トウモロコシは春から夏が植え付け適期です。日当たりと水はけの良い土壌に1か所あたり3粒の種を深さ1cmでまいて、本葉が4~5枚になったら1本に間引きます。管理作業は、支柱立て・水やり・追肥などで収穫まで約3か月です。
トウモロコシの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
YouTubeでもトウモロコシの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★☆☆☆☆
トウモロコシは南アメリカの北部からメキシコ一帯が原産地のイネ科の実野菜です。トウモロコシは荒れ地で栽培できるほど丈夫で初心者向けの菜園野菜です。
トウモロコシは収穫後から鮮度がすぐに落ちるので、収穫した直後に食べるのが一番美味しい瞬間です。
家庭菜園ならもぎとって直ぐの新鮮な状態で食べられるので、夏の定番野菜としておすすめです。
トウモロコシは日当たりの良いベランダなら、プランターや大型の植木鉢でもぐんぐん育ちますし、種からでも簡単に育てられます。
トウモロコシは多肥性の野菜で、養分を吸い上げる力が強い野菜です。土壌の過剰な養分を吸い上げ、根が深く張って固い土に穴を開けて透水をよくするので、土壌を改善するために利用できます。
高温を好むので、日当たりの良い場所で育てることが、収穫までたどり着く重要なポイントになります。
科名 | イネ科 |
別名 | トウマメ・トウナワ・高麗キビ・ナンバ・トウミギ・トーキビ・とうきみなど |
草丈 | 150~200cm以上 |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
畝幅 | 40~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
種まき時期 | 3月~6月 |
発芽日数 | 7日~10日 |
苗植え付け時期 | 4月~7月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
トウモロコシには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(もっと詳しく:トウモロコシと相性の良いコンパニオンプランツ)
トウモロコシは春に植える野菜です。種まき時期は3月中旬以降、苗の植え付けは4月以降です。収穫時期は種まきから約3か月(6月中旬以降)です。
トウモロコシは種からでも苗からでもとても簡単に育てられます。
トウモロコシの育てやすい品種は、おひさまコーン・ハニーバンタム・ピーターコーン・みわくのコーンなどがあります。
比較的どの品種でも丈夫に育ってくれますので、好みで選びましょう。
トウモロコシはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。トウモロコシ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
トウモロコシの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
トウモロコシを育てるときに適したプランターサイズですが、深型で大型サイズ(60cm以上)のものを必ず利用するようにしましょう。
トウモロコシは直根性のため根が地中深くまでまっすぐ伸びます。底が浅いプランターやコンテナは根詰まりするので幅は狭くてもかまいませんが深型のものを選ぶようにしましょう。
プランター栽培では市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに植え付けできるので簡単です。トウモロコシ栽培には実野菜用の用土がおすすめです。
自分で用土を配合するときは、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1を混ぜ合わせましょう。
そこに石灰を用土10ℓ当たり10gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~30gを加えます。
用土の準備が出来たらプランターに土を入れましょう。上部から2~3cmのウォータースペースを残して培養土を入れておきます。
縁一杯まで用土を入れると、降雨や水やりによって用土が流出したり、まし土(土を足すこと)ができなくなったりするからです。
