ニンジンは春と夏が種まき時期です。日当たりと水はけの良い場所に深さ約5mmで種を2~3粒まいて、2~3回の間引きをして株を大きく育てましょう。主な作業は、土寄せ・水やり・追肥などです。収穫までは約3か月です。
ニンジンの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeでもニンジンの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★★★★☆
ニンジンはセリ科の野菜で、原産地はアフガニスタンのヒンズークシ山脈とヒマラヤ山脈の合流地点一帯です。発芽の難易度は高めですが発芽後はスクスクと育ちます。
ニンジンは元来は水辺に生息するやや多湿を好む植物で、発芽時の水分管理が難しいのはこのためです。
春まきと夏まきができますが、夏以降から育てるニンジンは春に比べると害虫被害が少なく簡単なので、初心者の方は夏まきが簡単でおすすめです。
耐寒性が高く低温には強いのですが、高温は苦手で病害が発生しやすくなります。
ニンジンは西洋種と東洋種があり、国内で出回っているものは「金時」を除いてほとんどが西洋種です。長さによって三寸ニンジン、四寸ニンジン、五寸ニンジン大長ニンジンなどに分けられます。
ニンジンに含まれる栄養価は、ビタミンA(カロチン)・ビタミンC・カリウム・カルシウム・食物繊維など。ニンジンは葉の部分にも栄養があり間引いた苗も食べられます。
特にビタミンA(カロチン)の大様と言われるぐらいカロチンを多く含む健康野菜の代表格。カロチンには細胞を維持したり皮膚や粘膜を保護する働きがあります。
子どもが苦手な野菜というイメージも強いですが、甘みの強い品種を選んでジュースやジャム・キャロットケーキなどの料理で味を楽しみましょう。
科名 | セリ科 |
別名 | コラフク・コラフ・胡蘿蔔・ナニンジン・セリニンジンなど |
草丈 | 30~40cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 10cm以上 |
畝幅 | 40cm~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 18~22℃ |
種まき時期 | 3月~5月・7月~8月 |
発芽日数 | 5日~7日 |
苗植え付け時期 | 種から育てます |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
ニンジンには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(もっと詳しく:ニンジンと相性の良いコンパニオンプランツ)
ニンジンは春まきと夏まきの年2回が基本です。(品種によっては他の期間の栽培も可能です。)
春の種まき時期は3~5月、夏の種まき時期は7月~8月で、収穫までは品種にもよりますが、90日~100日です。
ニンジンは家庭菜園でも人気の野菜です。育てやすいように品種改良もされていて、種類も豊富。ホームセンターには様々な品種が販売されています。
育てやすい品種は「向陽二号」「ベターリッチ」「夏ま鮮紅五寸」「陽明五寸」「黒田五寸」でベランダ栽培には「ピッコロ」というミニニンジンがおススメです。
ニンジンには連作障害があるので、同じ畑に植える時は2~3年は間隔を空けましょう。
ニンジンは土作りが終わったら種まいて間引きながら少しずつ株の間隔を広げていきます。日々の管理は水やりと追肥が主な作業になります。ここから先はニンジンの栽培方法を具体的に説明していきます。
ニンジンの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ニンジンを育てるときのプランターサイズですが、幅は標準サイズ(60cm)でかまいませんが、根を深く張るので20センチ以上の深型タイプで栽培するのが理想的です。
品種にもよりますが最終的な株間は約10cmです。栽培数に合わせてサイズを決定しましょう。
