ナスの上手な育て方は?ナスの栽培方法を画像を交えて種まきから収穫まで野菜栽培士が解説します。種まき(植え付け)から収穫まで。水やり・追肥・病害対策・害虫対策など、ナスをプランターや露地栽培で失敗なしで育てましょう。
ナスの育て方 Menu
・ナスの植え付け時期
・ナスの育て方のコツは?
・ナスのおすすめの品種は?
・ナスの種まき(育苗)
・良い苗の選び方は?
・ナスの植え付け方は?
・ナスの摘果は必要?
・ナスの整枝と支柱への誘引
・水やりの方法は?
・追肥のやり方は?
・ナスの収穫時期は?
・切り戻しのやり方は?
・ナスの育て方まとめ
・ナスの病気対策は?
・ナスの害虫対策は?
ナスの育て方はコツさえ知っていれば簡単。ナスはナス科の野菜でインド原産で高温多湿を好み日本の気候に合っているため、家庭菜園の中でも育てやすい野菜です。
ナスはキュウリやミニトマトと並んで果菜類の中でも需要の高い果菜類。土壌適応性も高くプランターでも露地栽培でも上手に育てられます。
ナスは品種も豊富で大小さまざまな形(丸ナス・卵形ナス・中長ナス・長形ナス)があり、色も紫だけでなく白色や緑など変わったものも出回っています。
ナスに含まれる栄養価ですが、ナスは栄養が無いと良く言われていますが、実はビタミンB群・Cなどのビタミン、カルシウム・鉄分・カリウムなどのミネラル成分、食物繊維などがバランス良く含まれる健康野菜です。
中でも食物繊維が豊富で、ナスの皮には紫黒色の色素アントシアニンやクロロゲン酸などの抗酸化成分「ポリフェノール」が含まれています。
ナスの栽培には移植栽培と直まき栽培がありますが、初心者はホームセンターなどでポット売りされた苗での移植栽培が簡単で確実。ナスは収穫期間が長く一度ピークが過ぎても7月頃に切り戻せば秋ナスの収穫が楽しめるお得な野菜です。
ナスの露地栽培の種まき時期には地域差があります。
5月に苗を植え付けする場合は種まきは定植の80日~90日前(接ぎ木苗をする場合の台木品種の場合は更に15日前)。つまり、2月上旬から中旬頃がナスの種まき時期となります。
ナスは発芽させるのに高温(18℃~23℃)が必要なため、ハウスなどの温度管理が出来る場所で、日中は30℃、夜間は20℃以上は確保しましょう。
また、温度差のある変温管理をすると発芽が早まります。
種を蒔いて30日ほど経つと本葉が1~2枚まで育つので12㎝ポットに鉢上げしましょう。
鉢上げ後は徐々に温度を下げ地温は18~25℃、気温は10~30℃の範囲で温度管理を行います。
育苗後半は生育が良くなり苗が込み合っていると徒長しやすくなるので、葉が触れ合わないように株間を広げ水やりを抑えてガッチリとした固い苗に育てるのがポイント。
ナスは自家採種が簡単に出来ます。栽培に慣れて来たらぜひチャレンジしてみましょう。参考:ナスの種の取り方
ナスの植え方ですが、苗と苗の株間は約60cm程度確保するのが収穫量を増やすコツです。プランターで育てる時も30~40㎝は確保しましょう。
コンテナで栽培する時は深めの10号鉢に1株ずつ植え付けます。定植は子葉が埋まらない程度に周りの土を寄せて植え付け最後に株元を軽く押さえ水をたっぷりと与えるようにしましょう。
苗を定植時する時に注意することは、定植が終わった後に苗がぐらつかないように仮の支柱を立てておくことです。茎と支柱をひもなどで軽く結んで風で倒れないように対策してやりましょう。
定植の1~2時間前にポットに十分かん水をして鉢土が壊れないようにしておくのもポイント。また低温時の定植を避けて十分に気温が上がってから植えるのも上手に定植させるポイントになります。
ナスの第1果の着果有無は栽培初期の草勢管理に重要なポイント。葉が大きく育ち勢いのある株は必ず着果させましょう。
曇天や気温の低い日が続いて着果が難しい時は、ホルモン剤(トマトーンを20~30倍に薄めた液)を利用して着果させます。
草勢が弱いと感じた時は第1果は除去して株の負担を軽減してやりましょう。
草勢の良し悪しは、枝の先端の葉数や花の雄しべの伸び具合を判断基準とします。
