ソラマメは秋が植え付け適期です。日当たりと水はけの良い土壌に種を深さ1cmでまきます。春になって草丈が60cmを超えたら先端を摘み取りましょう。管理作業は、支柱立て・摘心・水やり・追肥などで収穫までは約6か月です。
ソラマメの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
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栽培難易度 ★★☆☆☆
ソラマメは栽培管理の手間が少なく、コツさえ知っていれば初心者でも育てやすい実野菜です。
名前の由来ですが、豆類の多くは下向きに莢が付くのですが、このソラマメは何故か上向きに莢が付きます。さやが空を向いくことからソラマメ」と呼ばれるようになったと言われています。
ソラマメの栽培時期は秋から翌年の春にかけてで、品種が少なくなる冬の畑を有効に使うことができます。夏野菜までの繋ぎ野菜としてもおすすめです。
品種や栽培地の環境にもよりますが、中間地以西は秋まき、寒冷地(北海道・東北)は春まきが主流です。
ソラマメに含まれる栄養は、良質のたんぱく質、ビタミンB1・B2、ビタミンC、銅やカリウムなどのミネラル類、とにかく栄養素が豊富な緑黄色野菜です。
ソラマメの皮には利尿作用があるためむくみにも効果的です。
軽く塩ゆでしたり軽く火であぶったりして、お酒のお供にもおすすめです。
ソラマメは収穫適期が短く、収穫後の鮮度が落ちるのが早いので、新鮮な味は家庭菜園でしか味わえないので収穫できたときの喜びは格別です。
ソラマメは連作障害が出やすい野菜です。4~5年は同じ場所で栽培するのは避けましょう。
科名 | マメ科 |
別名 | 空豆・蚕豆・一寸豆・おたふく豆・テンマメ・ナツマメ・ノラマメなど |
草丈 | 60~80cm |
連作障害 | あり(4~5年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 o |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 20~30cm以上 |
畝幅 | 70~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 10月~11月 |
発芽日数 | 5日~10日 |
苗植え付け時期 | 11月~12月 |
収穫時期 | 種まきから約6か月 |
品種や栽培地の環境にもよりますが、種まき適期は10月~11月で苗の植え付けは11月以降です。寒地では春まきもでき、2月上旬~3月です。収穫適期は種まきから5~6か月です。
育てやすい品種には「一寸ソラマメ」「伊豆早生」「河内一寸」「打越一寸」などで、秋まき・春まき・早生・晩生などがあり、地域の風土や気候にあった品種を選びましょう。
育てやすいソラマメの品種には「一寸ソラマメ」「伊豆早生」「河内一寸」「打越一寸」などがあります。
基本的にどの品種でもよく育ちますが、株数が少ない時やソラマメ栽培が初めての方は苗から購入するのも良いでしょう。
ソラマメはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。ソラマメ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
ソラマメの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ソラマメ栽培で利用するプランターサイズは大型サイズ(60㎝以上)で、深底タイプです。10号程度の深型の植木鉢でも栽培できます。
ソラマメの株間は約15㎝なので、大型サイズのプランターなら2~3株程度は栽培が可能です。実の数が減ったり病害が発生しやすくなるので密植に注意しましょう。
ソラマメの栽培用土は市販の培養土を利用すると袋から空けてすぐに使えて便利です。
栽培用土を自分で配合する時は、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1を混ぜ合わせた物を使います。
そこに石灰を用土10ℓ当たり10gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~30g混ぜ合わせておきます。
