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ニンジンの育て方

ニンジンは春と夏が種まき時期です。日当たりと水はけの良い場所に深さ約5mmで種を2~3粒まいて、2~3回の間引きをして株を大きく育てましょう。主な作業は、土寄せ・水やり・追肥などです。収穫までは約3か月です。

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ニンジンの上手な育て方


失敗なしでニンジンを栽培しましょう!

土作りから収穫までの流れ(種まき・間引き・土寄せ・病気対策)など、失敗しないニンジンの作り方を野菜栽培士が詳しくレクチャーします。

Contents Menu

  1. ニンジンの難易度と栽培のポイント
  2. 栽培時期
  3. 育てやすい品種
  4. 栽培前の準備プランター栽培用土土作り畝作り
  5. 種まき
  6. 間引き
  7. 栽培管理土寄せ水やり追肥
  8. 収穫
  9. 害虫対策
  10. 病害対策
  11. ニンジンの育て方まとめ

ニンジンの難易度と栽培のポイント

ニンジンはセリ科の野菜で、原産地はアフガニスタンのヒンズークシ山脈とヒマラヤ山脈の合流地点一帯です。発芽の難易度は高めですが発芽後はスクスクと育ちます。

ニンジンの育て方・ニンジン栽培


栽培難易度 ★★★★☆

ニンジンは春まきと夏まきができますが、夏以降から育てるニンジンは春に比べると害虫被害が少なく簡単なので、初心者の方は夏まきが簡単でおすすめです。

耐寒性が高く低温には強いのですが、高温は苦手で病気が発生しやすくなります。

ニンジンは西洋種と東洋種があり、国内で出回っているものは「金時」を除いてほとんどが西洋種です。長さによって三寸ニンジン、四寸ニンジン、五寸ニンジン大長ニンジンなどに分けられます。

ニンジン栽培のコツ


ニンジンに含まれる栄養価は、ビタミンA(カロチン)・ビタミンC・カリウム・カルシウム・食物繊維など。ニンジンは葉の部分にも栄養があり間引いた苗も食べられます。

特にビタミンA(カロチン)の大様と言われるぐらいカロチンを多く含む健康野菜の代表格。カロチンには細胞を維持したり皮膚や粘膜を保護する働きがあります。

子どもが苦手な野菜というイメージも強いですが、甘みの強い品種を選んでジュースやジャム・キャロットケーキなどの料理で味を楽しみましょう。

ニンジンの栽培データ

科名 セリ科
別名 コラフク・コラフ・胡蘿蔔・ナニンジン・セリニンジンなど
草丈 30~40cm
連作障害 あり(2~3年)
適した場所 日がよく当たる風通しの良い場所
日当たり 🌞 or 🌤
土壌酸度 pH6.0~6.5
株間 10cm以上
畝幅 40cm~80cm
畝高 10~15cm(平畝)
発芽適温 15~25℃
生育適温 18~22℃
種まき時期 3月~5月・7月~8月
発芽日数 5日~7日
苗植え付け時期 種から育てます
収穫時期 種まきから約3か月

ニンジンには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(もっと詳しく:ニンジンと相性の良いコンパニオンプランツは?



栽培時期

ニンジンは春まきと夏まきが基本です。春の種まき時期は3~5月、夏の種まき時期は7月~8月です。

収穫までは品種にもよりますが、90日~100日です。

栽培カレンダー

ニンジンの栽培カレンダー(種まき時期・植え付け時期・収穫時期)


育てやすい品種

ニンジンは家庭菜園でも人気の野菜です。育てやすいように品種改良もされていて、種類も豊富。ホームセンターには様々な品種が販売されています。


ニンジン育てやすいおすすめの品種


育てやすい品種は「向陽二号」「ベターリッチ」「夏ま鮮紅五寸」「陽明五寸」「黒田五寸」でベランダ栽培には「ピッコロ」というミニニンジンがおススメです。

ニンジンには連作障害があるので、同じ畑に植える時は2~3年は間隔を空けましょう。

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ニンジンの栽培方法

ニンジンは土作りが終わったら種まいて間引きながら少しずつ株の間隔を広げていきます。日々の管理は水やりと追肥が主な作業になります。ここから先はニンジンの栽培方法を具体的に説明していきます。

