サツマイモ栽培で収穫までたどり着くには育て方のコツを知ることが成功への第一歩。初心者にも分かるように植え方から収穫までサツマイモの育て方を丁寧にレクチャー。サツマイモの作り方はプランター栽培でも露地栽培でも簡単!家庭菜園で立派なサツマイモを育てましょう!
Contents Menu
・サツマイモ栽培カレンダー
・サツマイモ栽培成功のポイント
・挿し穂の作り方
・サツマイモの植え方(苗の植え付け方)
・サツマイモの水やり
・サツマイモの追肥
・つる返しの仕方
・サツマイモの収穫
・サツマイモの育て方まとめ
・サツマイモの病害対策
・サツマイモの害虫対策
サツマイモ(薩摩芋)栽培
難易度★☆☆☆☆
サツマイモはヒルガオ科の熱帯原産の根野菜で、病害虫や高温・乾燥にめっぽう強く土質を選ばないため栽培は容易です。
サツマイモは種まきや種イモから育てるのではなく種イモを伏せ込み芽出しした苗から育てます。
植え付けまでは少し手間がかかりますが、サツマイモの作り方はコツさえ分かれば簡単!
サツマイモは栽培の手間もかからず連作も可能で初心者にぴったりの簡単野菜。秋になって家族みんなで芋を掘り起こす時の嬉しさは格別です。
サツマイモは水はけが良く通気性の良い土壌、日当たりの良い場所で育てましょう。
サツマイモと言えば広い畑しか育てるのは無理と思われがちですが、弦を支柱に絡ませたりベランダの手摺をうまく利用したりすれば、マンションのベランダなどの限られたスペースでの栽培も可能です。
サツマイモに含まれる栄養価は、ビタミンC・ビタミンE・カルシウム・食物繊維が豊富です。てんぷらやみそ汁の具に使ったり、焼き芋や大学いも・スイートポテトなど料理のレシピも豊富な野菜です。
サツマイモは収穫後の貯蔵性も高く時間が経つにつれ追熟して甘みが増すため家庭菜園にはおすすめの野菜です。ぜひチャレンジしてみましょう!
サツマイモは春植え(5月植え・6月植え)が可能です。苗作りは3月。収穫までは苗を植え付けてから約4か月です。
サツマイモを栽培する時のプランターサイズは中型(60㎝~)で深型のものを利用しましょう。このサイズなら2~3株育てることが可能です。
1株だけの栽培なら深型で大型の植木鉢で育てることも可能です。
また、苗から挿し穂を育てる時に使うプランターサイズは中型を使って栽培しましょう。
ベランダ菜園などスペースが限られた場所でサツマイモを栽培する時は土のう袋を使って栽培してもよいでしょう。
サツマイモをプランターや鉢で育てる時は「まし土」行うので、用土の量は鉢の7割程度にしておきます。
プランターに用土を入れ過ぎると、まし土が出来なくなったり、水やり時に用土が流れ出てベランダが汚れてしまう原因になります。
サツマイモを育てる時に使う用土ですが、市販の培養土を利用すればすぐに植え付けできて便利です。
自分で用土を作る時は、赤玉土4:堆肥3.5:腐葉土1.5バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり20gを混ぜ合わせます。
植え付ける2週間前には土作りを済ませておくようにしましょう。元肥ですが、窒素過多になるとつるボケする(弦ばかりが伸びてイモの生育が悪くなる)ので注意しましょう。
露地栽培でサツマイモを育てる時は、植え付ける2週間前に苦土石灰100g/㎡・堆肥500g/㎡・草木灰100g/㎡・硫酸カリ10g/㎡を施して良く耕しておきましょう。
輪作の場合は無肥料でも十分に育ちます。
畝は、畝幅60~80㎝、高さは30㎝の高畝が適しています。畝の中央に深さ30~40㎝の溝を掘って元肥(化成肥料30g/㎡)を施しておきます。
サツマイモは品種が豊富で甘みの強いもの、オレンジ色のもの、紫色色のものなど個性的なものばかりです。
サツマイモの育てやすい品種は「ベニアズマ」、食味が良いとされているのは「紅小町」「金時」です。
育てやすく食味が良いのは「高系14号」と呼ばれる品種で、鳴門金時・土佐紅・ことぶき・紅さつま・千葉紅・五郎島金時などの名称で販売されています。
その他にも実が黄色くなる「べにまさり」「クイックスイート」「春こがね」、皮が白い「コガネセンガン」など種類が豊富ですが、どの品種を選んでも比較的良く育ちます。
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挿し穂とは苗から出る弦を切り取ったもので、サツマイモはこの挿し穂から育てます。