1~2週間前には土作りを完了させておきます。根傷みの原因になるので種まきの直前に石灰を入れないように注意しましょう。
プランターに用土を入れるときは鉢全体の7割程度にしておき、ウォータースペースを確保しておくようにします。
この理由は水やりや降雨で用土のこぼれを防ぎ、まし土ができるようにしておくためです。
畑(菜園)でソラマメを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。
ソラマメに適した土壌酸度はpH6.0~6.5です。苦土石灰をを入れて酸度調整をしましょう。(pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g必要になります。)
元肥は全面施肥で、1㎡あたり堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)を100g、苦土石灰を200gを施しておきましょう。
前作で他の野菜を栽培していたときは元肥は入れなくてもかまいませんが、ソラマメは石灰分を必要とするので、苦土石灰のみを施しておきます。
植え付け直前に石灰を入れると根傷みの原因になるので注意しましょう。酸度調整の効果が出るまでに約2週間ほどかかるので、早めに酸度調整を終わらせておきます。
ソラマメは主根浅根型で地下30cmの深さまで根を張ります。畝と合わせて30cmほどの用土を丁寧に耕しておきましょう。
植え付けの1週間前になったら元肥を入れて畝を立てておきます。元肥は全面施肥で、1㎡あたり堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)を100gを施しておきましょう。
ソラマメは肥料過多になるとつるボケしやすくなるので注意しましょう。ちなみにつるボケとは、茎葉ばかりが生い茂って実が付かなくなることです。
ソラマメの適した畝は平畝で、畝幅は70~80cm、畝高は10~15cmが目安です。
栽培途中で何度も土寄せをするため、畝幅が狭いと株元に寄せる土が足りなくなります。
ソラマメは良質な用土で育てることが大切です。
繰り返して使った用土は、古い根が残ってしまったり、大きなダマができたり、固く締まって密度が高くなってしまいます。
通気性や通水性が悪く痩せた土地(何度も繰り返して使っている用土)での栽培は生育不良の原因になります。
プランター栽培では用土を入れ替える、定期的に用土を再生する、露地栽培では用土丁寧に耕して堆肥などを入れるなどしましょう。
ソラマメは根につく根粒菌が養分(窒素)を作り出すため、前作野菜を栽培していたときは元肥を入れなくてもかまいません。
ただし、石灰(カルシウム)を必要とするので、苦土石灰はしっかりと施しておきます。
ソラマメは畑に直接種をまく「直まき」とポリポットに種をまく「ポットまき」ができます。
ソラマメの種まき時期は早すぎても遅すぎてもいけません。苗が大きすぎると冬越しに失敗しやすくなるからです。
冬越しに適した大きさの苗を残したいときは、数日ほどずらして種をまく方法もおすすめです。
種まき時期が適温内でも、発芽後が生育適温の15~20℃から外れていると発芽してから苗の生育が悪くなります。
種まき時期の見極めがソラマメ栽培の成功のポイントです。
種まき適期は種まき適期は10月~11月で苗の植え付けは11月以降です。寒地では冬越しが困難なので、春まきが主流で2月中旬~3月上旬です。
ソラマメは低温に当たることで花芽分化するので、中間地以西では春まきは向きません。
ソラマメの発芽に適した温度は15℃~25℃です。10℃以下や35度以上では発芽率が低下します。(もっと詳しく:ソラマメが発芽しない原因と対策)
ソラマメは種をまいてから5日~10日で発芽します。
種をまくときは、お歯黒と言われる黒い筋の入った部分を斜め下に向けて約2cmの深さまで押し込みます。
種のまき数は、ポットまきでは1か所あたり2~3粒、直まきでは3~4粒が目安です。
種を深く埋めてしまうと酸素不足で発芽率が下がる原因になります。
種をまいた後は用土の上から手のひらやクワでしっかりと押さえておきましょう。
種の用土の間に隙間があると、吸水に時間がかかって発芽率が落ちたり、根の張りが悪くなったり、冬季に霜で苗が浮き出る原因になります。
発芽したら本葉が2~3枚になるまでポットで育苗しましょう。
