サヤエンドウは秋が植え付け適期です。日当たりと水はけの良い土壌に1か所あたり3粒ほどの種を深さ1cmでまいて、間引かずに3本立てで育てましょう。管理作業は、支柱立て・水やり・追肥・土寄せなどです。収穫まで約6か月です。
サヤエンドウの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeでもサヤエンドウの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度★★★☆☆
未熟な莢で収穫するものをサヤエンドウ(キヌサヤ)と呼び、豆が成長してから実と莢の両方を食べるも品種をスナップエンドウ(別名スナックエンドウ)
・豆だけ食べる品種をグリーンピースと呼びます。実はどれも同じ野菜です。
サヤエンドウはギリシャ時代から栽培されていると言われ、原産地は中央アジアから中近東にかけてです。
日本へは中国から遣唐使が持ち帰ったとされていますがその年代は明らかにはなっていません。
サヤエンドウは秋に種をまいて苗の状態で冬越しさせます。冬の間に根を伸ばして春先になってから地上部が育つので初期の生長はゆっくりです。
さやえんどうの栽培期間は長いのですが、その殆どが病害虫の被害の少ない冬季なので、初心者でも比較定期容易に栽培が可能です。
サヤエンドウに含まれる栄養には、ビタミンC(トマトの3倍)やカロチン、ビタミンB1などのミネラル類、食物繊維などが多く含まれています。
免疫力アップと疲労回復、イライラ解消におすすめの実野菜です。
サヤエンドウは育てやすくて春になると小さな可愛い花をつけるので、観賞用の野菜としても人気があります。花は品種によって白色や赤色があります。
科名 | マメ科 |
別名 | 絹サヤ・グリーンピース・エンドウ豆・スナップエンドウ・ぶんこ・さやまめ・さんどまめなど |
草丈 | 100~150cm以上 |
連作障害 | あり(4~5年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 15~20cm以上 |
畝幅 | 40~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 10月~11月 |
発芽日数 | 5日~7日 |
苗植え付け時期 | 11月~12月 |
収穫時期 | 種まきから約5か月 |
サヤエンドウは秋から春が栽培時期です。種まきは10月末から11月上旬で、苗の植え付けは4月~6月が適期です。
収穫までは、種まきから約5か月~6か月かかります。
サヤエンドウのおすすめの品種は「キヌサヤエンドウ」「白花絹さや」「絹小町」「グリーンピース」「ウスイ」「ホルン」などが育てやすくて人気です。
サヤエンドウはどの品種でも栽培の難易度に大きな違いはありません、病害に強い殺菌済みの種から育てるのがおすすめです。
初心者の方や数株しか育てない方は、ホームセンターや園芸店で売られている苗から育てると失敗がありません。
サヤエンドウはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。サヤエンドウ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
サヤエンドウの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
サヤエンドウを育てるときのプランターサイズは標準サイズ(45㎝~)または、大型の深底タイプ(60㎝~)を利用します。
サヤエンドウは株間は15~20cmなので、標準サイズのプランターなら2~3株を植えることができます。
サヤエンドウ栽培に適した用土は市販の培養土を利用するのが簡単ですが、自分で作る時は
赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1を混ぜ合わせた物を使います。
それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~30g混ぜ合わせます。
植え付け前の準備として、市販のプランターに2~3㎝ほどウォータースペースを残して培養土を入れておくようにします。
植え付ける1か月前までに土作りを済ませておき、植え付けの2週間前に元肥を施しておくようにしましょう。
畑(菜園)でサヤエンドウを育てるときは、植え付けの2週間前までに酸度調整を終わらせておきましょう。
サヤエンドウに適した土壌酸度はpH6.0~7.0です。苦土石灰をを入れて酸度調整をしましょう。(pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g必要になります。)
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので注意が必要です。
