ピーマンは春が植え付け時期です。日当たりと水はけの良い場所に1か所あたり3粒ほど深さ1cmで種をまいて、本葉が1~2枚の頃に苗を1本に間引きます。管理作業は、支柱立て・水やり・追肥・摘果・仕立てなどで収穫まで約3か月です。
ピーマンの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
種まき適期や苗の植え付け適期・収穫適期など栽培時期と土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など、画像と動画を使って丁寧に解説しています。
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YouTubeでもピーマンの上手な育て方を解説しています。動画を見ながらテキストを読むと、より理解が深まるのでおすすめです。
栽培難易度 ★★☆☆☆
ピーマンはナス科の野菜で原産地は南アフリカ。植え付けてから長期間に渡って栽培できる長く収穫を楽しめる野菜です。
ピーマンはトウガラシの一種で、実が大きく肉厚で辛みがない形ものを「ピーマン」と呼んでいます。
緑色のピーマンは少し苦みがありますが、赤色や黄色に完熟すると甘みが出るパプリカ(カラーピーマン)も人気があります。
ピーマンの栽培は移植栽培(ポット)と直まき栽培ができますが、ピーマンの種まきは寒い2月下旬頃から始まり、植え付けまでの期間がとても長いので、初心者はホームセンターなどでポット売りされた苗から育てるのが簡単でおすすめです。
ピーマンに含まれる栄養素は、ビタミンCやカロチン(ビタミンA)の他、ミネラル類・繊維質を豊富に含む、栄養満点の家庭菜園でも人気の緑黄色野菜です。
科名 | ナス科 |
別名 | 西洋トウガラシ・ポワブロン・グリーンペッパー・甘唐辛子など |
草丈 | 60~100cm以上 |
連作障害 | あり(3~4年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 o |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 50cm以上 |
畝幅 | 50~60cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 25~30℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
種まき時期 | 2月~5月 |
発芽日数 | 5日~7日 |
植え付け時期 | 4月~6月 |
収穫時期 | 種まきから約3.5か月 |
ピーマンには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(もっと詳しく:ピーマンと相性の良いコンパニオンプランツ)
ピーマンは春に植える野菜です。種まきは2月~5月、苗の植え付けは4月~6月です。
収穫は種まきから約3.5か月です。(5月末から10月末まで)
ピーマンは病害虫に強く、どの品種でも比較的簡単に育てることができます。
おすすめの品種は、苦みと臭みが少ない中型種の「京鈴」・果皮が柔らかくサラダに最適な「みおぎ」などです。
種から育てる時は育苗期間が長いので管理が難しいので、初心者の方は苗から育てると手軽で簡単に育てられます。
ピーマンはプランター栽培でも露地栽培でも育てることができます。ピーマン栽培の準備から収穫までの流れを丁寧に解説します。
ピーマンの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
ピーマンを育てるときのプランターサイズは標準タイプ以上(60㎝~)で深型のものを利用しましょう。
ピーマンは根を浅く張る野菜なのですが、多湿を嫌うので、なるべく深型のプランターを使う方がよいでしょう。
ピーマンの栽培用土は市販の培養土を利用すると袋から空けてすぐに使えて便利です。
自分で用土を配合する時は、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~30gを混ぜ合わせた物を用意しましょう。