種をまき後から発芽までの間は、1日1回を目安に水やりをしましょう。極度に用土を乾燥させないようにします。
もみ殻や新聞紙・不織布などを掛けておくと乾燥防止になります。
直まきでは発芽率が下がり鳥害に遭いやすいので、多めに種をまいておくのがポイントです。
種は湿度の低い冷暗所なら2~3年は保存できます。保存状態が悪いと腐ったり傷んだりして発芽率が悪くなります。
間引きはタイミングよく行いましょう。間引きが早いと途中で苗がだめになったときに種をまき直すことになり、間引きが遅すぎると他の苗の根が絡まって残す苗を傷めてしまいます。
間引きはタイミングよく行いましょう。間引きが早いと途中で苗がだめになったときに種をまき直すことになり、間引きが遅すぎると他の苗の根が絡まって残す苗を傷めてしまいます。
生育の良い苗を1本だけ残して他の苗はすべて摘み取ります。残したい苗の根元付近を手で押さえて不要な苗を抜き取りましょう。
間引きのタイミングは、直まきでは本葉が2~3枚になった頃、ポットまきでは本葉が1~2枚になった頃です。
エダマメ栽培に慣れていない方や種から育てるのが難しいと感じる方は苗から育ててみましょう。苗から植え付けると収穫まで簡単に辿り着けます。
良い苗は、背丈が高く節間が広いものよりも、草丈の低い節間が詰まった「ずんぐり」型です。
寒冷期までに苗が必要以上に育ち過ぎていると凍害を受けて風越しに失敗やすくなります。葉が3~4枚の小さな苗を選びましょう。
苗の植え付け時期は11月以降です。
生育適温は15℃~20℃です。植え付け後は生育適温から外れるため、苗の生育が遅くなりますが心配はいりません。
露地栽培では30cm以上、プランター栽培では25cm以上の株間を確保して苗を植え付けましょう。
株間をしっかりと取ることが収穫量を増やすポイントです。
幼苗期は風の影響を受けやすいため短めの仮支柱を立てておき、草丈が60㎝ほどになったら周囲を紐で囲って株が倒れないように対策しましょう。
露地栽培では1.5m程度の支柱を苗の両側に2本ずつ立て、30cm間隔でひもを3~4段に張っておきます。
プランター栽培の場合は、春になって側枝が一気に伸び始める前に数本の支柱を立てて紐で誘引しておきます。
支柱は直立式でも大丈夫ですが、市販されている「あんどん型の支柱」を立てても良いでしょう。
苗の生育が盛んになる時期に、露出した根に太陽光が直接当たると株の生育を弱める原因になります。
間引きや追肥のタイミングで株周辺の用土の表面を軽く耕して株元に土を寄せておきましょう。
プランターの場合は水やりで用土が減りやすいので、定期的に用土を足しておきます。
春になって草丈が40~50㎝ほどになったら光量不足にならないように不要な側枝はすべて整枝してしまいましょう。日当たりをよくすることで収穫量が増えます。
太く生育の良い枝を6~7本だけ残して、後から伸びる側枝はすべて摘み取ってしまいましょう。放任で育てると養分と水分が果実に行き渡らなくなってしまいます。
養分が葉に取られすぎてしまうと、収穫量が減ったり莢の実なりが悪くなったりします。必要以上の葉は忘れずに摘み取ってしまいましょう。
ソラマメの株の上部の花は咲いても実が入らないことが多いので、草丈60㎝を超えた側枝は先端を摘み取って(摘芯して)しまいましょう。
摘心することで株元から新たな側枝が伸びるようになります。
ソラマメは種まき後と苗の植え付け後はたっぷりと水を与えます・冬季も水やりは必要で量は少なめにしましょう。春以降になって生育が盛んになったら徐々に水量を増やしていきます。
ソラマメは種まきしてから発芽までの間は水やりをしっかりと行いましょう。長く乾燥状態が続くと、発芽不良の原因になります。
発芽するまでの水やりは朝にたっぷりと行い、夕方に表面がやや乾いている状態にしておくのが理想です。
冬は日中の暖かい時間に水やりをします。低温期に土壌が多湿気味になると病害が発生しやすくなるので、回数を少なくしてやや乾燥気味に育てましょう。
春以降になって生育が盛んになったら徐々に水量を増やしていきます。午前中を中心に用土の表面が乾いたタイミングでたっぷり水やりを行います。
病害の発生を予防するため15時以降の水やりは控えます。夜間は用土の表面が乾いている状態にしておきましょう。
ソラマメは初期は元肥で育てますが、2月になったら1回目の追肥を施して、それ以降は収穫まで2週間に1度のタイミングで追肥を行いましょう。