プランター以外でも深型の植木鉢や土嚢袋・用土の袋・米袋などでも栽培が可能です。根詰まりや根の変形を予防するため、余裕をもって深さ25cm以上の袋を利用しましょう。
ニンジンは肥沃で有機質に富んだ排水性・保湿性のよい弱酸性(pH5.5~6.0)の土壌を好みます。
ニンジンの栽培に適した用土ですが、初心者は市販された培養土を利用するのが簡単です。
用土を自分で配合する時は、
赤玉土5:砂2:バーミキュライト3
それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり20g混ぜ合わせた物を使いましょう。
ニンジンは地中に小石や土の塊・有機肥料の塊などの固い障害物があると根が二つに分かれる「また根」という状態が起こります。
篩(ふるい)などを利用して土の粒をそろえるようにすると、「また根」になるのを防ぐことができます。
ニンジンの露地栽培では、種まき(苗の植え付け)の2週間前までに土作りを終わらせましょう。
露地栽培でニンジンを育てる時の土作りですが、種まきの2週間前に苦土石灰を150gを散布して良く耕しておきます。
1週間前にそれぞれ1㎡あたり、堆肥を2kg、化成肥料(15:15:15)100gを施します。
一条植えなら幅40cm以上、二条植えなら幅60cm以上、三条植えなら80cm以上の平畝を作りましょう。
畝の高さは10~15cmですが、育てる品種に合わせて高低を調整します。
ニンジンは筋まきと点まきができます。露地栽培や間引き菜を収穫しながら育てるときは筋まきがおすすめです。筋まきは1cm間隔で、点まきは15㎝~20㎝間隔で、種は浅くまきましょう。
ニンジンは移植を嫌うため直まきのみです。
春まきは病害や害虫(キアゲハの幼虫など)の被害に遭いやすいので、初心者が育てやすいのは夏まきからがおすすめ。
種まき前に用土にたっぷりと水やりをしておきましょう。種まき直後の水やりが不要になって小さな種が流出したり露出したりすること防げます。
ニンジンは春と夏の2回の栽培が可能です。春まきは3月~4月、夏まきは7月~8月が種まき適期です。
ニンジンの発芽に適した温度は15~25℃です。35℃以上では発芽しません。
ニンジンは発芽適温内だと発芽までは5~7日です。気温や湿度に影響を受けます。10℃前後だと約20日かかり、7℃以下だと30日以上かかります。
生育適温は18~22℃で、12℃以下では生育不良や根の着色が悪くなり、2℃以下になると生育が止まります。
ニンジンを筋まきするときは、棒などを使って深さ約5mm~10mmのまき溝を作って1cm間隔で種をまきましょう。
条間(列の間隔)は日当たりと風通しを良くするため、最低でも20cm以上は確保しておきましょう。露地栽培では条間を約30cm確保し、2条または3条で筋まきします。
点まきは株間を20cm以上確保して、5~10mmの深さに種をまきます。
ニンジンは発芽するのに光が必要なので、覆土が厚すぎたり種を深くまいたりすると発芽率が下がるので注意しましょう。(参考:ニンジンの種が発芽しない原因と対策)
覆土が薄いのでまいた種が水やりで浮き出ないように、上から軽く手で押さえて種と用土をしっかりと密着させておきます。
種まき前には用土にたっぷりと水分を含ませておきます。ニンジンの種は小さいため種をまいたあとの水やりを減らすことができ、種が流れ出るのを予防できます。
ニンジンの種は吸水力が弱いので種まき後から芽が出るまでの間は用土が乾燥しないようにたっぷりと水やりをしましょう。
あまり激しく水やりをすると種が表面に流れ出てしまいますので、ハス口を上向きにしてそっと水やりを行うのがコツです。
十分に水やりを行った後に、不織布やキッチンペーパーなどを用土の上に被せておくことも種の乾燥を予防するうえで有効な方法です。
発芽した後はすぐに取り除くようにしましょう。
ニンジンの間引きは収穫までに2~3回行います。幼苗期の成長は遅いので慌てて間引かないようにしましょう。間引きは一度にたくさん行わず、徐々に間引いて少しずつ根を太らせるようにするのがポイントです。
