オクラは春が植え付け適期です。日当たりと水はけの良い土壌に1か所あたり3粒ほど深さ1cmで種をまいて、本葉が1~2枚の頃に苗を2本に間引きます。管理作業は、支柱立て・水やり・追肥・下葉かきなどです。収穫まで約1.5か月です。
オクラの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeでもオクラの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★★☆☆☆
オクラはアフリカ原産のアオイ科の野菜で、病害に強く乾燥や暑さにも強いので初心者向けです。
オクラ栽培はコツが分かれば簡単です。オクラは高温と強い日差しを好むので日当たりの良い場所で育てるのがポイントです。
オクラは種からでも苗からでも簡単に育てられますが、初心者の方や少ない株数を栽培する方は、ホームセンターなどで売られている苗ポットから育てるのがおすすめです。
オクラは育て方次第で収穫量が大きく変わる野菜です。栽培のコツを覚えて多収穫を目指しましょう。
オクラに含まれる栄養素は、βカロチン(ビタミンA)・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンE・カルシウム・鉄分と食物繊維を豊富に含んでいます。
オクラは和え物やサラダ、天ぷらなど料理のレシピも豊富です。粘りはペクチンなどの成分によるもので、整腸や抑コレステロールなどの働きがあり、健康維持におすすめの野菜です。
科名 | アオイ科 |
別名 | 陸蓮根(おかれんこん)・アメリカネリ・ガムボウなど |
草丈 | 100cm以上 |
連作障害 | あり(1~2年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30cm以上 |
畝幅 | 40~80cm |
畝高 | 15~20cm(平畝) |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
種まき時期 | 4月~6月 |
発芽日数 | 4日~7日 |
苗植え付け時期 | 5月~7月 |
収穫時期 | 種まきから約1.5か月 |
オクラと同じ場所で混植(寄せ植え)できるコンパニオンプランツがたくさんあります。限られたスペースを有効に使いましょう。(参考:オクラと相性の良いコンパニオンプランツ)
オクラの栽培時期は春から夏にかけてです。
種まき時期は4月上旬~7月、苗の植え付け時期は4月中旬~6月です。地域によっては7月でも可能です。
収穫は種まきから約1.5か月で5月下旬~9月中旬。
オクラの種まきと苗の植え付けは気温が十分に上がってから。種まきは4月以降、苗の植え付けは5月以降。早まきは避けましょう。
オクラは寒さに弱く10℃以下で畑に植えると低温障害が起こることがあります。
育てやすいオクラの種類は、実の切り口が五角形になる「アーリーファイブ」や「グリーンスター」などです。
珍しい形をしたオクラは切り口が丸形の「エメラルド」で、この品種は味も美味しくて育てやすくおすすめです。
オクラは初心者の方や植える株数が少ない方は苗から育てると簡単に育てられます。
オクラはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。オクラ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
オクラの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
オクラを栽培するときのプランターサイズは標準タイプ以上(60cm~)で深型のものを利用しましょう。
オクラは根を深く張るため、30cm以上の深さのあるものが理想です。底が浅いと草丈が高くなったときに強風で倒れやすくなります。
オクラ栽培の成功の最大のポイントは土作りです。オクラは多湿に弱いので、排水・保水がよい土壌が適しています。
オクラの用土を配合するときは、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1、これに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~30gを混ぜ合わせたものを使います。
