シシトウは春が植え付け適期です。日当たりと水はけの良い土壌に1か所あたり3粒ほどの種を深さ5mmでまいて本葉が1~2枚出たら1本に間引きます。管理作業は、支柱立て・水やり・追肥・土寄せなどで、収穫までは約3か月です。
シシトウの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています
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栽培難易度 ★☆☆☆☆
シシトウはナス科の野菜で、果実の先端部分を上から見ると獅子の頭に似ていることから獅子唐辛子と言います。一般的な呼び名はトウガラシを略して「シシトウ」です。
トウガラシが赤くなる前の未熟果でピーマンの仲間です。シシトウは品種改良された辛みが少ないトウガラシの甘味種で、丈夫で育てやすい品種です。
シシトウの原産地は熱帯南アメリカで高温に強い野菜です。
どの品種でも基本的なシシトウの育て方は同じですが、環境や天候(雨)などによって辛さが変わることがあります。辛みが苦手な方は甘長などの辛みが少ない品種がおすすめです。
シシトウはビタミンCやカロチン・ビタミンEなど抗酸化作用の強い栄養素多く含む健康野菜。匂いの成分であるピラジンは血液をサラサラにし、脳梗塞や心筋梗塞の予防に良いとされています。
科名 | ナス科 |
別名 | シシトウガラシ・唐辛子 |
草丈 | 60~100cm以上 |
連作障害 | あり(3年~4年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 30~40cm以上 |
畝幅 | 50~60cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 22~30℃ |
種まき時期 | 2月~6月 |
発芽日数 | 5日~7日 |
苗植え付け時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
シシトウには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(参考:シシトウと相性の良いコンパニオンプランツ)
シシトウは春に植える野菜です。シシトウの種まきはハウスまきで2月から。シシトウの苗の植え付けは4月~6月です。収穫時期は種まきから約4か月で、6月下旬~10月中旬頃まで。
シシトウは病害虫に強く丈夫な野菜なので、どの品種でも比較的簡単に育てることができます。
シシトウにはいくつも種類があって、それぞれ特徴が違っています。
シシトウの小果で育てやすく味が良いとされるのは「翠光」「翠臣」など、長果では「伏見甘長」「万願寺トウガラシ」などです。
ただし、シシトウを種から育てる時は育苗期間がかなり長いので、初心者は苗から購入して育てると収穫まで上手く辿りつけます。
シシトウはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。シシトウ栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
シシトウの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
シシトウを栽培するときのプランターサイズは標準タイプ以上(60㎝~)を利用しましょう。
シシトウは深型のプランターがおすすめです。大型で深型の植木鉢でも栽培できます。浅型のプランターでは根詰まりするので注意しましょう。
シシトウは多湿を嫌います。プランター栽培ではメッシュ付きのプランターか網に入れた発泡スチロールを底が見えない程度まで敷き詰めて水はけをよくしておきましょう。
シシトウ栽培に使う用土は、市販の野菜の土「実野菜用」を利用すれば、袋から開けてすぐに植え付け出来るのでおすすめです。
シシトウの栽培用土を自分で配合するときは、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10gと、化学肥料を用土10ℓ当たり10~30gを混ぜ合わせましょう。
プランターにはウォータースペースを残すために、土を入れる量は全体の7分目程度までにしておきます。
この理由は、まし土のときや水やりのときに水や泥があふれるのを防止するためです。
シシトウの露地栽培の土作りは、種まき(苗の植え付け)の2週間前までに酸度調整を終わらせましょう。
シシトウを露地で育てるときの土作りですが、種まき(植え付け)の約2週間前に、1㎡あたり堆肥を3kg、化成肥料(15:15:15)を150gを施してよく耕しておきます。
シシトウにに適した土壌酸度はpH6.0~6.5です。苦土石灰をを入れて酸度調整をしましょう。(pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g必要になります。)
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので注意が必要です。
畝は用土をよく耕してから作りましょう。畝は高畝で、畝幅は50~60cm、畝の高さは15~20cmとします。