ソラマメは他のマメ科のように根に根粒菌がいて窒素固定を行いますが、冬季は低温によって根粒菌の働きが抑えられるので、追肥を行うことで生育が良くなります。
草丈が20㎝程度になる2月中旬頃が1回目の追肥のタイミングです。
露地栽培では化成肥料(8:8:8)を1㎡あたり20~30gを畝の肩にまいて用土と混ぜ合わせて株元に寄せておきます。
株から少し離れた位置に化成肥料を1株当たり3~5gを株周辺にまいて、表面の用土と軽く混ぜ合わせてから株元に寄せておきましょう。
花が咲いて実が成熟するまでに2週間に1回程度のタイミングで追肥をします。この時期は肥料切れを起こさないように注意しましょう。
ソラマメは肥料が不足してくると、葉先が黄色くなったり黒ずんだりします。逆に肥料が多いと株が異常に生育して落花や空鞘、曲がり果が増えます。
収穫時期と収穫の方法を解説します。適期を逃さずソラマメをもっとも美味しいタイミングで収穫しましょう。
ソラマメの収穫適期は開花してから約35~40日が目安です。
空を見上げていた莢がふくらみ重みで下を向いて莢の背筋が黒くなってきたら収穫適期です。
美味しい適期が短いので頃合いを逃さないようにしましょう。
収穫する時間帯は朝方がおすすめです。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送るからです。
気温が上がってからではみずみずしさが失くなってしまいます。また気温が高くなってから収穫したものは傷みも早くなります。
ソラマメは株の下から順番に果実が大きくなります。株全体の果実が熟すのを待っていると先に付いた果実の適期を逃してしまいます。
ハサミなどで果実の根元を切り取って、莢が膨らんだものから順次摘み取りましょう。
収穫適期が短いので、適期を逃さないようにするのが美味しい果実を収穫するポイントです。
収穫後はサヤのままビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
調理の直前に鞘から実を取り出すのが新鮮さを保つコツです。
軽く塩ゆでしてからラップで包むかビニール袋に入れて冷凍保存することもできます。
ソラマメが掛かりやすい病害は、モザイク病・褐斑病・赤色斑点病があります。病害が発生したら早めに対策しましょう。
病害を防ぐには水はけの良い土壌を作り、株元の不要な茎葉を摘葉して風通しを良くしておきます。
ソラマメに多い生理障害は冷害です。寒さ対策として12月~2月下旬ごろまでの間は苗の周辺に敷き藁をしてやりましょう。マルチングも寒さ対策には有効です。
病害が発生したら被害株を抜き取るか、薬剤などで治療を試みます。早期発見、早期治療で蔓延を防ぐことができます。また再発防止や他の株へ感染させないように、栽培環境を見直すことが大切です。
ソラマメに集まる害虫は「アブラムシ類」「ハモグリバエ類」「ヨトウムシ」「コガネムシ」「カメムシ」などです。
害虫で一番厄介なのはアブラムシ類で、ウイルス病を感染させるので注意しましょう。 窒素の与えすぎはアブラムシが発生しやすくなります。
生育初期は寒冷紗のトンネル掛けで防除ができますが、草丈が高くなると覆うのが難しくなります。この時期は害虫の数が増えて手に負えなくなる前に薬剤の散布も検討しましょう。
葉の表面に白い筋が入るときがありますが、この正体はハモグリバエやナモグリバエの幼虫に食害された跡です。
大きな被害にはなりませんが光合成を阻害されるので、見つけ次第、葉ごとすり潰しておきましょう。
株周辺の雑草や枯葉や落ち葉、前作の残渣などは害虫の住処やエサになるので除去しておきます。
害虫は早期発見と早期の対策で被害を大幅に軽減できます。
ソラマメは苗の植え付けが早いと大きく育ちすぎるので、種から撒くときは適正な時期に植えることが上手に育てるポイントです。
苗を早く植えすぎて育ち過ぎて(本葉が7~8枚以上)になると、寒害にあいやすくなるので植え付け時期に注意しましょう。
ソラマメは酸性度に弱いので、石灰などで用土のPHを6.5程度にしておくのが上手く育てるコツです。
また、多湿にも弱い野菜なので、土壌の排水は良くしてやりましょう。(もっと詳しく:ソラマメがうまく育たない原因と対策 )
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