スティックセニョールは春と夏が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に種を深さ1cmでまいて、本葉が3~4枚の頃に苗を1本に間引きます。主な作業は支柱立て・摘芯・水やり・追肥などです。約2か月で収穫できます。
スティックセニョールの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeで解説「茎ブロッコリー(スティックセニョール)の育て方」。動画とテキストをセットで使うと、より理解が深まります。チャンネル登録おすすめです。
栽培難易度 ★★★☆☆
茎ブロッコリーとも呼ばれる、茎が長く伸びた先につく側花蕾をたくさん収穫できる変わった野菜です。収穫までの期間は長めですが、プランターでも容易に栽培できます。
スティックセニョールはアブラナ科の野菜で「茎ブロッコリー」や「スティックブロッコリー」などとも呼ばれています。
花蕾がスティック状に伸びて、花蕾だけでなく茎まで食べることができます。ブロッコリーと同様に茹でてサラダや炒めもの、茹で野菜などに利用できます。
中国野菜の「カイラン」と「ブロッコリー」を掛け合わせて誕生した新しい品種です。
春と夏に種まきが可能で、収穫までは種まき後から60~90日。1株から15本前後の花蕾が収穫できます。
スティックセニョールの花蕾は耐暑性があり蕾の黄化が遅く日持ちするので、通常のブロッコリーよりも保存性がよいのが特徴です。
スティックセニョールの食味は柔らかみがあってほのかに甘く、ビタミンCをはじめ、β-カロテン、カルシウムなどの栄養素が含まれています。
病害の予防や健康維持に良いと言われているファイトケミカルのひとつ「スルフォラファン」も豊富。最近注目度が上がっている野菜です。
科名 | アブラナ科 |
別名 | 茎ブロッコリー・スティックブロッコリーなど |
草丈 | 60~70cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 40~50cm以上 |
畝幅 | 60~100cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~30℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 2月~4月・7月~9月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 2月~4月・8月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約2か月 |
スティックセニョールは春から秋が栽培時期です。種まき適期は、春まきが2月~4月、夏まきが7月~9月で、種まきから収穫が始まるまでは約2か月かかります。
春まきと秋まきは収穫までが早い早生種、夏まきは耐暑性のある品種が育てやすくおすすめです。
スティックセニョールの育てやすい品種には「グリーンボイス」「スティックセニョール」などがあります。
育苗はそれほど難しくないので、種から植えても上手に育ちますが、最近では苗が出回っているのでプランターなど収穫量を求めない時は、市販の苗から育てると良いでしょう。
ちなみにスティックセニョールは1株当たりで500~600g程度の花蕾を収穫できます
スティックセニョールはプランター栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはスティックセニョールの育て方を解説します。
スティックセニョールの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
スティックセニョールはプランターや植木鉢でも栽培することができます。
スティックセニョールを栽培するときのプランターサイズは、大型タイプ(60cm以上)で深型のものがおすすめです。
大型で深型の植木鉢でも栽培できますが、1つのプランターに1株のみで育てましょう。
スティックセニョール栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。葉野菜用で肥料入りの用土がおすすめです。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~20gを混ぜ合わせた物を用意しましょう。
プランターに入れる用土の量は、ウォータースペースを残して、鉢の8分目程度(淵から3~4cm低め)にしておきます。
スティックセニョールは種まき(苗の植え付け)の約2週間前には土づくりを完了させておきましょう。
畑(露地栽培)でスティックセニョールを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。