葉と葉が触れ合うようになったときが間引きのタイミングです。1回目の間引きのタイミングは本葉が1~2枚になった頃で、その時の株間は2cm程度にします。
本葉が3~4枚に成長した時に2回目の間引きを行い、株間を3~4cm間隔にします。
本葉が5~6枚になったら3回目の間引きを行い1本立てにします。
残す株の根を傷めないように抜き取るニンジンの根元を押さえて手で引き抜きます。後半の間引きで根が絡まっているときは、根元をハサミで切ってもかまいません。
草勢が著しく旺盛な株や弱い株、葉色の異なる株を中心に間引き、茎葉が左右バランス良く整った生育の良い株を残すようにしましょう。
2回目と3回目の間引きの後に追肥と土寄せをしておきます。(詳しくは追肥を参照)
最終的な株間は約10cmです。
ちなみにニンジンは根よりも葉に栄養が豊富に含まれています。間引いた株は葉をスープに浮かべたりサラダにしたり炒めものにして食べることができます。
幼苗の期間に低温に当たると花芽ができ、高温日長でとう立ちします。
強い雨が降ったときや水やりを続けていると株元の周辺の用土が流れてしまいます。苗の倒れや露出した根を傷める原因となるので土寄せをしっかりと行いましょう。
ニンジンが緑化する原因は土寄せ不足によるものです。根の肩が出過ぎないようにまし土をしっかりと行いましょう。
ニンジンの土寄せ(プランターではまし土)は株元の茎の部分が長くなってきたときや追肥のタイミングに合わせて、収穫までに2~3回ほど行いましょう。
土寄せのやり方ですが、株周囲の用土の表面を軽くほぐして株元に寄せて手のひらで軽く押さえておきます。プランター栽培では新しい用土を足しておきます。
ニンジンは生育に合わせて水やりの量を変えます。発芽するまでは水切れに注意し、芽が出てから根が太り始めるまでの間は土の表面が乾いたタイミングで水やりをします。
栽培初期は多め、中期はやや少なめ、後期はやや多めのイメージです。
発芽してから根が太り始めるまでは土の表面をしっかりと乾かしてから水やりをししょう。
初期の苗は成長が遅いので、早く成長させようと必要以上に水やりする方がいますが、水やり量を増やしても生育は早まりません。
むしろ、多湿になって病害が発生しやすくなるので注意しましょう。
根が大きくなり始めたら1日に1~2回を目安に水やりを行います。根の肥大に影響するので、この時期は水不足にならないようにするのがポイントです。
ニンジンの初期の苗はなかなか大きくならないため、水やりを多めにしがちですが、早く成長させようと必要以上に水やりを多くする必要はありません。
根が大きくなり始めたら1日に1~2回少量ずつ水やりを行います。根の肥大期に水不足にならないように注意しましょう。
一度に大量の水を与えると裂根の原因になるため、回数を多めに1回あたりの量を少なくするのがポイントです。
収穫の数日前になったら水やりをストップします。直前まで水やりをすると含有する水分量が増えて、収穫後の根が腐りやすくなります。
用土の乾燥と多湿を繰り返さないようにしましょう。
ニンジンは種まきから2か月ほど経ってから。その頃までは追肥を与えても根の生育にはあまり影響がありません。追肥は2回目の間引きをしたタイミングで施しましょう。
ニンジンは種まきから2か月ほど経つと茎葉の生育が旺盛になって肥料の吸収が良くなります。それまでは追肥を与えても根の生育にはほとんど効果がありません。
ニンジンの追肥は慌てずに初期は元肥のみで育て、2回目と3回目の間引きをしたときが追肥のタイミングです。
1回目の追肥時期は本葉が3~4枚になる頃で、上部の葉を大きくするために窒素分の割合が多めの肥料を施します。
2回目の追肥時期は本葉が5~6枚になる頃で、この時の追肥は根を太らせるためにリン酸分も割合が多めの肥料を施します。
成分や割合分からない場合は、普通肥料や根野菜専用肥料を与えましょう。
プランターの場合は、化成肥料を1株当たり3~5g、全面にまいて表面の用土と軽く混ぜ合わせて、株もとに寄せておきます。