挿し穂は全長が25~30㎝で、節は7~8、葉が5~7枚付いたもの。葉は厚く広い濃い緑色をしていて、苗全体に勢いがあるものが良い苗です。
弦が細いものや茎や葉が間伸びしている細い苗は悪い苗です。サツマイモは病害虫に強く手間いらずで育つ野菜なので、良い苗を選ぶことが上手に育てるポイントになります。
挿し穂(挿し苗)は値段が安いのでお店で買っても良いのですが、園芸店などで種芋や苗を購入して、挿し穂を育てること(挿し穂取り)も出来ます。
苗から育てて挿し穂取りをする時は、中型のプランター(60㎝)に15㎝間隔で3株ほど植えましょう。十分に水やりをして2週間ほどすると挿し穂(挿し苗)が収穫できます。
苗から育てる時は、ウイルスフリーのポット苗を購入してウイルスに感染していないもので育てましょう。
種芋から挿し穂を育てる時は、4月上旬に、培養土を入れた中型のプランターに、育てたい品種のサツマイモを敷き詰めるようにして並べて芋が隠れる用に覆土します。芽が出るまでは水やりを欠かさないようにしましょう。
種芋を植えてから約2か月ほどすると、挿し穂が取れるようになります。4月中は気温が低いのでポリフィルムをかけて地温を上げてやりましょう。
サツマイモの挿し苗の植え方には、「水平植え」「船底植え」「斜め植え」があります。
サツマイモは茎の節から太い根が出て、その一部が芋になるので2~3節以上が土中に埋まるように植えつけましょう。
「水平植え」は畝と平行に植える植えつけ方、「船底植え」は芋が横向きにつくように土中で茎を船底のようにU字に曲げる植えつけ方、「斜め植え」は3~4節まで畝に差し込んで斜めにするマルチ栽培で使う植え付け方です。
サツマイモの挿し苗は植え付けの前に2~3日ほど日陰で萎れるまで放置して、植え付けの前日にバケツなどに張った水に浸けて吸水させましょう。
この作業は、サツマイモの挿し苗を一度乾燥させて再び水に浸けることで、親弦から離れたことを自覚して発根させるために行います。
サツマイモは地際に近い節に芋が沢山つくので、収穫量が多くなる「水平植え」がおすすめです。水平植えは2~3節以上を土中に3~4㎝埋めて植えつけましょう。
挿し苗の植え付け時期は、気温が上がる5月上旬から梅雨に入る前の6月上旬まで。
気温が低い地域や地温が低い時期に植えつける場合は、地温を上昇を上げるためにマルチシートを畝に被せて育てましょう。
地温が低い地域や時期に挿し苗を植えつける時は、黒マルチシートを張って育てますが、苗が焼けるのを防ぐために、株元周辺に土を置いてやります。
苗を植え付けた直後は葉が萎れることがありますが、生長点がしっかりしていれば枯れる心配はありません。
サツマイモの挿し苗を作る時は毎日水やりをしますが、挿し苗を植え付けて1週間は水やりを行い、その後の水やりは殆ど必要ありません。
サツマイモは熱帯中南米の火山灰土でも育つメキシコ原産の野菜なので、水やりをしなくても十分に育ちます。露地栽培の時は自然に降る雨だけで十分です。
植えつけ直後のサツマイモは水分を必要とするので、プランターで育てる時は根付くまでは毎日水やりを行います。(1~2週間ほど)
根付いて成長が活発になったら乾燥気味に育てるようにしましょう。水やりの頻度が多いと病害(疫病)に掛かることがあるので必要以上の水やりは控えるのがポイント。
水やりのタイミングは表土が乾くまでは水やりを行わず、乾いたらたっぷりとやる感じです。
サツマイモは元肥で十分育つので、基本的には追肥の必要はありません。
ただし、保肥力の弱い砂質土やプランター(植木鉢)で育てる時に、葉が黄色くなったり生育が悪いと感じた時には追肥を行いましょう。
サツマイモの追肥を施すタイミングですが、挿し苗を植え付けてから約3週間後の弦が2~3本伸びてきた頃。
チッソ分の多い肥料は弦ばかりが伸びて根が大きくならない「弦ボケ」を起こします。弦ボケを防ぐため、チッソ成分が少なくカリ成分の多い化成肥料または薄い液肥を少量与えるようにします。
1株あたり約10g程の化成肥料を株周辺に撒いて用土と混ぜ合わせてやりましょう。
有機肥料を追肥として与える場合は、リン酸の多い米ぬかや草木灰が向いています。特に輪作で前野菜の肥料が残っている場合は有効です。
米ぬかを分解する時に土中のチッソ分を取り込むため、土中のチッソ成分が不足した状態になって弦ボケを防ぐことができ、イモがつく頃には肥料にもなります。
