ニンニクは秋から翌年の春までが栽培時期です。種球を小さく分けて1~2cmの深さに植え付けて、苗が10cmほどになったらに芽かきをします。収穫までに行う主な作業は、摘蕾・土寄せ・水やり・追肥などです。
ニンニクの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
土作りから畝の立て方・種球の植え付け・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像を使って丁寧に解説しています。
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栽培難易度 ★★☆☆☆
ニンニク(大蒜) はアジア原産のユリ科の香辛野菜です。ニンニクは病害に強く栽培難易度は低めで、露地やプランターでも簡単に育てれる根野菜です。
ニンニクは冷涼な気候(生育適温10~20℃)を好み、秋に種球を植えると翌年の春に収穫ができます。
ベランダ菜園でも栽培管理が少なめで、病害虫に強く収穫後の保存性も高い初心者向けの野菜です。
ニンニクには日本で一般的な白皮ニンニクの他、味が濃厚で特有の香りがある赤皮ニンニク・ほんのりとした甘味がある紫ニンニクなどがあります。
ニンニクは球以外にも若い葉や花茎(ニンニクの芽)も料理に使えて季節を問わず収穫を楽しむことができます。
ニンニクには疲労回復の効果・殺菌効果があり、風邪などのウイルスにも効力がある健康野菜。消化機能を高め血液をサラサラにする働きがあります。
ニンニクに含まれる栄養素は、ビタミンB¹をはじめタンパク質・炭水化物・リンなどを豊富に含み成人疾患の予防に良いと言われています。
科名 | ユリ科 |
別名 | 大蒜・蒜・葫・忍辱・ガーリックなど |
草丈 | 50~60cm |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 20cm以上 |
畝幅 | 50~60cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~20℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
発芽日数 | 7日~14日 |
植え付け時期 | 9月中旬~10月 |
収穫時期 | 植え付けから約8か月 |
ニンニクは秋(9月~10月)が栽培時期です。収穫時期は苗の植え付けから約10か月です。
カブをプランターや植木鉢で栽培するときのプランターサイズやカブ栽培で使う用土の種類
ニンニク栽培に適したプランターサイズですが、標準サイズ(60㎝)以上のものを利用しましょう。深さは15㎝もあれば十分です。
ニンニクは品種にもよりますが収穫前の株の大きさは幅が20~30㎝で草丈は50㎝です。標準サイズのプランターなら最大で6株ほどの栽培が可能です。
栽培するニンニクの株数が少ないときは、大きめの植木鉢(10号程度)や小型のプランターで育ててもよいでしょう。
ニンニク栽培に使う用土ですが、市販の培養土を利用すればすぐに植え付けできて便利です。
自分で用土を作る時は、赤玉土7:腐葉土2.5:バーミキュライト1.5、これに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせたものを用意します。
ニンニクは土壌の種類をあまり選びませんが、肥沃で保水性の良い土壌が適しています。
ニンニクは種球を植えつけたあとにまし土(用土を足す作業)をします。
プランターでニンニクを育てるときの培養土量ですが、全体の6分目までにしておきましょう。
最終的にはプランターの淵からウォータースペースを2~3㎝残すところまで用土が増えることになります。
ニンニクは水はけが良く水持ちの良い肥沃な土壌で良く育ちます。2週間前に土作りを終わらせて1週間前になったら元肥を入れて畝を立てておきましょう。
露地栽培でニンニクを育てる時は、植え付けの2週間前に苦土石灰を150gを散布して良く耕しておきます。
植え付けの1週間前には堆肥を2㎏/㎡・化成肥料(15:15:15)100g/㎡を施しましょう。
ニンニク栽培に適した畝ですが、幅40㎝以上で高さ10㎝の平畝で栽培します。
酸性土壌では生育が悪くなります。土壌酸度(pH)は6.0~6.5の範囲になるよう酸度調整しましょう。
ニンニクは種球から育てます。温暖な地域での栽培に向く暖地系品種と冷涼な地域での栽培に向く寒地系があります。
9月頃になると園芸店などでさまざまな品種の種球が販売され始めます。ニンニクの品種は暖地系と寒地系があるので、栽培する地域や環境に合った品種を購入しましょう。
暖地系品種は「壱州早生」系・「遠州極早生」、北海道や東北の寒地系品種は「六片」が人気です。ニンニクの芽として育てる時は「茎葉ニンニク(スワンミヤオ)」が人気。