サヤエンドウの露地栽培では、植え付けの1週間前になったら元肥を入れて平畝を作っておきます。
元肥は全面施肥で、1㎡あたり堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)を50g、苦土石灰を150~200gを施しておきましょう。
畝は用土をよく耕してから作りましょう。畝は高畝で、畝幅は1条植えで40~50cm、2条植えで70~80cm、畝の高さは10~15cmとします。
秋に種をまくときは直まき、気温が低い春まきはポットで苗を育ててから畑に移植する方法がおすすめです。
サヤエンドウの種まきは10月中旬~11月上旬です。気温が低い地域は、3月上旬以降が種まき時期です。
サヤエンドウの発芽適温は、15℃~20℃です。
サヤエンドウの発芽日数は種まきしてから5日~7日です。気温が低すぎたり高すぎたりすると発芽の日数は遅れます。
サヤエンドウを畑に直まきするときは、瓶の底などを押し付けて溝をつけて、種を1か所につき4~5粒点まきします。種をまく深さは2~3cmです。
種をまいた後は上から細かな用土を被せて、手のひらで軽く抑えて種と用土を密着させておきます。発芽するまではたっぷりと水やりを行いましょう。
サヤエンドウをポットまきする時はポリポットやセルトレーに3~4粒の種を深さ1~2㎝でまきます。
種をまいた後は上から細かな用土を被せて、手のひらで軽く抑えて種と用土を密着させておきます。発芽するまではたっぷりと水やりを行いましょう。
発芽したら、本葉が2~3枚になるまでポットでそのまま育てましょう。
・サヤエンドウは冬前に大きな苗を植えると、寒さの被害に遭って枯れてしまいます。気温が高い年は、種まき時期をなるべく遅めにしましょう。
・発芽が大幅に遅れるときは、水不足で乾燥で種が死んでいたり、まいた種が鳥などにすでに食べられてしまっている可能性があります。(もっと詳しく:サヤエンドウが発芽しない原因と対策 )
サヤエンドウの種まきが難しいと感じる方は、ポット苗から育てると収穫まで簡単に辿り着けます。
サヤエンドウは大きくしてから苗から植えると寒さの被害を受けやすいので、本葉が3~4枚以下の小さな苗を植え付けることがポイントです。
ポット苗は園芸店などで11月頃または3月頃になると販売されています。
サヤエンドウの苗の植え付け適期は、11月中旬~12月中旬です。気温が低い地域では3月以降でも植え付けができます。
サヤエンドウの苗を植えるときは、根鉢より一回り大きい穴植えを掘っておき、ポットから根鉢を壊さないように取り出して穴の中におきます。
苗を植え付けた後は、手のひらで軽く株元を押さえて用土と根を密着させておきましょう。
サヤエンドウの苗は、株と株の間隔は15~20cmあけて植え付けていきます。露地での条間(列の間隔)は20~30cmです。
苗を植え付けてから根付くまでの約1週間は、たっぷりと水やりを行いましょう。
サヤエンドウの生育の悪い苗を植えると、春先以降の生長がよくなりません。(もっと詳しく:サヤエンドウがうまく育たない原因と対策 )
枯れていたり萎れていたりする苗は、植え付ける前にハサミで切っておくようにしましょう。
苗の生育が盛んになる時期に、露出した根に太陽光が直接当たると株の生育を弱める原因になります。
間引きや追肥のタイミングで株周辺の用土の表面を軽く耕して株元に土を寄せておきましょう。
プランターの場合は水やりで用土が減りやすいので、定期的に用土を足しておきます。
サヤエンドウは草丈が高く茎も細く風の影響を受けやすいので支柱を立ててやりましょう。
サヤエンドウの支柱を立てる時期は、草丈が30cmを超えた頃です。(翌年の3月以降)
支柱の立て方は、畝の片側から反対側の畝に向かって斜めに2mの支柱を立て(反対側も同様に)、上部を交差させて頑丈な紐や針金で固定しておきます。
斜めに立てる支柱は畝の幅に合わせて必要な数だけ用意しましょう。支柱の間隔は40~50cmとします。春先は茎葉が生い茂り風に煽られると支柱が倒れるので、頑丈にしておくのがポイントです。
畝の上部の交差した部分に横向きの支柱を通して隣り合う支柱どうしを繋いで補強します。
支柱には30cm間隔で横に紐を張ってつるが絡みやすくなるようにしておきます。
プランター栽培では直立式の支柱を立てて20cm角のネットを張ってもかまいません。
苗が小さいうちは画像のように地面とネットの間に笹などをおいて、最初のつるを絡ませて誘導するといいでしょう。
サヤエンドウは秋から夏前まで栽培が続きます。冬から春にかけて水やりと与える量がポイントです。
種まき後から発芽するまでの間と、苗を植え付けてから根付くまでも約1週間は水をたっぷりと与えましょう。
その後の水やりのタイミングですが、用土の表面が乾いたタイミングで水やりをすればOKです。毎日与える必要はありません。
サヤエンドウは多湿を嫌うので、冬の間の水やりはいつもより回数を減らします。冬の水やりは日中の暖かい時間帯に与えるようにしましょう。