オクラのプランター栽培では市販の培養土を利用すると便利です。あらかじめ肥料を含み、袋を開けてすぐに植え付けができる「実野菜用の用土」がおすすめです。
オクラは多湿を嫌うので、メッシュ底が付いた鉢を使うか、発泡スチロールを網に入れたものを鉢底におくなどして、土壌の水抜けはよくしておきます。
プランターに用土を入れる量は、ウォータースペースを残して8分目くらいまでにしておきましょう。
鉢の縁一杯まで用土を入れると、水やりのときに土がこぼれてしまうだけでなく、株が倒れないようにまし土(用土を足すこと)を行うことができなくなってしまいます。
オクラは排水性と保水生がよい畑を好み、土壌酸度はpH6.0~6.5が最もよく育ちます。
植え付けの2週間前までに苦土石灰を施して酸度調整しておきます。直前に石灰を入れると根を傷めるので注意しましょう。
苗の植え付けの1週間前までに、堆肥を2kg/1㎡、化成肥料を150g/1㎡を入れ、用土をしっかりと耕しておきます。
オクラは平畝で栽培します。畝の高さは10~15cmです。
オクラは直根性(根を地中にまっすぐ張る性質)なので、寄せ植えができます。ただし、日当たりが悪くならないように条間(列と列の間隔)は確保しましょう。
畝の幅は1~2条植えのときは40cm以上、2~3条植えのときは80cmもあれば十分です。
オクラは、畑に直接種をまく「直まき」とポリポットに種をまく「ポットまき」ができます。気温が高い時期は直まきし、気温が低い時期はポットまきがおすすめ。
気温が低い時期に種をまくと、発芽しなかったり種の発芽率が下がったりします。また、種まき時期が遅いと夏までに生長が間に合わず収穫量が少なくなります。
直まきでは、日中の温度が20℃超えるようになってから種をまくのが上手く発芽させるポイントです。
寒冷地や気温が低い時期に種をまくときは、トンネル掛けをして温度を上げておきましょう。
オクラの種まき時期は、ポットまきは3月末~6月中旬頃まで、直まきは4月中旬~6月下旬頃まで。
オクラは種まき適期を守ることが成功のポイントです。(もっと詳しく:オクラが発芽しない原因と対策)
オクラは種をまいてから約4日~7日で発芽します。気温が低すぎると発芽が遅れたり発芽しなかったりします。
気温が低いと発芽するまでに10日以上かかることもあります。
気温が高くなったら直まき、気温が低い時期はポットで苗を育ててから畑に植え替える方法がおすすめです。
オクラの種を直まきするときは、30cm以上の間隔をあけて点まきにします。種は1ヶ所につき2~3粒の種をまきましょう。
オクラは嫌光性種子(光を嫌う性質)なので、種はやや深めの10~15mm(種の長さの2~3倍が目安)に深さに埋めます。
瓶の底などを地面に押し当てて埋穴を作ると簡単です。種をまいたあとは、しっかりと密着するように手で軽く押さえておきましょう。
オクラの種をポットにまくときは、1つのポットに2~3粒の種をまきます。
間引きが面倒な時は種は1粒ずつまいてもかまいません。ただし、すべての種から芽が出るとは限らないので、少し余分にポットを作っておきましょう。
オクラは嫌光性種子(光を嫌う性質)なので、種はやや深めの10~15mm(種の長さの2~3倍が目安)に深さに埋めます。
淵から約30mmほど下げて用土を入れ、種を置いたら上から細かな用土を被せましょう。用土を被せたら手のひらで軽く押さえておきます。
直まきでは土を乾燥させないようにしっかりと水やりをしましょう。乾燥し過ぎると種が死んでしまいます。
オクラは初心者の方や植える株数が少ない方はホームセンターなどで苗を購入することをお勧めします。
オクラの間引きのタイミングと正しい間引き方をレクチャーします。
オクラは本葉が2~3枚になった頃が間引きのタイミングです。(直まきでは本葉が4~5枚の頃)
あまり早い段階で苗を間引いてしまうと、残った苗が枯れたり害虫の被害に遭ったりしたときに困ることになります。
オクラは、緑が濃く元気のよい苗を1本だけ残して、残りの苗はすべて間引いてしまいましょう。養分や水分を取り合って生育が悪くなってしまいます。
オクラを間引くときに、苗ごと引き抜くと絡まった根が切れたり傷んだりして、その後の成長が悪くなってしまいます。
苗は手で引き抜くのではなく、ハサミなどで根元付近を切ってしまいましょう。