変わった品種では「無臭ニンニク」、普通のニンニクに比べて3~5倍の大きさがありニンニク特有の匂いがありません。
ニンニクの種球はいくつかの鱗茎が集まってできています。傷がないもの、腐っていないもの、病害に感染していないものを選ぶようにしましょう。
ニンニクは種から育てるのではなく種球から育てます。
ニンニクの種球はなるべく大きくて(7g以上)首締まりのよいものを選びます。
小球はウイルスに感染している可能性があるので植え付けないようにしましょう。
りん片の芽(尖っている方)を傷付けたり折ったりすると発芽しないことがあるので注意してください。
ニンニクの植え付け時期は地域にもよりますが、寒冷地は8月下旬以降、中間地は9月中旬以降、温暖地は10月以降は目安になります。種球の植え付け適期を守ることが大きな球を収穫するポイントです。
ニンニクの植え付け時期は寒冷地は8月下旬~9月中旬、中間地は9月中旬~10月上旬、温暖地は10月上旬~10月下旬が目安です。
ニンニクは植え付け時期が遅すぎると、春先に生育期間が不足して球が肥大しないことがあり、早すぎると株が大きくなりすぎて球割れや病害の発生原因になります。
ニンニクの発芽に適した温度は18~22℃です。
25℃以上では休眠状態に入ってしまうため、気温が高い時期に植えつけても発芽せず土中で腐ってしまう原因になります。
通常なら植えつけてから約2週間ほどで発芽します。(参考:ニンニクが発芽しない原因と対策)
ニンニクの新球は外皮をはがして小片に分けておきましょう。小片を包んでいる皮は剥がさずにそのままにしておきます。
小片に分ける時に、腐っているものや病斑が付いたもの、ウイルス病に掛かっている種球はこの時に取り除いておくのがポイントです。
ニンニクの露地栽培では株間を15~20㎝取り、種球の尖ったほうを上に向けて、あらかじめ空けておいた植え穴に押し込むようにして先端が深さ1~2㎝になるよう植えつけます。
その後用土を被せて手のひらで上から軽く押さえて落ち着かせ、植え付けた後は水をたっぷりと与えてやりましょう。
ニンニクをプランターに植えつける時はプランターに用土を6分目まで入れて、種球の尖ったほうを上に向けて10~15㎝間隔で並べます。
その後、種球の上に用土を5~6㎝ほど被せて上から軽く手で押さえて水をたっぷりと与えましょう。
発芽までは半日陰の涼しい場所にプランターを置いて温度の管理をします。日当たりが良く温度が高すぎると発芽が遅れるので注意しましょう。
ニンニクの種球は深く植えすぎると、生育が遅れたり上手く発芽しなかったりします。深植えしすぎないようするのが発芽させるコツです。
芽かきとは複数の芽が出たときに掻き取る作業のことで、芽かきを怠ると、球割れや球の肥大不良・苗の生育不良の原因になります。
ニンニクは芽が2本以上伸びることがあります。
2本以上のまま育てると地中の球が大きくならないので、芽が10㎝くらい伸びるまでに芽かきをして1本立てにします。
生育の良い芽だけ残して、育ちの悪い他の芽は全て切り取ってしまいましょう。
摘蕾とは春以降に塔立ちしたニンニクの芽(ネギ坊主)を摘み取ることです。摘蕾をしないと花芽がついて球の肥大が悪くなってしまうので、早めに摘み取るようにしましょう。
また、春先になって生育最盛期になるとトウ立ちしますが、そのまま放っておくと球が大きくなりません。
トウ立ちしたした時は葉の先端より長くなった花蕾を全て摘み取ってしまいましょう。ちなみに摘み取った花蕾(ニンニクの芽)は炒め物にすれば美味しく食べることができます。
トウ立ちはトウが葉の先端より伸びた時に摘み取りましょう。早すぎても遅すぎてもいけません。早すぎると球が分かれてしまい遅すぎるとトウが固くなってしまうからです。
ニンニクの水やりは、植え付けから発芽までは不要です。芽が出たあとは用土の表面が乾いたタイミングで行い、冬季の間も忘れずに水やりを行いましょう。
ニンニクは種球を植えてから発芽するまでの間は、用土の表面が乾燥したらたっぷりと水やりをしましょう。ただし多湿になるので毎日与える必要はありません。
発芽後はやや乾燥気味に育てますが、冬期でも晴天が1週間以上続く場合はしっかりと水やりを行うことで春先の球の肥大が促進します。
球の成長が盛んになる3月以降は気温が上昇して用土が乾燥しやすくなるので、晴れた日は水をたっぷりと与えるようにしましょう。
ニンニクは多湿を嫌うので暖かい日中に水やりを行いましょう。夕方以降の水やりは病害の発生を助長します。
プランター栽培では鉢底から染み出るくらいたっぷりと与え、露地栽培では1株あたり1.5~2Lが目安です。表面だけでなく用土の中に染み込むまで与えましょう。