春以降の開花時期に水切れをすると、実の付きが悪くなってしまいます。雨が降らず晴れが続く時期は、毎日、朝か夕方にたっぷりと水やりを行いましょう。
サヤエンドウの水やりについてまとめてありますので、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください(サヤエンドウの正しい水やり方法)
サヤエンドウの追肥は与える時期と与える量がポイントです。タイミングを間違えると茎葉ばかりが大きくなって実が着かなくなってしまいます。
サヤエンドウの追肥のタイミングは花が咲く時と実がつき始める時です。
花が咲いてから生育が早くなってきたら実が成熟するまでに2~3回程度追肥してやります。
サヤエンドウの追肥量は、プランター栽培では株もとに化成肥料を5~10gばらまいて、表面の用土と軽く混ぜ合わせておきます。
用土を深くまで掘り返すと、根を傷めてしまうことがあるので注意しましょう。
植え付け後しばらくして土が痩せてきたら1回目の土寄せを行います。1回目の土寄せは深くし過ぎると生育が悪くなるので、株が倒れない程度に寄せておくのがポイントです。
2回目の土寄せは、2月中旬頃に行います。雨や水やりで流れた用土を株元に寄せておきましょう。それ以降の土寄せは様子を見ながら追肥のタイミング行います。
サヤエンドウは若さやを食べる野菜です。品種改良されているため中の豆が大きくなると固くなって食味が悪くなるので収穫適期を守りましょう。
サヤエンドウの収穫時期は種まきから約半年後、開花してからは約15日です。 サヤエンドウは実が柔らかいうちに収穫しましょう。
サヤエンドウの収穫時期を見た目で判断するときは、外から見てさやが膨らみ始めが分かり、さやの長さが5~7cmくらいになったとき。
このサイズが最も美味しい頃合いです。
スナップエンドウなど一部の品種は、サヤが大きくなって厚みが出て、サヤにしわがよりはじめた時が収穫適期です。
サヤエンドウを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。実野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送るからです。
サヤエンドウの収穫するときは、ハサミを使って実の根元付近から切り取ります。指先でヘタをつまみ取るように収穫してもかまいません。
サヤエンドウを保存する時は、生の場合はビニール袋に入れて野菜室へ。
下茹でしてラップで包んで冷凍室に入れておけば長期保存も可能です。
サヤエンドウはエンドウマメやグリーンピースなどを早取りするために品種改良されているため、それらより実が大きくなることはありません。
収穫適期を過ぎた大きな実をつけていると、新しい花や実に栄養が行き渡らなくなるので注意しましょう。
害虫は早期発見早期駆除がポイントです。薬剤を使うことにならないように見つけ次第捕殺しましょう。
サヤエンドウ栽培でよく見かける害虫は、アブラムシ類・ウラナミシジミ・ヨトウムシ・ナモグリバエなどです。
サヤエンドウの葉に白い筋が入る時がありますが、この正体はハモグリバエやナモグリバエの幼虫の食害跡です。
これらの害虫は葉の裏に住んでいるので見つけ次第、食害された葉を取り除いてやりましょう。
害虫対策のために発生源、飛来源となるので植え付け付近に雑草が生えてきたら早めに処分して下さい。
サヤエンドウの病害を防ぐには高温多湿にならないよう、畑の水はけを良くして日当たりの良い場所で育てることが大切です。連作も病害の一因です。
サヤエンドウで発生しやすい病害の種類は、うどんこ病・褐斑病・ウイルス病・うどんこ病・炭疽病などがあります。病害が発生したら早めに対策しましょう。
特に多いのは褐斑病。3月から6月にかけて発生するカビによる病害でサヤエンドウの葉の部分に褐色でいびつな形をした病斑ができます。
同じカビによる病害で多いのは立ち枯れ病です。立ち枯れ病は上葉が黄色くなって株が萎れる病害です。酸性土壌で発生しやすいので土壌酸度に注意しましょう。
サヤエンドウは水はけが良い土壌を好みます。排水性の良い土壌で育てましょう。
また連作ができないので、同じマメ科の野菜を続けて植えないことも大切です。
日当たりの悪い場所(低温になりやすい場所)で育てる時は、冷害の要望の為に寒冷紗などを掛けてやるようにしましょう。日当たりの良い場所で育てる時は寒冷紗は必要ありません。
寒い地方でサヤエンドウを育てる時の寒さ対策として、12月~2月下旬ごろまで間に苗の周辺に敷き藁を施してやると冷害を塞ぐ事ができます。
追肥は草勢をよくするため、開花前と花が咲き始めた後の2回与えましょう。鞘取りを忘れると後の鞘の付きが悪くなるので忘れずに行います。
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