健全な株は開花した位置の上に4~5枚の葉が付き雄しべも良く伸びますが、一方、生育不良の株は花の上に展開葉が1~2枚と少なく、ひどいときは先端部に開花するようになります。
ナスは放任でも育ちますが、花数が多くなり葉が込み合って満足な果実が出来ません。
品質の良い果実を収穫するためには、整枝をしっかりと行って樹勢の維持と果実部分の日当たり、風通しを良くすることが大切です。
ナスの整枝・誘引は1番花の開花頃に行いましょう。主枝と1番花の下から発生する腋芽1本とそれぞれから発生する勢いのよい腋芽を1本ずつ選び3本仕立てとします。
選んだ腋芽より下側の側枝は早めに取り除いて、3本の主枝から発生する側枝は第1花の上1葉を残してすべて摘心し、同時に第2・第3葉の腋芽も除去しましょう。
3本の主枝は150~200cmに伸びたら頭頂部を摘心して、側枝の発生を促します(8月上旬頃)
嫡花は成長の様子を見て判断します。生育が強い場合には摘花せずに残しておいても問題ありませんが生育が弱い場合には1番花は摘花して負担を軽くしてやります。
果実を収穫する時には基部2節まで切り戻します。
この時点で第1葉に残しておいた腋芽が伸びて花が咲いている場合は、花の上1葉を残して摘心し、第2・第3葉の腋芽は摘み取っておきます。
第2腋芽の方が大きな芽がつくので、草勢の劣るときは第1腋芽の代わりに第2腋芽を残しても構いません。ただし、側枝が長くなる場合は通風が悪くなるので注意が必要です。
3本立てのほか、V字立てというものがありますが、3本立ては短期栽培向け、V字立ては長期栽培向けの整枝法です。
追肥のタイミングは2週間~半月に1回程度ですが、肥料が足りているかいないかは花を見て中央の雌しべが周りの雄しべより長ければ肥料が足りている証拠。
一方、雌しべが短くて雄しべに隠れている時は肥料が足りていないサインです。
用土の嵩が減り根が表面に見えてしまう事が多いので、新しい土を根に被せるようにしましょう。追肥のタイミングで株元に土寄せします。
ナスは更新剪定(切り戻し)を行う事で長く収穫を楽しめます。
7月下旬以降に収穫のピークを迎えますが、株の状態が良ければ葉を1~2枚残して生育の良い芽の上で切り戻すと秋にもう一度収穫することが出来ます。
切り戻しで収穫量を増やすコツは、枝だけ切り落とすのではなく株の周囲に移植ゴテ(スコップ)を入れ、古い根も切り落としておく事です。古い根を切ることで新しい根が出てきて株が再度大きく成長します。
剪定から1カ月もすれば、再び1番花が咲いて霜が降りる10月初旬頃まで収穫を楽しむ事が出来ます。
ナスは深く根を張る性質のため深底の鉢で栽培することが上手に育てるポイント。
過湿には順応性がありますが、乾燥には非常に弱い性質なので夏前には敷きわらを敷くようにしましょう。
あと収穫が始まってから肥料切れを起こすと実付きがかなり悪くなってしまうので、追肥は忘れずに行うことが収穫量を増やす安定させるコツです。
ナスは実りすぎるとあくが強くなってしまいます。未成熟なものを収穫しましょう。
ナスが掛かりやすい病気は、ナスは梅雨の時期に曇や雨の日が続くと灰色かび病や褐色腐敗病、すすかび病が発生することがあります。
病気の発生を防ぐために、通風、採光をよくするとともに早期発見と防除に努めるようにしましょう。
あと連作障害で青枯れ病や半身萎凋病が収発生することがあります。症状としては株や全体が急激に萎れ始めそのまま回復することなく枯れてしまいます。
連作をする時は必ず接ぎ木苗を植えるようにするのが病気の発生を抑えるコツとなります。
ナスを栽培する時に発生しやすい害虫は、アブラムシ、コナジラミ、アザミウマ、テントウムシダマシ、ヨトウガ、ハスモンヨトウなど。
農薬を使わない防除法として、寒冷紗などのネット被覆や粘着テープによる駆除があります。コナジラミやアブラムシには黄色テープ、アザミウマ類には青色のテープが有効。
害虫の被害が激しく手に負えなくなった時は、主枝株元の1芽まで切り戻すのもひとつの手。新しく主枝を立て直せば秋には再度収穫を楽しめます。
ただし切り戻しは、8月上旬までに行わないと気温が低下して株が育たず収穫が出来なくなることがあるので注意しましょう。(参考:ナスの病害虫対策)