メッシュ付きのプランターを使ったり網に入れた発泡スチロール・鉢底石などを敷き詰めたりすると、水はけがよくなり病害を予防できます。
プランターに用土を入れるときは、鉢の8分目まで土を入れてウォータースペースを確保しておきましょう。水やりの際に用土のこぼれを防ぐことができます。
ピーマンの露地栽培では、種まき(苗の植え付け)の2週間前までに土作りを終わらせましょう。
ピーマンに適した土壌酸度はpH6.0~6.5です。苦土石灰をを入れて酸度調整をしましょう。(pHを1.0上げるには石灰が1㎡あたり400g必要になります。)
植え付けの直前に石灰を入れると根を傷めてしまうので注意が必要です。
元肥は割肥(畝の下に隠す)にして、1㎡あたり堆肥を3kg、化成肥料(15:15:15)を150gを施しておきましょう。
植え付けの1週間前になったら、元肥を入れて平畝を作っておきます。畝は用土をよく耕してから立てるのがポイントです。
ピーマン栽培におすすめの畝は高畝で、畝幅は50~60cm、畝の高さは10~15cmです。
気温が高くなったら直まき、気温が低い時期はポットに種をまいて苗を移植する方法がおすすめ。
ピーマンの種まきで注意するのは温度の管理で、発芽には20℃以上の温度が必要です。
2月や3月は気温が低いので、日当たりがよく風の当たらない場所やビニルハウスなどで保温しながら発芽させましょう。
ピーマンを種まき適期は、ポットまきは2月中旬以降、直まきは日中の気温が20℃を超える4月中旬以降です。気温が低すぎると種は発芽しません。(もっと詳しく:ピーマンが発芽しない原因と対策 )
ポットまきでは、育苗箱に種をまき発芽した後にポリポットに苗を移し替えて、苗が植え付けに適した大きさになるまで育てましょう。(最初からポリポットに種をまいてもかまいません。)
種から育てる場合は2月下旬が種まき適期になりますが、植え付けに適した大きさに苗が育つまでに約70日以上かかります。
25℃~30℃で、発芽には高温が必要です。
ピーマンは発芽適温内で5~7日で発芽が始まります。気温が低すぎると発芽の日数は遅れます。
ピーマンの種は、布に包んで一晩水に浸けておくと発芽が揃いやすくなります。
種をまいてから発芽が揃うまでの間は水を切らさないことが発芽させるポイントです。
ポットまきするとは、1か所あたりに種を2~3粒、深さ5~10mmにまきましょう。
直まきでは1か所あたり3~4粒、深さ10mm前後に種をまきます。
発芽するまでの期間は用土を乾燥させないようにこまめに水やりをしましょう。濡れた新聞紙や不織布をかけておくと乾燥防止に有効です。
ピーマンの育苗管理は上級者でも難しく、土の湿度や温度の管理をしっかりと行う必要があります。
慣れないうちは園芸店などで購入した苗から育てるのもおすすめです。苗は4月以降になると店先に並びます。
ピーマンの間引きはタイミングよく行うのがポイントです。間引きが早いと途中で苗がだめになったときに種をまき直すことになり、間引きが遅すぎると他の苗の根が絡まって残す苗を傷めてしまいます。
ピーマンは、ポットまきでは本葉が2~3枚になったとき、直まきでは本葉が3~4枚になったときが間引きのタイミングです。
緑が濃く節の詰まった元気の良い苗を1本だけ残して、他の苗はすべて間引いて1本立ちにしましょう。
苗は手で抜き取るか、根が絡まっているときは根元からハサミなどで切り取ってもかまいません。
・間引きの時期が遅れると、苗が大きくなりすぎて間引きのときに絡まった根が切れてしまう原因になります。
初心者はピーマンを種から育てるよりも苗から植えて育てる方が簡単でおすすめです。
ピーマンの苗の選び方ですが、本葉が10枚程度で子葉が付いていて株全体ががっちりしていて茎が太いもの、一番花が開花しているか直前の苗を選びましょう。
早い時期に売り出されている苗は購入してすぐには植え付けないで1廻り大きなポットで一番花が咲くまで育ててから定植すると上手に育てられます。
ピーマンはさまざまな野菜と混植が可能です。限られたスペースを有効活用しましょう(もっと詳しく:ピーマンと相性の良いコンパニオンプランツ)
ピーマンの植え付け時期は4月~5月です。苗は日中に気温が20℃を超えるようになってから植え付けましょう。