ニンニクの追肥はその年の秋と翌年の春前の合計2回与えます。追肥忘れは苗の生育や球の肥大に影響するので、適期に適量を与えるのがポイントです。
ニンニクの追肥のタイミングですが、植え付けた年の秋と翌年春の合計2回与えます。
ニンニクの1回目の追肥時期は植え付けから約1か月後で、露地栽培では緩効性の化成肥料を30g/㎡ほどを株間にまき、中耕して株もとに土寄せしておきます。
2回目の追肥時期は2月上旬~3月中旬頃です。
与える肥料の種類は球の肥大に効果があるリン酸石灰を50g/㎡、または即効性の化成肥料30g/㎡を株間にまき、中耕して株もとに土寄せしておきましょう。
プランター栽培では、植え付けから1か月後と2月上旬~3月中旬に、1株あたり化成肥料を約5g(小さじ1杯)を株と株の間にまいて表面の用土と混ぜ合わせて株元に寄せておきましょう。
ニンニクは追肥の時期が遅れると病害が発生しやすくなるのでタイミングよく追肥を行うようにしましょう。
春先に芽が伸び始める頃からは、水やりを兼ねて薄めの液肥を週に1回与えてもかまいません。
ニンニクの収穫適期は品種にも寄りますが、植え付けた翌年の春以降です。茎葉の先端部分が黄色く枯れた頃が適期です。収穫の遅れは球の不揃いや腐敗の原因になります。
ニンニクは5月中旬~6月下旬頃、葉ニンニクの収穫は3月~4月が収穫適期です。種球の植え付けからは約8か月です。
植えた株の30~50%の葉先が枯れ始めた頃(黄変した頃)が収穫のベストタイミング。
ニンニクは浅根なので茎葉を手でつかんで、株ごと一気に引き抜いて収穫しましょう。
晴天が続いた最後の日を選ぶことも良質な球を収穫するポイントです。ニンニクは雨の日や雨が続いた後に収穫すると極端に品質が落ちていまいます。
葉先が枯れても球の成長は続いているため収穫時期が遅れて梅雨時期に入ると、土中で球が腐ったり片鱗がバラバラになって品質が落ちたりするので収穫適期を逃さないようにしましょう。
収穫の仕方ですが、球の近くの茎を持って傷をつけないように一気に引き抜いて収穫しましょう。
ニンニクは球だけでなく茎葉も美味しく食べることができます。冬越しが終わり、球が肥大する前の茎葉が柔らかいものを、炒めものや鍋の具として利用します。
葉ニンニクは収穫適期は、春(3月~4月頃)で、草丈が30~40㎝の本葉が6~7枚になった頃です。
ただし葉ニンニクとして利用した場合は球が収穫できなくなるので摘み取り過ぎに注意しましょう。
葉ニンニク専用の品種もあるので、より柔らかい葉を味わいたい方はそちらを利用するのがおすすめです。
ニンニクはしっかりと乾燥させて風通しの良い場所で保管すれば、半年以上は美味しい状態で保存することができます。
ニンニクは掘り出したらすぐに根を切って2~3日ほど畑の上で乾燥させておきます。
乾いたあとは雨の当たらない軒下などに外皮を付けたまま数個ずつ紐で束ねて吊るして保存しましょう。3~4か月は芽が出ませんので、必要な分だけ切り取って使えます。
ハウスや畑で乾燥させる場合は、直射日光が当たらないように寒冷紗やよしずなどを使って遮光する必要があります。
ニンニクは常温でも長期保存ができますが、すり下ろしたりみじん切りにしたものを薄くのばしてラップで包んで冷凍しておくと更に長期の保存が可能です。
ニンニクは植え付ける時期と収穫する時期の見極めが品質の良いの球を収穫するためのポイントです。
球の肥大に気温と日照時間が影響するので地域によって育ちやすい品種を選ぶことも大切です。
ニンニクは寒さに弱いので冬越しさせる時は北風の当たらない日当たりの良い場所にプランターを移動させて用土が乾燥しすぎないように水やりをしましょう。
ニンニクに発生しやすい病害は、「葉枯病」「モザイク病」「菌核病」「さび病」「立枯病」「軟腐病」などです。
ニンニクは丈夫な野菜で病害の心配はほとんどありませんが、多湿など土壌環境が悪いとやはり病害が発生します。
ニンニクが病害に掛かるときは、土壌が酸性に傾いている・窒素成分の多い肥料を利用し過ぎている・深植えし過ぎて生育不良になっている・多湿の土壌環境になっているなどが主な原因です。
土壌環境を整えて病害の発生を予防しましょう。
春先に乾燥しやすい土壌では葉枯れなどの生理障害が出やすくなります。敷き藁やマルチングなどを行う、完熟たい肥を利用して保水性を高めるなどして土壌の乾燥を予防しましょう。(参考:野菜の病害対策)
タマネギに発生しやすい害虫は、ネギアブラムシ・ネギアザミウマ・ロビンネダニ・ヨトウムシ・ネギハモグリバエなどです。
害虫は被害を最小限に食い止めるため早めに薬剤などで対処することが大切です。
アブラムシ類は土壌中の窒素成分が多いと発生しやすくなるので窒素肥料を過剰に使用しないようにしましょう。(参考:野菜の害虫対策)
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