園芸店などで購入した苗は、通常2~3本立てになっていますが、その株を1本ずつ分けて植えてはいけません。苗を分けるときに根鉢が崩れ根を傷めてしまうからです。
根を傷めた苗は、生育が悪くなったり萎れたりします。もったいない気がしますが、間引いた苗は使わないようにしましょう。
生育環境のよい畑では、間引きをせずにそのまま植えることもできます。実の数は少なくなりますが、実の形や大きさが揃うようになります。
オクラを種から育てるのが難しい方は、園芸店などで売られている苗から育ててみましょう。苗からなら収穫まで簡単に辿り着けます。
オクラの育ちやすい苗の選び方ですが、大きく育ちすぎているよりも、本葉が3~4枚までのものを選びましょう。
オクラは直根性なので、根がポットの中で伸びすぎていると植え付けが難しくなるからです。
葉に艶があり緑の濃いもの、茎が太く節間が詰まっているものが上部で育てやすい苗です。
オクラの苗の植え付けは4月末から6月中旬頃まで、本葉が4~5枚の苗を植え付けましょう。
オクラの生育が最もよくなる気温(生育適温)は、20~30℃で、気温が10℃以下になると生長が止まってしまいます。
オクラは気温が十分に上がってから苗を植え付けましょう。植え付け適期は日中の気温が20℃を超えるようになってからです。
苗を植える間隔ですが、オクラは直根性(根を待っすく伸ばす性質)の野菜なので、株間は狭くても育てられます。
オクラはプランター栽培では株と株の間隔を25cm以上確保して苗を植え付けます。露地栽培では株間は40cm、条間は60cm確保して植え付けましょう。
オクラは葉が干渉しない程度に株間を確保すると、日当たりが良くなって収穫量を増やす事が出来ます。
ポットの用土が乾燥し過ぎていると根鉢が崩れやすくなります。根鉢の崩れを防ぐには、ポットから取り出す前に水分を含ませておくのがポイントです。
茎の部分を指の間に挟んでポットをさかさにして、底の穴から指で押して根鉢をそっと押し出しましょう。
オクラは細い根が少なく植え傷みが発生しやすいので、ポットから取り出すときに根鉢を崩さないように丁寧に取り出しましょう。
オクラは成長すると草丈が最大で2mの高さになります。支柱は長めのものを用意しましょう。
オクラの苗が30cmくらいまで成長したら、風や雨で倒れないように支柱に立てます。
支柱を立てたら茎と支柱を麻紐などで結んでおきましょう。
茎をきつく縛るとオクラの成長に影響するので、支柱には上の写真のように八の字でゆるく結んでおくのがポイントです。
オクラのプランター栽培では、プランターや植木鉢の底が浅いので支柱が不安定になります。
このようなときは、横向きに支柱を伸ばして他の鉢の支柱と繋いだり、ベランダの手すりと繋いで補強する方法がおすすめです。
オクラは株に勢いがあると、株元から側枝(脇芽)が伸びることがあります。
基本的に側枝(脇芽)は放任でかまいません。
そこから出る果実も収穫することができます。側枝の発生が多いときは適宜整枝を行って下さい。
オクラを収穫した後は、収穫した果実のすぐ下の葉を1~2枚だけ残して、そこから下の葉は全て切り取っておきます。
下葉を切り取ることで、養分と水分が上の果実に回るようになり実をたくさんつけるようになります。
ハサミやナイフで葉側の茎の根元を切るか、葉柄を持って下に折り曲げるようにすると上手にかき取ることが出来ます。
草勢が弱いときは摘葉をストップして追肥を施して株の勢いが回復するのを待ちましょう。
オクラは根をまっすぐ張るため、株元を中心に水を与えましょう。夏場の高温期は水切れを起こさないようにするのが多収穫のポイントです。
オクラは種まき後から発芽するまでと、苗を植えてから約1週間は、用土が乾燥しすぎないようにこまめに水やりを行いましょう。
苗の生長が始まったら、用土の表面が乾いた時にたっぷりと水やりを行います。
オクラは水やりの回数を増やすよりも、回数を少なくして1回でたっぷりと与える方がより効果的です。(もっと詳しく:オクラの正しい水やり方法)
オクラは吸肥力がとても強いため、元肥と同程度の量で追肥を行いましょう。
オクラに1回目の追肥は、本葉が5~6枚になる頃で植え付けからだと約2週間後です。この頃から急に株が生長します。
オクラの収穫を長く楽しむためは、肥料切れにしないことが大事なポイントです。
追肥は1ヶ月で2~3回に頻度で与えましょう。