トウモロコシの露地栽培では、種まき(苗の植え付け)の2週間前までに土作りを終わらせましょう。
トウモロコシに適した土壌酸度はpH6.0~6.5です。苦土石灰をを入れて酸度調整をしましょう。(pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g必要になります。)
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので注意が必要です。
苗の植え付けの1週間前になったら元肥を入れて平畝を作っておきます。
元肥は全面施肥で、1㎡あたり堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)を100g、苦土石灰を100gを施しておきましょう。
畝は用土をよく耕してから作るのがポイントです。
トウモロコシ栽培に適している畝は「平畝」で、畝の幅は1条植え(1列)で40~50cm、2条植えで70~80cm、畝の高さは10~15cmとします。
トウモロコシは種からでも簡単に育てられます。気温が高くなったら直まき。気温が低い時期はポットで苗を育てて移植する方法がおすすめ。
トウモロコシは種を蒔く前に一晩水に浸しておくと発芽時期が揃いやすくなります。発芽を揃えると発芽後の栽培管理がしやすくなります。
トウモロコシの種をまく時期は、直まきは4月中旬以降の日中の気温が20℃を超えるようになってから。
トウモロコシの種まきは、ポットまきは3月下旬から、直まきは5月上旬からです。7月上旬までなら種をまいても収穫まで間に合います。
トウモロコシの発芽適温は25~30℃です。トウモロコシの種は時期外れにまいてもうまく発芽しません。発芽には最低でも15℃以上が必要です。
トウモロコシは発芽適温内(25~30℃)で、7~10日で発芽します。気温が低いと発芽の日数が遅れます。
種を埋める深さは種の大きさの2~3倍が目安です。トウモロコシは好光性でも嫌光性でもない野菜ですが、深くまきすぎると発芽が遅れる原因になります。
ポリポットで育てる時は9cmポットに種を2~3粒まいて本葉が2~3枚になるまで育てましょう。
種は指の第1関節まで用土に押し込んで、表面の土を平らにならしておきます。
種をまいた後は水をたっぷりと与えます。
トウモロコシを直まきするときは、プランター栽培の場合は株間を30cm程度あけて種をまきます。露地栽培では株間30cm、2条植えの条間は40~50cmとします。
直まきでは、1か所あたり種を3~4粒まきます。
種は指の第1関節まで用土に押し込んで、表面の土を平らにならしておきましょう。
種をまいた後は水をたっぷりと与えます。
気温が低い時期は、トンネル掛けやプラスチック製のドームキャップなどを被せて保温しておくと発芽が早まります。(もっと詳しく:トウモロコシが発芽しない原因と対策)
トウモロコシは種をまいてから約1ヶ月ほどで、本葉3~4枚までに株が成長します。タイミングよく苗を間引きましょう。
苗の草丈が15~20cmになり本葉が5~6枚になったタイミングで、育ちの良い株を1本だけ残して、他の苗はすべて間引きしてしまいます。
間引きは、畑に植え付けた後でも、育苗中のポットでもどちらで行ってもかまいません。
畑に植え付けた後に間引くときは、なるべく早い段階で(苗が大きくなりすぎないうちに)植え付けましょう。
トウモロコシの苗を間引きをするときのコツは、地上の茎の部分を切らずに、ハサミを地中に入れて根の部分から切り取ることです。
手で苗を間引くと、残す株の根を切ったり動かしてしまって、株の成長が遅れる原因となってしまうからです。
トウモロコシを種から育てるのが難しいと感じる方は、ホームセンターや園芸店で販売している苗から植え付けるのと失敗が少なくおすすめです。
トウモロコシの苗は、草丈が15~20cm程度になったら植え付けができます。
トウモロコシは4月以降が苗の植え付け適期です。日中の気温が20℃を超えるようになったら植え付けができます。
7月中旬頃までなら苗を植え付けても収穫時期に間に合います。
トウモロコシの生育適温は20℃~30℃です。
トウモロコシを苗から植える場合は本葉が3~4枚で、茎が太く緑色の濃い苗を選ぶようにしましょう。育ち過ぎの苗は、植え付けたあとに枯れてしまうことがあります。
