キャベツの育て方を野菜栽培士が詳しく解説します。
キャベツ栽培のコツとポイントが分かる。土作り・種まき・苗作り・肥料の与え方・水やり方法・収穫までの栽培管理、病害虫対策など
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キャベツは春まき・夏まき・秋まきができます。春まきは葉が柔らかく緑色が濃く、秋まきは葉はやや固めで緑が薄いのが特徴です。栽培期間が長いので難易度は少し高い野菜です。
栽培難易度 ★★★☆☆
キャベツはアブラナ科の野菜で原産地は地中海沿岸からヨーロッパにかけてです。紀元前2,500~2,000年頃には栽培されていたという記録があり、日本では明治以降に栽培されるようになりました。
ギリシア時代には「貧乏人のクスリ」と言われていたほど栄養価が高く、ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンK・ビタミンU・カルシウム・カリウム・イソチオンアネート・食物繊維などが含まれています。中でもビタミンUは別名で「キャベジン」とも呼ばれ、胃腸の調子を整える働きがあります。
キャベツは品種にもよりますが、種まきから収穫までは約3か月で、収穫までの作業は、土寄せ・トンネル掛け・水やり・追肥などです。
キャベツは春まき・夏まき・秋まきができます。春まきは葉がふんわりと軽くて瑞々しく、夏まきと秋まきは葉がしっかりとした歯触りが特徴です。
春まきは結球期に高温になると、うまく結球しなかったり、球が大きくならなかったり、とう立ちして花芽が付いたりします。気温が高くなる前に収穫が終わる早生品種(春まき品種)を選ぶと失敗が少なくなります。
夏まき以降は結球が始まる時期が生育適温と合うので育てやすく、難易度は春まきと比べて低いので、初心者の方には夏まき以降の栽培がおすすめです。
キャベツには連作障害があります。同じ場所にアブラナ科の野菜を植えるときは最低でも2~3年は間隔を空けましょう。
科名 | アブラナ科 |
別名 | 甘藍(カンラン)・玉菜(タマナ)など |
草丈 | 30~50cm |
連作障害 | あり(2~3年) |
適した場所 | 日がよく当たる風通しの良い場所 |
日当たり | 🌞 or 🌤 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
株間 | 40cm以上 |
畝幅 | 60~80cm |
畝高 | 10~15cm(平畝) |
発芽適温 | 15~25℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
種まき時期 | 2月~4月・8月~9月 |
発芽日数 | 3日~5日 |
苗植え付け時期 | 3月~4月・9月~10月 |
収穫時期 | 種まきから約3か月 |
キャベツには寄せ植えできるコンパニオンプランツがあります。相性の良い野菜を組み合わせれば、同じ場所でたくさんの野菜を育てることができます。(もっと詳しく:キャベツと相性の良い野菜(コンパニオンプランツ))
キャベツは品種によって大きさや甘さが異なります。ベランダ菜園では小玉のボール型を選ぶなど、栽培する時期や環境に合った品種を選びましょう。
キャベツは品種は大きく分類すると大玉種と小型種があり、葉に厚みがあってやや扁平形の「寒玉系」、葉が黄色くてやや腰高の形状の「春系」、ソフトボールほど大きさの丸形で小型の「ボール型」に分かれます。
栽培する時期や栽培地の風土と気候に合った品種を選ぶことが成功のポイントです。
コンテナ栽培では小玉種の「アーリーボール」「グリーンボール」などのボール型が人気です。
大型の品種では「つまみどり」「涼嶺」「新藍」などが比較的育てやすくおすすめです。
キャベツは春から秋が栽培時期です。
種まき時期は春まきは2月~4月で、夏まきは8月~9月です。苗の植え付け時期は春植えは3月~4月で、秋植えは9月~10月です。
収穫までは種まきから約3か月かかります。(苗の植え付けからは約2.5か月)
キャベツはコンテナ栽培と露地栽培が可能で、種からと苗からのどちらからでも栽培が始められます。ここからはキャベツの育て方を解説します。
キャベツの栽培を始める前にしておくことは、「道具と栽培用土の準備」栽培地の「土作り」「畝作り」などです。
キャベツを育てるときのコンテナサイズは大型(60cm~)または、大鉢タイプ(深底)がおすすめです。