畑に植え付ける場合は、種植えの約2週間前に、石灰を150g/㎡・堆肥を3kg/㎡・化成肥料を(15:15:15)150g/㎡を畑に施して土作りを済ませておきます。
スティックセニョール栽培に適した土壌酸度(pH値)は、6.0~6.5です。
苦土石灰をを入れて酸度調整をしておきましょう。pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g(60cmのプランターで約50g)が目安です。
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので、最低でも約2週間前には酸度調整を完了させておきましょう。
スティックセニョールに適した畝は、幅60~70cm、高さ5~10cmの平畝です。根を張りやすいようにしっかりと耕しておきましょう。
スティックセニョールの種まきは、直まきとポットまきができます。気温が低い時期と高い時期は、直まきよりもポットまきがおすすめです。
スティックセニョールは種からでも簡単に育てられます。低温期は保温して高温期は涼しい場所で発芽させるのがポイントです。
スティックセニョールの育苗期の生育適温は18~22℃です。最低気温は10℃、最高気温は25℃を超えないように、温度管理をしましょう。
スティックセニョールの種まき適期は2~4月と7~9月です。
スティックセニョールの発芽適温は15~30℃です。
種まき時期が低温期と高温期にあたるので、保温したり温度を下げたりすると発芽が揃いやすくなります。(参考:スティックセニョールが発芽しない原因と対策 )
スティックセニョールは種をまいてから3~5日で発芽が始まります。気温が低かったり高かったりすると発芽までの日数は前後します。
種まき後は用土の表面が乾いたらこまめに水やりをしましょう。
発芽後の水やりは少なめに。1日に1~2回(朝と昼過ぎ)で十分です。ポットの底から水が少し染み出る程度とし、夜間は乾燥気味の状態で育てるのがポイントです。
夏秋まきでは日差しが強いため、遮光率50%程度の資材で遮光して育てると生育が安定します。
間引きはタイミングよく行うのがポイントです。幼苗の時期は病害などに弱く、枯れたり萎れたりすることがあるからです。
本葉が1~2枚になったときに元気な苗(双葉が残っていて葉が左右対称のもの)を2本だけ残して他の苗をすべて間引きます。
最後の間引きは3~4枚のときがタイミングです。元気な苗を1本だけ残して他の苗をすべて引き抜きましょう。
発芽して約2週間ほど経ったら葉が黄化防止と節間が詰まった太くてがっちりした元気な苗に育てるために数回の追肥を行います。
追肥は即効性のある液肥がおすすめです。水やりを兼ねて1週間に1度のタイミングで与えましょう。
スティックセニョールを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗から育ててみましょう。
スティックセニョールの苗は、植え付ける前にポットごと水に浸してから植え付けると根付きがよくなります。本葉が5~6枚の葉艶の良い苗を選んで、株間40~50cmで植え付けましょう。
スティックセニョールの苗を植え付ける時期は、春は3月~4月で秋は9月~10月です。(地域によって前後します。)
スティックセニョールの葉は大きく広がるので、プランターでは30cm以上、露地栽培では40cm以上株間を取って植え付けていきます。
苗の植え付けは、気温が低い季節は午前中、夏場の高温期は午後の涼しくなる時間帯に行いましょう。夏場の午前中植えは萎れの原因になります。
気温の低い時はマルチング栽培やトンネル栽培で温度と地温の上げておくと植え付け後の生育がよくなります。
プランターに入れる用土の量は根鉢の高さより少し低い位置までにしておきます。
根鉢を壊さないようにポットから苗を取り出して、用土の上に苗を置きましょう。
植え穴を掘る植え方もありますが、根鉢の底に隙間ができると根付くのに時間がかかります。
植え付けた後は用土と根鉢の間に隙間ができないように株元を手で軽く押さえてやりましょう。
ポットを水に浸した場合は、苗を植え付けてから2日ほどは水やりを控えましょう。こうすることで水を求めて根を地中に深く張る力がつきます。
株間が狭く葉が込み合うと病害の発生を助長するので、日当たりの悪い場所で育てる時は特に注意しましょう。
スティックセニョールは浅植えにするので、仮支柱を立てて風などで苗がぐらつかないように対策しましょう。
茎と支柱を紐などで結ぶ時は、きつく縛ると紐が茎に食い込み成長が阻害されてしまうので、指1本分入る程度にゆるく結ぶのがポイントです。
苗の生育が盛んになって草丈が高くなると株が倒れやすくなります。株元に土を寄せて倒伏防止をしておきましょう。
また苗の根元が露出して太陽光が根に直接当たると、株の生育を弱める原因になります。