栽培前に準備すること

ニンジンの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。

ニンジン栽培に適したプランターの大きさ


プランターの選び方

ニンジンを育てるときのプランターサイズですが、幅は標準サイズ(60cm)でかまいませんが、根を深く張るので20センチ以上の深型タイプで栽培するのが理想的です。

プランター以外でも植木鉢や土嚢袋や用土の袋、米袋などでも人参の栽培が可能です。その際は余裕をもって深さ25cm以上の袋を利用しましょう。

栽培に使う用土の種類

ニンジン栽培に使う用土の種類


ニンジンは肥沃で有機質に富んだ排水性・保湿性のよい弱酸性(pH5.5~6.0)の土壌を好みます。

ニンジンの栽培に適した用土ですが、初心者は市販された培養土を利用するのが簡単です。

用土を自分で配合する時は、
赤玉土5:砂2:バーミキュライト3
それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり20g混ぜ合わせた物を使いましょう。

ニンジンの土作りコツ


ニンジンは地中に小石や土の塊・有機肥料の塊などの固い障害物があると根が二つに分かれる「また根」という状態が起こります。

篩(ふるい)などを利用して土の粒をそろえるようにすると、「また根」になるのを防ぐことができます。


露地栽培の土作りと畝作り

ニンジンの露地栽培では、種まき(苗の植え付け)の2週間前までに土作りを終わらせましょう。

ニンジンの土作りと畝作り


土作りのやり方

露地栽培でニンジンを育てる時の土作りですが、種まきの2週間前に苦土石灰を150gを散布して良く耕しておきます。

1週間前にそれぞれ1㎡あたり、堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)100gを施します。

畝作りのやり方

一条植えなら幅40cm以上、二条植えなら幅60cm以上、三条植えなら80cm以上の平畝を作りましょう。

畝の高さは10~15cmですが、育てる品種に合わせて高低を調整します。


種まき

ニンジンは筋まきと点まきができます。露地栽培や間引き菜を収穫しながら育てるときは筋まきがおすすめです。筋まきは1cm間隔で、点まきは15㎝~20㎝間隔で、種は浅くまきましょう。

ニンジンの種まき


ニンジンを種から育てる

ニンジンは移植を嫌うため直まきのみです。

春まきは病気や害虫(キアゲハの幼虫など)の被害に遭いやすいので、初心者が育てやすいのは夏まきからがおすすめ。

種まき前に用土にたっぷりと水やりをしておきましょう。種まき直後の水やりが不要になって小さな種が流出したり露出したりすること防げます。

種まき時期

ニンジンは春と夏の2回の栽培が可能です。春まきは3月~4月、夏まきは7月~8月が種まき適期です。

発芽適温

ニンジンの発芽に適した温度は15~25℃です。35℃以上では発芽しません。

発芽日数

ニンジンは発芽適温内だと発芽までは5~7日です。気温や湿度に影響を受けます。10℃前後だと約20日かかります。

生育適温

生育適温は18~22℃で、12℃以下では生育不良や根の着色が悪くなり、2℃以下になると生育が止まります。

種のまき方

ニンジンを筋まきするときは、棒などを使って深さ約5mm~10mmのまき溝を作って1cm間隔で種をまきましょう。

ニンジンは葉が広がるので、条間は最低でも20cm以上は確保しておきましょう。露地栽培では条間を約30cm確保し、2条または3条で筋まきします。

点まきは株間を20cm以上確保して、5~10mmの深さに種をまきます。

ニンジンの種に被せる土の量


ニンジンは発芽するのに光が必要なので、覆土が厚すぎたり種を深くまいたりすると発芽率が下がるので注意しましょう。(参考:ニンジンの種が発芽しない原因と対策

覆土が薄いのでまいた種が水やりで浮き出ないように、上から軽く手で押さえて種と用土をしっかりと密着させておきます。

種まきのコツとヒント

種まき前には用土にたっぷりと水分を含ませておきます。ニンジンの種は小さいため種をまいたあとの水やりを減らすことができ、種が流れ出るのを予防できます。

ニンジンの種は吸水力が弱いので種まき後から芽が出るまでの間は用土が乾燥しないようにたっぷりと水やりをしましょう。

あまり激しく水やりをすると種が表面に流れ出てしまいますので、ハス口を上向きにしてそっと水やりを行うのがコツです。

ニンジンの種は好光性種子


十分に水やりを行った後に、不織布やキッチンペーパーなどを用土の上に被せておくことも種の乾燥を予防するうえで有効な方法です。

発芽した後はすぐに取り除くようにしましょう。


間引き

ニンジンの間引きは収穫までに2~3回行います。幼苗期の成長は遅いので慌てて間引かないようにしましょう。間引きは一度にたくさん行わず、徐々に間引いて少しずつ根を太らせるようにするのがポイントです。