ポットに苗が2本以上生えているものは、生育の良い苗だけを残して他を間引いてから植え付けましょう。
枯れた葉も植え付ける前に除去しておきます。
トウモロコシの植え方ですが、根鉢より少し大きめの植え穴を予め堀っておきます。根鉢を壊さないように丁寧にポリポットから取り出し、掘った穴に置きます。
周辺の用土を株元に寄せて、手のひらで上から軽く押さえて用土と根を密着させましょう。
苗を植える前に、ポットごと水か薄めた液肥につけて吸水しておくと根の活着がよくなります。
プランター栽培では株間を15~20cmあけ、露地栽培では株間を30cm以上あけて植えます。
トウモロコシは草丈が高くなります。強風によって株が折れないように支柱を立ててやりましょう。
トウモロコシの支柱は、1回目の追肥を行った頃に行いましょう。本葉が6~7枚になる頃です。
その頃を過ぎると生育が旺盛になって風に煽られやすくなります。支柱を立てるタイミングが遅れないようにしましょう。
トウモロコシの収穫時期は台風やスコールが増えてくる時期と重なります。草丈の高いトウモロコシは風の影響をまともに受けやすく、根元から折れたり倒れたりすることがよくあります。
トウモロコシのわき芽は「分げつ」とも呼ばれています。わき芽は基本的には取らずに残しましょう。
トウモロコシには画像の黄丸の様なわき芽が何本も生えてきますが、切り取らずにそのまま伸ばしましょう。
わき芽を残すと株が倒れにくくなるだけでなく、光合成が活発となって実の太りも良くなります。
またトウモロコシの地際の茎から「不定根」と呼ばれる根っこが生えてきます。これはトウモロコシ自身が株を倒れにくくするために生やす根っこです。
追肥をする際に土寄せ(プランターではまし土)して、土を被せましょう。
こうすることで不定根が増えて株が安定しやすくなります。
プランター栽培や栽培本数が少ないときは、受粉が十分に行われずに実入りが少なくなることがあります。人工受粉を行って確実に着果させましょう。
トウモロコシの授粉は、通常は虫ではなく風によって花粉が運ばれて行われます。主枝の先端部分に、上の画像のような雄穂(雄花)ができます。
植えている株の数が少ないときは人工授粉を行います。
トウモロコシの人工授粉のやり方ですが、まず雄花(上画像)を写真の黄色線の位置で切り取ります。
株元のふさふさした毛のような部分が雌穂(上画像の赤丸)でトウモロコシの雌花になります。
先ほど切り取った雄花を雌花の上で、揺り落としたりこすりつけたりして受粉させましょう。
雌花の先には毛のようなものが生えていますが、これは絹糸や毛と呼ばれるものです。この伸びた毛の数だけ、中に実がなります。
すべての絹糸に花粉がつくように、まんべんなく授粉させましょう。
通常トウモロコシの雌花は1つの株から2~3個ほど咲きますが、雌花に絹糸が出始めた頃に、最上部の雌花だけを残して他の雌花は全て切り取ってしまいましょう。
トウモロコシは実をたくさん着けると、未成熟で食べる部分の少ない果実ができてしまいます。
摘果した雌花の皮の中には小さなトウモロコシがあります。これは「ヤングコーン」と呼ばれるもので、茹でてサラダにしたり塩ゆでにしたり、美味しく食べることができます。
トウモロコシ栽培では、種まき時と収穫間際に鳥獣の被害を受けやすいので注意しましょう。
種まき直後に鳥から種を守る方法にはマルチングがあります。種をまいた上から白色の不織布をかけて鳥が種を食べないようにします。
マルチングは種が発芽したら早めに撤去しましょう。
収穫時期が近づくと鳥だけでなく栽培地によっては獣の対策も必須です。
トウモロコシを栽培している場所が広いときは、画像のように支柱を立ててネットを畝の周囲に張り巡らせます。
鳥の中でもカラスやハトが大きな被害を出すので、ネットの網目の大きさは10cm角以下がおすすめです。
プランター栽培や栽培している株数が少ないときは果実にネットを被せる方法がおすすめです。
着果を確認したら収穫時の大きさを想定して長めの不織布ネットなどで覆っておきます。獣からの被害は防げませんが、鳥の被害はかなり軽減できます。
トウモロコシの水やりは、株の成長具合を見ながら与える量とタイミングを調整しましょう。
トウモロコシは、種をまいてから発芽が揃うまでの間と、苗から植え付けて根着くまで(約1週間)は用土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。