露地栽培の場合は1㎡あたり1握り(20~30g)を畝の肩周辺にまいて用土と軽く混ぜてから株元に寄せておきましょう。
ニンジンは他の野菜に比べて与える肥料の量が多いので雑草が良く生えます。雑草をそのままにしておくと苗の成長が阻害されますので、雑草が生えたら早めに除草しましょう。
ミニニンジンをプランターで育てている方は、水やりを兼ねて、1週間に1回薄めた液肥を与えてもかまいません。
ニンジンの収穫適期は用土から出ている根の上部が、4~5cm(ミニ種は親指大)になった頃です。株の地際付近を手で掴んで一気に引き抜いて収穫しましょう。
ニンジンの収穫までの日数は品種によって様々ですが、ミニ種のニンジンは約70~90日、5寸ニンジンだと約100~120日で収穫が始まります。
ニンジンは収穫のタイミングが遅れて大きくなりすぎると根が割裂する原因になります。収穫タイミングを逃さない様に注意しましょう。
収穫時期の目安は用土から出ている根の上部が、4~5cm(ミニ種は親指大)になった頃です。
育ちの良い美味しいニンジンの大きさは約12~13cmです。葉が黄色くなる前に収穫しましょう。
肩(地上から見えている部分)が落ちているのはまだ早く、肩が張っていれば収穫適期の合図です。
ニンジンは株の地際付近を手で掴んで一気に引き抜いて収穫しましょう。
収穫後は茎葉と尻部の細根を切って水で洗い陰干しておきます。その後は新聞紙などでくるんで風通しの良いところで保存しましょう。
秋以降に収穫するニンジンは防寒のため土寄せしておけば翌年の3月頃まで畑で越冬させることができます。
ニンジンに発生しやすい病害は、しみ腐れ病・軟腐病・根腐病・黒葉枯れ病などです。
病害が発生する原因は、生育適温から大きく外れている、水やりが多い、または少ない、日照不足などです。
病害は土壌の排水が悪く高温時に発生しやすくなります。風通しと土壌の排水をよくして、高温多湿の環境にならないように心がけましょう。
病害の中でも黒葉枯病は夏まきの時の発生が多く、15℃以下または35℃以上ではあまり発生しません。栽培適期を守ることも病害対策になります。
ニンジンの病害は連作すると助長されます。もっとも重要な対策は連作を避けること。2~3年は同じ場所に植え付けないようにしましょう。
ニンジンに発生しやすい害虫は、ネキリムシ、ヨトウガ、アブラムシ類・アオムシ(キアゲハの幼虫)です。
害虫でも被害が大きいのはキアゲハの幼虫です。
多少は葉が食べられても問題ありませんが、幼虫は発見次第すぐ除去するようにしましょう。
幼虫が小さい時期は被害も小さいのですが、終齢幼虫になると数日で茎葉が食べ尽くされるほどの甚大な被害が出ることがあります。
ネキリムシ、ヨトウガ、アブラムシ類の発生が多く、アオムシ類は老齢の幼虫になると薬剤が効きにくいので、早期発見、早期除去を心掛けましょう。
種まき後の寒冷紗掛けや苗が育ってきた後のマルチ掛けや防虫ネットなども害虫の飛来を大幅に防ぐ効果が期待できるのでしっかり活用しましょう。
セリ科のニンジンとマメ科のエダマメを混植すると、お互いの害虫(エダマメのカメムシとニンジンのキアゲハ)を予防することができます。
キアゲハの幼虫はローズマリーとの混植も効果的です。
ニンジンは適応性がありますが、どちらかと言うと冷涼性の気候を好む野菜です。成長してからは夏の暑さに弱くなるので注意しましょう。
ニンジンの種は薄く覆土するので種まき直後の水やりは丁寧に行います。勢い良く水やりをすると種が流れてしまうので注意が必要です。
一度の間引きで株間を空け過ぎてしまわないように葉と葉が重なった時にタイミングを見て間引いて少しずつ根を太らせましょう。
ニンジンが緑化するのは土寄せが不足している時です。肩が出過ぎていたらその都度まし土を行いましょう。(もっと詳しく:ニンジンがうまく育たない原因と対策 )
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