梅雨に入った頃になると地上部の生育が盛んになってきます。
長期間降り続く雨で株元の用土が流れてしまっている時やプランター栽培で用土が減った時はまし土をしましょう。
まし土を行うことでイモの肥大を助けます。
サツマイモは弦が伸びたものを放置しておくと弦の節々から発根して根付いてしまいます。
弦から出た根をそのままにしておくと、途中の根から必要以上の養分を吸い上げて弦ボケと言われる状態になります。弦ボケとは葉が不必要に増えて芋の収穫量が減ってしまう状態です。
弦ボケに防ぐには、ときどき弦を持ち上げて株もと以外から出る根を引きはがしてしまいましょう。
弦も長くなって隣の畝やプランターの邪魔になるようなら途中で切ってしまっても問題ありません。
弦には栄養が沢山含まれているので、選定した弦はあく抜きして料理に使うことが出来ます。
サツマイモの弦は放っておくとあっという間に横に広がってしまいます。
マンションのベランダなど限られたスペースでサツマイモを育てる時は、アサガオのようにあんどん式の支柱をたてて栽培するとスペースを有効に使うことが出来ます。
ただしサツマイモは弦が自力で巻き付いてはいかないので、麻ひもなどで弦を縛って支柱に誘引しましょう。
サツマイモの収穫のタイミングは苗を植え付けてから3~4か月経った10月~11月頃。収穫適期になると葉の濃い色が薄くなってきて、赤色や黄色に変色し始めます。
サツマイモは雨が続いた後すぐに収穫すると、芋に傷がつきやすく芋が水分を吸って腐りやすく貯蔵性が悪くなるので、収穫は晴天が数日続いた後に行いましょう。
プランター栽培のサツマイモを収穫する時は、地上部の茎葉を地際から15㎝ほど残して鎌などを使って切り取って株ごと一気に引き抜きましょう。
露地栽培など粘土質な土壌で育てている場合は、茎葉を鎌で切り取ったあと株もとから少し離れた場所にスコップを差し込んで大きく掘り起こすと、芋を傷付けたり弦を途中で切ったりする心配がありません。
サツマイモを収穫した後は、芋を一つずつ切り離して2~3日ほど天日でイモの表面を乾燥してから日の当たらない場所で保存しましょう。
実はサツマイモは、収穫してから1~2か月貯蔵したほうが甘味が増して美味しくなります。
サツマイモの最適な貯蔵温度は13~15℃、湿度は90%。ナイロン袋などに入れて保存する時は、収穫した後もサツマイモは呼吸をしているので、息抜き用の小さな穴をあけておきましょう。
サツマイモは栽培期間が長くなると芋が大きくなりすぎて味が落ちるので、植え付けから3か月ほど経ったら試し掘りをして大きさを確認しましょう。
また、霜が降りる頃までおくと味が落ちるので10~11月までに収穫を終えるようにします。
サツマイモは挿し穂(挿し苗)の選び方が重要で、緑が濃く太くて弦が短い脇芽がしっかりした苗を選べば、初心者でも簡単に栽培出来ます。
栽培適地の条件は、水はけがよく過度の窒素肥料が残っていないこと。輪作していることが多い畑では無肥料でもちょうどよいくらいです。
肥料も水やりも手間がかからないサツマイモは初心者には最適な野菜なのです。
サツマイモは病害に強いため大きな被害が出る病害が発生することは稀です。
サツマイモに発生しやすい病害は、「黒斑病」「立ち枯れ病」「つる割れ病」など。
病害の発生を防ぐには、土壌の排水と通気を良くして日当たりの良い場所で育てることが大事です。
サツマイモによく発生する害虫は「イモキバガ」「エビガラスズメ」「ヨトウムシ」「ナカジロシタバ」。すべてガの幼虫で葉や茎を食害します。
これらの害虫は幼苗期に発生すると被害が大きくなりますが、苗が十分に育ってからは大きな被害にはなりません。ただし数が増えて葉を大量に食害されてしまうと、収穫量が減ってしまうので害虫を発見した場合は早急に駆除しましょう。
サツマイモに発生する害虫で最も深刻なのはサツマイモ根コブセンチュウによる被害です。センチュウは土中に潜む目に見えないほどの大きさをしている害虫。
センチュウの被害にあうとサツマイモに黒いヒビや黒い斑点が現れたり表面が窪んだり凹んだりします。芋を掘りあげるまで被害に気付かないやっかいな害虫です。
センチュウの被害を防ぐには、被害を受けた畑で使用した道具類や種芋を持ち込まない、完熟した堆肥をすき込んで土壌を団粒化する、被害の少ないトウモロコシなどを輪作するなどが効果的です。