キャベツは株間を30cm以上確保するとよく育ので、小型のコンテナで育てる場合は、1つのコンテナにつき1株が限界です。
キャベツ栽培で使う用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えて便利です。
自分で用土を配合する場合は、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化成肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせた物を使います。
植え付け前の準備として、市販のコンテナにウォータースペースを残して、7分目までくらいまで培養土を入れます。
植え付ける1か月前までに土作りを済ませておき、植え付けの1週間前に元肥を施しておきましょう。
露地栽培でキャベツを育てる時は、種をまく2週間前に石灰100g/㎡を施してよく耕しておきます。
1週間前になったら堆肥2㎏/㎡・化成肥料(15:15:15)100g/㎡を施して土作りを済ませておくようにします。
元肥に鶏糞や堆肥などの有機肥料は種まきの直前にまくとタネバエの発生を助長してしまいます。有機肥料を使う場合は、遅くても1週間以上前に施肥しておきましょう。
根が深くまで伸ばせるよう30cmほどの深さまでしっかりと耕しましょう。ふかふかで排水性の良い土壌を作ることが生育を良くし、病害を防ぐポイントです。
キャベツ栽培に適した畝は平畝で、高さ10cm~15cm、幅60cm〜80cmです。
キャベツは株を大きさが球の大きさに比例します。隣り合う株の葉が重なると、日当たりと風通しが悪くなって株の生育が悪くなります。
畝の幅をしっかりと確保して結球するまでに大きく立派な株に育てましょう。
植え付ける2週間前までに土作りを済ませておき、植え付けの1週間前には元肥を施しておくようにしましょう。
元肥に鶏糞や堆肥などの有機肥料使う場合、種まきの直前にまくとタネバエの発生を助長してしまいます。
有機肥料を使う場合は、遅くても2週間以上前に施肥する様にしましょう。
畑に直接種をまく「直まき」とポリポットに種をまいて植え付けに適した大きさまで育てる「ポットまき」の2通りの種まき方法があります。発芽適温から大きく外れる時期は温度と湿度の管理がしやすいのでポットまきがおすすめです。
キャベツの種まき時期は2月以降(低温期)と8月以降(高温期)で、種を発芽させるには過酷な環境です。
この時期は直まきは発芽させることや発芽後の水や温度の管理をしっかりと行うことが種まきを成功させるポイントです。
キャベツの発芽適温は15~25℃です。最低は7℃、最高は30℃くらいまでなら発芽します。春まきの場合は保温して発芽に適した温度をキープしましょう。
キャベツは発芽適温内では種まきから3~5日で発芽が始まります。気温によって日数は前後し、気温が低すぎたり高すぎたりすると発芽しません。(キャベツの種が発芽しない原因と対策)
適温から大きく外れる時期の育苗は、ポットまきで遮光しながら温度と水分量を管理して、風通しの良い場所で発芽させる方法がおすすめです。
種は1か所あたり3~4粒ほど点まきします。
直まきでは発芽率が悪いので、5~7粒の種をまきます。
種が発芽したら3本に間引き、本葉が2枚揃ったら2本に間引いて本葉が3~4枚になる頃に1本に間引きましょう。
ポットまきでは発芽したら3本に間引き、本葉が2枚揃ったら2本に間引いて本葉が3枚~4枚になる頃に1本に間引きます。
直まきでは、本葉が1枚~2枚になったときが1回目の間引きのタイミングです。生育のよい苗を2本だけ残して残りの苗はすべて間引いてしまいましょう。
2回目の間引きのタイミングは、本葉が3枚~4枚になった頃です。このときに生育のよい苗を1本だけ残して、他の苗をすべて間引きます。
キャベツを種から育てるのが難しいと感じたら、園芸店などで売られている苗から育ててみましょう。苗からだと収穫まで簡単に辿り着けます。
キャベツの良い苗の選び方ですが、本葉が5枚~6枚程度あるものが植え付けに適した大きさです。
節間(上下の葉の間隔)が狭く、茎が太くしっかりしていて、葉色の濃いものを選ぶようにしましょう。
弱々しく病害にかかっているものや害虫の被害に遭っているものは、植え付け後の生育が悪いので避けます。
春植えは3月〜4月で、秋植えは9月〜10月です。
キャベツは苗が小さい時期に、一定期間の低温を受けて、その後に気温が上がると、「とう立ち」して花芽をつける性質をしています。