ニンジンの間引きの時期


間引きの時期(タイミング)

葉と葉が触れ合うようになったときが間引きのタイミングです。1回目の間引きのタイミングは本葉が1~2枚になった頃で、その時の株間は2cm程度にします。

本葉が3~4枚に成長した時に2回目の間引きを行い、株間を3~4cm間隔にします。

本葉が5~6枚になったら3回目の間引きを行い1本立てにします。

ニンジンの間引きの時期(タイミング)


苗の間引き方

残す株の根を傷めないように抜き取るニンジンの根元を押さえて手で引き抜きます。後半の間引きで根が絡まっているときは、根元をハサミで切ってもかまいません。

草勢が著しく旺盛な株や弱い株、葉色の異なる株を中心に間引き、茎葉が左右バランス良く整った生育の良い株を残すようにしましょう。

2回目と3回目の間引きの後に追肥と土寄せをしておきます。(詳しくは追肥を参照)

ニンジンの間引き方


間引きのコツとヒント

最終的な株間は約10cmです。

ちなみにニンジンは根よりも葉に栄養が豊富に含まれています。間引いた株は葉をスープに浮かべたりサラダにしたり炒めものにして食べることができます。

幼苗の期間に低温に当たると花芽ができ、高温日長でとう立ちします。


ニンジンの栽培管理

土寄せ(まし土)

強い雨が降ったときや水やりを続けていると株元の周辺の用土が流れてしまいます。苗の倒れや露出した根を傷める原因となるので土寄せをしっかりと行いましょう。

ニンジンの土寄せ


土寄せの時期(タイミング)

ニンジンの土寄せ(プランターではまし土)は株元の茎の部分が長くなってきたときや追肥のタイミングに合わせて、収穫までに2~3回ほど行いましょう。

土寄せのやり方

土寄せのやり方ですが、株周囲の用土の表面を軽くほぐして株元に寄せて手のひらで軽く押さえておきます。プランター栽培では新しい用土を足しておきます。


 水やり

ニンジンは生育に合わせて水やりの量を変えます。発芽するまでは水切れに注意し、芽が出てから根が太り始めるまでの間は土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。

ニンジンの水やりの量とタイミング


水やりの頻度とタイミング

ニンジンは種をまいた後から発芽が出そろうまでは土の表面が乾かないようにこまめに水やりを行ってください。

芽が出てから根が太り始めるまでの間は土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。

1回あたりの水量

ニンジンの初期の苗はなかなか大きくならないため、水やりを多めにしがちですが、早く成長させようと必要以上に水やりを多くする必要はありません。

根が大きくなり始めたら1日に1~2回少量ずつ水やりを行います。根の肥大期に水不足にならないように注意しましょう。

一度に大量の水を与えると裂根の原因になるため、回数を多めに1回あたりの量を少なくするのがポイントです。

用土の乾燥と多湿を繰り返さないようにしましょう。


追肥

ニンジンは種まきから2か月ほど経ってから。その頃までは追肥を与えても根の生育にはあまり影響がありません。追肥は2回目の間引きをしたタイミングで施しましょう。

ニンジンの追肥の時期と与える量


追肥の時期(タイミング)

ニンジンは植えてから60日ぐらい経つと肥料の吸収が良くなります。その頃までは追肥を与えても根の生育にはほとんど影響がありません。

ニンジンの追肥は2回目と3回目の間引きをしたタイミングで施します。

1回目の追肥時期は本葉が3~4枚になる頃で、上部の葉を大きくするために施します。2回目の追肥時期は本葉が5~6枚になる頃で、この時の追肥は根を太らせるために施します。