オクラの追肥はプランター栽培では1株あたり化成肥料を約10g、株元から離れた場所にパラパラとまいて用土と混ぜ合わせておきましょう。
露地栽培では、化成肥料を50g/1㎡(ぼかし肥や鶏糞ならひと掴み)を一掴みほど、畝の肩や株間にまいて用土と混ぜ合わせておきます。
プランター栽培では、固形肥料の代わりに水やりを兼ねて液肥を1週間に1回のペースで与えてもかまいません。
オクラは草丈が1mを超えてくると倒れやすくなります。追肥のタイミングで土寄せやまし土をしておきましょう。
オクラは実が大きくなりすぎると、味が落ちてしまうだけでなく株を弱らせてしまいます。タイミングを逃さないように収穫するのが多収穫のポイントです。
オクラは苗を植え付けてから約2か月で収穫適期を迎えます。朝に咲いた花は夕方にはしぼみ、すぐ実が大きくなり始めます。
開花から数えると5日~7日が収穫のタイミングです。開花から収穫適期までの期間が短いので適期を逃さないようにしましょう。
オクラの収穫時期を見た目で判断するときは、長さが6~7cm(品種によって多少変わります。)になったとき。この大きさが果実が柔らかく美味しいとされます。
オクラを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送るからです。
気温が上がってからではみずみずしさが失くなってしまいます。また気温が高くなってから収穫したものは傷みも早くなります。
オクラは果柄(ヘタ)が固いので、ハサミやナイフで使ってヘタを10mmほどつけて切り取って収穫します。
使い終わったハサミやナイフは病害が伝染しないように水で洗うか消毒しておきましょう。
オクラはピークになると一瞬で実が大きくなります。
収穫適期を逃すと繊維質が多くなって食味が悪くなってしまいます。莢が柔らかい小さなうちに収穫しましょう。
オクラには連作障害があります。何度も同じ場所で育てると生理障害や病害が発生しやすくなります。
オクラでよく見かける病害の種類は、苗立枯れ病・うどんこ病・輪紋病・ウイルス病・葉すす病などです。
オクラが病害になる原因は、「日照不足」「多湿環境」「肥料不足」などです。病害を防ぐために、土壌の水はけと根元の風通しを良くして日当たりのよい場所で育てましょう。
病害を発見した時は早期に対策することで被害を最小限に食い止めることが出来ます。茎や葉を毎日観察して様子がおかしいと感じたら早めに対策を行うのがポイントです。
オクラにはさまざまな害虫が集まってきます。草勢をしっかり維持することで害虫の被害を低減できます。
オクラ栽培でよく見かける害虫の種類は、ハスモンヨトウムシ、フタトガリコガヤ、アオクサカメムシ、ワタアブラムシ、ヨトウムシ、ハダニなどです。
害虫を発見したら数が少ないうちに早めに駆除しましょう。
害虫の中でもカメムシはやっかいです。治療薬がなく野菜の不治の病と言われるウイルス性の病害を伝染させます。特に注意が必要です。
オクラの葉が丸まったときはフタトリコヤガやワタノメイガが原因です。上の写真のように葉を丸めて中に巣を作ります。
大量に発生すると、みるみる葉が食い荒らされて株が悲惨な姿になってしまうので、見つけ次第捕殺しましょう。
オクラは上手に栽培すれば1株から30個以上の実がなります。実なりを良くするには肥料を定期的に与えて肥料切れを起こさないことがポイントです。
オクラは高温を好みます。夏場以降の水切れには注意が必要です。水やりが少ないと花が落ちて実つきも悪くなります。
オクラの生育温度は10℃~40℃です。15℃以下になると育ちが悪くなり、10℃以下だと生長が止まってしまいます。霜にあたると枯れてしまうので十分に気温が上がってから植えるようにしましょう。
オクラは気温が低い時に種を撒くと途中で枯れてしまいます。特に初心者で多いのが、枯れた原因を水不足と安易に考えてしまうパターンです。
低温期に水やりを増やしてしまうとさらに地温が下がり立ち枯れを助長するので注意しましょう。
オクラは実がなるまでも葉が込み合っているときは、風通しを良くするために葉の剪定を定期的に行いましょう。
花より上部側の葉が少なくなった時は、「肥料不足」や「なり疲れ」が考えられますので、その時は未成熟な実を全て若取りして株間に肥料を与えて一旦休ませると再び収穫量が増えます。
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