色をしています。梅干しや佃煮などによく利用されています。
青ジソと赤ジソともチリメン系の品種があり、葉の表面がちりめん状で芳香が強い特徴があります。赤チリメンジソは青チリメンジソよりも切れ込みが強い品種が多めです。
珍しい品種に「カタメンシソ」や「ウラアカ」があり、葉の表面は青色で裏面が紫色をしています。
品種による栽培方法や育てやすさに違いはなく、どの品種を選んでも栽培は容易です。
シソはプランター栽培と露地栽培が可能で、直まきとポットで育苗してから畑に移植する方法があります。
シソの栽培をはじめる前にしておくことは、プランター栽培では「プランターと栽培用土の準備」、露地栽培では「土作り」と「畝作り」などです。
シソ栽培で利用するプランターサイズは中型(45cm)以上のものを利用しましょう。1株植えなら10号サイズ以上の深型の植木鉢でも栽培ができます。
品種にもよりますが、中型サイズのプランター1つに対して1~2株程度の栽培が可能です。
シソ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すれば土作りの必要がなく袋から開けてすぐに使えるのでとても便利です。
自分で用土を配合するときは、赤玉土(7):腐葉土(2):バーミキュライト(1)を混ぜたものを使いましょう。
そこに石灰を用土10Lあたり10~20gと化成肥料を用土10Lあたり10~20gを入れてよく耕しておきます。
プランターや植木鉢の底には、水はけを良くするために赤玉土や鉢底石などを数センチほど敷き詰めておきます。
種から育てるときは淵から5cmほどの位置まで用土を入れ、苗から育てるときは根鉢の高さを考慮して用土を入れておきましょう。(根鉢を置いてから残りの用土を足します。)
シソの露地栽培の土作りは種まき(苗の植え付け)の2週間前に終わらせておきましょう。苦土石灰100g/1㎡をまいて全体に混ざるように丁寧に耕しておきます。
種まき(苗の植え付け)の1週間前になったら、堆肥(1㎏/㎡)と化成肥料(100g/㎡)を畑の全面にまいて良く耕しておきましょう。
シソ栽培で作る畝は、畝幅は45cm(1条)~80cm(2条)で畝の高さは5~10cmの平畝です。
シソは直まきとポットまきができます。どちらも発芽させるのは難しくありませんが、発芽適温外に種をまくときはポットまきをして温度管理しながら育苗する方が確実です。
シソの種まき適期は、4月~6月上旬です。
シソは20℃~25℃が発芽に適した温度です。
シソは発芽適温内なら5日~7日で発芽が始まります。発芽適温から外れていると日数は前後します。(参考:シソが発芽しない原因と対策)
シソの間引きはタイミングよく行いましょう。間引きの時期が早すぎると苗が徒長して軟弱になり、遅すぎると抜き取るときに隣の根を傷める原因になります。
シソの間引きは合計で2回行います。1回目の間引きは発芽が揃った頃で2本立てにします。2回目の間引きは本葉が1~2枚になった頃が目安の時期で、元気な苗を1本だけ残しましょう。
シソの株の間隔は30cm以上です。
苗が抜けないように残す苗の根元付近を指で軽く押さえて、不要な苗の根元を掴んで手で抜き取りましょう。
間引きが遅れて隣り合う苗の根と絡まって抜けにくいときは、ハサミで根元から切り取ってもかまいません。
シソを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗を購入して育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
シソは、節間が狭く茎が太く葉の緑の濃いもの、害虫や病害の被害に遭っていないものが良い苗です。本葉が4~5枚になったものが植え付けに適した苗の大きさです。
シソの苗の植え付け適期は、5月~7月上旬です。
シソは20℃~25℃が生育がもっとも良くなる温度です。
シソの苗を植える間隔は30cm以上です。
シソは気温の高い時期なら切り取った枝を土に挿しておくだけで苗を増やすことができます。実生(種から育てた)株ほどの勢いはありませんが葉を収穫できます。
シソは根が地上に露出すると太陽光で根を傷めてしまい、生育不良の原因になってしまいます。タイミングよく株元に土を寄せておきましょう。
水やりや降雨で用土は自然に減ってしまいます。根元周りの用土が減ってきたと感じたら土寄せをしましょう。
根が完全に露出すると株の生育に影響するので早めに土寄せするのがポイントです。
株周りの固くなった用土の表面を軽くほぐしてから株元に寄せておきます。プランター栽培では用土が減ってきたら新しい用土を足しましょう。
シソは多湿を好む野菜です。高温期など土壌の乾燥が激しくなる時期はマルチングをして乾燥を防止しましょう。
シソは湿り気のある土壌を好むため、用土が乾燥しすぎると株の生育が悪くなり収量が落ちてしまいます。
敷き藁やピートモスなどでマルチングをすることで乾燥対策ができます。
シソ栽培では夏場以降の雑草取りが大変になります。マルチングをすることで雑草対策にもなります。
シソは草丈が高くなると茎葉が固くなって味が落ちてしまうため、一定の高さになったら摘芯を行いましょう。
摘芯とは枝の先端部分を切り取ることです。シソは放任で栽培すると草丈が80~100cmになってしまいます。