1回あたりの追肥の量

プランターの場合は、化成肥料を1株当たり3~5g、全面にまいて表面の用土と軽く混ぜ合わせて、株もとに寄せておきます。

露地栽培の場合は1㎡あたり1握り(20~30g)を畝の肩周辺にまいて用土と軽く混ぜてから株元に寄せておきましょう。

追肥のコツとヒント

ニンジンは他の野菜に比べて与える肥料の量が多いので雑草が良く生えます。雑草をそのままにしておくと苗の成長が阻害されますので、雑草が生えたら早めに除草しましょう。 

ミニニンジンをプランターで育てている方は、水やりを兼ねて、1週間に1回薄めた液肥を与えてもかまいません。


ニンジンの収穫

ニンジンの収穫適期は用土から出ている根の上部が、4~5cm(ミニ種は親指大)になった頃です。株の地際付近を手で掴んで一気に引き抜いて収穫しましょう。

ニンジンの収穫


収穫時期(タイミング)

ニンジンの収穫までの日数は品種によって様々ですが、ミニ種のニンジンは約70~90日、5寸ニンジンだと約100~120日で収穫が始まります。

ニンジンは収穫のタイミングが遅れて大きくなりすぎると根が割裂する原因になります。収穫タイミングを逃さない様に注意しましょう。

ニンジンの収穫時期(タイミング)


見た目で収穫時期を判断する

収穫時期の目安は用土から出ている根の上部が、4~5cm(ミニ種は親指大)になった頃です。

育ちの良い美味しいニンジンの大きさは約12~13cmです。葉が黄色くなる前に収穫しましょう。

肩(地上から見えている部分)が落ちているのはまだ早く、肩が張っていれば収穫適期の合図です。

ニンジンの収穫方法


収穫方法

ニンジンは株の地際付近を手で掴んで一気に引き抜いて収穫しましょう。

収穫後は茎葉と尻部の細根を切って水で洗い陰干しておきます。その後は新聞紙などでくるんで風通しの良いところで保存しましょう。

秋以降に収穫するニンジンは防寒のため土寄せしておけば翌年の3月頃まで畑で越冬させることができます。


病気対策

ニンジンに発生しやすい病気は、しみ腐れ病・軟腐病・根腐病・黒葉枯れ病などです。

ニンジンの病気対策


これらは土壌の排水が悪い時によく発生しますので畑の排水をよくするように心がけましょう。

その他多い病気は黒葉枯病。黒葉枯病は夏まきの時の発生が多く、15℃以下または35℃以上では発生しません。

ニンジンの病気は連作すると助長されます。もっとも重要な対策は連作を避けること。3~4年は同じ場所に植え付けないようにしましょう。(参照:野菜の病気対策


害虫対策

ニンジンに発生しやすい害虫は、ネキリムシ、ヨトウガ、アブラムシ類・アオムシ(キアゲハの幼虫)です。

ニンジンの害虫対策


害虫でも被害が大きいのはキアゲハの幼虫です。

多少は葉が食べられても問題ありませんが、幼虫は発見次第すぐ除去するようにしましょう。終齢幼虫が多発すると1晩で葉っぱが全滅することが事もあります。

ネキリムシ、ヨトウガ、アブラムシ類の発生が多く、アオムシ類は老齢の幼虫になると薬剤が効きにくいので、早期発見、早期除去を心掛けましょう。

病気対策と害虫対策


種を植えた後の寒冷紗掛けや苗が育ってきた後のマルチ掛けや防虫ネットなども害虫の飛来を大幅に防ぐ効果が期待できるのでしっかり活用しましょう。

ニンジンのコンパニオンプランツはエダマメ。せり科のニンジンとマメ科のエダマメを混植すると、お互いの害虫(エダマメのカメムシとニンジンのキアゲハ)を予防することができます。(参照:コンパニオンプランツの組み合わせ)キアゲハの幼虫はローズマリーとの混植も効果的です。


ニンジンの育て方まとめ

ニンジンの育て方のまとめ


ニンジンは適応性がありますが、どちらかと言うと冷涼性の気候を好む野菜です。成長してからは夏の暑さに弱くなるので注意しましょう。

ニンジンの種は薄く覆土するので種まき直後の水やりは丁寧に行います。勢い良く水やりをすると種が流れてしまうので注意が必要です。

一度の間引きで株間を空け過ぎてしまわないように葉と葉が重なった時にタイミングを見て間引いて少しずつ根を太らせましょう。

ニンジンが緑化するのは土寄せが不足している時です。肩が出過ぎていたらその都度まし土を行いましょう。(もっと詳しく:ニンジンがうまく育たない原因と対策

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