開花が始まるまでは土壌が多湿にならないよう用土の表面を一旦乾してからたっぷりと水やりを行います。トウモロコシの水やりは朝と夕方の涼しい時間帯に行いましょう。
トウモロコシは乾燥に弱い面があるので、開花前後と実が大きくなり始めてから水不足になると実の大きさに影響するので、用土が極度に乾燥しすぎないように注意しましょう。(もっと詳しく:トウモロコシの正しい水やり方法)
トウモロコシ栽培では、追肥をタイミングよく適量を施してやることが大きな果実を収穫するポイントになります。
トウモロコシの追肥は合計2回行います。
1回目の追肥は本葉が6~8枚になった時期で、2回目の追肥は雄穂が出る時期です。
プランター栽培では、1株あたり化成肥料5~10gをコンテナの淵に沿ってパラパラとまき、そのあと軽く土に混ぜ込むように施しましょう。
露地栽培では、地力のあれば元肥だけでも育ちますが、草丈が50~60cmになる時期に追肥を施しておきます。畝の肩に20~30g(ひと掴み)追肥を与えておきましょう。
追肥の際には株が倒れないように、土寄せを同時に行っておきます。
トウモロコシは品種ごとに収穫までの日数が違います。収穫の目安は種袋などに記載されているので確認しておきましょう。気象や栽培条件でも収穫までの日数が変わります。
トウモロコシは受粉してから、20日~30日で収穫適期を迎えます。(7月中旬~8月下旬頃)
トウモロコシは収穫適期になると絹糸が茶色になって枯れてきます。果実全体を掴んでみて、先の方まで十分に膨らんでいるかでも収穫適期を判断できます。
トウモロコシは茎元から果実が充実していきます。皮をめくって先端の粒が丸みを帯びていたら収穫適期です。
トウモロコシを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送ります。
気温が上がってからではみずみずしさが失くなってしまいます。また気温が高くなってから収穫したものは傷みも早くなります。
トウモロコシの収穫方法ですが、手でしっかりと実を握り下へ折りって豪快にもぎ取ります。
トウモロコシは収穫後から糖分があっという間に減少していくので、収穫した後はすぐに茹でて、甘味を逃がさないようにしましょう。
トウモロコシは丈夫な野菜です。病害が発生するということは、畑の環境が相当悪いといえるかもしれません。排水性や通気性・用土の状態などを見直してみましょう。
トウモロコシは株が大きくなってからは収穫に影響が出るような病害はあまり発生しませんが、苗が小さいときは、苗立ち枯れ病やモザイク病がはっせいすることがあります。
病害の一番の対策は高温多湿の環境にしないこと、適度な水やりと日当たりのよい場所で栽培することです。
苗が枯れたり成長が悪くなったりしたときは病害かもしれません。早期に治療を行うことが大切です。
症状が出た茎葉や枯れた茎葉は早めに切り取り、症状が株全体に拡がったときは株ごと抜き取ってしまいましょう。
トウモロコシは丈夫な野菜です。病害が発生するということは、畑の環境が相当悪いといえるかもしれません。排水性や通気性・用土の状態などを見直してみましょう。
トウモロコシは害虫の対策だけでなく害鳥の対策も必須です。しっかりと対策を行いましょう。
トウモロコシに発生しやすい害虫は、アワノメイガ、イネヨトウ、アブラムシ類・カブラヤガ・コガ類・カメムシ類です。
アワノメイガ、イネヨトウなどのイモムシ類は身の中に入り込む厄介な害虫です。幼虫を見つけ次第、早急に処分して下さい。
万が一被害を受けてしまった株は早めに薬剤で害虫駆除するか他の株に害虫被害が拡がらないように株を抜き取るなどして対策しましょう。
トウモロコシは草丈があるため、風や雨などで倒れやすいので支柱をしっかりと埋め込み、株元の用土が減った時は土寄せを行って倒伏対策を万全にしておきましょう。
基本的にわき芽はそのまま残しても問題ありませんが、光の通りが悪くなった時や雌穂が着床し始めるころになったら除去してもかまいません。
トウモロコシは葉茎が大きく収穫後に抜き取った株が邪魔に思うかも知れませんが、実は堆肥の材料にしたり敷き藁の代わりにしたり、いろいろなことに使えるので有効に活用しましょう。
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