最初に株の中央から伸びる枝(主枝)の高さが20cmを超えたら、枝の先端部分(頂芽)を摘み取って摘芯しましょう。シソは主枝を摘芯することで脇芽がたくさん出るようになります。
その後に伸びる側枝も地上から40cmを超えたら同じく頂部を摘芯します。常に新しい脇芽を伸ばしていくことが常に柔らかい葉を長く収穫するポイントです。
また、シソは地上部の蒸れには弱い一面があります。株の中央付近が込み合ってきたら、側枝を間引いて風通しと日当たりを良くしましょう。
シソは8月頃になるとトウ立ちして花芽をつけます。花穂ができると株の生育が悪くなるだけでなく、葉が固くなって風味も落ちてしまいます。
穂ジソや花穂ジソ・実ジソを利用しないときは早めに花芽摘みをして開花させないようにしましょう。
シソは成長にあわせて水やり方法を変えます。種まき後(苗の植え付け後)から約1週間程度はこまめに水やりをしますが、その後は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。
シソは極度の乾燥を嫌います。用土の表面が乾いたときが水やりのタイミングです。
種まき後や苗の植え付け後の約1週間は、水切れにならないように用土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをしましょう。
プランター栽培では1回の水やりで鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり2~2.5Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
シソの追肥は株の成長に合わせて与える肥料の種類と与える量を調整しましょう。シソは根の先端からもっとも吸肥します。プランターの淵や、畝間や株と株の間に肥料をまいて表面の用土と混ぜ合わせておきます。
シソは草丈が15cmを超えた時期から追肥をスタートさせます。目安は月に1~2回です。
肥料をしっかりと与えると葉は多く収穫できますが、多すぎても香りが弱くなってしまいます。
株や葉の状態を見ながら追肥の量とタイミングを決めるのがポイントです。
生育初期はチッソ分の割合が多めの肥料を与えて株を大きく育てます。穂ジソを収穫するときは、開花が始まったタイミングからリン酸とカリの割合が多めの肥料に切り替えます。
1株あたり5~10gを与えましょう。用土全体に肥料をまいて軽くほぐしてから株元に土寄せしておきます。
薄めた液肥を1週間に1度のタイミングで水やりを兼ねて与えてもかまいません。
1㎡あたり20~30gを与えましょう。列の両側に肥料をまいて用土をほぐして株元に土寄せしておきます。
シソの収穫のタイミングや収穫の目安を知って、もっとも美味しい頃合いに収穫しましょう。
シソは種まきから約3か月、苗の植え付けから約2か月で収穫適期を迎えます。また、花穂ジソと穂ジソは8月以降、実ジソは9月以降が収穫時期です。
シソの収穫時期を見た目で判断するときは、草丈が30cmを超えたら収穫のタイミングです。または、主枝(主茎)につく葉の枚数が10枚以上になったときです。
つぼみが30~50%開花したときです。
上部の花が少し残り、下の実が膨らみ始めたときです。
開花が終わり実が膨らんだときです。
ハサミやナイフで葉元(軸の部分)から切り取って収穫します。手で摘み取ってもかまいません。
葉や穂を手で触り過ぎると香りが弱くなるので、軸の部分を持って摘み取りましょう。
シソは新葉が出なくなったときが収穫の終わりです。一年草で霜が降りる頃には枯れてしまいます。最後は株ごと抜き取ってしまいましょう。
シソにはさまざまな病害が発生します。病害の前兆を早く見つけることが大きな被害を防ぐことにつながります。早期の治療と再発防止対策をしっかりと行いましょう。
シソ栽培でよく見かける病害は「青枯れ病」「さび病」「ウイルス病」「そうか病」「褐斑病」などです。
シソが病害に掛かる主な原因は、低温気味、日当たりが良すぎる、株元の葉が込み合って風通しが悪い、高畝で乾燥気味になっている(または水やりが少ない)などです。
シソの病害の発生を予防するためには、乾燥を避ける、夏場の直射日光を避ける、適正な株間の確保を行う、用土を丁寧に耕して水はけの良い土壌作りを心掛けましょう。
収穫前に害虫の被害に遭うと収量に大きく影響します。害虫を見かけたら早期に駆除することが被害を最小限に抑えるポイントです。害虫対策をしっかりと行って、害虫の集まりにくい環境を目指しましょう。
シソに発生しやすい害虫は、「オンブバッタ」「ハダニ」「ベニフキノメイガ」「ヨトウムシ」「アブラムシ類」などです。
害虫は大きくなる前や数が増える前に早期に駆除することが大切です。葉の裏もよく観察して卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺しましょう。
栽培時に出る残渣(落ち葉や枯葉)はこまめに撤去し、株元が込み合ったら摘葉して風通しを良くすることで、害虫の住処をなくすことができます。
シソの苗が小さい時期のトンネル掛けや不織布掛けは、害虫の飛来を予防する上でかなり有効な方法です。
自分の畑だけを対策しても、周辺の無対策の畑や雑草地に囲まれている畑などから害虫は次々と飛来してくるからです。
害虫の数が増えて自力で駆除できなくなる前に、人体への影響が少ない薬剤を使うことも検討しましょう。