ピーマンは高温を好む野菜なので、気温が低い時期に植えても上手く育ちません。(もっと詳しく:ピーマンが育たない原因と対策 )
日中の気温が20℃を超えるようになったら植え付けできます。ピーマンの生育適温は25℃~30℃です。
ピーマンの植え方ですが、苗と苗の間隔(株間)は40~50cmを確保して植え付けていきます。植え付けは晴天の日の午前中を選ぶと上手く定着します。
植え付け後は土の跳ね返りによる病害の発生を伏せぐためにマルチや敷き藁を施しましょう。マルチの代わりに新聞紙でも代用できます。
・植え穴の底が凸凹していると根付くまでに時間がかかってしまいます。底は平らにならしておきましょう。
・栽培時期の気温や地温が適温より低い時はマルチングをして地温を高上げておくと生育がよくなります。
・苗を植え付けた後は根付く(定着)までの間は用土の表面が乾くタイミングでこまめに水やりを行いましょう。
強い雨が降ったときや水やりを続けていると株元の周辺の用土が流れてしまいます。苗の倒れや露出した根を傷める原因となるので土寄せをしっかりと行いましょう。
ピーマンの土寄せ(プランターではまし土)は株元の茎の部分が長くなってきたときや追肥のタイミングに合わせて、収穫までに2~3回ほど行いましょう。
土寄せのやり方ですが、株周囲の用土の表面を軽くほぐして株元に寄せて手のひらで軽く押さえておきます。プランター栽培では新しい用土を足しておきます。
ピーマンは茎葉が固いため、風や強い雨によって折れてしまいます。タイミングよく支柱を立ててやりましょう。
ピーマンの支柱は株を固定する目的で行います。支柱を立てる時期は1番花が咲いた後になります。
苗を植え付けてからだと約2週間後が目安で、伸ばす側枝の数に合わせて支柱を立てます。
1m位の支柱を合掌式か垂直に立てて、麻ひもなどで主茎を軽く支柱に結んでやりましょう。ポイントは結び目を支柱側にすること。
支柱は株元付近に強風でぐらぐらと動かないように地面にしっかりと差し込み、両隣の支柱と連結させると台風が来ても心配する必要が無くなります。
ピーマンは脇芽取りの必要はなく基本的には放任で育てます。整枝は茎葉の生育が旺盛すぎて実がならなくなったときや、葉が込み合ったときに行いましょう。
株どうしの間隔が狭いプランター栽培では、1番花の上下の生育が良い枝を3~4本だけ残して、その他の側枝(脇芽)は整枝すると管理がしやすくなります。(残す側枝の先は放任栽培でOK。)
ちなみにピーマンは花の部分から脇芽が出て枝分かれしていきます。わき芽を見つけるときは、花の咲いていたあたりを探してみましょう。
1番果が付いたところから下に出るわき芽はすべて小さなうちに摘み取ってしまいます。
わき芽を摘み取ることで株の上部に養分と水分が行き渡るようになり初期の生長がよくなります。そのままにしておくと株元の葉が込み合って病害や害虫発生の原因となります。
上部の株が十分に大きくなった後は、1番花の下から出る脇芽は放任でかまいません。
ピーマンは乾燥に弱く水分を多く必要とする野菜です。生長に合わせて水やりの量を変えましょう。正しく水やりを行うと健康な苗に育ち、立派な果実を実らせることができます。
ピーマンは用土の表面が乾いたタイミングで、たっぷりと水を与えましょう。
ピーマンは垂直に根を張っているため、地中深くまで染みわたるように水を与えるのがポイント。回数を増やすよりも一度の水やり時にたっぷりと与えるほうが効果的です。
生育が順調になってからは、用土の表面が乾いたタイミングで水やりをすればOKです。毎日与える必要はありません。(水分の与えすぎは病害の発生を助長してしまいます。)
ただし収穫が始まってからと気温が上がる夏以降は、朝と夕方の2回水やりを行いましょう。(もっと詳しく:ピーマンの正しい水やり方法)
ピーマンは多肥性の野菜です。収穫期の途中で肥料切れを起こさないことがポイントです。追肥の時期と与える量を調整しながら上手に肥料を与えましょう。
1番果が付いたら1回目の追肥を行います。2回目以降の追肥は、固形肥料の場合は2週間に1回、液肥の場合は週に1回、水やりを兼ねて追肥を行います。