シシトウは種からも育てられます。気温が高くなったら直まき。気温が低い時期はポットに種をまき、保温して苗を育ててから移植する方法がおすすめ。
シシトウの種まきで注意するのは温度の管理です。3月はまだまだ気温が低いので日当たりのよい風の当たらない場所や、ビニルハウスなどで保温しながら発芽させましょう。
シシトウの種をまく時期は、直まきは4月中旬以降の日中の気温が20℃を超えるようになってから。
ポットまきは2月中旬以降です。苗を植え付ける日から逆算して60~70日前に種をまきましょう。
シシトウの発芽適温は25~30℃です。シシトウの種を直まきするときは温度管理が難しいため、時期外れにまいてもうまく発芽しません。発芽には最低でも20℃以上が理想です。(もっと詳しく:シシトウが発芽しない原因と対策 )
シシトウは発芽適温内(25~30℃)で、5~7日で発芽します。気温が低すぎると発芽の日数は遅れます。
種を埋める深さは種の大きさの2~3倍が目安です。シシトウは嫌光性種子といって太陽光が強いと発芽しにくい種ですが、深くまきすぎても発芽不良の原因になります。
ポットまきは、1か所あたり2~3粒まきます。種を埋める深さは5~10mmです。
ポットまきでは苗の植え付けまでに2か月以上かかるため、保温をしっかり行って、用土の湿度と温度管理をしっかりと行ってください。
本葉が7~8枚になるまでポットで育苗しましょう。
直まきする場合は、1か所あたり種を3~4粒まきます。種を埋める深さは約10mmです。
気温が低い時期は、トンネル掛けやプラスチック製のドームキャップなどを被せて保温しておくと発芽が早まります。
種をまいた後は水をしっかりと与えましょう。
種まき後から発芽するまでの間は、土の表面が乾いたタイミングでこまめに水やりをすることが発芽を揃えるコツです。
シシトウは本葉が出たら、元気の良い苗を1本残して他の株をすべて間引きます。
シシトウは種をまいてから約1ヶ月ほどで、本葉3枚までに株が成長します。
発芽した苗が寒さに当たると枯れてしまうことがあるので注意しましょう。
シシトウを種から育てるのが難しいと感じる方は、ホームセンターや園芸店で販売している苗から植え付けるのと失敗が少なくおすすめです。
シシトウは4月下旬以降が苗の植え付け適期です。6月上旬頃までなら苗を植え付けても収穫までに間に合います。
日中の気温が20℃を超えるようになったら。シシトウの生育適温は25℃~30℃です。
シシトウを苗から育てるときは丈夫な苗を選ぶことがポイントです。葉は濃い緑色をしていて艶が良いもの、本葉が10枚程度の節間が詰まっているもの、全体ががっちりしていて茎が太いものが良い苗です。
苗を購入するときは、一番花が咲いているものを選ぶのがポイントです。
早くに売り出されている苗は一番花が咲いていない事があるので、すぐには植え付けず1廻り大きなポットで一番花が咲くまで育ててから植え付けましょう。
シシトウの苗の植え方ですが、植える場所にポットより少し大きめの植え穴を空けておきます。
シシトウは根を垂直に深く張るので根鉢の肩が周辺の用土より少し高くなる程度に浅植えにしましょう。
苗の株元を指で挟んで根鉢が崩れないように取り出します。
穴の中に根鉢を入れ手周辺の土を寄せて手のひらで軽く植えから押さえて土と根の間に空気の層ができないようにしっかり密着しておきましょう。
苗と苗の株間はプランターでは約30cm以上、露地では40cm以上間隔をあけて植え付けます。
・シシトウを植え付けるときは、晴れた日の午前中に行うと根が上手く根付きます。植え付け直後の苗は弱いので、根付くまでの間は仮支柱を立てて支えておきましょう。
・シシトウは他の野菜と混植が可能です。限られたスペースを有効に使って栽培を楽しみましょう。(もっと詳しく:シシトウと相性の良いコンパニオンプランツ)
シシトウは支柱を立てて株のぐらつきをおさえます。支柱を立てないと強い風で茎が折れてしまうことがあります。
植え付け直後の苗は茎葉が細くて弱いので、支柱立ては植え付けと同時に行いましょう。植え付け直後は1本の支柱を立てておきます。
シシトウの株は60センチ以上になるので長さは1m程度にしておきましょう。
仕立てをしたら伸ばす側枝の本数と同数の支柱を立ててやります。支柱は垂直または合掌式にします。
支柱を立てた後は、麻ひもなどで茎を軽く支柱に結んでやりましょう。支柱と茎を結ぶときに注意することは、結び目を支柱側にすることです。
株間がせまいプランター栽培では主枝1本と一番花の下の枝を2本残して3本仕立てとします。地力のある露地では3~5本残しても大丈夫です。
3本の枝の先には次々と脇芽が増えていきますが、茎葉が込み合ってきたら定期的に摘葉しますが、日当たりと風通しが良ければ基本的には放任栽培でかまいません。
株が小さいうちは、一番花が咲いたところ(仕立てた3本の枝)から下に伸びるわき芽はこまめに摘み取るようにしましょう。株が大きくなったらあとは放任で大丈夫です。
苗が小さい段階で不要な脇芽を伸ばすと、株が大きくならなかったり、風通しが悪くなって病害や害虫の発生の原因となります。
苗が小さいうちに着く1番果を摘みとることで、株の負担を大きく減らすことができます。
生育初期に株を大きくすることが収穫量を増やすポイントです。1番花は実を着けさせずに摘み取りましょう。