そのため、春まきや翌年の春に収穫する秋まきでは、苗の植え付け時期が低温期と重なると結球せずにとう立ちすることがあります。
例えば、春植えだと高温期前の6月頃には収穫を終わらせる必要があります。苗を植えてから収穫までは2か月以上かかるので、4月中旬が植え付け時期のリミットになります。
収穫する月の気温が生育適温内になるよう逆算して苗を植え付けることが成功のポイントです。夏まきは幼苗が低温に当たらないので気にする必要はありません。
キャベツの生育適温は15~20℃ですが、品種によって10℃~30℃まで適応性があります。
キャベツの苗を植え付ける間隔は、早生種は30~40cm、中晩生種は40~45cm間隔です。
キャベツの栽培時期は台風の季節と重なります。
苗が小さいうちは株が倒れやすく、強風や豪雨などで茎が折れることがあります。倒伏を防止するために、株元に土を寄せておきましょう。
間引きや追肥のタイミングで株周辺の用土の表面を軽く耕して株元に土を寄せておきます。
コンテナの場合は水やりで用土が減りやすいので、定期的に用土を足してもオッケーです。
キャベツの球を大きくするポイントは、健康で虫食いのない大きな外葉にすることです。トンネル掛けをして幼苗期の害虫の食害から株を守りましょう。
春から秋にかけては害虫の被害にあいやすいので、寒冷紗のトンネル掛けは害虫の飛来防止にはとても有効です。
苗が小さな時期に芯を食害されてしまうと成長が止まり、外葉が食害されると大きな球もできなくなってしまいます。
トンネル掛けをしても、設置前に害虫がついていることがあるので、設置してから数日間は、害虫がいないかをしっかりと確認しておきましょう。
水やり回数が多すぎると病害が発生しやすくなるので、回数を少なめにして1回のあたりの水の量を多めにするのがポイントです。
キャベツは種をまいたあとから発芽するまでの間と苗を植え付けてから根付くまでの間は、用土の表面が乾かないようにこまめに水やりを行いましょう。
それ以降の水やりですが、毎日水やりをする必要はなく土の表面がしっかり乾いてから行いましょう。キャベツは乾燥を嫌いますが、多湿すぎても病害にかかりやすくなります。
高温期の水やりは、気温が上がり始める前に与えましょう。気温が高い時間帯の水やりは、太陽光で根を傷めたり、水滴がレンズ代わりになって茎葉を傷めてしまいます。
逆に低温期は暖かな日中の時間帯に与えます。気温が低い時間帯の水やりは凍結などで茎葉を傷める原因になるからです。
午後に水やりするときは、高温期は気温が下がり始めてから15時頃までに終わらせます。
低温期は茎葉に水滴が残ってしまうと夜間の低温で凍害が起こりやすく、病害も発生しやすくなるので極力控えましょう。
夜間は用土の表面を乾いた状態にしておくことが、健康な株を育てるポイントです。
1回あたりに与える水の量ですが、コンテナ栽培では鉢底から水が染み出るまでしっかりと水やりをします。
露地栽培では1株あたり約1.5ℓ~2ℓが目安です。間隔をあけて1回でたっぷりと与えるイメージです。
雨の日や曇りの日は多湿になりやすく病害の発生を助長するので水やりをする必要はありません。
ただし、マンションのベランダなどの雨が当たらない場所で栽培しているときは、雨が続いていても、用土の表面が乾いてたら水やりをしましょう。
そのときは、いつもより量を少なめにします。
水やり回数が多すぎると病害が発生しやすくなるので、回数を少なめにして1回のあたりの水の量を多めにするのがポイントです。
追肥の量と与えるタイミングがキャベツの葉を美味しくするためのポイントになります。
1回目の追肥は苗の植え付けから約3週間たって本葉が約10枚程度まで増えた頃で、2回目の追肥は植え付けから約6週間経ち、芯の葉が立上り始めた頃になります。
株の生育が良いときは1回目の追肥は無理に与えなくてもかまいません。
キャベツの肥料不足のサインは、茎葉の緑が薄くなる、茎葉が黄色くなる、外葉が赤くなる、生育が遅くなる、結球が遅れるなどです。
(もっと詳しく:キャベツが結球しない・葉が巻かない原因と対策 )
追肥に使う肥料の種類は即効性(効きが早い)のもので、チッソ比率の高いものがおすすめです。
成分が分からないときは園芸店などで葉もの野菜専用の肥料を使うと簡単です。
コンテナ栽培では1株あたり化成肥料を約5gを葉の広がりに沿ってまき、表面の用土と軽く混ぜ合わせておきましょう。
露地栽培では1㎡あたり20~30gを畝間にまいて軽く混ぜ合わせて畝の肩に寄せておきます。