間引きや追肥のタイミングで株周辺の用土の表面を軽く耕して株元に土を寄せておきましょう。プランターの場合は水やりで用土が減りやすいので、定期的に用土を足します。
スティックセニョールの収穫量を増やすのに欠かせないのが摘心という作業です。
スティックセニョールの摘心のタイミングは、頂花蕾(主枝の頂点にできる花蕾)が2~3cmの大きさになったときです。
スティックセニョールの食べる部分は側枝の先になる花蕾の部分です。主枝の頂花蕾を摘み取ると側枝が次々と生えるようになります。
側枝を増やすために主枝の先にできる花蕾を先端から5cm位の位置で切り取ってしまいましょう。
花蕾を切り取るときは切り口を斜めにして水がたまらないようにします。
花蕾の切り取りは晴れの日の午前中に行いましょう。この理由は、切り口を太陽光に当てて乾燥させることで、病害の発生を防ぐことができるからです。
水やりの回数が多く多湿環境が続くと、根腐れ病など病害の原因となります。回数を増やすのではなく、1回の水やりの量を多めに与えるのがポイントです。
スティックセニョールの水やりの頻度と与える量ですが、種をまいて発芽するまでの間と苗を植え付けて根付くまでの間は、用土の表面が乾かない頻度で水やりをしましょう。
苗が根付いた後の水やりは、用土の表面が乾いたタイミングで行います。
朝の水やりは、気温が上がり始める前と気温が下がり始めた頃に与えます。日中の気温が高いときに与えると、太陽光で根を傷めたり、水滴がレンズ代わりになって茎葉を傷めてしまいます。
プランター栽培の場合は、鉢底から水が染み出るまで与えましょう。露地栽培では1株につき1回あたり約1.0~1.5Lが目安です。
雨の日や曇りの日は病害の発生を助長するので水やりはしなくてもかまいません。
ただし、マンションのベランダや雨が当たらない場所で栽培していて雨が何日も続くときは、用土の表面が乾いてたら水やりをしましょう。そのときは、いつもより量を少なめにします。
スティックセニョールは多湿を嫌う野菜なので水の与えすぎには注意が必要です。
スティックセニョールは多肥性の野菜です。追肥をタイミングよく適量与えることが多収穫のポイントです。
スティックセニョールは苗を植え付けて約2週間経ったら追肥を開始します。
株元から少し離れた場所に化成肥料を1株あたり10~15g程度パラパラとまいて、表面の用土と軽く混ぜ合わせて株元に寄せておきます。
用土を深くまで掘ると根を傷めてしまうので注意しましょう。
茎スティックセニョールは収穫が長く続くので、収穫をした後には必ず追肥10g程度を与えておきます。
収穫後の肥料が足りないと、次に出る側枝や側花蕾が順調に育たなくなっていまいます。肥料切れにならないようにしましょう。
スティックセニョールは側枝の先になった花蕾を摘み取って収穫します。
スティックセニョールは種まきから70~80日、苗を植えてから50日~60日で収穫適期を迎えます。
側枝が20cm以上になり花蕾が10円玉大になった時が収穫のタイミングです。つぼみが開く前の固く締まったものが食べごろの花蕾です。
ハサミやナイフで茎を長めに(20cmほど)残して切り落としましょう。
茎をまっすぐに切ってしまうと切り口に水がたまり、腐って病害の発生につながります。写真のように切り口が太陽の方角を向くように斜めに切り落としましょう。
切り口が乾きやすいように、晴天の日の午前中のおすすめです。収穫した後の追肥を忘れないようにしましょう。
スティックセニョールに発生しやすい病害は、べと病・苗立ち枯れ病・軟腐病・黒腐病・根こぶ病などです。
病害が発生するのは保水性が悪い・排水性が悪い・酸性土壌になっていることが主な原因です。
害虫の食害跡からの感染も多いので、早期の害虫駆除を心掛けて下さい。(参考:野菜の病害対策)
スティックセニョールに良く発生する害虫はアオムシ(モンシロチョウの幼虫)・ヨトウムシ・コナガなど。
特にアオムシとヨトウムシは被害が拡大しやすい(下手すると全滅)ので、見つけ次第すぐに駆除しましょう。
モンシロチョウが飛んでいるのを確認したら、数日後に葉の裏側などを観察すると卵が見つかります。卵の時に一気にすり潰してしまえば駆除は比較的容易です。
気温が高い時期は害虫の被害に遭いやすいため、防虫ネットのトンネル掛けなどで対策しましょう。(参考:野菜の害虫対策)
スティックセニョールは中型のプランターでも十分に育てられます。
プランターに植えるなら2株まで、大型のプランターなら3株まで育てる事が可能です。大型の植木鉢に1株植える方が花蕾が大きくなります。
株間の寄せ過ぎは生育不良や収穫量が減る原因になるので注意しましょう。(もっと詳しく:スティックセニョールが育たない原因と対策 )
側花蕾(わき芽)を増やすために頂花蕾は早め(500円玉大になったら)に取り落とし、収穫後の追肥を忘れずに施しましょう。
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