プランター栽培では、1株あたりに化成肥料を5~10g株の周辺にパラパラとまいて用土とまぜておきます。露地栽培では化成肥料を20~30g畝の肩に施しましょう。
ピーマンの収穫期間は6月~10月下旬までと大変長いので、途中で肥料切れを起こさないようにします。
元肥と同じ配合の肥料を追肥として与えると葉が茂り過ぎてしまうので、追肥では窒素分の少ない肥料を利用するようにしましょう。
ピーマンは果数が多いため、収穫適期を逃して果実が大きくなると株を弱らせてしまいます。適期を逃さないように次々と収穫しましょう。
ピーマンはヘタの部分からハサミで切って収穫します。
ピーマンは夏前から収穫が始まり、開花してから約2週間ほど(パプリカは50日~60日ほど)で収穫適期を迎えます。
ピーマンの果実は見た目は収穫適期を過ぎてもほとんど変化がありません。
ピーマンは実の大きさが6~7cm程度になった時が収穫のタイミング。株を疲れさせないように早めの収穫を心掛けて下さい。(もっと詳しく:ピーマンの実がならない・ピーマンの実が小さい原因と対策 )
ピーマンを収穫する時間帯は朝方がおすすめ。野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って糖分(甘み)を作りだし、夕方から夜間にかけて養分を果実に送ります。
気温が上がってからではみずみずしさが失くなってしまいます。また気温が高くなってから収穫したものは傷みも早くなります。
大きな果実をたくさん残すと株が勢い弱まって、収穫期間が短くなり収穫量が減る原因になります。
ピーマンは果実を小さいうちに収穫して株の消耗を押さえ追肥をしっかりと施してやると、秋の初め(霜が降りる)まで長期間収穫を楽しむことができます。
長期間収穫を楽しむためにもできるだけ実が小さいうちに取って株を大きく成長させましょう。(もっと詳しく:ピーマンの実がならない・ピーマンの実が小さい原因と対策)
ピーマンを栽培する時に発生しやすい害虫は、アブラムシ類とハダニが良く発生します。
ピーマン栽培で見かける害虫は、「タバコガ・アブラムシ・ハダニ・カメムシ」などです。
カメムシやアブラムシ類はモザイク病のウイルスを伝染する上、感染すると新葉や果実にモザイク症状を生じるので注意しましょう。
害虫の対策ですが、定植時に粒剤を施したり、発生初期に薬剤を散布してアブラムシ類を駆除します。薬剤を使う事に抵抗がある方はシルバーマルチやシルバーテープなどを設置して飛来を防ぐのも有効です。
ピーマンはインゲンと一緒に植えるとお互いの害虫を退避させる効果があります。 インゲンが空気中の窒素を固定し、更に共生する菌根菌が土中のミネラルをピーマンに供給するので生長もよくなります。
ナスの害虫対策は早期発見と早期駆除が最大のポイントです。ナスに集まる害虫の種類と対策について解説します。
ピーマンに発生しやすい病害は「青枯れ病・モザイク病・疫病・黄化エソ病」などです。
青枯れ病は梅雨時期の高温多湿の環境下でよく発生します。水はけと風通しをよくして、発生したら薬剤を使って早期治療に努めましょう。
モザイク病は野菜の不治の病で治療法がありません。アブラムシなと吸汁する害虫がウイルスを運ぶため、アブラムシ類を早期に駆除ことが大切です。
疫病は茎葉や果実が腐る病害です。こちらも治療が困難なので、ナス科の野菜のあとに連作をしない、栽培地を多湿環境にしないことが発生予防につながります。
敷き藁やマルチングをすることで、水やりや雨の跳ね返りのよる土壌中のウイルスや菌の感染を防ぐとこができ、多くの病害の発生を抑えることができます。
ピーマンは高温性の野菜なので気温が十分に上がってから植える方が上手く育てる事ができます。1番花が咲いている苗を購入するのがコツ。
日当たりの良い場所で育て、株元の枝葉が込み合ってきたら摘葉して風通しと日当たりを良くすることで病害や害虫を防ぐことができます。
収穫期間中に肥料切れを起こさないように注意しましょう。
ピーマンには連作障害があります。ナス科の野菜を植えた畑で連続して栽培しないように注意しましょう。一度植えた畑には3~4年は植えることができません。
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