コンテナ栽培では、水やりを兼ねて液肥を与えてもかまいません。キャベツの結球が始まるまで週に1回程度の割合で与えましょう。
ただし、茎葉の生育が悪いときは固形の化成肥料に切り替えます。肥料が不足すると未結球になったり茎葉が固くなったりします。
化成肥料を必要以上に与えると肥料焼けの原因になるので注意しましょう。(肥料焼けとは、土壌と根の浸透圧がバランスを崩して、根から水分が奪われて生育不良になる生理障害のことです。)
キャベツの収穫適期は種まきから約3か月です。球の上部を押さえて固く締まっていたら収穫しましょう。春先は収穫の適期を過ぎると球が割れるので注意しましょう。
種まきからは約2か月、苗の植え付けからは1.5~2か月経つとキャベツの結球が始まります。
2か月を過ぎて球が十分な大きさになり、中央の葉が固く締まっていたら収穫できます。
欲張って球を大きくしようと適期を逃すと、茎葉が固くなるだけでなく、苦みが増して甘みも減ってしまいます。
サラダなどの生食に使うときは適期を守ることが柔らかくて瑞々しいキャベツを収穫するポイントです。
春まき用の品種や秋植えの翌春に収穫する品種は、気温が高くなるととう立ちして球が割れてしまうので、適期を逃さない様に収穫しましょう。
見た目で収穫時期を判断するのは難しいのですが、結球部分を手で押してみて適期を判断しましょう。
店舗で売られているキャベツのように、球が固く締まっていれば収穫適期です。
結球部を押さえて葉が1枚~2枚分へこむ程度が結球が完了している目安です。
キャベツは株ごと手で引き抜くのは困難です。
手で下葉を3~4枚押し広げて、株もとをナイフなどで切り取って収穫しましょう。
収穫後は時間が経つにつれて水分が抜けていきます。
芯をくり抜いたあと、湿らせたキッチンペーパーで包みポリ袋などに入れて、冷蔵庫で保存すると日持ちします。
キャベツ栽培でよく見かける害虫は、コナガ、アオムシ、ヨトウムシなどがいます。残渣(枯葉や落ち葉)を撤去して害虫の住処を減らし、株元の風通しをよくするなどの対策をしましょう。
幼苗から結球するまでの期間は被害に遭いやすい時期なので、防虫ネットのトンネル掛けなどで害虫対策をしっかりと行いましょう。
防虫ネットを掛けても隙間から入り込むことがあります。害虫がいないかよく観察して、見つけた場合は早期に駆除することがポイントです。
苗が小さな時期に芯を食害されてしまうと結球しなくなってしまいます。
トンネル掛けをするときは、寒冷紗を掛ける前に害虫がついていないか葉の裏側までしっかりと確認しておきましょう。
キャベツの周辺にキク科の野菜(レタス、シュンギクなど)を混植するとモンシロチョウが飛来しにくくなります。キャベツより先に植えるとより効果的です。(参考:コンパニオンプランツと野菜を混作するときの効果的な組み合わせ)
キャベツに多い病害は「軟腐病」「萎黄病」「黒斑細菌病」「根こぶ病」「根腐れ病」「菌核病」などです。降雨が多い年は軟腐病や黒腐病が発生しやすくなります。
病害は早期発見、早期治療がポイントです。
日々、株を観察して少しでも変化を感じたときは、早期治療することで蔓延を防ぐことができます。
キャベツは冷涼な気候で育て、水はけの良い土壌を作り、日当たりの良い場所で栽培すること、アブラナ科の野菜を連作しないことが病害の予防になります。
キャベツはカビによる病害が多いので、栽培地の排水対策をしっかりしておきましょう。
発生してから治療するのではなく、病害が発生しない栽培環境を目指すことが大切です。
病害にかかった株や残渣を用土にすき込むと病原菌が残って、次に植える野菜に感染する原因になります。必ず場外で処分するようにしましょう。
キャベツには連作障害があります。同じ場所に植え付ける時は最低でも2年は間隔を空けるようにしましょう。
キャベツは苗が小さい時期に、一定期間の低温を受けて、その後に気温が上がると、「とう立ち」して花芽をつける性質があります。
夏まきは低温に当たらないので問題ありませんが、春まきや秋まきは、幼苗時期が低温期に重なるので、結球せずにとう立ちしてしまうことがあります。
春と秋にキャベツを育てるときは、収穫までが短い早生品種を選ぶといいでしょう。また、種まきのタイミングを間違わないこともキャベツ栽培の成功のポイントです。
▷家庭菜園で簡単野菜作りVegetableBeginnersguide
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