株の勢いが弱い(株の生長が遅い)と感じたときは、2~3番果まで摘み取ってもかまいません。収穫することよりも、いかに株を大きくできるかを優先しましょう。
シシトウは正しく水やりを行うと健康な苗に育ち、立派な果実を実らせることができます。
シシトウは土壌の乾燥に弱く水分を多く必要とする野菜です。用土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。
シシトウは実がなりだしてからの水やり量が少ないと実が辛くなる原因になります。
高温期は日中の気温が上がる前、夕方は気温が下がり始めた頃に与えましょう。
水やりの回数を増やすよりも、用土の表面をしっかりと乾燥させてからたっぷりと与える方が効果的です。(もっと詳しく:シシトウの正しい水やり方法)
シシトウは収穫期の途中で肥料切れを起こしてしまうと辛みが増してしまいます。追肥の時期と与える量を調整しながらしっかりと行いましょう。
シシトウは1番果が付いたときが1回目の追肥のタイミングです。2回目以降の追肥は2週間に1回の頻度で行います。
プランター栽培では、1株あたりに化成肥料を5~10g株の周辺にパラパラとまいて用土とまぜておきます。露地栽培では化成肥料を20~30g畝の肩に施しましょう。
果実がなり始めたら、水やりを兼ねて週に1回薄めの液肥を与えるのも効果的です。
シシトウの収穫期間は6月~10月までと長く、途中で肥料切れを起こすと辛みが増してしまうため、肥料切れにならない様にしっかりと追肥を行いましょう。
窒素分が多い肥料を追肥で与えると草勢が強くなり過ぎてしまって葉が必要以上に茂ってしまいます。実がなりだしたら窒素分の少ないぼかし肥料を使うようにしましょう。
シシトウは果数が多く収穫までが短いので、株を弱らせないように収穫適期を逃さないように、次々と収穫しましょう。
シシトウの収穫時期は種まきから約3か月後、苗を植え付けてから約1か月後、開花してからは約2週間です。気温や栽培条件によって日数は前後します。
実の大きさが小果で5~7cm、長果は10~15cmが収穫のタイミングです。
シシトウは株を疲れさせないようにするため、早めに収穫するように心掛けましょう。(もっと詳しく:シシトウの実がならない・シシトウの実が小さい原因と対策)
シシトウを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送ります。
気温が上がってからではみずみずしさが失くなってしまいます。また気温が高くなってから収穫したものは傷みも早くなります。
シシトウは手でもぎ取ると枝が折れやすいので、ヘタの部分をハサミで切って収穫します。
株が小さいうちは果実は3~4cmの大きさで収穫して、夏前までは株を充実させましょう。大きな果実をたくさんつけると、養分と水分が果実に取られて株が大きくなりません。
果実が曲がったりしわが寄ったりするときは、肥料や水分が不足して株にストレスが掛かっている状態です。
すべての果実を一旦摘み取って、追肥と水やりをして株の勢いを回復させましょう。
シシトウは病害に強い野菜ですが、茎葉が茂り過ぎないよう摘葉を行って風通しをよくすることが病害の対策になります。
シシトウに発生しやすい病害は、青枯れ病・疫病・うどんこ病・疫病・軟腐病・灰色カビ病・斑点細菌病・モザイク病です。
シシトウがかかる病害の中でも、ウイルス病の一種「モザイク病」は野菜の不治の病で感染すると治療法がありません。
モザイク病はアブラムシが菌を運んでくるためアブラムシを見つけたら早めに駆除しましょう。
シシトウは連作障害が起こります。ウリ科、シシトウ科を植えた畑に3~4年は空けるようにしましょう。
連作すると病害にかかりやすくなるので注意が必要です。
シシトウは害虫を見かけたら早めに駆除することが大切です。シルバーマルチなどを設置して飛来を防ぐのも有効です。
シシトウに発生しやすい害虫はタバコガ・ハスモンヨトウ・カメムシ・アザミウマ・ハダニなどです。
ハダニはシシトウの葉の裏に住み着き葉の養分を吸ってしまうため、葉に白い斑点が現れます。そのまま放っておくと繁殖し全体に広がってしまいます。
シシトウの害虫対策ですが、定植時に駆除粒剤を施したり、発生初期に薬剤を散布して早急に駆除します。マルチなどを設置して飛来を防ぐのも有効です。
薬剤を使うのが嫌な方は害虫の動きの遅い早朝に手でつかみ取って駆除しましょう。
アブラムシは、牛乳に少量の食用油または片栗粉を混ぜた液を、シュッと吹きかけると窒息します。
シシトウは高温性の野菜です。気温が十分に上がってから植える方が簡単に育てられます。
苗を購入するときは、すぐに植え付けできる1番花が咲いている苗を購入するのがベストです。
シシトウは日当たりの良い場所で育てると実がたくさんつきます。
シシトウは辛みを抑えるために、収穫が始まったら水切れと肥料切れを起こさないようにしましょう。
株元の枝葉が込み合うと、病害が発生しやすくなったり害虫の住処になったりします。定期的に摘葉して、風通しと日当たりを良くしておきましょう。
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